金融DXとは?求められている背景や推進時の課題・取り組み事例を紹介

金融業界では、AIやブロックチェーンなどのデジタル技術を活用した変革、いわゆる金融DXが加速しています。
既存の業務プロセスを効率化するだけでなく、新しいサービスやビジネスモデルを生み出すことで、競争力の強化を図る動きが活発化しているのです。
一方で、システムのブラックボックス化や人材不足、セキュリティ対策など、金融業界特有の課題も山積しています。これらの課題を解決し、デジタル時代における競争力を維持するために、金融DXは必要不可欠となっています。
そこで本記事では、金融業界が抱える課題や金融DXの事例を通して、金融DXの重要性をお伝えします。

金融業界における3つの課題

金融業界が抱える3つの課題は以下の通りです。
  • 既存システムのブラックボックス化
  • 規制緩和に伴う新しい顧客ニーズへの対応
  • セキュリティ対策
金融DXが重要視される理由でもあるため、1つずつ確認しましょう。

既存システムのブラックボックス化

金融業界では、複雑化したシステムのブラックボックス化が問題視されています。
金融業界では、顧客情報や資金など、秘匿性が高い情報を扱わなければなりません。そのため、金融機関ごとに独自のシステムを設計・拡張しており、金融業界のシステムは複雑になっています。しかし、システム構築時の担当者の離職や、設計書不足などで、システムの構造がはっきりしない状態が生じてしまっているのです。
ブラックボックス化が生じてしまった結果、DX化を進めるために新しく機能を追加したり、改修する必要があっても、システムの構造がわからず対応できない状況に陥ってしまっています。

規制緩和に伴う新しい顧客ニーズへの対応

金融業界では、ここ数十年で以下のような様々な規制が緩和されてきました。
  • 押印廃止
  • 事業者承認条件の緩和
  • デジタル証券の規制緩和
例えば、ネット銀行やネット証券の手続きでは、押印に代わり、個人確認書類をアップロードすることで対応するようになり、利用者の利便性が高まりました。
これらの規制緩和は様々な効果が期待できる一方で、規制緩和に伴う顧客の新たなニーズに対応していかなければなりません。
金融業界には昔ながらの「はんこ」や「対面」文化を重視する企業もあるため、顧客ニーズに合わせた柔軟な業務フローの構築も課題となっています。

セキュリティ対策

金融業界では個人情報や資金などの重要な情報を扱うため、高度なセキュリティ体制が求められます。しかし、金融とITの両方に長けた人材が少なく、金融業界では保守運用の担い手が不足しているのが現状です。
保守運用に対応できる人材がいなければ、サイバー攻撃や内部不正などでデータの滅失や流出が起こりかねません。
金融DXの推進時は、対応できる人材を育成、もしくは確保する必要があります。

金融業界で実践するDXの例2選

金融業界でどのようなDX施策を進めていけば良いのか、例を2つ紹介します。

Webデータベースを活用した業務効率化

DXを進めるにあたり、顧客の情報や業務・サービスの情報など、社内に蓄積されたデータを集約したWebデータベースは欠かせません。
社内での情報共有をスムーズにすることで、情報を分析し、マーケティング施策に役立てることが可能です。
例えば、サービスのターゲットの決定や、お客様ごとに最適なサービスの紹介、メルマガのメッセージの改善など、データを元に適切なマーケティング施策を実行できます。

オンラインを活用した顧客対応

金融DXを推進する上で、オンラインの活用も欠かせません。対面での対応・電話の他にもWebサイトやアプリなどオンラインを活用して顧客との接点を増やすことで、顧客にサービスをアプローチできる機会が増加します。
例えば、顧客対応にAIを活用することで、定型業務を自動化し、人的リソースを削減できる他、スピーディな対応が可能となり、顧客満足度の向上に貢献します。
また、デジタルバンキングやオンライン決済サービスの活用も重要です。時間や場所を選ばずより手軽にサービスを利用できるようになるため、顧客の利便性が高まります。

金融業界でのDX取り組み事例3選

ここでは、金融業界で実際にDXに取り組んでいる企業の事例を紹介します。事例を参考に、自社のDX施策検討時に役立ててください。

株式会社三井住友フィナンシャルグループ

株式会社三井住友フィナンシャルグループでは金融DXの一環として「モバイル総合金融サービスOliveの導入」を行っています。
Oliveは1つのスマホアプリや1つのIDで銀行口座・カード決済・証券など、異なる会社が提供するサービスを利用できるアプリです。実店舗や地域に基づく管理を廃止し、デジタルでの手続きに併せて店舗でのサポート体制を整備しました。その結果、店舗網のない地域のお客様や使い方が分からない高齢のお客様とのお取引の拡大に成功しています。
2023年3月〜2024年2月で契約件数200万件を突破、個人顧客の新規口座開設数は銀行業界トップクラスにまで増加しました。

株式会社大和証券グループ本社

株式会社大和証券グループ本社ではDX推進として以下の取り組みを行いました。
  • 金融機関との提携による新地域での資産形成サポート
  • セキュリティ・トークンを使った新しい市場の創造と投資機会の拡大
  • ChatGPTの積極的導入
各銀行との連携を行い、ファンドラップなどの金融商品仲介、相続や事業継承などのトータルソリューションビジネスの提供を開始しました。API経由で提携先に自社システムの一部を開放し、スピーディーかつ低コストで自社と提携先のサービスの一体的な利用を実現。結果として、連携を通じて残高ベース収益が増加し、投資家の裾野が広がりました。
また、日本初のセキュリティ・トークン流通市場となる私設取引システム(START)の設計・構築に参加し、デジタル証券の取り扱いを開始します。セキュリティ・トークン化により、不動産の取得・維持のための面倒な手間が省けます。国内シェアの40%近く(業界トップ)を占めています。
さらに、2023年4月には金融機関で初めてChatGPTを全社員9,000人に配布しました。結果として業務効率化により時間が生まれ、生まれた時間をお客様接点等の領域に充足しています。

株式会社SBI証券

株式会社SBI証券では、DX推進としてkintoneとトヨクモkintone連携サービスを導入しました。kintoneはノーコードで簡単にビジネスアプリを作成できるクラウドサービスです。
まず、契約書管理を紙からデジタルに移行し、台帳への記入や照会対応の負担を軽減しました。
さらに、連携サービスであるFormBridgeを活用し、ログインパスワードのリセット対応を自動化しました。その結果、コールセンターへのお問い合わせ数は半減しています。加えて、社員の株の売買申請もトヨクモkintone連携サービスを使うことで、合計370時間の工数削減に成功しています。
約1年で申請・承認業務やお客様情報管理など30種類以上の業務システムを構築しました。年間で65,000時間以上の工数削減に成功しています。

金融DXを進める上での2つの課題

金融DXを進める上で知っておかなけらばならない、2つの課題を紹介します。

ガバナンス対応

金融DXを進めるにあたり、社内のガバナンス体制を整えておかなければなりません。
金融庁が発表した「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート」によると、DXを推進する上で、以下が課題と考えられています。
  • システム的には実現可能だが、マーケット規模が小さい
  • 持続的にサービスを提供するための価格設定が難しい
  • 勘定系システムとの連携機能開発の負荷が重い
  • 遵守すべき規制や行内手続きのハードルが高い
このような課題を解決するためには、適切なKPIの設定が必要です。あらかじめ撤退基準を定め、成果が不十分な場合はすぐに中止できるように準備しておきましょう。

社内での普及活動や教育

金融DXを進めるためには、DXに対応できるデジタル人材が必要です。デジタル技術やセキュリティ知識、データの分析力を持った人材が求められています。しかし、DX人材は現状需要に供給が追い付いておらず、深刻な人材不足が起きています。
金融業界全体でDXの普及活動、人材採用や外部人材の活用、デジタル人材の育成が必要です。

金融DXに役立つ業務改善ツール3選

金融DXを進める上でおすすめの業務改善ツールは以下の3つです。
  • Salesforce
  • AppSuite
  • kintone
金融DXにおいてどのように役立つのか、1つずつ解説します。

Salesforce

Salesforceは、クラウドベースの顧客関係管理(CRM)ツールです。必要な情報をツール上で一元管理でき、大手から中小企業まで世界15万社以上で導入されています。
金融業界でSalesforceを導入すると、以下のような効果が期待できます。
  • 業務の自動化による応答時間の短縮
  • 顧客データの一元管理によるタイムリーな情報共有
  • スマホアプリの導入によるユーザビリティの向上

AppSuite

AppSuiteとはだれでも簡単にノーコードで業務アプリを作成できるツールです。「業務アプリは現場で作る」をテーマに、現場目線で業務改善を実現します。作成したアプリの連携もできるため、情報の一元管理が可能となり、集計データを見える化します。
金融業界でAppSuiteを導入すると、ペーパーレス化によるコスト削減や見える化による業務の無駄を削減可能です。例えば支店と本部で別々に管理していた備品情報をアプリで一元管理することで、備品の過不足を正確に把握できるようになります。

kintone

kintoneは業務アプリをノーコードで作れるツールです。プログラミングの知識は不要で、非IT部門の方からも多く選ばれています。また、豊富なプラグインと連携サービスで、活用の幅を大きく広げられます。
金融機関によって管理する顧客情報の項目や、業務フローは異なります。kintoneはカスタマイズ性の高いシステムであるため、自社に最適なアプリを作成し運用可能です。
また、kintoneはISMAPに登録されるほどの高いセキュリティが特徴です。個人情報や資金などの秘匿性の高い情報を扱う金融業界でも安心してご利用いただけます。
金融機関におけるkintoneの活用事例はこちらをご覧ください。

kintoneをより便利に使うならToyokumo kintoneApp

kintoneをより便利に使うためにおすすめしたいのが、トヨクモ株式会社が提供するkintone連携サービス「Toyokumo kintoneApp」です。
kintoneの基本機能では実現が難しいことも、トヨクモの連携サービスであればさらに便利に活用することができます。

Toyokumo kintoneAppでは、以下6つのサービスが提供されています。

FormBridge kintoneへデータが自動で保存されていくWebフォームを作成できるサービス
PrintCreator kintoneアプリのデータをPDFで出力できるサービス
kViewer kintoneライセンスがない人に、kintoneアプリのデータを共有できるサービス
kMailer kintoneアプリのデータを引用してメール送信できるサービス
DataCollect 複数のkintoneアプリに登録されたデータを集計できるサービス
kBackup kintoneアプリに登録されたデータを安全にバックアップするサービス

ここからは、Toyokumo kintoneAppの各サービスについて紹介します。

FormBridge

FormBridgeは、kintoneアカウントがない人でもkintoneに直接データを保存できるWebフォーム作成サービスです。

kintoneの基本機能における「ライセンスを持たないユーザーは情報を登録できない」という問題を解消できます。

また、FormBridgeで作成したフォームは、kintoneに直接データが保存されるため、転記の必要がなく、業務効率化や入力ミス・漏れの削減ができるのがメリットです。

kViewer

kViewerは、kintone内の情報を手間なく外部に公開できる連携サービスです。kintoneアカウントを持たないユーザーにも簡単にkintone内の情報を公開できます。

kintoneの情報を共有する際にわざわざデータを移し替える手間もなく、グラフなどの数値情報もそのまま外部に公開することが可能です。

公開範囲を設定することもできるので、社外秘の情報が漏洩するリスクを抑えつつ、社外の人に資料やデータを気軽に共有できるようになります。

kMailer

kMailerは、kintone上で管理しているメールアドレス宛に、kintone内のデータを自動引用したメールを自動・手動・予約で送れるサービスです。

kintoneで管理している顧客に向けて一斉送信や、kintoneからのテキスト引用などを行ったり、誰にいつどんなメールを送信したかなどのログを確認することもできます。

普段社内で使っているメールアドレスからメールを送信するため、新たにメールサーバーやメールアドレスを用意する必要はありません。

誰に、いつ、どんなメールを送信したか、受信者がいつ資料をダウンロードしたかなどの情報をログとして確認することもできます。

PrintCreator

PrintCreatorは、kintoneに登録されている社名や金額などの情報を活用して、マウスのみで簡単に帳票が作成できる帳票出力サービスです。

現在使用している見積書や請求書などをPDFファイルでPrintCreatorにアップロードすれば、マウス操作のみで簡単に帳票を作成できます。

kintoneアプリの複数レコードを一括で出力できるので、複数社の請求書や月報を簡単に印刷できるのもメリットです。

DataCollect

DataCollectは、関数を利用した計算や複数アプリ間の収集・計算・加工を可能にし、kintoneが苦手とする予実管理や在庫引き当てを実現できるサービスです。

Excelと同じ感覚で複数のアプリから情報の集計や計算が可能で、スケジュール設定による自動実行やリアルタイム更新などにも対応しています。

事前に設定しておけば、手動で操作することなく情報を自動で収集・計算できるので、情報の集計漏れや更新忘れを防げます。

kBackup

kBackupは、kintoneアプリに登録したデータが消えてしまった際に備えて、kintone内のデータを別環境にバックアップできるサービスです。

kintoneの基本機能では、kintone上のすべてのデータを一括でバックアップすることはできません。kBackupを利用することで、誤って必要なアプリを削除してしまったり、スペースが復旧できなくなったという事態を防げます。

また、大切な顧客情報や添付ファイルのバックアップにも対応しています。

まとめ:Toyokumo kintoneAppでkintoneをより便利に活用しよう

「kintoneで貸出管理を行いたい」「kintoneを活用する幅を増やしたい」とお考えの方は、kintone連携サービス「Toyokumo kintoneApp」の利用がおすすめです。

トヨクモのkintone連携サービスは1万契約を突破し、サイボウズのオフィシャルパートナー評価制度においても全製品で受賞と、実績と使いやすさに定評があります。

トヨクモ連携サービスを導入することで、紙の書類を介さず、直接データの書き込みや管理が行えるため、職員の負担軽減や業務効率改善が図れるでしょう。

FormBridge kintoneへデータが自動で保存されていくWebフォームを作成できるサービス
PrintCreator kintoneアプリのデータをPDFで出力できるサービス
kViewer kintoneライセンスがない人に、kintoneアプリのデータを共有できるサービス
kMailer kintoneアプリのデータを引用してメール送信できるサービス
DataCollect 複数のkintoneアプリに登録されたデータを集計できるサービス
kBackup kintoneアプリに登録されたデータを安全にバックアップするサービス

悩みややりたいことに合わせて最適な機能を追加できるので、kintoneと一緒に使いたい便利なサービスをお探しの場合は、30日間無料お試しからぜひ実際の使用感を体感した上でご検討ください。


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