ビジネスにおいて、メールでのやり取りは欠かせないもの。コロナ禍を機に、テレワークや在宅勤務が浸透し始めたことから、以前よりもメールでのコミュニケーションが増えた、と感じている方も多いでしょう。
実際に、2021年に行われたビジネスメールに関する調査では、2019年のデータと比べて「メールの送信数・受信数」ともに増加した、という結果が発表されています。
しかし、あまりにも膨大な数のメールを捌いていると、誰とどんなやり取りをしているのか、何を送ったのかが把握しきれず、混乱してしまうこともあるかもしれません。
また、メールでのやり取りが増えれば、チェックや返信にかかる時間も増えてしまいます。「ほとんどメールの対応だけで一日が終わってしまった……」といった経験がある方も多いのではないでしょうか。
メール対応の無駄を減らすカギとなるのは、ツールを用いた効率化です。普段のやり取りだけでなく、メルマガや案内メールなどの一斉送信も、ツールを使うことで開封率が把握でき、より効率的な運用が期待できます。
今回は、サイボウズ社が提供する業務管理クラウドサービス「kintone」のメール機能と、kintoneと連携できるメール業務プラグインについてご紹介します。
kintoneを活用してメール業務の効率化を図りたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
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標準機能でできるkintoneでのメール業務
まずは、kintoneの標準機能で対応できる、メール業務の対応範囲を整理しておきましょう。
kintoneで取引先や顧客の情報管理を行っている場合、メールアドレスなどの連絡先もまとめて管理できます。しかし、kintoneにはメールサーバー機能がありません。
kintoneユーザー同士であれば、個人メッセージ機能を使うことで、メールのようにやり取りをすることはできますが、kintoneを使用していない取引先や顧客に宛ててメールを送りたい場合は、外部のメールサービスを使う必要があります。
kintoneに登録された取引先・顧客の情報をもとに、メール送信まで対応できると、メール業務はより効率的になるでしょう。
プラグインや連携ツールを活用して、機能を拡張することがポイントです。
kintoneでメールの送信を行う方法
上述のように、kintoneの標準機能はメール送信まで対応していません。kintoneから直接メールを送信したい場合は、プラグインやツールを連携し、機能を拡張する必要があります。
今回は、kintoneでメールの送受信が可能となるプラグイン・連携ツールとして、「kMailer」「メールワイズ」「メール一斉送信プラグイン」の3つをご紹介します。簡単な特徴は以下の通りです。
まず「kMailer」は、kintoneとの連携を前提に設計されたメール送信システムで、今回ピックアップするツールの中ではもっとも多機能です。個人間でのメールのやり取りだけでなく、一斉送信にも便利で、ほとんどの業務管理をkintoneで行っている場合には特に使いやすいでしょう。サービスは、スタンダードコース・プレミアムコースの2つがあるので、用途によって最適なプランを選ぶことができます。
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「メールワイズ」は、社内・チーム内での“メール共有”を重要視したシステムです。メールでの顧客対応をもっとスムーズに行いたい、メール業務の属人化を解消したい、といった場合に活用できるでしょう。
「メール一斉送信プラグイン」は、文字通りメールの一斉送信に特化したプラグインです。機能はシンプルですが、お知らせやメルマガの配信でメールを利用する場合に向いています。
kMailer
トヨクモ株式会社が提供する「kMailer(ケーメーラー)」は、kintoneと連携可能なメール送信システムです。ほとんどの場合、新たにメールサーバーやメールアドレスを用意する必要はありません。
kintone上のデータをフルに活用でき、メールで送る本文をテンプレート化することも可能です。
kMailerの大きな強みは、添付ファイルの送信機能にあります。添付ファイルはダウンロード形式で送信され、一斉送信にも対応しています。また、セキュリティ面にも配慮されており、ダウンロードのためのワンタイムパスワードが生成できます。例えば契約書や請求書など、機密データのやり取りにも適しています。
kMailerには他にもさまざまな機能がありますので、それぞれ詳しくみていきましょう。
メール作成
kMailerは、メール作成時にCC・BCCを設定できるため、関係者が複数いる場合でもスムーズな情報共有が可能です。
また、それぞれの用途に合わせたテンプレートをいくつでも作成できるため、イベントの案内、メルマガや請求書の送付など、マーケティング施策から経理まで幅広く活用できます。テキストだけでなく、HTML形式での記述にも対応していますので、画像を配置するなど、メールマーケティングに適した文面が作成できます。
メール送信
kMailerでは、kintoneに登録されている顧客・取引先のデータを活用したメール送信が可能です。例えば、テーブル形式のデータをメールに引用したり、顧客マスタをもとに一斉送信を行ったり、といった操作ができます。
もちろん、個別にも送信できますので、再送信が必要になった場合も柔軟に対応できるでしょう。
また、日時を指定した送信予約も可能。kintoneの日時フィールドとも紐づけられますので、アンケートの回答期限や、申し込みの締め切りに合わせて、「期日の○日前に送信」といった指定もできます。
さらに、kintoneのレコード内において、データが指定のステータスになったらメールを送信してくれる機能もあります。活用例としては、ステータスが「未契約」から「契約」になったら、「契約ありがとうございました」のメールを送る、などが挙げられます。
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ファイルのダウンロード
添付ファイルには、ワンタイムパスワードを付与できるだけでなく、ファイルダウンロードの認証回数を制限できる機能もあります。不必要にデータが拡散されていくことを防げますので、リスク管理にも役立つでしょう。
メール業務の管理
kintone上には、いつ・誰に・どのような内容のメールを送信したか、といった履歴が残りますので、チーム内でメールの内容や、業務の進捗状況を共有することができます。
また、kMailerならではの特徴として、送ったメールの開封状況や、ダウンロードリンクへのアクセスの有無、添付ファイルのダウンロード状況を把握できる機能があります。この機能を活用すれば、「メールを送りましたがチェックいただけましたでしょうか?」と、わざわざ電話で確認する必要がなくなります。
メルマガ運用にkMailerを利用している場合は、開封率の集計にも使うことができます。開封してもらいやすい時間帯や件名などのテストにも応用可能です。
このように、作業そのものの効率化だけでなく、ビジネスとしてメールを最大限活用したい場合にも、kMailerは大いに役立つでしょう。
スタンダードコースでも十分な機能が備えられていますが、より高度な機能を使いたい場合はプレミアムコースがおすすめです。(プランはこちら)
kMailer以外にトヨクモのプラグインを利用している場合は、それらとの連携もスムーズに行うことができます。
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メールワイズ(Mailwise)
出典:https://mailwise.cybozu.co.jp/
「メールワイズ(Mailwise)」は、サイボウズ株式会社が提供するメーラーです。
メールワイズの最大の特徴は、メールの共有機能です。一般的なメールソフトは、メールの内容を共有する前提で設計されていませんが、メールワイズはチーム全体でメールを共有できることから、よりスピーディーで効率的なメール対応が可能となります。
メールアドレスも共有できるため、各個人が持っている顧客・取引先の情報をまとめ、より運用しやすいよう分類・管理することもできます。
メールの共有に重きを置いているメールワイズでは、メールの対応状況や履歴をチェックできる機能も備わっています。チームメンバーが変わった場合は、共有メンバーを変更するだけでよいため、異動が多い組織でも柔軟に活用できるでしょう。
また、一斉配信に便利なテンプレートや予約語を登録しておくこともできますので、メール作成にかかる時間の短縮にも役立ちます。
もちろん、kintoneとも連携可能。kintoneに登録された顧客データの詳細から、メールワイズを起動して、顧客や取引先にメールを送ることができます。また、最大1,000件までの一斉配信にも対応しています。
さらに、kintoneの顧客管理アプリに、メールの送受信履歴や電話履歴などを表示できるため、対象となる顧客や取引先といつ連絡をとったのかをひと目で把握できます。
ただし、ファイルを添付してメールを送る際には注意が必要です。メールワイズは、メール1通ごとに容量の制限があるため、容量を超えたメールは送受信ができません。また、kintoneのレコード内のファイルを直接添付することもできなくなっています。
メール一斉送信プラグイン
出典:https://m-sol.co.jp/service/kintone/contents/plugin/mail_send.php
「メール一斉送信プラグイン」は、M-SOLUTIONS株式会社が提供するkintoneの拡張ツールです。
kintoneに登録されたメールアドレスを一覧で表示し、送付対象を絞り込んで一斉にメールを送信することができます。送信する内容は、kintone上のメールテンプレートアプリを用いて、あらかじめ準備しておきます。件名や内容には、氏名などの予約語も使用可能。送信は、リスト上部にあるボタンをクリックするだけのシンプルな操作です。
送信処理は、大手のメール配信サービス「SendGrid」を利用しているため、サーバーの負荷を気にする必要はなく、処理も比較的安定しています。送信に失敗した場合は、エラーログを確認できますので、送信できなかったアドレスの把握も可能です。また、同一ドメイン内であれば、プラグイン1契約でどのアプリにも制限なく使用できます。
例えば、新製品の紹介やイベント・セミナーの案内を送り、購買・集客に繋げる、サービスを利用しているユーザーに対してライセンス期限の通知を行う、などの場面で活用できるでしょう。
kintoneでメール送信を可能にするサービス比較
最後に、今回ご紹介した3つのサービスの特徴を一覧で比較していきましょう。
kMailer | メールワイズ | メール一斉送信 プラグイン |
||
価格 | スタンダード 月額15,000円 (年額 171,000円) |
プレミアム 月額24,000円 (年額273,600円) |
月額500円 /ユーザー |
年額100,000円(税抜) /1ドメイン |
予約送信の可否 | – | ○ | ○ | – |
一斉送信の可否 | ○ | ○ | ○ | ○ |
トライアルの有無 | ○ | ○ | ○ | ○ |
ファイルの添付可否 | ○ | ○ | ○ | ○ |
htmlメールの送信可否 | ○ | ○ | ○ | ○ |
添付ファイルの パスワード設定可否 |
○ | ○ | – | – |
開封ログの取得可否 | ○ | ○ | – | – |
kintoneへの操作を 条件にした自動送信 |
– | ○ | – | – |
送信後レコード編集 | ○ | ○ | – | – |
kMailerの導入でkintoneをより便利に
kintoneの機能を拡張するメールシステムやプラグインについてご紹介いたしましたが、それぞれの特徴やメリットを把握していただけましたでしょうか。
kintoneの標準機能でできることは限られているものの、各種プラグインを活用することで、それぞれの業務や使用環境にマッチした状態へとカスタムすることができます。営業やマーケティングだけでなく、総務や経理など、部署を問わず業務をスムーズにしてくれることでしょう。
既にkintone上でさまざまなデータを管理している場合は、kMailerの導入でさらなる業務の効率化が期待できます。メール対応に割く時間や手間を減らしたい、kintoneのデータを紐づけてメールのやり取りをより便利にしたいとお考えの方は、ぜひトヨクモが提供するメールシステム「kMailer」をご検討ください。