kintoneのグラフ機能とは?プラグインを活用した高度なカスタマイズを紹介

『kintone』のグラフ機能は、売上や顧客数などのデータを見える化し、業務の意思決定をスピーディにしたい場合に適しています。
棒グラフや円グラフ、折れ線グラフなど、豊富なビジュアル表現を使ってアプリ内のデータを直感的に分析できるため、現場の報告業務や経営分析にも向いています。
さらに、外部のプラグインを使い、不足している部分を補うことでより高度な活用が可能です。
本記事では、kintoneのグラフ機能の種類や設定方法、活用メリットやプラグインによる高度なカスタマイズ方法を分かりやすく解説します。
目次
kintoneのグラフ機能で何ができる?
kintoneのグラフ機能では、アプリ内のデータを視覚的に分析できます。たとえば、売上の推移を折れ線グラフで表示したり、部門ごとの件数を円グラフで比較したりすることが可能です。
棒グラフや折れ線グラフ、円グラフなど複数種類に対応しており、目的に応じて柔軟に選べるのも魅力です。
また、メンバーの作業量や未処理の案件数など、仕事の進捗状況をリアルタイムでグラフに 反映できるため、誰がどのような仕事をしているか把握しやすくなります。
さらに、掲示板に集計結果のグラフを表示させることで、スムーズな情報共有も可能となります。
数字だけでは分かりにくいデータもグラフにして見える化することで、課題分析や進捗確認などさまざまな仕事に役立つでしょう。
kintoneのグラフ機能の種類
kintone基本機能に搭載されたグラフの種類は、主に以下6つです。
グラフの種類 | 概要 |
横棒/縦棒グラフ | カテゴリごとの数値の比較を棒で表現したグラフ
※項目が多い場合は横棒が有効 |
円グラフ | 全体に対する各項目の割合を円の分割で表現したグラフ |
折れ線グラフ | 時系列などの変化を直線でつなぎ推移を表現したグラフ |
曲線グラフ | 折れ線グラフをなめらかな曲線で表現したグラフ |
面グラフ | 折れ線グラフの下部を塗りつぶして面で表現したグラフ |
曲線面グラフ | 曲線グラフに塗りつぶしの面を加え推移と量の両方を視覚化したグラフ |
それぞれの具体的な機能や特徴を紹介します。
横棒/縦棒グラフ
棒グラフは、項目ごとの集計値を棒線で表現したグラフで、全体を把握し、値の高い・低い項目を比較するのに便利です。
横棒グラフは項目数が多いとき、縦棒グラフは時系列の推移に適しています。ただし、多い項目を把握しやすい反面、それぞれの項目が全体の何割であるかは直感的に把握しにくくなっています。
棒グラフは「集合」「積み上げ」「100%積み上げ」3つの種類を設定可能です。それぞれ、実際のグラフを見てみましょう。
【集合】
棒の長さで違いを表し、データの大きさを比較するときに便利なグラフです。
出典:kintone公式サイト
【積み上げ】
1本の棒に複数の項目を積み重ねて表示するグラフで、全体の割合と合計値を比較するのに役立ちます。
出典:kintone公式サイト
【100%積み上げ】
1本の棒に複数の項目を積み重ね、なおかつ1本の棒が100%になるよう表現したグラフです。全体に対する割合の比較に適しています。
出典:kintone公式サイト
円グラフ
円グラフは、全体をひとつの円で表し、各項目の比較を扇形で表すグラフです。売上の構成比や顧客層の割合など、比率に注目して分析する際に適しています。
項目が多すぎると見づらくなるため、3~5項目程度のシンプルなデータに適しているでしょう。
出典:kintone公式サイト
折れ線グラフ
折れ線グラフは、横軸で時間的経過、縦軸で変化する数量を表現したグラフです。
時間の経過とデータの推移を線で表せるため、関連するデータの傾向を時系列で把握するときに役立ちます。
たとえば、売上やアクセス数の月別変化、在庫数の推移など、継続的な動きを把握したい場合に有効です。ただし、微増や微減のような、わずかな変化は直感的に伝わりにくいデメリットもあります。
出典:kintone公式サイト
曲線グラフ
曲線グラフは、折れ線グラフと同様に、横軸を時間的経過、縦軸を変化する数量としたグラフです。
折れ線グラフに似ていますが、データポイントをなめらかな線で結ぶことで視認性の向上が期待できます。ただし、わずかな変化や正確なデータの読み取りには不向きです。
出典:kintone公式サイト
面グラフ
面グラフは、データの変化を折れ線で表現し、内側の領域を色で塗りつぶしたグラフで、関連するデータの傾向を時系列で把握するのに適しています。
折れ線グラフの下を塗りつぶすことで、数量の積み重ねや構成比の推移が分かりやすいのが特徴です。
ただし、4~5系列以上を表示すると、色分けや境界線が混在して視認性が大きく低下します。
面グラフは「積み上げなし」「積み上げ」「100%積み上げ」3つの種類に設定できます。
【積み上げなし】
分類する項目が指定された値でレコードに分類され、グループごとの集計値を折れ線で表現しています。
時間の経過による集計値の変化と、項目ごとの集計値の差を把握する際に適した設定です。
出典:kintone公式サイト
【積み上げ】
分類する項目が指定された値でレコードに分類され、グループごとの集計値を積み上げて折れ線で表現しています。
時間の経過による集計値の変化と、全体の集計値の変化を把握する際に適した設定です。
出典:kintone公式サイト
【100%積み上げ】
分類する項目が指定された値でレコードに分類され、グループごとの集計値の全体に対する割合を折れ線で表現しています。
全体に対する各項目の集計値が占める割合の、時間の経過による変化を把握する際に適した設定です。
出典:kintone公式サイト
曲線面グラフ
曲線面グラフは、なめらかな曲線でデータの変化を表現し、内側の領域を色で塗りつぶしたグラフで、関連するデータの傾向を時系列で把握する際に役立ちます。
曲線グラフに面グラフの特徴を合わせた形式で、なめらかなラインと領域の広がりによってデータの傾向と構成を同時に可視化できるのが特徴です。
視覚的に訴えやすいグラフのため、プレゼン資料に活用しやすいのも魅力です。
曲線面グラフも「積み上げなし」「積み上げ」「100%積み上げ」3つの種類に設定できます。
【積み上げなし】
分類する項目が指定された値でレコードに分類され、グループごとの集計値を曲線で表現しています。
時間の経過による集計値の変化と、項目ごとの集計値の差を把握する際に役立つでしょう。
出典:kintone公式サイト
【積み上げ】
分類する項目が指定された値でレコードに分類され、グループごとの集計値を積み上げて曲線で表現しています。
時間の経過による集計値の変化と、全体の集計値の変化を把握する際に適しています。
出典:kintone公式サイト
【100%積み上げ】
分類する項目が指定された値でレコードに分類され、グループごとの集計値の全体に対する割合を曲線で表現しています。
全体に対する各項目の集計値が占める割合の、時間の経過による変化を把握しやすいのが特徴です。
出典:kintone公式サイト
kintoneのグラフ機能の設定方法4ステップ
kintoneのグラフ機能の設定方法は、以下のとおりです。
- グラフを作成したいアプリを開く
- グラフを作成する
- グラフを設定する
- 保存したグラフを確認する
それぞれ具体的な手順を解説します。
1.グラフを作成したいアプリを開く
今回は、kintone公式サイトを参考に、案件ごとに受注や金額、活動履歴などを記録する「案件管理」アプリでグラフを設定する際の手順を紹介します。
まずは「案件管理アプリ」の一覧画面を表示させます。
出典:kintone公式サイト
続いて、グラフの設定画面を開くために、アプリの一覧画面の「グラフアイコン」をクリックします。
出典:kintone公式サイト
2.グラフを作成する
今回の手順では「グラフの種類を選んで作成」で、グラフを作成する方法を紹介します。
出典:kintone公式サイト
「グラフの種類を選んで作成」の下に並んだグラフアイコンから、作成したいグラフの種類を選びましょう。今回の例では、「縦棒グラフ」を選択します。
出典:kintone公式サイト
3.グラフを設定する
続いて、グラフを設定していきましょう。まずは「グラフの種類」を選択しましょう。
今回の例では、売上見込み時期ごとの案件数を示すために「縦棒グラフ」「集合」を選択しています。
次に「分類する項目」で集計に利用する項目を選択します。今回は、大項目は「見込み時期」「月単位」、中項目は「製品名」に設定した場合の手順を見ていきましょう。
「集計方法」では、売上見込み時期ごとの案件数を比較するため「レコード数」を選択します。
出典:kintone公式サイト
「条件」の設定では、レコードすべてを集計するため「すべてのレコード」を選びます。
集計結果の「ソート」方法の設定は、「大項目」「昇順」、「中項目」「昇順」を選択してください。
出典:kintone公式サイト
右側に表示されたプレビューを確認し問題なければ、設定画面右下にある「保存する」をクリックします。
あとはグラフ名を入力し「OK」をクリックしたら完了です。
出典:kintone公式サイト
4.保存したグラフを確認する
作成・保存したグラフは、アプリの一覧画面から確認可能です。
下記画面のように、案件一覧の右側にある「折れ線グラフアイコン」をクリックし、保存したグラフ名を選択すれば、作成したグラフを確認できます。
出典:kintone公式サイト
kintoneのグラフ機能のメリット・デメリット
kintoneのグラフ機能のデータの見える化や分析の活用など、さまざまなメリットがある反面、デメリットも存在します。
メリットとデメリットを比較しながら、グラフ機能を活用する際の参考にしてください。
メリット:データ集計と分析を効果的に行える
kintoneのグラフ機能は、誰でも簡単にグラフを作成できるため、さまざまな場面で役立つのが魅力です。
たとえば、営業アプリであれば、月別の案件数や担当者ごとの成約率を瞬時にグラフ化できるため、毎月の業務ミーティングの資料として活用できるでしょう。
また、棒グラフや円グラフ、折れ線グラフなど複数の形式に対応しているため、データの種類に応じた視覚的な分析が可能です。
特定の項目に絞ったデータ表示も可能なため、現場の課題発見や業務改善にも活かしやすいでしょう。
デメリット:kintone以外のプラットフォームに貼り付けられない
kintoneのグラフ機能は、社内でのデータ可視化には便利ですが、基本的にグラフを外部に出力し共有することはできません。
作成したグラフを、WebサイトやPowerPoint資料などに直接埋め込むことも不可能です。
外部の関係者にデータを提示したい場合には、グラフのスクリーンショットを撮ったり、CSVとして出力したりする必要があります。
基本的な共有範囲がkintoneユーザーに限定されているため、社外との連携や外部共有には不向きです。
kintoneで作成したグラフを外部に共有する際は、『kViewer』をはじめとしたkintone連携サービスを活用することでスムーズな共有が可能になります。
『kViewer』の活用でさらに見やすく!高度なグラフビュー機能でできること
「kViewer」における高度なグラフビューは、kintone内に登録されているレコードの値をグラフとして公開できるビューです。複数の種類のグラフを組み合わせたり、2軸の設定を行ったりといった高度な設定が可能です。
こちらの機能を使うことで、kintone内の情報を元に『棒グラフ』と『折れ線グラフ』などを組み合わせた自由度の高い複合グラフを作成できます。加えてkintoneアカウントを持っていない人にも情報の公開・共有できるメリットもあります。
kintoneの基本機能でグラフを作成することはできますが、2種類以上のグラフを同時に表示することはできません。
「高度なグラフビュー機能」では画像のように単位の異なる2つのデータを同時に表示した2軸のグラフが作成が可能です。この機能を活用することで、表現可能な情報の幅を大きく広げられます。
「高度なグラフビュー機能」の概要について簡単にご紹介いたしました。次項からはより具体的な活用方法をご紹介いたします。
また、kViewerは30日間無料でお試し可能です。ぜひお手元で「高度なビュー機能」をお試しください。
グラフの複数表示
まずは、「高度なグラフビュー機能」を使って作成できるようになった複合グラフをいくつかご紹介します。
※高度なグラフビューの詳細な作成方法については、以下の記事をご参照ください。
こちらは、売上高を『縦棒グラフ』、昨年対比を『曲線グラフ』で表した2軸の「前年比グラフ」です。「期間(月)」がX軸、「売上高(円)」と「昨年対比(%)」がY軸で表示されています。
今年度と昨年度の売上高が『縦棒グラフ』で同時に表示されているので、一目見ただけで直感的にパフォーマンスの良し悪しがわかりますし、比率計算があることで詳細な成績もすぐに確認できます。
- 累積グラフ
また、今年と昨年の「累計売上」を『折れ線グラフ』で同時に表示させた「累積グラフ」のように、Y軸の単位を「累計売上」のひとつにまとめることも可能です。同一の単位のグラフを2つ同時に表示させることで、昨年からの伸び方も簡単に可視化できます。
※「高度なグラフビュー」では1つのkintoneアプリ内のデータをグラフにすることしかできません。しかし、トヨクモのDataCollect(データコレクト)を活用することで複数のレコードの情報を1つのグラフビューにまとめることが可能です。累積グラフの詳細な作成方法は以下の記事をご参照ください。
>関連記事:kViewerでkintoneのデータの累積グラフを表示することができます!
- 2軸の前年比グラフ
こちらは、売上とその内訳を『縦棒(積み上げ)グラフ』、昨年対比を『折れ線グラフ』で表した2軸の「前年比グラフ」です。「期間(月)」がX軸、「売上金額(円)」が左のY軸、「昨年対比(%)」が右のY軸で表示されています。
1年前の同時期と比較して良くなっているのか、どの製品が伸びているのかを1つのグラフにまとめることで、視認性の高い資料を作成できます。
- 相関図
『散布図』と『棒グラフ』を組み合わせて、異なる単価商品の売上個数とその気温の時の平均売上を一画面でわかるように「相関図」としてグラフ化することも可能です。これを分析することで総売上のデータだけでは気づけなかった、「気温」と「売れるメニュー」の相関性を発見できます。
また、トヨクモのFormBridgeを使って作成したアンケートのデータを持って来ることもできるので、顧客から得た膨大なデータをグラフ化した分析も可能です。
- 円グラフ
もちろん、「高度なグラフビュー機能」では『円グラフ』も作成が可能です。kintoneに標準搭載されている円グラフよりも詳細な表示設定が可能です。
その他にも、『100%積み上げグラフ』や『曲線面グラフ』など計16種類のグラフから選択できるので、目的に沿ったグラフを「高度なグラフビュー機能」で再現できます。
さまざまな項目の自由設定
「高度なグラフビュー機能」を使って複合グラフを作成すると、さまざまな項目を任意で設定できます。非常に多くの項目を設定できるので、ここでは良く使うものに絞ってご紹介します。
どのフィールドのデータをグラフにするのか選択できるのはもちろんのこと、X軸・Y軸の最小値/最大値、単位などについても該当項目に入力するだけで簡単に指定できます。
これまで「スプレッドシート」や「Excel」を使わないとできなかったグラフの表現が、「kintone」を使ってもできるようになったと考えてもらえるとわかりやすいかもしれません。
上記は折れ線グラフの設定画面です。線の色や太さ、記号のデザインなども詳細に決められるので、目的に合った見栄えのいいグラフを作成することができます。
さらに、ビュー全体のレイアウトを変更したり、背景色のデザインを選択したりすることも可能です。また、自社のロゴ画像をアップロードしてビューのヘッダーに挿入したり、faviconを変えることも可能です。
ダッシュボード上での表示
作成した複合グラフは、「kViewer」を使って作成したダッシュボード上に表示させることも可能です。ダッシュボードについての詳細を知りたい方は以下のページをご参照ください。
>関連記事:kintoneのデータをダッシュボード化!作り方や使い方、拡張機能も徹底解説!
こちらは、営業情報をまとめたダッシュボードの活用例です。複数のグラフを一目で確認できるだけでなく、一目で営業進捗を把握して分析や対策を立てるのに役立てることや、より情報量の多い資料として活用できます。
さらに、ダッシュボード上に表示したグラフの範囲を指定して、ある一定期間だけのレコード確認も可能です。
また、「高度なグラフビュー機能」の一部として『売上高』や『契約数』のような指標値を設定してダッシュボード上に表示する「指標値機能」もあります。機能の詳細については以下のページをご確認ください。
>関連記事:注目させたい指標値だけをダッシュボードに表示したい
kintoneのグラフ機能でデータを有効活用しよう
kintoneのグラフ機能を活用すれば、日々の業務データを視覚的に把握しやすくなり、課題発見や意思決定のスピードが格段に向上します。
棒グラフや円グラフ、折れ線グラフなど多彩な形式での集計・分析が可能で、業務に合わせて柔軟に活用できます。
また『kViewer』をはじめとしたkintone連携サービスを使えば、複数のグラフを一覧表示したり、より高度なダッシュボードを構築することも可能です。
kintoneのグラフ機能を使いこなして、自社の課題分析や業務改善に活かしましょう。