kintone×トヨクモ製品をフル活用してキャンプ場の予約システムを構築!

トヨクモが主催する「トヨクモ kintone フェス 2023」は、デジタル化して効率的に業務改善する珠玉のアイデアを学び・広める、2日間のオンラインイベントです。2023年のテーマは、「やれるっ、できるっ、キントーン!」で、よりトヨクモ製品をカンターンに活用し、業務改善ができる、そんな活用の事例をご紹介いただきました。

今回は、kinbozu株式会社代表の瀧村孝一氏に語っていただきました。

自己紹介

kinbozu株式会社の代表をして、kintoneエバンジェリストでもあります。トヨクモ製品にはプリントクリエイター、kViewer、フォームブリッジ、kMailer、データコレクト、kBackupがありますが、今回は『kintone×トヨクモ製品』をテーマに、それら全製品の特徴、使い方などについて1つずつお話しさせていただきます。(瀧村氏)

キャンプ場の予約システムをkintone×トヨクモ製品で作る

最近は趣味がキャンプなので、今回はキャンプ場予約の仕組みをサイボウズのkintoneとトヨクモ製品で作ってみようと思います。

まずは、会員が登録できる仕組みを構築する必要があるので、最初にキャンプ場の会員情報というアプリを作ります。そこで会員登録をした人だけがキャンプ場を予約でき、予約が入って予約可能数がゼロになった時点で予約できないようにするという仕組みにしたいのですが、例えば予約をしても、天候や子どもの体調などによってはキャンセルする可能性がありますよね。

そうしたことも全て網羅できるようなシステムにしていきます。(瀧村氏)

フォームブリッジからキャンプ場の会員情報を入力

まずは、フォームブリッジの画面から会員登録をしてもらいます。キャンプ場を利用したい人は、キャンプ場会員情報の入力画面を開き、必要事項を入力します。回答ボタンを押すと『ご回答ありがとうございます!』と表示され、登録したメールアドレスに会員登録の確認メールが届きます。(瀧村氏)

メールに記載されているURLをクリックすると、『キャンプ予約確認』『予約可能サイト』『会員情報』の3つの情報が確認できるようになっており、すでに会員サイトの形ができています。(瀧村氏)

kViewerで会員情報の確認や予約ができる

予約を入れる際は、kViewerのカレンダービューを利用します。
会員が『予約可能サイト』から入るとカレンダーに予約可能な日時だけが表示されており、希望の時間を選んで『予約する』を選択すると予約フォームが現れます。
すでにメールアドレスは表示されているので、予約者あるいは利用者の氏名を入力するだけで予約ができる仕組みです。もちろん表示される画面の見た目はカスタマイズできますが、今回はデフォルトのデザインを使用しています。
予約後は、前のページに戻り『キャンプ予約確認』をクリックすれば、予約状況を確認することが可能です。(瀧村氏)

さらに、先ほどの予約で5月16日のAサイトが1件埋まったため、予約可能枠3件のうち、残りの予約可能数は2件であることが、自動更新機能により一目瞭然となっています。(瀧村氏)

次に、一度予約した枠をキャンセルする操作をしてみます。『キャンプ予約確認』から入り、自分の予約ページに表示されている『キャンセル』をクリックすると、画面がkViewerからフォームブリッジに切り替わります。利用者は、キャンセルにチェックを入れて『回答』を押すだけで簡単にキャンセルができます。本当にキャンセルができているかどうかの確認は、前画面に戻り『キャンプ予約確認』から確認が可能です。(瀧村氏)

予約が入った時と同様に、キャンセルされた際にも情報が自動更新され、予約可能数が3に戻っています。キャンセルされたことで、予約可能な枠が一つ増えたということですね。
これで、予約の仕組みは完成です。(瀧村氏)

プリントクリエイターで予約票を出力できる

実際に予約をしたお客さんがキャンプ場に来られた場合は、プリントクリエイターで予約情報を予約票として出力できます。予約票にサインをしてもらう際は紙ベースでの出力はもちろん、PDFとして保存しておきiPadなどでサインをしてもらうといった運用もおすすめです。
ここまでにフォームブリッジ、kViewer、データコレクト、kMailer、プリントクリエイターを使いました。(瀧村氏)

kBackupで誤って消してしまったレコードも復元できる

kBackupは、例えば誤ってkintone内のレコードを削除してしまった場合などに、レコードを復元できるサービスです。基本的にはkintone上で『レコード削除の権限』のチェックを外しておくことで、レコードの誤削除は防ぐことができます。
ただ、管理者として削除操作を担う人が万が一削除してしまうような場合を想定すると、いつでもレコード復元できるkBackupを契約していると安心ですね。(瀧村氏)

キャンプ場の予約システム構築のため作成したアプリ

今回は、全部で3つのアプリを作成しました。ここからは、先ほどのキャンプ場の設定について、一つずつ説明していこうと思います。(瀧村氏)

会員情報の登録(顧客管理)

まず1つ目が、会員情報を登録するアプリです。
このアプリは『Toyokumo kintoneApp認証』と連携させるため、この部分の登録作業が行われていないと認証を通過できず、予約をしたいお客さんが予約やキャンセル、あるいは空き情報の確認などができない仕組みになっています。

キャンプサイトの空き状況についても、こちらから確認が可能です。
例えばkViewerで設定すれば、10年分の空き状況をExcelで一括レコード登録しておき、実際に公開するのは直近の3ヶ月分といった運用もできるので、どの程度先の予約を受け付けるかということについては事前に決めておいた方がいいと思います。(瀧村氏)

予約管理

次は、キャンプ場に来たいお客さんからの予約を管理するアプリです。会員登録アプリの設定は簡単で、フォームブリッジを使います。先ほどご紹介したように、氏名とメールアドレスを登録する設定としておくのですが、この時『自動採番処理』機能を使うと、会員番号のように自動的に各予約者にIDを振ることができます。(瀧村氏)

次に、登録されたら『登録ありがとう』というメールが予約者に送られるような仕組みを作ります。通常、フォームブリッジの標準機能にある『自動返信メール』を有効にすればいいのですが、その場合『autoreply@kintoneapp.com』というトヨクモさんのドメインの送信専用アドレスが差出人となります。

独自ドメインや自分のメールアドレスを使いたい場合は、kMailerと連携することでそれが可能となります。kMailerを活用することで、kintoneからメールを送るのはもちろん、フォームブリッジで受けた情報に対して自分のドメインから自動返信するといった使い方もできるようになるので、そこがトヨクモ製品を組み合わせる大きなメリットですね。(瀧村氏)

上の画像は、メールで『account.kintoneapp.com』にログインすることを促している状態です。
URLをクリックすることで、先にご紹介した『キャンプ予約確認』『予約可能サイト』『会員情報』のページが表示されます。これは、ログインしたメールアドレスでキャンプの予約状況の確認、予約、会員情報の確認ができるということを意味しています。

それぞれフォームブリッジとkViewerで設定を行うことで、フォームブリッジから予約する、キャンセルする時には先にkViewerで予約画面を見て、それからフォームブリッジで入力してkintoneの情報を更新するという仕組みが構築できます。(瀧村氏)

データコレクトは、kintoneに予約情報が入った際に予約可能数から実際の予約数を引く場合、つまり最新の予約可能数の調整を行う際に使っています。まずは、予約数の項目でSUMIFS(複数の条件に一致したデータを合計する)関数を用います。(瀧村氏)

日付と区画サイトを文字列で結合させた『区画コード』が自動で作成されます。通常は、このコードと同じ区画コードを持ったレコードを空き情報アプリに探しに行き、そのコードを持った『予約数』に合計値を入れるという作業となります。
一方、一旦キャンセルになった予約に対し再度予約に変更したいと連絡があった場合も、フォームを介さずレコードを追加するだけで情報が更新されるというシステムを構築するため、これらの作業をデータコレクトで自動化しています。(瀧村氏)

データコレクトで、レコードの追加・編集があった際、区画コードが同じデータだけを処理するという設定にしておくことで、『キャンプ予約アプリ』に予約やキャンセルといった情報レコードが入った際、その都度集計し直すという作業が自動で行われます。

更新履歴を確認すると全ての項目で『成功』と表示され、Webhook履歴についても同様であることが分かります。設定をしたにも関わらずデータが更新されないという場合は、この段階で何らかのエラーが発生している可能性があります。データコレクトがうまく作動しないと感じた時には、こうした更新履歴やWebhookを確認すると原因が分かると思います。(瀧村氏)

先ほどご紹介した通り、プリントクリエイターがあればkintone内の情報が帳票として表示されるので、必要に応じて紙やPDFで出力ができます。一方、フォームブリッジで情報を入力してもらった際、回答完了画面にPDFの出力ボタンを表示することもできるので、お客さんに紙として出力した予約票を持参してもらうという運用も可能です。

また、例えばkintoneレコードのURLをQRコードとして帳票に表示することで、お客様が到着時にスキャンして情報照会をするというような幅広い使い方ができます。

つまり、情報を見せるのがkViewer、情報を編集するのがフォームブリッジ、その情報をPDFで出力するのがプリントクリエイター、メールで送る場合はkMailer、万が一レコードが消えてしまった時に使えるのがkBackup、それらアプリ間のデータ集計・やり取りはデータコレクトと考えていただくと良いと思います。(瀧村氏)

「トヨクモ スケジューラー」で日程調整

トヨクモ スケジューラーについても紹介させてください。

自分のスケジュールを管理できるのは当然ですが、その情報をもとに空き情報を相手に伝えるといった運用も可能です。(瀧村氏)

利用例としては、例えば自分が運営するキャンプ場に取材の申し込みがあったと仮定しましょう。日程調整を行う際、トヨクモ スケジューラーで自分の予定を管理しておけば、簡単に自分の空き情報を相手に共有することができます。

ボタン1つで日程調整ページが開き、瞬時にZoomやGoogle Meet、Microsoft TeamsなどのURLを発行・提示することも可能です。キャンプ場に限らず、どんな仕事であっても予定調整は面倒な作業になりがちです。

しかし、トヨクモ スケジューラーであれば、こちらのスケジュールを提示し、相手の空いた時間に予定を入れてもらうことで手間のない日程調整が実現します。(瀧村氏)

「安否確認サービス2」で企業防災を助ける

kintoneの職員情報や部署情報とも連携させられる『安否確認サービス2』もあります。これまでにご紹介した連携サービスとは異なり、災害が発生した場合に全職員に安否を尋ねるメールが自動で一斉送信され、その回答をもとに瞬時に集計結果が確認できるという安否確認に特化したサービスです。

利便性の高さはもちろん、費用面も1人あたりではなく、サービス一つ(上限ユーザー数)に対してのものなので、比較的安価で導入できます。万が一の時、迅速に職員から情報収集できるシステムなので、ぜひチェックしていただければと思います。(瀧村氏)

トヨクモ製品を連携させるメリット

確かに、上位プラン(プレミアムコース以上)でなければ連携サービスは使えません。しかし基本的にアプリ数に制限がないため、例えばkintoneに1000個のアプリを入れた場合、全てにフォームブリッジを紐づけることも可能です。まさに『使い放題』のような感覚で活用できるのがトヨクモ製品の良いところだと思います。

以前は、フォームブリッジやkViewerなどを使う際、その都度ログインとログアウトが必要でしたが、『Toyokumo kintoneApp認証』機能を使うことで、各サービスにスムーズにアクセスできるようになり、設定が非常に手軽になりました。また、Toyokumo kintoneApp認証を使うことで顧客情報の管理も楽になるので、会員サービスページの作成にも最適だと思います。」

予約システムとしてフォームブリッジを使用する際の注意点・対応策

例えば、瞬間的に予約が殺到するような超人気キャンプ場を運営している場合、予約システムが一時パンクしてしまう可能性は否定できません。通常、フォームブリッジが対応できるのは分間100リクエストまでですが、オプション適用により分間アクセス数を500に変更が可能です。

また、利用者から同時に予約が入ると、ダブルブッキングになる可能性があります。その場合、予約可能枠を超えて予約した人に対しては、後日メールで予約が取れていない旨を伝えるなどの対処が必要です。

一方『Toyokumo kintoneApp認証』は、プランによって1フォーム・ビューあたりの認証数が50人まで、あるいは1,000人までとなっており、それ以上の予約も追加オプションで可能です。

例えば何十万人単位で認証が必要となると非常に割高になります。kintoneもトヨクモ製品も非常に良い製品ではあるのですが、検討している運用方法とコストのバランスをよく考える必要はありますね。(瀧村氏)

トヨクモならサポート体制も万全

「トヨクモ製品の魅力が少しでも伝われば、と思いご紹介してきました。使い方のイメージが湧いたとしても、実際の設定方法が分からないといったケースもあると思います。

しかし、トヨクモさんのホームページには設定方法を丁寧に紹介してくれているコンテンツがありますし、最近はYouTubeでノウハウを紹介する動画も配信されています。

さまざまな事例も公開されていますので、そうしたものを活用することでそれぞれに合ったサービスや契約内容が見えてくるはずです。

トヨクモ製品は全てノーコードでアプリ開発ができますが、運用する中で難しい部分も出てくると思います。そんな時は、ぜひノウハウコンテンツをご活用ください。また、キンボウズブログでも紹介させていただいているので、ご興味がある方はぜひご覧いただけると幸いです。」(瀧村氏)