kintone内の情報の連携はうまくいっていますか。簡単にアプリ構築ができるからこそ、同じようなアプリがたくさんできてしまったり、基本的な情報を毎回手入力させるようになっていて手間が多かったり・・そんな事例を良く耳にします。
今回はそのようなkintone内の情報を整理し、二度手間が起こらないようにするために、マスタを活用する方法を紹介していきます。
kintoneにおける「マスタ」とは
一般的に「マスタ」や「マスター」と呼ばれていますが、すべての参照元となるデータのことを指しています。日本語でいうところの「原本」に近い感覚と言えるでしょう。
kintoneでは、後ほど説明する「ルックアップ」や「関連レコード」の表示の機能で、他のアプリからデータの引用が可能ですが、各自が様々なアプリから同じようなデータを引っ張ってきていると、どの情報が最新で正しいのか分かりづらくなります。
そのため、共通して使うことの多いデータを含んでいる「顧客リスト」「製品リスト」「社員名簿」などは、全員が参照元として使用する「マスタアプリ」を作成しておくと便利です。最新の情報が知りたければ「このアプリを見ればいいんだ!」という統一された認識を作ることができます。
kintoneのマスタアプリを作成するメリット
kintoneのマスタアプリを作成することのメリットを挙げていきます。
アプリの数が減りkintoneが整理される
アプリの作成ルールを決めておらず、同じような情報を含んだアプリが乱立してしまったという経験がある方も多いはず。
そうなると、必要な情報や入力したい情報があった時に、どのアプリを参照したらいいのか判断に時間がかかったり、アプリを複数開いて行き来しながら作業したり、無駄な労力がかかってしまいます。マスタアプリを作れば、全員が必要な情報が一つに集まり、アプリの数も減ってkintone全体が整理されます。
「ルックアップ」「関連レコード」を使う際に便利
同じ情報を何度も手入力していると、工数もかかりミスも増えてしまいます。その際に便利なのが「ルックアップ」と「関連レコード」の機能。
ルックアップは、別のアプリから情報を参照し、データをコピーする機能です。例えば「発注管理アプリ」に、今日発注をかけた製品を登録しようとする時、「製品名」「単価」などの基本的に変わらない情報は、「製品マスタ」からルックアップで取得すると便利です。
該当の製品番号を入力して、「取得」ボタンを押せば、自動で「製品名」と「単価」の情報を入力することもできます。手入力した「個数」と共に自動計算され、「小計」にも数字が入ります。
ちなみに製品番号は覚えていなくても、取得ボタンを押せば任意の情報から検索が可能です。
関連レコードは、条件に一致した複数のレコード情報を一覧で表示させる機能です。例えば、「発注先リスト」のアプリにおいて、該当の発注先に発注をかけた履歴のデータを、先ほどの「発注管理アプリ」から探し出し、一覧で表示できます。
「発注先リスト」を確認していて、「この発注先に最近いつ発注したっけ?」と思った時に、「発注管理アプリ」を開いて検索をかけて・・という手間が省けます。関連レコードには、左端にファイルマークがついており、該当のレコードにワンクリックで飛べるようになっています。
皆さんは「kintoneの入力作業が大変」「複数のアプリの情報を関連付けたい」ということはありませんか? 今回はそんなお悩みを解決するkintoneの「関連レコード一覧」という機能についてご紹介します! kintoneについて詳しく[…]
マスタアプリの作り方
マスタアプリの作成手順を見ていきましょう。
作成方法を決める
kintoneのアプリにはテンプレートが多く存在しているので、その中から「マスタ」で検索すると出てくる、下記のようなアプリテンプレートが活用できます。
また、「マスタ」という名称にはなっていませんが、下記のようなアプリテンプレートもマスタとして運用することができるでしょう。
テンプレートを自社向けに編集しても良いですし、似たようなものが見つからない場合には1から作ったり、既存のExcelのテンプレートなどがあればそれを取り込んで作成したりしても良いでしょう。
マスタに必要な情報を項目設定する
必要な項目を設定していきましょう。基本的には「参照元」の情報になるので、手入力の項目を設定することになります。
マスタアプリを作成している際に陥りやすい失敗例として、逆にマスタアプリに情報を集めすぎてしまうということがあります。
例えば、社員名簿のマスタアプリで、1社員につき1レコードを割り当てるとして、その中にその社員の個人情報、連絡先、営業実績、社内活動・・・などいろいろな情報を盛り込んでいくと非常に長いレコードになります。
必要な情報を見つけるのにかえって時間がかかってしまうということにもなりかねません。また、各情報に対する権限の振り分けも難しくなります。
マスタに含める情報は頻繁に引用する、基本的に変わらない情報に留め、営業実績は「営業管理アプリ」に、社内活動は「社内活動アプリ」に記録するなど、活動の種類ごとにアプリを分けましょう。
アプリが増えすぎても管理が難しくなってしまうので、全体的なバランスを見ることと、情報に被りがないかを定期的に見直すことが必要です。
▼マスタ作成例
実際に別アプリでマスタから情報を引用する
マスタができたら、先ほど紹介したルックアップや関連レコードの機能を使って、別アプリで情報を引用できるよう設計しましょう。手入力するのは新しい情報のみで、既存の情報はすべてマスタやその他のアプリから引っ張ってこれるのが理想の状態です。
注意点として、マスタの情報を更新した場合、kintoneの標準機能ではルックアップ先の情報は自動で更新されません。
そのため、ルックアップした情報を最新にするためには、編集を押し再度「取得」ボタンを押す必要があります。
ルックアップした情報をもとに帳票を作成したり、取引先に連絡を取ったりする場合は、最新情報がないか更新をしてみてから行うのが良いでしょう。
外部連携サービスであるトヨクモ「DataCollect(データコレクト)」を利用すれば自動更新することも可能です。
また、マスタアプリが完成したら、kintone利用者全員にしっかりと周知し、必要であれば権限の設定、ルールの策定・周知なども行いましょう。
せっかく一度整理しても、またしばらく経ったら情報が乱立していたということのないように、情報管理の方針も同時に考えておくことが大切です。
共有のマスタを作って他アプリではそこから情報を引用しよう!
今回はkintoneで便利なマスタアプリを作成するメリットと作成方法について紹介しました。
kintoneの使用開始時から作成して運用していけると良いですが、すでに情報が乱立してしまったという状況でも遅くはありません。
情報を整理し、運用するまで手数がかかるかもしれませんが、その後の業務効率はそれを上回るくらいスムーズになることでしょう。
ルックアップと関連レコード機能を合わせて活用して、マスタアプリの真価を発揮しましょう。必要な情報を何度も入力したり、別アプリを開いて検索をかけたりといったことがなくなり、一目で確認ができるようになります。
ルックアップ機能については以下の記事に詳しく記載しているので、ぜひご参照ください。
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