自治体の業務効率化に役立つkintoneとは?特徴と導入事例をご紹介

自治体が抱える業務非効率の問題を解決するには、クラウドサービスの活用が有効です。特におすすめなのが、クラウド型業務アプリ開発プラットフォームのkintoneです。

本記事ではkintoneの特徴のほか、実際に自治体で導入し業務の効率化を実現した事例をご紹介します。

自治体のオンライン申請を可能にしたい、紙文化の撤廃を進めたいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

自治体が抱える業務非効率の問題

自治体が抱える業務非効率の問題としては、主に以下の3点が挙げられます。

  • 住民は自治体まで足を運ぶ必要がある
  • 紙文化による煩雑な書類管理
  • 情報共有のノウハウが確立されていない

それぞれの内容について、解説していきます。

住民は自治体まで足を運ぶ必要がある

自治体のオンライン化はまだ限定的であることが多いため、住民が手続きを行うには窓口まで足を運ばなければならないことがほとんどです。

自治体の窓口は待ち時間がかかることも少なくなく、働いている方がわざわざ休みを取って手続きに行く場合、一日の大半を潰してしまったというケースもみられます。このように、自治体の窓口まで足を運ぶ手間がかかるだけでなく、待ち時間も発生する実態があります。

紙文化による煩雑な書類管理

自治体によって状況はやや異なりますが、ペーパーレス化があまり進んでいないことも特徴です。それにより、紙文化による煩雑な書類管理に追われている傾向にあります。

たとえば書類を1枚ずつ印刷してファイリングする場合、印刷とファイリングの手間や時間がかかる上、ファイルの保管スペースも確保しなければなりません。保管庫が離れた場所にある場合は、必要時にその書類を移動させる作業も発生するでしょう。

各種申請を受け付ける際も、窓口で紙の内容をデータ入力するため、作業に時間がかかるだけでなく打ち間違えるリスクもあります。また紙の資料は、火災や大雨などの災害が発生時に、焼失や破損してしまうことも懸念されます。

情報共有のノウハウが確立されていない

情報共有のノウハウが確立されていないと、さまざまな事案に関して情報管理を一元管理することが困難です。

たとえばプロジェクトの進捗状況や住民からの問い合わせへの対応状況などが、あちこちにファイリングされていたり、個々のパソコンに保存されていたりする状況が考えられます。

このような状況では、それぞれの事案を担当者以外が対応することになった場合、今どのような状況にあるのかを把握することは難しいでしょう。そもそも担当者が誰であるかにたどり着くのも、簡単ではないかもしれません。

また、各業務のノウハウをシェアするプラットフォームがないため、属人化しやすい点も課題です。

kintoneとは?

kintoneとは、開発の知識がなくてもマウスの操作だけで業務アプリを作成できる、クラウド型業務アプリ開発プラットフォームのことです。

システム開発者でなくても、ドラックアンドドロップだけで直感的にアプリを作成でき、改善の必要に応じてすぐに修正できるため、業務に即したアプリの運用を行えます。

プロジェクトやチームごとに多くのワークスペースを作れることもkintoneの特徴です。プロジェクトやチームに関する情報をすべてワークスペースにまとめることで情報を一元管理し、ワンクリックで確認することが可能です。

データとプロセス管理とコミュケーションを一体化しているため、業務の属人化を防ぎながら圧倒的な効率アップを実現できるでしょう。

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kintoneは2つのコースを用意しているため、自社に合ったコースを選びましょう。30日間の無料トライアルを利用して、使い心地を試してみるのもおすすめです。

スタンダードコース ライトコース
1ユーザーあたりの月額料金(契約は5ユーザーから可能) 1,500円 780円
外部サービスとの連携、プラグイン、および拡張機能 ×
アプリ数 〜1,000個 〜200個
スペース数 〜500個 〜100個

また、「kintoneの導入を検討しているが、どのように進めたらよいかわからない」「組織内にITに詳しい社員がいない」といった場合は、導入支援を活用するのも有効です。

kintoneの初期設定からアプリ開発やアドバイザリーサービスまで、一気通貫で導入のサポートを受けられます。

ここからは、kintoneの次の4つの特徴についてそれぞれ詳しく解説します。

  • 効率化したい業務に合わせて機能を追加できる
  • 情報共有が簡単になる
  • コミュニケーションが簡単にある
  • 複数のデバイスで操作できる

効率化したい業務に合わせて機能を追加できる

kintoneは効率化したい業務に合わせて機能を追加できるため、システムをいくつも用意する必要がありません。たとえば、以下のようにあらゆる用途に使うことが可能です。

  • 住民情報の管理
  • 交通費の申請
  • 日報やプロジェクト管理
  • 受発注管理
  • お弁当注文

すぐに使えるアプリのテンプレートが100種類以上用意されているため、さまざまな業種や仕事の課題を解決します。

情報共有が簡単になる

情報共有が簡単になるのも、kintoneのメリットです。住民の情報や案件情報、売上情報、プロジェクトの進捗状況など自治体の業務に必要な情報をそれぞれ管理し、リアルタイムで共有できます。

また、情報を一元化することで業務全体の見える化が進み、業務効率化の実現につながります。

コミュニケーションが簡単になる

組織内のコミュニケーションのあり方を見直したいと考えている場合も、kintoneを導入することで課題解決ができるでしょう。kintoneは社内外を問わず、すべてのコミュニケーションをよりシンプルにします。

たとえば業務内容ごとに関連するメンバーや情報を、わかりやすく整理できます。統一フォーマットによるデータ入力や、業務プロセスに応じたステータス管理もクリック1つでシンプルに完結できるでしょう。

複数のデバイスで操作できる

kintoneはパソコンだけでなくインターネットにつながるデバイスであれば、いつでもどこでもアクセスできます。このように複数のデバイスで操作できるのも、使いやすさの理由の1つです。

連絡をスマホアプリの通知で受け取ることで、出先でもリアルタイムに対応することも可能です。

kintoneが自治体の業務効率化を実現させる

kintoneがこれまで実現してきた自治体の業務効率化の事例について、次の4つをご紹介します。

  • LINEと連携し市役所に訪問する手間を削減
  • 紙文化の撤廃
  • 紙での申請をなくしオンライン申請を導入
  • 情報共有を大幅効率化

具体的な事例を確認することで、自分が所属する自治体に導入した場合の効果を想像しやすくなるでしょう。1つずつみていきましょう。

LINEと連携し市役所に訪問する手間を削減

千葉県市川市ではサービス向上のために窓口に代わるインフラとして、LINEを活用すると同時に、窓口業務の軽減のためにkintoneを導入しました。kintoneなら専門知識を持たなくてもドラッグ&ドロップの簡単な操作で直感的にシステムを作成でき、仕様変更が必要なときも職員自ら迅速に対応できるためです。

令和元年11月以降、kintoneをデータベースとした住民票のオンライン申請が本格的にスタートし、それ以外にも駐輪場使用許可や、り災証明の申請などの受付が開始します。利用者数も日々増加し、駐輪場の使用許可申請はサービス開始から2週間で約500件の利用がありましたが、現場での混乱は起きませんでした。手続きに合わせてカスタマイズされたデータベースの特長が活かされたことがその理由です。

オンライン申請によって市役所に訪問する手間の削減を実現した市川市は、現在もkintoneの利用範囲を増やし、各種申請のオンライン化を進めています。利用範囲を拡大させる作業には、すでに作成したシステムをコピーして活かせるため作業時間を大きく減らすことが可能です。また、このようなオンライン化には各部署を横断した業務フローの整備も不可欠ですが、kintoneの情報共有機能はスムーズな調整にも役立っています。

紙文化の撤廃

神戸市役所は、IT産業に注力している自治体の1つです。そんな神戸市も以前はアナログな紙の業務が主流で、業務効率が上がらないことが課題でした。しかし2019年に建設局がkintoneを導入することで、変化が起きます。

建設局では道路維持作業車を30台ほど所有しており、車検証の写しや日報を紙で管理していたため、毎年5,000枚以上の紙を使用していたのです。Excelの台帳も作ってはいたものの、点検が終わるたびにもう一度打ち直したものをホワイトボードに貼り直すといったように、結局運用は紙で行っており非効率でした。

また車検証の数が多く管理が行き届かないことも課題で、道路維持作業車の車検を忘れてしまいかねない状況でした。車検を忘れると刑事処分が下されるほか、自治体職員の不備が報道されるリスクもあります。

そこでkintoneを導入し、わずか4ヵ月のうちに年間5000枚もの運転日報をペーパーレス化させ、道路維持作業車の管理台帳や車検証のコピーもデジタル化しました。kintoneにフォームブリッジkViewerを効果的に連携させたのも、成功のポイントです。

>>神戸市役所がkintone×フォームブリッジの導入で電話問い合わせを大幅削減、残業時間を100時間以上削減できた

紙での申請をなくしオンライン申請を導入

品川区が助成金申請をオンラインで行うことを検討し始めたのは、2020年度の「新型コロナウイルス感染症対応特別助成事業(以下、コロナ特別助成事業)」の実施からです。それまでもさまざまな助成金申請を受け付けていたものの、多くても50件程度で紙による運用でも十分対応できていました。しかしコロナ特別助成事業では1,400件を超える規模にまで拡大したことで、業務量が膨大になってしまいます。

2021年度も前年度と同様の助成事業が計画されたことを受け、品川区は区役所窓口に足を運ぶ事業者と、申請を受け付ける区役所職員の双方の負担が大きくなると判断しました。そしてkintoneを導入し、助成金申請のプラットフォームを整備します。

kintone上では助成事業ごとにアプリが構築されていて、事業者からWebサイト上から申請が行われた段階で、各アプリにデータが自動で登録されるしくみになっています。帳票出力アプリも用意されているため、必要に応じて申請内容を出力することも可能です。

助成事業のオンライン申請は職員の作業効率化に大きく貢献し、特に件数の多いコロナ特別助成事業の担当者の残業時間は1人あたり15時間ほどの削減につながりました。それだけでなく、複数メンバーで担当する申請件数の多い助成事業では、kintoneのコメント機能などによって情報共有にも役立っているといいます。

kintoneの導入当初は、初めてオンラインで運用することで申請率に影響する可能性も危惧していました。しかし結果的に、助成金申請の98%ほどがオンラインを経由しています。

>>わずか2ヶ月で自治体におけるオンライン申請の仕組みを整備 中小企業支援に欠かせない助成金申請の基盤に採用されたkintone

情報共有を大幅効率化

愛媛県西予市では、運営する地域包括支援センターの業務でkintoneを導入しました。地域包括支援センターは、市区町村が設置主体となり保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員などを配置し、現場のケアマネージャーを通じて高齢者を支援する総合相談窓口です。

高齢者支援サービスを充実させることは西予市の重要課題でしたが、効率的な情報共有ができていないことでさまざまな不便が生じていました。たとえば介護する方が急病になった場合、介護される方を預けるショートステイ先を探さなければなりません。しかし、ショートステイ先となる事業所の空き状況を一覧できるシステムがなかったため、介護する方は事業所に片っ端から電話で問い合わせる必要があったのです。

また市役所や地域包括支援センターからケアマネージャーへの一斉連絡は、時間や手間を要したことや、職種を超えた情報共有ができていないことも課題でした。

西予市はこれらの課題を解決するためにkintoneを導入し、スペースとアプリを「ショート空き情報」や「サービスガイドブック」など目的別に作成しました。これにより、必要な情報がすぐにオンラインで入手可能になり、ショートステイ先を探すために、電話を片っ端からかける必要がなくなったのです。

文書やFAXで行っていた連絡事項もkintoneで共有するようになり、書類配布の手間が不要となったほか、情報共有も大幅に効率化されました。

>>組織・職種を超えた効率的な情報共有で 1 つのチームに 地域の高齢者福祉を支える kintone

kintoneで自治体業務の効率化を図ろう

自治体がオンライン申請やペーパーレス化を実現するために有効なのは、クラウドサービスの活用です。kintoneは、開発の知識がなくても直感的にアプリケーションを作成できることにくわえ、改善の必要があればすぐに修正できるため、業務に即したアプリの運用が可能です。

データとプロセス管理と情報共有機能が一体化したkintoneなら、業務の属人化を防ぎながら圧倒的な効率アップを実現できるでしょう。

さらにkintoneは、拡張機能が備わっていることも特徴の1つです。標準機能でできないことに対しても、個別にカスタマイズしたり連携サービスを利用したりすることで、使用する側のニーズに合わせた対応ができます。実際にkintoneをご利用いただいている自治体様は、kintoneの連携サービスを活用して、さらに利用範囲を拡大している傾向にあります。

この機会にぜひ、自治体業務における課題解決に向けて、kintoneを導入することを検討してみてはいかがでしょうか。


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