kintoneと連携できるメールワイズとは?できることや連携方法、費用などを解説
メールワイズは、企業のメール管理を効率化し、チームでの情報共有をスムーズにするクラウドサービスです。単体でも便利な機能を備えていますが、kintoneと連携することで顧客管理やメール対応をさらに一元化でき、業務効率と対応品質を大幅に高められます。
「複数担当者でのメール対応に抜け漏れが出ている」「顧客対応履歴を別システムで管理していて非効率」等の課題を解決する手段として、kintone × メールワイズ連携は多くの企業に導入されています。本記事では、連携で実現できる機能やメリット、料金体系、導入時の注意点をわかりやすく解説します。
目次
メールワイズとは
▲出典:メールワイズ
メールワイズは、企業で利用する複数のメールアドレスをまとめて管理できるクラウド型メール管理サービスです。チームで共有して使うことで、誰がどのメールに対応しているかを確認でき、対応漏れや二重対応を防止できます。営業部門やカスタマーサポート部門など、日々大量のメールを扱うチームに適しています。
メールワイズのコース
メールワイズには、利用規模に応じて次の2つのコースがあります。少人数での運用はスタンダード、大規模な対応チームにはプレミアムを選ぶのが一般的です。
| 特徴 | 主な利用シーン | |
| スタンダードコース | 登録可能なメールアドレスが10個以下 | 少人数チームでの問い合わせ管理 |
| プレミアムコース | ・11個以上のメールアドレスを登録可能
・アドレスごとにアプリやアクセス権を細かく設定できる |
カスタマーサポート部門や、大量のメール対応を行う企業 |
メールワイズの料金体系
スタンダードコース、プレミアムコース、いずれのコースも初期費用やバージョンアップ費用は不要で、月額・年額いずれかを選択できます。
| コース名 | スタンダードコース | プレミアムコース |
| 月額 | 600円/ユーザー | 1,800円/ユーザー |
| 年額 | 7,200円/ユーザー | 21,600円/ユーザー |
※価格はすべて税抜き
- 年額契約は契約時に一括払い。
- 業務の繁忙期・閑散期でユーザー数を増減させたい場合は、柔軟に対応できる月額契約がおすすめです。
- kintoneと連携する場合は、kintoneはスタンダードコース以上の契約が必要です。
- スタンダードコース:月額1,800円/1ユーザー、年額21,600円/1ユーザー
- ワイドコース:月額3,000円/1ユーザー、年額36,000円/1ユーザー
メールワイズの機能
メールワイズ単体で使える機能と、kintoneと連携することで使える機能があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
メールワイズ単体で使える機能
| 機能 | 説明 |
| メールアプリケーション | メールの送受信を行う「メールワイズ」の基本機能 |
| ステータス機能 | メールごとに担当者、確認者、処理状況を設定可能 |
| コメント機能 | メール、電話履歴、訪問履歴にコメントを追加できる機能 |
| 対応履歴 | メールアドレスと連携し、過去のやり取りを時系列で一覧表示可能 |
| フォルダ機能 | 任意のフォルダを作成してメールを整理できる機能 |
| 絞り込み | 処理未完了のメールや自分が担当するメールを一覧表示可能 |
| 一斉送信 | アドレス帳に登録されたお客様やCSVファイルからメールを一斉送信可能 |
| 電話履歴/訪問履歴 | メールだけでなく電話や訪問の履歴も記録可能 |
| テンプレート | よく使う返答文をテンプレートとして登録可能 |
| アドレス帳共有 | 登録したアドレスデータを一括管理し共有可能 |
| 集計レポート | メール、電話履歴、訪問履歴をワンクリックで集計しグラフ表示可能 |
kintoneとの連携で使える機能
メールワイズとkintoneを連携すると、顧客管理や案件管理とメール対応が一体化し、さらに便利になります。
| 機能 | 説明 |
| 個別送信 | ・kintoneのアプリから顧客を選んでメールを個別送信
・顧客管理アプリに[メールを作成する]ボタンを表示 |
| 一斉送信 | ・顧客管理アプリのレコード一覧画面で、メールの宛先に指定するレコードを絞り込み、複数の顧客に一斉にメールを送信
・一度に10,000件まで指定可能 |
| メール履歴表示 | ・顧客管理アプリのレコード詳細画面でメール送受信の履歴を一覧表示
・メール件名をクリックすると、メールの詳細を表示できる |
| テンプレート | ・kintoneのメール作成テンプレートアプリを作成できる
・顧客管理アプリ内のメールアドレスや会社名などを本文に挿入できる |
メールワイズを利用するメリット
メールワイズは、kintoneと連携することでさらに業務全体の生産性を高められます。以下、導入によって得られる主なメリットを紹介します。
メール対応を一元管理し、対応漏れを防止
複数担当者が日々多くの問い合わせメールを扱う場合でも、メールワイズなら一つの画面で送受信状況を集中管理できます。ステータス管理機能で「誰がどのメールに対応中か」「処理が完了したか」を即座に確認できるため、確認漏れや対応漏れを防ぎ、チーム全体の業務効率が向上します。
活用例:
- 営業チームで顧客からの問い合わせを一括管理
- サポート部門で複数窓口からのメールを統合管理
チーム間の情報共有とコラボレーションの強化
コメント機能や対応履歴機能を使えば、メールだけでなく電話・訪問記録も含めた顧客対応の履歴をチームで共有できます。こうすることで、別担当者が引き継いでもスムーズに対応でき、顧客体験の質が向上します。フォルダ機能を使って案件やプロジェクト単位でメールを整理すれば、関連情報へのアクセスも簡単になり、プロジェクト管理が効率化します。
テンプレート機能による効率的なメール作成
kintoneと連携すると、メールワイズ内の情報が顧客管理アプリと紐づき、顧客情報・対応履歴を一元管理できるようになります。顧客管理アプリから直接メール送信ができるため、複数のツールを行き来する必要がなく、業務フローがスムーズになります。
連携で実現できること
- 顧客情報を見ながらそのままメール送信
- 過去のメール履歴を顧客単位で確認
- テンプレート活用によるメール作成時間の削減
監査・コンプライアンス対応をサポート
誰がいつ、どの顧客に、どのような対応を行ったのかを正確に記録できます。監査時やクレーム発生時の証跡として活用でき、社内外への説明責任を果たすうえで有効です。
特に金融や医療、公共サービスなど、対応履歴の保存が義務づけられている分野では重要な機能です。メールワイズとkintoneの組み合わせにより、履歴を自動で残せるため、日々の業務負担を増やすことなくコンプライアンスを強化できます。
メールワイズを利用するデメリット
便利なメールワイズですが、デメリットもあります。注意が必要な4点を見ていきましょう。
メール共有オプションとの併用ができない
kintoneには、メールアドレスをチームで共有しやり取りを一元管理できる「メール共有オプション」がありますが、同じドメインではメール共有オプションとメールワイズを併用できません。また、メールワイズを解約した場合も、解約から30日以内はメール共有オプションを利用できないため注意が必要です。
対策例
- 導入前にどちらを利用するかを明確に決定しておく
- 試用期間を活用して、自社に適した運用方法を検証する
添付ファイルにパスワードを設定できない
メールワイズを通して送信するメールは、添付ファイルにパスワードを設定できません。
取引先からパスワード付き添付が必須とされている場合は、運用方法を工夫する必要があります。具体的には、メールワイズに登録していない別アドレスから送信する方法や、kintone連携サービスである「kMailer」を活用する方法があります。セキュリティ要件が厳しい業務では、あらかじめkMailerを併用する運用を想定しておくと安心です。
メールマーケティングには不向き
メールワイズにはHTMLメール作成やABテストなどのマーケティング機能がありません。メルマガ配信には機能不足となるため、HTMLメール対応が可能なkMailerとの併用が有効です。「日常業務=メールワイズ」「マーケティング=kMailer」と役割分担すれば運用がスムーズになります。
外部サービス連携の制約がある
メールワイズはサイボウズ製品との連携に強みがありますが、SalesforceやHubSpotなどの外部CRMとの標準連携機能がありません。カスタマイズやAPI連携での対応は可能ではあるものの、設定に技術的知識が必要です。サイボウズ製品中心でシステムを構築している企業には問題ありませんが、外部サービスとのデータ連携を重視する場合は制約となる可能性があります。
kintoneとメールワイズがおすすめの企業
メールワイズおよびkintoneとの連携は、次のような企業に適しています。
効率的なメール管理が求められる企業
少人数で大量のメールを扱うチームでは、対応漏れや重複対応が発生しやすく、顧客満足度の低下や業務停滞の原因になります。たとえば、10人の営業チームが1日100件以上の問い合わせを処理する場合、誰がどのメールに対応しているかをリアルタイムで把握することが難しく、対応状況がブラックボックス化しがちです。
メールワイズを導入すれば、メールの送受信を一元管理でき、各メールに担当者や進捗状況を紐づけて管理できます。誰が対応中なのかを一目で確認でき、過去の対応履歴も参照可能です。結果として、対応漏れや二重対応を防ぎ、チーム全体の業務効率と顧客対応品質を同時に高めることができます。
IT部門が小規模な企業
専任のIT担当者が少ない、もしくは1人しかいない企業では、システム導入後の運用や管理が大きな負担になります。たとえば、メール対応や顧客管理を複数のシステムで行っている場合、それぞれの設定やメンテナンスを管理するだけでも工数がかかり、IT部門だけでは対応しきれないケースもあります。
メールワイズは初期設定がシンプルで、専門知識がなくてもすぐに運用を開始できるため、現場主導で導入しやすい点がメリットです。kintoneと連携すれば、顧客管理やプロジェクト管理といった複数の業務システムを一元化でき、情報分散による管理コストやヒューマンエラーを大幅に削減できます。この仕組みがあれば、IT部門の負荷を抑えつつ、現場が自律的に運用できる体制が整います。
複数拠点・店舗を展開している企業
全国に支店や営業所、複数の店舗を展開している企業では、拠点ごとにバラバラでメール対応を行うと、情報共有が不十分になりやすく、顧客対応の質にもばらつきが生まれます。たとえば、東京本社と地方支店が同じ顧客からの問い合わせにそれぞれ対応すると、内容が重複したり、重要な情報が本部に共有されないまま対応が進んでしまうといった問題が起こります。
メールワイズとkintoneを連携させれば、各拠点での対応履歴を本部がリアルタイムで把握でき、メール内容や対応方針を統一できます。飲食チェーンや小売業、フランチャイズビジネスなど、複数店舗を運営する企業にとっては有効です。
顧客対応の記録保持が必須な業界
金融、医療、保険、公共サービスなど、一部の業界では顧客とのやり取りを一定期間保存することが法令やガイドラインで定められています。メールのやり取りが個人のアカウントに分散していると、記録が抜け漏れたり、監査の際に必要な証跡をすぐに提示できず、コンプライアンス違反につながるリスクがあります。
メールワイズとkintoneを連携させることで、顧客対応履歴を一元管理し、記録を確実に残すことができます。誰が、いつ、どの顧客に、どのような対応を行ったかが明確に残るため、内部監査や外部監査の際もスムーズに対応可能です。法令遵守や内部統制を重視する企業にとって、導入効果が高い組み合わせです。
顧客接点が多く、複数部署で対応している企業
営業、カスタマーサポート、マーケティングなど、複数部署が同じ顧客と関わる企業では、部門間での情報共有が追いつかないケースが見られます。別の部署が同じ顧客に重複して連絡をしてしまったり、逆に誰も対応しないまま放置されるといった問題が起きがちです。
メールワイズで対応履歴を集約し、kintoneで顧客情報を一元管理すれば、全社で顧客対応の状況をリアルタイムで共有できます。対応漏れや二重対応を防ぎ、顧客ごとの一貫性のあるコミュニケーションを実現することで顧客満足度が高まり、対応スピードの向上にもつながります。
テレワークを推進している企業
在宅勤務やハイブリッドワークを導入する企業では、従業員が個人のメールアカウントで対応していると状況が見えにくくなり、チーム全体の進捗管理が難しくなります。特に、外勤営業やリモートサポートなど、物理的に同じ場所に集まらないチームでは、誰がどこまで対応したのかを把握できず、連携ミスが発生しやすくなります。
メールワイズとkintoneはクラウド型サービスのため、場所を問わずリアルタイムで対応状況を共有できます。オフィス、在宅、出張先など、どこにいても同じ情報を確認でき、リモート環境でもチーム全体が連携可能です。
メールワイズの利用方法
メールワイズとkintoneを連携するためには、以下の流れで設定する必要があります。
- cybozu.com共通管理にアクセス
- ログインURLとセキュリティ設定
- 組織の追加
- ユーザーの追加
- 組織メンバーの設定
- cybozu.com共通管理者の設定
- メールサーバーとメールアカウントの設定
- メールワイズのシステム設定画面にアクセス
- 使用するユーザーやアプリケーションの設定
- ユーザーに利用開始を通知
上記のように、kintoneとメールワイズ、メールアプリの3つで設定が必要です。kintoneとメールワイズの連携を決めた場合は、Cybozuの公式マニュアル「試用または購入直後にシステム管理者が行うこと」にしたがって設定しましょう。
メールワイズ以外のメール送信連携サービス
kintoneのデータと連携してメールを送信できるサービスには、ほかに「kMailer」があります。
kMailerは、請求書などの書類をkintoneのデータと連携させて送信ができ、また視覚的効果の高いHTMLメールの送信が可能です。
ユーザーの反応に応じたメールの送りわけや、分析・改善のための機能を、初心者でもカンタンに使えます。
kMailerで利用できるメールマーケティングの主な機能は以下の通りです。
- 配信結果分析:開封率/クリック率などのメール配信結果をグラフや表で視覚的に確認
- シナリオメール:ユーザーの行動に合わせてメールを自動で送信
kMailerの特徴・強み、メールワイズとkMailerの違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【kintoneと連携】メールワイズとkMailerを徹底比較!
まとめ:メールワイズとの連携でkintoneの利便性を高めよう
多機能なメールワイズは、単体でも十分な機能を備えていますが、kintoneとの連携により効果が高まります。とくに個別送信や一斉送信、メール履歴の表示、テンプレートの活用といった機能は、業務の効率化と精度の向上に大いに役立つでしょう。
トヨクモでは、メール送信業務の効率化と自動化を実現するkintone連携サービス「kMailer(ケイメーラー)」を提供しているので、メールワイズの導入時にはこちらもあわせて検討してください。






