kintoneでリレーショナルデータベースを構築する方法!手順やポイントを解説

社内DX推進が、業界を問わず進んでいます。「社内に散在するデータをもっと効率的に活用して、データドリブンな会社になりたい」と考えている企業も多いのではないでしょうか。もしくは、上司から「もっとデータの活用を」とミッションを預かっている人もいるでしょう。

しかし、「プログラミング言語、SQLなど、専門的なことはわからない」「社内や協力会社のエンジニアの手間を増やしたくない」「ノーコードでなんとかできないか……?」など、スムーズにデータ管理をするまでに課題を抱えている人も多いのではないでしょうか。

この記事ではkintoneを活用して、ノーコードでデータベースを構築するためのポイントと、理解しておくべきポイントを解説します。

RDB(リレーショナルデータベース)とは

「RDB(Relational Database:リレーショナルデータベース)」とは、表形式の複数データを関連付けて使えるようにしたデータベースのことです。

RDBでは複数の表データから、「RDBMS(Relational Database Management System:リレーショナルデータベース管理システム)」という専用の管理システムを使うことで、必要なデータを組み合わせて引き出すことができます。

顧客管理データベースや在庫管理システムを始めとして、多くの企業のデータベースで活用されています。

たとえば、在庫管理システムにおいて

  1. 商品テーブル:商品の基本情報(商品ID、名前、カテゴリー、価格など)
  2. 入出庫履歴テーブル:商品の入出庫情報(履歴ID、商品ID、入出庫日、数量、関連するサプライヤーIDなど)

という別々の表があるとします。

RDBMSを利用できる環境が整っていると、「商品ID」でデータを呼び出して、元々は別の表に存在したデータである「名前」と「価格」を照会・参照する、といったことがスムーズにできるようになるのです。

「RDBMS(Relational Database Management System:リレーショナルデータベース管理システム)」とは

「RDBMS(Relational Database Management System:リレーショナルデータベース管理システム)」とは、リレーショナルデータ(たくさんの表形式で整理・格納したデータ)を管理するためのシステムのことです。

大量のデータを、社内の複数名でアクセス・管理したい場合に向いていて、検索や処理が素早いというメリットがあります。

ただし、商用RDBMS(「Oracle Database」や「Microsoft SQL Server」などが有名)を導入するには、そもそもSQLといったデータベース言語が理解できる必要があります。データベース言語の知識がないと難しいので、SIerなど専門の外部会社に依頼する必要が出てくるでしょう。

RDB(リレーショナルデータベース)の特徴

RDB(リレーショナルデータベース)は、データを表(テーブル)の形式で管理するデータベース管理システムです。主な特徴は、以下のとおりです。

特徴 説明
データ構造 データは行(レコード)と列(フィールド)で構成される関連付けられた表形式
処理速度 適切な設計と最適化によって高速に保たれる。しかし大容量データではパフォーマンスに影響がある場合もある
分散性 一般的には単一サーバーで管理されるが、分散データベースとレプリケーションにより複数サーバーでの運用も可能
拡張性 一般的には垂直拡張(より強力なサーバーへの移行)が主流
一貫性 データの整合性と一貫性を保つための厳格な制約を提供
検索精度 SQLを用いた高度な検索と複雑なクエリの実行が可能
向いているケース 高度な検索・集計処理やトランザクション処理、データの整合性が重要な場合

データベース構築にkintoneをおすすめする理由

ここからは、kintoneがデータベース構築に向いている理由を解説します。

外部ファイルやシステムからデータを読み込み可能

kintone(サイボウズが提供するノーコードプラットフォーム)は、ExcelやCSVファイルを直接読み込んで、瞬時にデータベースを構築することが可能です。また、顧客管理システムや基幹システムともデータ連携できます。

この機能により、さまざまなデータを一元管理することが可能です。複数のファイルやアプリを参照して表を作成する手間が省けるでしょう。また、頻繁なファイル更新やアップロードの手間が省け、常に最新のデータを一元管理できるため、「どのデータが最新なのか?」や「ファイルが重く開くのが遅い」といった問題を解消できます。

ヒューマンエラーを防ぎやすい

kintoneでは、データの更新や変更を行う際に、元のデータのバックアップを取るようになっています。変更履歴を保持することで、「間違ってデータを上書きした」というトラブルが発生しても、すぐに復元が可能です。また、どこに変更を加えたか把握しやすくなるのも強みだと言えるでしょう。

データをもとにグラフを作成できる

kintoneには、RDB(リレーショナルデータベース)をもとにグラフを作成する機能があります。棒グラフや折れ線グラフなどを作成でき、データを可視化するのに役立ちます。

データの分析も容易になるため、レポート作成もスムーズに進むでしょう。

ノーコードでデータ管理ができる

kintoneはノーコードでシステムを直感的に操作できます。データベースを作成する際は、ボタンを数クリックするだけで実現します。

プログラミングの専門知識が必要になる場面は少ないため、エンジニアがいない企業でも利用しやすいと言えるでしょう。

kintoneでデータベースを簡単に構築するには

続いて、kintoneでデータベースを構築する方法を解説します。

ルックアップ機能を活用する

kintoneには、他のアプリからデータを取得するルックアップ機能があります。

ルックアップとはkintoneアプリに登録されているデータを参照しながら、効率的に入力できる機能のことです。たとえば顧客情報を何度も入力するのが大変なとき、すでに別アプリで顧客情報を管理していれば、そこから顧客情報をコピーして入力することが可能です。

顧客の会社名や氏名、購入履歴のある商品名などを、複数の表を参照しながらその都度入力するのは意外と大変で、時間も手間も要する作業だと言えます。

その際に、顧客情報や商品情報のマスタがあることで、そこから情報をコピーして自動取得するだけで、手動で入力する必要が無くなるので便利です。

ルックアップ機能の使い方

例として、「顧客管理」に記載されている会社名を、別のアプリにコピーしたい場合を紹介します。

  1. これからデータを取り込もうとするアプリを開いて、「ルックアップフィールド」を設定します。
  2. 「ルックアップフィールド」の設定ができると、アプリ画面内に「取得」ボタンが表示されます。
  3. 「取得」ボタンをクリックすると、「顧客管理」に登録済みの「会社名」が一覧表示されるので、該当する会社名を選択して入力します。

関連レコード一覧機能を活用する

kintoneでデータベースを構築するために、関連レコード一覧機能を活用する方法もあります。関連レコード一覧機能を活用すると、他のアプリに保存されたレコードを、表形式で一覧表示させながら参照できます。

たとえば、「顧客データ」と「案件データ」を別々に管理している状況を想定してみましょう。「この顧客は、過去に複数の案件で取引があっただろうか?」など、一覧で把握したい場面で活用できます。

テーブル機能を使う

他にも、kintoneでデータベースを構築するのに便利な機能として、テーブル機能があります。1つのレコード(行)に複数のデータを入力したい場合に便利な機能です。

「1人の顧客が、一度に複数の商品を注文したので、見積や納品、請求に関わるデータを作成・管理したい」といった場面で活用できるでしょう。またその際、数量や単価、合計金額など、テーブル内の値をSUM関数などで計算できます。

ただしテーブルで管理しているデータは、別のアプリで参照したい場合に利用することはできません。

kintoneでデータベースを運用する際の注意点

kintoneでデータベースを運用する際の注意点を解説します。

  • データ編集後、参照元のアプリには自動反映されない
  • バックアップデータの外部保存には、拡張機能が必要

データ編集後、参照元のアプリには自動反映されない

kintoneでマスタアプリの情報を更新した場合は、手動での更新が必要です。

たとえばマスタとなる「顧客管理アプリ」から、ルックアップ機能を使って、「案件管理アプリ」に情報をコピーしたとします。その後「顧客管理アプリ」が更新された場合、「案件管理アプリ」のデータは手動更新が必要です。自動連携で更新はされないので注意しましょう。

ルックアップ先のデータを自動更新したい場合は、kintone連携サービス「DataCollect(データコレクト)」を利用するのがおすすめです。

バックアップデータの外部保存には、拡張機能が必要

kintoneではすべてのデータを、一括でバックアップを取ることはできません。

たとえば社内サーバーなどにバックアップを取りたい場合は、kintone公式サイトで提供されている拡張機能を利用する必要があります。トヨクモの「kBackup(ケイバックアップ)」というツールはその一例です。

こうした拡張機能を活用することで、kintoneアプリのデータをマウス操作だけで自動でバックアップし、万が一削除してしまったデータの復元や、添付ファイルのバックアップも可能になります。

kintoneのデータベース作成に関してよくある質問

ここでは、kintoneでデータベースを構築する際に、よくある質問と回答を紹介します。

  • kintoneとExcelのデータ管理の違いは?
  • Microsoft Accessはkintoneの代わりになる?

kintoneとExcelのデータ管理の違いは?

Excelでは、データは個々のセルによって識別されます。一方、kintoneでは「レコード(行単位)」でデータが管理されます。

kintoneではレコード単位でデータを編集するので、たとえば顧客名と住所が不整合を起こす、といったリスクは低いといえます。

一方、Excelで顧客リストなどを管理している場合、一つのセルを削除すると、それに関連するデータ(名前と住所など)が不整合を起こすリスクが大きいと言えるでしょう。

そのため、より精密なデータ管理をしていきたい場合は、Excelよりもkintoneにデータベースを構築するのがおすすめです。

Microsoft Accessはkintoneの代わりになる?

Microsoft AccessはMicrosoft社が開発している、Windows向けにRDB(リレーショナルデータベース)を構築・運用できるシステムです。比較的低価格なソフトウェアなので導入ハードルは低いと言えます。

ただし、操作にはある程度のプログラミングスキルが必要で、スマートフォンや外出先などのリモート環境からはアクセスが制限されます。また、Macには非対応です。社内で大勢のユーザーがデータベースにアクセスしたい場合、向いていないというデメリットもあります。

一方、kintoneはプログラミングスキルがない人でも、ノーコードで手軽にデータを構築・運用できます。kintoneへのログインアカウントを保有しているユーザーは、デバイスを問わず、社外からでも利用可能です。

データベース構築にkintone活用を検討してみよう

「社内に保有しているデータを、もっと業務分析や予測に有効活用したい」「そのためにまずはDXを進めたい」と思っている会社も多いでしょう。

ただし「DXを実現すること」がゴールではありません。

肝心なポイントは、DX実現の先でデータを活用しながら新たなビジネスアイデアを生み出し、顧客に新たな付加価値を提供することです。

そこでこの記事で紹介したkintoneのように、データベース言語に関する専門知識がなくても、簡単でスピーディーにビジネスを加速させるツールを選ぶことをおすすめします。

トヨクモでは、kintone連携サービスを提供しています。kintoneにアプリ間のデータの集計を定期的に行える「DataCollect(データコレクト)」を活用すれば、データベースの作成がより手軽で便利になるでしょう。また、データのバックアップを取れる「kBackup」やメールの一斉送信ができる「kMailer(ケイメーラー)」といったサービスも提供しています。

30日間の無料お試しの期間を設けていますので、お気軽にお問合せくださいませ。

 


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