kintoneで販売管理はできる?おすすめの連携サービスやプラグイン、事例を紹介
販売管理とは、サービスの提供や商品の販売などに関する情報を管理することです。
販売管理で発生する業務には、受注前の見積もり作成から出荷の管理まで多岐にわたり、「管理が煩雑でミスが頻発している」「担当者の業務の手間が増えている」などの悩みを抱える方もいるのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、kintoneと連携サービス・プラグインを活用した販売管理です。今回の記事では、『kintone(キントーン)』の基本機能でできること・できないことを解説するとともに、販売管理におすすめの連携サービスやプラグイン、導入により業務効率化に成功した事例などをご紹介します。
目次
kintoneで販売管理はできる?基本機能だけでは難しい理由
そもそもkintoneで販売管理をすべて行なうことは可能なのでしょうか。結論からいえば、販売管理に関する一部の業務をkintoneで実施することは可能なものの、基本機能だけですべてに対応するのは難しいのが実情といえます。
このあと詳しく解説するとおり、販売管理と一口にいっても、業務プロセスは受発注管理から請求管理、支払管理に至るまで多岐にわたります。日常的な業務管理や蓄積したデータの分析などはkintoneの得意分野ですが、請求管理をはじめとする会計処理にはあまり向いていません。
kintoneを使って販売管理を一元化するには、基本機能だけでは担えない業務も含め、円滑に実行できる必要があります。そのため、連携サービスやプラグインと組み合わせることが前提となるでしょう。
kintoneの基本機能でできること・できないこと
kintoneでの販売管理を検討するにあたり、基本機能でできること・できないことを知っておく必要があります。
| 基本機能でできること | 基本機能ではできないこと |
| ・商品情報や顧客情報のデータ化
・売上のデータ登録 ・売上や収益のデータ集計・分析 ・見積もりの作成・承認 |
・売上や収益の締め処理
・入金の消し込み作業 ・未入金分の次月以降への繰り越し ・在庫状況とのデータ連動 |
本格的に販売管理を行なう場合、基本機能ではできないことを可能にする連携サービスやプラグインを導入することが前提となります。kintoneはそういった連携サービス・プラグインの種類の豊富さが魅力。自社の販売管理の特性やニーズに合わせて、きめ細やかにカスタマイズできる点はメリットともいえるでしょう。
販売管理の業務内容
販売管理における業務内容は、業種ごとに多少の違いはありますが、大きく分けると「受注管理」「入荷・出荷管理」「請求管理」「支払管理」「在庫管理」です。これらの業務すべてがスムーズに流れてはじめて、販売管理が滞りなく行なわれることになります。
ここでは、それぞれの業務内容について詳しく紹介します。
1.受注・発注管理
受注とは、顧客や取引先から品物や仕事の注文を受けること。受注管理は、顧客や取引先から問い合わせを受けて受注するまでの業務を管理することをいいます。
具体的には、問い合わせ内容に応じて、まず商品やサービスの見積書を先方に提示します。見積書の内容について合意を取れたら、取引に関する契約書を作成して締結。契約内容にしたがって、受注伝票を作成し、注文請書を先方に送付します。
2.入荷・出荷管理
入荷とは、取引先から商品・荷物が入ってくることです。入荷管理とは、取引先から入ってきた荷物が発注したとおりの規格であるかの確認や、品質・個数に問題がないかの検品、店舗に並べたり倉庫に保管したりすることなどを指します。
検品が完了した荷物の入庫情報をkintoneに登録するとロット管理ができ、入荷管理を効率化できます。
出荷とは、受注した商品を取引先に配送するまでの工程のことです。出荷管理には、出荷指示書の作成や出荷履歴の確認などが業務に含まれます。納品ミスや納期遅れを発生させないように正確性が求められる業務です。
注文書にもとづいた出荷指示書を発行し、商品仕入や生産、梱包・配送作業などを進めます。取引先に納品されたあとは受領印をもらい、納品業務は完了します。
3.請求管理
請求管理とは、請求書発行から入金確認までの一連の流れを管理することです。締日までの請求内容と請求金額を確定し、規定の書式にしたがって請求書を作成・発行、顧客や取引先に対して請求書を送付します。支払期日が到来したら、請求金額どおりに入金されているかをチェックし、入金済みの取引の消し込みを行ないます。未入金や振り込み内容に問題がある場合には相手先に連絡し、代金を確実に回収しなければなりません。
4.支払管理
支払いとは、取引先から送付された請求書の記載内容をもとに支払期日までに代金を支払うことを指します。支払管理とは、出金伝票の作成、支払作業、消込作業の一連の流れを行なうことです。
支払管理にミスがあって、期日までの支払いを怠ったり、金額を誤って入金したりすることがあれば、取引先との信頼関係に影響が出かねません。いくら支払ったかを正確に把握することは、企業のキャッシュフロー管理の観点でも重要です。そのため、支払管理は正確かつスピーディに行なう必要があるでしょう。
kintoneで支払依頼申請アプリを作成すれば、支払いの承認作業をデジタル化できます。承認作業のデジタル化によるペーパーレス化を実現できる点や、出先であったとしてもスマートフォンから承認ができて迅速な対応が可能になる点などがメリットです。
5.在庫管理(発注管理)
在庫管理とは、自社で確保している商品在庫の数・種類をチェックすることをいいます。顧客や取引先から受注があったら、在庫から必要分を出荷します。在庫数が一定数を下回ったら商品や原料を取引先に発注し、必要な在庫数を保つことが重要な役割です。
入出荷を記録していても、実際の在庫数と記録上の在庫数にズレが生じることもあるため、定期的に「棚卸し」を実施して、現状と記録を合わせることも求められます。また、在庫を適切に管理するためには、発注先の選定や発注先とのスケジュールの調整なども不可欠です。
>関連記事:kintoneで在庫管理はできる!システムの作り方・設定方法・プラグインを紹介
kintoneと連携サービス・プラグインを組み合わせて販売管理するメリット
kintoneと連携サービスやプラグインを組み合わせれば、自社の特性やニーズに合わせてカスタマイズしながら、販売管理を効率的に行なうことができます。ここでは、kintone連携サービスやプラグインを活用した販売管理のメリットを3つ紹介します。
データを一元管理できる
kintoneで販売管理をする大きな強みは、データを一元管理して情報を共有できることです。販売管理データや営業データ、顧客管理データなど、社内に散在するデータを一元管理することで、営業活動の効率化が可能です。
たとえば、販売管理データの自動登録やグラフのデータ化、ログ管理などといったさまざまな活用ができます。データの登録・集計にかかる時間を節約できると、顧客対応や取引先との関係構築に回せる時間が増え、サービスの質や顧客満足度の向上、販路拡大による売上アップなどにもつながるでしょう。
また、データが消えてしまったときや誤って消してしまった際には、利用履歴が記録されるため、データの復元ができるというメリットもあります。
多様なシステムと連携できる
kintoneには、さまざまなプラグイン・連携サービスが提供されています。kintoneにアプリや外部システムを連携すると、システム開発の知識がなくても使いたい機能を追加でき、業務の自動化や効率化が可能です。
販売管理システムに関しても、多様なツールが用意されているため、自社の管理の仕方やニーズに適したものを見つけやすいのもメリット。kintoneはカスタマイズ性が高いため、既存のフォーマット化されたシステムをそのまま使うよりも、使い勝手のいいシステムを構築できるかもしれません。
なお、kintoneで連携できるサービスは、販売管理だけではなく、会計システムや電子契約、勤怠管理など200種以上あります。
円滑なコミュニケーションがとれる
販売管理の効率化には、関係部署間でのやり取りが欠かせません。たとえば、在庫が減少して受注を一時停止する際や、見積もり内容を確認する場合などです。
販売管理システムにコミュニケーション機能が搭載されていないと、このような場合に迅速な調整が困難です。kintoneには、コメント機能やスレッドなどの機能が用意されています。
また、プロジェクトやチームごとにスペースを作成できるため、決められたメンバー間だけでの情報共有やコミュニケーションが可能です。
販売管理におすすめのkintone連携サービスやプラグイン
ここでは、販売管理に便利な機能があるおすすめのkintone連携サービスやプラグインを紹介します。
freee for kintone
『freee for kintone』は、営業管理から会計までの業務効率化が可能です。このプラグインを利用すると、『freee会計』とkintoneを連携し、顧客や案件、日報などの営業情報を一元管理できます。
『freee for kintone』の利用料金は無償です。ただし、利用するためには別途「freee会計プロフェッショナルプラン」や、「freee会計エンタープライズプラン」を契約する必要があります。
freee会計プロフェッショナルプランは、基本料金 4万7760円/ 月、年額払いは 3万9800円/ 月です。エンタープライズプランの利用料金は問い合わせましょう。
Focus U 顧客管理
『Focus U 顧客管理』は、kintoneと連携できるアプリとプラグインをセットにしたパッケージサービスです。
顧客台帳や商品台帳、仕入先台帳などの各種のマスタと同期ができるため、kintone上で各台帳アプリでのデータの閲覧・確認・入力が可能です。
利用料金は、ライセンス登録料(初期導入費用)が 20万円、月額費用が 1万円〜になります。
販売9
『販売9』は、販売管理機能が搭載されたkintoneのアプリです。無料版の『販売9』と有料版の『販売9+』があります。クラウド会計や決済サービスとの連携が可能で、販売管理の基本機能をアプリで実現できます。
連携フィールド項目のカスタマイズができ、「案件の見積明細行から受注明細作成時のフィールド」や、「受注明細から請求の明細行への取り込みフィールド」などの紐付けが可能です。
また、適格請求書(インボイス)に対応済みで、税率ごとの税抜き金額合計や税額を自動計算できます。
利用料金は、ライセンス登録料(初期費用)が 18万円、月額費用が 1万8000円(オンラインバージョンアップ付帯)です。
MakeLeaps
『MakeLeaps』は、kintoneで管理されている情報をもとに、1クリックで見積書や請求書など9種類の書類作成が可能です。情報の二重登録や転記などのヒューマンミスを防ぎ、手作業での書類作成・送付にかかっていた手間を減らせます。
書類作成に利用するkintoneの情報は『MakeLeaps』に連携されるため、書類を作成したあとの電子送付や入金管理業務だけではなく、郵送代行まで一元管理できます。
『MakeLeaps』でできることは、書類の電子承認や売上レポートの表示、クレジット決済連携などです。
利用料金は、kintone連携オプションが 7000円/月額、連携オプションに加えて『MakeLeaps』の料金が「法人プラン 1ユーザーごと1300円〜/月額」「エンタープライズプラン1社ごと3万3000円/月額」です。
PrintCreator(プリントクリエイター)
『PrintCreator』は、kintoneに登録されている情報を参照して、マウス操作のみで簡単に書類・帳票作成ができます。複数枚にわたる書類・帳票も1クリックでまとめて出力でき、kintoneのテーブル行数に応じて出し分けることも可能です。
また、大量に請求書を発行する際にも1クリックで一括出力できるほか、複数のアプリから情報を収集し、1枚の書類・帳票にすることもできます。
『PrintCreator』は、書類・帳票を出力するユーザー数や出力枚数、出力するkintoneアプリ数に制限なく利用可能です。書類・帳票のサイズは1mm単位で設定ができるため、自社フォーマットにあった書類・帳票を作成できます。
利用料金は、30日間の無料お試し期間があり、そのあとは「ライトコース 7000円/月額(8万4000円/年額)」「スタンダードコース 12,000円/月額(14万4000円/年額)」「プレミアムコース 1万8000円/月額(21万6000円/年額)」「プロフェッショナルコース 3万円/月額(36万円/年額)」から選択できます。
kintone連携サービスで販売管理の効率化に成功した事例3選
kintone連携サービスを活用すれば、多岐にわたる販売管理の業務を大幅に効率化できる可能性があります。ここでは、kintoneと連携サービスの導入により、販売管理の効率化に成功した事例を3つ紹介しましょう。
【事例1】基幹システムの構築により業務効率化と顧客満足度の向上を実現
1つ目に紹介するのは、ワインセラー・日本酒セラー専門のファブレスメーカー(製造設備を自社で持たないメーカー)における導入事例です。
以前は、顧客からの問い合わせはすべて電話で受け付けており、受けた内容を従業員が紙やExcelに直接転記していました。手入力なので転記ミスがしばしば発生すること、顧客の電話がなかなかつながらないことなどから、クレームの要因にもなっていたのです。
こうした問題の解決策として、こちらの企業様はトヨクモのkintone連携サービス全製品を導入。『FormBridge(フォームブリッジ)』でWebフォームによる問い合わせを受け付けるとともに、kintoneへの自動登録で情報を一元化しました。さらに『kMailer(ケイメーラー)』『PrintCreator(プリントクリエイター)』により、メール作成や書類出力もkintoneと連携することで、業務効率化とヒューマンエラーの防止に役立っています。
【事例2】既存システムのDX化により業務効率化を達成
2つ目に紹介するのは、宝飾品の製造・小売などを手がける宝飾品専門企業におけるkintone連携サービスの活用事例です。
こちらの企業様では、基幹システムを長年利用してきたものの、カバーできない業務の多くをExcelや個別作成の書類で運用していたため、作業が非効率になっていました。今後の企業成長に対応できるようkintoneを導入しましたが、全社への浸透をさらに深めるため、トヨクモのkintone連携サービスの活用を決定しました。
導入時に重視されたのは、ITに不慣れな社員でも使いこなせることでした。『FormBridge』によって作成書類のフォーマット化などを実現したほか、『DataCollect(データコレクト)』で販売データと在庫リストを連携。販売状況や在庫状況をリアルタイムで確認できるようになり、さらなる売上拡大に向けた体制が整いました。
(事例紹介)kintone×トヨクモでペーパーレス化とリアルタイムの情報共有を実現。老舗宝飾企業の業務効率化DX推進事例
【事例3】バックオフィス業務の効率化により企業成長と顧客満足度が向上
最後に紹介するのは、地域密着で住宅の売買仲介などを手がける不動産企業におけるkintone連携サービスの導入事例です。
煩雑な手続きが多いという不動産事業の特性から、以前は8つの別々のツールを使って業務管理を行なっていました。ツール間でのデータ連携がされておらず、情報を転記しなければならなかったうえ、一元管理もできないなど、課題が山積だったといいます。
こうした状況を解消するため、同社はkintoneと『FormBridge』『kMailer』を導入。データを連携させることで、顧客情報などの一元管理ができるように。さらに、売主への査定書送付や物件状況報告書などの送付を効率的に行なえるようになり、かつて製本と郵送で1時間かかっていた作業が、わずか10分ほどで完了するようになりました。
見込み客へのアプローチと担当者の業務の効率化により、新規出店の立ち上げにも時間を割けるようになり、企業の成長に大きくつながっています。
(事例紹介)kMailerとFormBridge活用で作業時間と郵送コスト大幅削減に成功!新たな取り組みにもチャレンジする不動産業の活用事例
kintoneでの販売管理は連携サービスやプラグインを活用しましょう
kintoneで販売管理を行うと、顧客情報や営業情報が一元管理され、業務の自動化や関係部署間のコミュニケーションにも役立ちます。
とは言え、kintoneの基本機能だけでは、十分に対応できない業務もあります。kintoneを利用して販売管理をする際には、販売管理機能を搭載した連携サービスやプラグインの活用がおすすめです。
販売管理ができる連携サービスやプラグインはさまざまな種類が存在します。豊富なツールの中から自社に適したものを選べば、使い勝手のいい唯一無二の販売管理システムを構築できるでしょう。
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