契約書の作成・管理や社内からの法律相談への回答など、法務部の仕事は多岐に渡ります。
ミスが許されず、管理が難しい仕事であるにも関わらず、いまだに紙や口頭でのアナログなやり取りが中心となっている会社も珍しくありません。
そこで法務部の業務効率化に活躍するのが、サイボウズのビジネスアプリ作成ツール『kintone(キントーン)』です。
当記事では、kintoneを法務部で活用するメリットやkintoneで改善できる業務などについて詳しく解説していきます。
法務・知財の仕事をkintoneで改善
kintoneとは、サイボウズが提供しているビジネスアプリ作成クラウドサービスです。
自社の業務に合わせてノーコードでアプリを作成することができたり、顧客情報や案件情報などを始めとしたさまざまなデータをkintoneで一元管理できたりと業種・業界問わず業務のデジタル化や効率化に活用することができます。
法務・知財の主な仕事として、契約書の管理や社内からの法律相談、特許申請管理などが挙げられます。
このようなデータの保管が必須となる仕事や単純に量が多く管理が難しい仕事の業務改善には、データの一元管理や申請フローの効率化などに長けているkintoneがぴったりです。
法務・知財の業務改善に役立つkintoneの機能
kintoneの機能の内、特に法務・知財の業務改善に役立つ機能を5つピックアップして解説いたします。
アプリの作成機能
kintoneでは、自社の業務スタイルに合わせたオリジナルのアプリをノーコードで作成することが可能です。
法務の仕事と一概にいっても、会社によって管理方法やフローに違いが出てくるかと思います。
テンプレ形式のみのツールを利用すると管理責任者の設定ができなかったり、取引内容のメモが取れなかったりと思わぬ不便が生じる可能性がありますが、kintoneなら自社の業務で必要となる項目のみを設けた業務用のアプリが作成できるため、過不足のない完璧なアプリを作成できます。
検索・出力機能
kintoneで管理しているデータは、kintone上の検索ボックスにキーワードを入力するだけで簡単に検索することが可能です。
多くの場合、契約書は保管したら終わりではなく、契約締結日・満了日、取引内容などを度々確認する必要が出てくるかと思います。
紙や個々のPC上のExcelなどで管理していると探すだけでも一苦労ですが、kintoneなら顧客名などで検索するだけで簡単に対象となるデータを見つけることができるため、大幅な時間短縮が見込めます。
また、kintone上のデータはCSVファイルで書き出したり、kintone連携サービスPrintCreatorを使用して自由なフォーマットに乗せてPDFファイルとして出力することも可能です。
プロセス管理
kintoneのプロセス管理とは、複数のユーザーで行う業務を管理できる機能です。申請の承認や稟議の決裁など、1人で完結せず複数の担当者で進めていく業務で役立ちます。
例えば、契約書の作成から確認のフローが「作成→上長確認→リーガルチェック」となっている場合、「作成:営業担当、上長確認:営業部長、リーガルチェック:法務部社員」を担当者として設定して、今誰が何をしているのか進捗状況を可視化することができます。
リマインダー通知
kintoneでは、日時や条件をあらかじめ設定しておくことで、条件を満たした際に対象となるユーザーにメールやkintone上で通知を送ることができます。
どの仕事でも期限を守ることは大切ですが、特に法務の業務において期限を超過してしまうと大きな損失や信用問題に繋がるケースも珍しくありません。
kintoneなら、契約満了1ヶ月前に〇〇に△△というメッセージを通知するなど自由に設定できるので、通知を見れば何をすれば良いのか瞬時に把握することができます。
メンション機能
kintoneでは、特定のユーザーや組織に対してメッセージを送ることができます。
この機能をkintoneではメンションと呼び、法務部のみが閲覧できるスペース内や案件ごとのコメント欄でも使用することが可能です。
メンションを送ることで対象がはっきりし、文字のデータとしてやり取りが蓄積されていくので、その後のナレッジ共有などにも活用できます。
kintoneで改善できる法務・知財の業務一覧
kintoneを活用することで改善できる法務・知財の業務をご紹介します。
契約書管理
kintoneでは、契約書のデータを集約させて、kintone上で一元管理することが可能です。
自社に合わせてオリジナルの契約書管理アプリを作成することができるため、管理担当者や契約締結日・満了日、取引内容などの情報を添付ファイルの契約書と一緒に管理することができます。
他にも、契約書の確認や共有が必要となる場合にkintone上で顧客名などから検索して簡単に見つけることができるなど、管理業務全般の効率化が見込めます。
相談管理
kintoneを活用して、社内の他部門から入る法律相談の管理業務を効率化することができます。
回答内容がkintoneに集約される相談受付フォームを簡単に作ることができたり、回答中や解決済みなどのステータスに分けて進捗状況を可視化できたりと相談管理ツールとして十分な活躍が期待できます。
非効率な口頭でのやり取りを省略したり、相談内容に紐付いたチャットをkintone上で行えたりと円滑で無駄のないコミュニケーションを実現可能です。
また、kintoneではFAQの作成・管理もできるため、よくある質問をFAQとしてまとめて公開したり、相談受付フォームの過去回答を共有したりと法務担当者が圧迫されがちな質問対応にかかる時間を削減することができます。
特許申請管理
kintoneを用いて、特許申請を一元管理することができます。
出願番号や仮払金計上金額など、商標・特許に関する情報をkintone上のアプリに集約させて管理することが可能です。
申請期間に合わせてリマインダー通知を設定しておくことで、自身のkintone通知やメールアドレスにリマインド通知を送って期日漏れを防止することもできます。
取引先管理
取引先を管理するための専用アプリを作成して、kintone上で取引先管理を完結させることが可能です。
他のkintoneアプリからデータを取得するkintoneの機能「ルックアップ」を活用することで、契約書管理と取引先管理の情報を紐付けてまとめて同時に管理することもできます。
また、契約期間や取引内容などの情報がkintone上に蓄積されていくため、長く契約が続いている取引先の業種・業界を集計したり、契約解除に至った取引先とのやり取りを振り返ったりと営業分析にも活用することができます。
法務・知財に役立つサンプルアプリ3選
kintoneでは、部署・業種別に活用できる100種類以上のサンプルアプリが提供されています。
そのまま使うことができるのはもちろん、自社の業務に合わせて必要な項目を追加したり、デザインを変えたりと自由にカスタマイズすることが可能です。
ここでは、法務・知財に役立つサンプルアプリを3つピックアップしてご紹介いたします。
商標・特許管理
商標・特許管理は、各商標や特許の出願番号、金額などの情報をまとめて管理できるサンプルアプリです。
継続中・完了のステータス別に絞り込んで表示することができるため、初めてkintoneを触る方がプロセス管理を学習するのにも適しています。
著作権情報管理
著作権情報管理は、製品のパッケージなどに使用している著作権の情報を管理できるサンプルアプリです。
製作者や出願番号などの著作権の基本情報に加えて、著作権が使用されている製品を一覧で表示することができるため、著作権の情報を1画面でまとめて把握することが可能です。
契約書管理
契約書管理は、契約書の作成依頼から作成後の管理までを一貫して行えるサンプルアプリです。
契約内容が変更になった場合、契約書管理のコメント欄でやり取りをしておくことで、後から変更になった経緯を確認することができます。
更新日や更新箇所を記録できるため、契約書の版管理にも活用することが可能です。
相談受付フォームを作成してみよう!
法務部でkintoneを導入した場合を想定して、実際に法律相談の受付フォームを作成してみます。
今回は簡単にWebフォームを作成できるトヨクモのkintone連携サービス『FormBridge(フォームブリッジ )』を使用して作っていきます。
法律相談受付フォームの作成手順は、以下の3ステップとなります。
- kintoneで法律相談の受付アプリを作成
- 相談受付フォームを作成・公開
- フォームのURLを共有
本来、受付相談アプリに質問を登録するにはkintoneアカウントを所持している必要がありますが、FormBridgeで作成したフォームならkintoneアカウントを所持していない方でも法律相談を登録可能です。
全社的な導入であれば問題ないですが、法務部などの特定部署だけでkintoneの導入を検討している方には、FormBridgeも合わせて利用することをおすすめします。
Step1:受付アプリを作成
まずは、法律相談の受付アプリを作成します。
この後FormBridgeで作成する相談受付フォームに登録される質問は、この法律相談受付アプリに登録されます。
回答希望日、質問タイトル、質問詳細など最低限の項目があれば問題ありません。
Step2:相談受付フォームを作成・公開
FormBridgeに移動して、法律相談の受付フォームを作成します。
最初に作成した法律相談受付アプリのAPIトークンをコピー&ペーストして登録すると、アプリの構成を引っ張ってきてくれるので、ほぼほぼ完成間近の状態からスタートできます。
今回は、元の受付アプリにある回答者や回答内容などの項目を消すだけで完成です。最後に、画面右上の公開を押せば法律相談の受付フォームが公開されます。
Step3:フォームのURLを共有する
法律相談受付フォームを公開したら、フォームのURLを共有しましょう。URLにアクセスして回答するだけの簡単作業でkintoneアカウントがない方でも法律相談を登録できます。
FormBridgeの設定手順については、操作ガイドでもご紹介しているので、ぜひご活用ください。
30日間の無料お試し実施中
今回は、kintoneで法務の仕事を効率化する方法やkintoneを法務で利用するメリットについて解説しました。
自社の業務に合わせたアプリを作成して、契約書管理や法律相談などの業務をデジタル化できるため、紙や口頭でのやり取りが中心となっていて圧迫されている法務部の方は、ぜひkintoneの導入をご検討ください。
kintoneおよび法律相談受付フォームの作成で使用したFormBridgeは、ご紹介した30日間無料お試しを実施しておりますので、少しでも気になった方はぜひこの機会にご活用ください。