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kintoneの関数とは?基本から応用まで使い方を解説

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kintoneは様々な関数を利用できますが、kintone単体では同一アプリ、レコード内のデータしか集計ができません。

しかし、kintone連携サービス「DataCollect」を一緒に使えば、アプリやレコードを横断して、最新のデータを自動集計できます。

そこで本記事では、kintoneで使用できる「関数」やデータコレクトの機能、活用事例などを紹介します。

kintoneを導入中で、アプリ、レコード間のデータを収集し、より精緻な分析に活かしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

>関連記事:わかりやすいkintone(キントーン)とは?特徴・機能、メリットを解説

kintoneにおける「関数」とは

kintoneではアプリに関数(計算式)を設定することで、複数の項目の合計値を出したり、他のフィールドの入力値・選択状態に応じた計算をしたりと、Excelのように数値を扱えます。

関数を組み合わせれば、より複雑な処理が可能となり、ニーズに合わせた柔軟なアプリを作成できます。

kintoneの関数では、フィールドを参照するときにフィールドコードを用います。

kintoneで使用できる基本的関数一覧

kintoneで使用できる基本的な関数は以下の通りです。
関数は大文字と小文字のどちらでも入力できます。

SUM フィールド内の数値の足し算を行います。
YEN 計算結果を3桁区切りの「¥(円)」形式で表示したり、指定した桁数で数値を四捨五入します。
DATE FORMAT 日時の形式やタイムゾーンを指定して表示します。
IF 指定した条件の真偽によって処理を分岐します。
AND 指定した条件が全て成立する場合は真を返し、一つも成立しない場合は偽を返します。条件は32個まで指定可能です。
OR 指定した条件が一つでも成立する場合は真を返し、全て成立しない場合は偽を返します。条件は32個まで指定可能です。
NOT 指定した条件を反転させ、条件が成立しない場合は真を返し、成立する場合は偽を返します。条件は1個しか指定できません。
ROUND フィールド内の数値を四捨五入します。
ROUNDDOWN フィールド内の数値を指定された桁数で切り捨てます。
ROUNDUP フィールド内の数値を指定された桁数で切り上げます。
CONTAINS 指定したフィールドが条件(選択肢)と一致するか、またはテーブル内に条件(検索文字列)と一致する文字列があるかどうか判定します。

kintoneで使用できる演算子一覧

kintoneの計算式では、関数だけでなく「演算子」も組み合わせて使用します。演算子とは、足し算や引き算、比較などを行うための記号のことです。

これらの演算子と、計算が行われる順序を決める「優先順位」のルールを理解することが、意図した計算結果を得るためのポイントです。kintoneで利用できる主な演算子には、以下の種類があります。

+ 数値の足し算を行います。
数値の引き算を行います。
* 数値の掛け算を行います。
/ 数値の割り算を行います。
^ 数値のべき算を行います。
& 文字列または数値を結合します。
= 文字列または数値の値が等しければ真、等しくなければ偽を返します。
!= 「=」の比較結果を反転させたものになります。
<> !=と同様の結果になります。
< 左の値が右の値より小さければ真、右の値以上であれば偽を返します。
<= 左の値が右の値以下であれば真、右の値より大きければ偽を返します。
> 左の値が右の値より大きければ真、右の値以下であれば偽を返します。
>= 左の値が右の値以上であれば真、右の値より小さければ偽を返します。

これらの演算子がひとつの計算式の中に複数含まれる場合、kintoneでは以下の優先順位で計算されます。

  1. 「+」「 -」(正符号および負符号の単項演算子:+1、-2など)
  2. 「^」(べき算)
  3. 「*」「/」(掛け算と割り算)
  4. 「+」「-」(足し算と引き算)
  5. 「&」(文字列演算子)
  6. 「=」「!=」「<>」「<」「>」「<=」「>=」(比較演算子)

たとえば「100+50*2」という式では、まず「50*2」が計算され、その結果の「100」に「100」が足されるため、答えは「200」です。もし先に「100+50」を計算したい場合は、かっこを使って「 (100+50)*2」と記述します。かっこで囲まれた部分が優先されるため、この場合の答えは「150*2=300」となります。

【応用テクニック】kintoneで関数を使うポイント

ここからは、より実践的な活用ポイントや応用テクニックから以下の3つを紹介します。

  • Excelとの違いや併用方法
  • 複数の条件分岐を設定する方法
  • LEFT・RIGHT・MID関数を使用する方法

kintoneの関数は非常に便利ですが、基本機能だけでは実現が難しい処理も存在します。さらにkintoneを使いこなすために、ぜひ参考にしてみてください。

Excelとの違いや併用方法

kintoneの関数には、Excelとの違いがいくつかあります。

まず、kintoneはデータベース型のツールなので、Excelのようにセルを指定するのではなく、「フィールドコード」を使ってレコード内の値を参照します。この根本的な構造の違いを理解することが第一歩です。

次に注意すべきは、計算が実行されるタイミングです。kintoneの計算フィールドは、基本的にレコードが保存されたときに値が更新されます。そのため、Excelのように関連するセルの値を変えただけでは、計算結果が即座に変更されません。

とくに重要なのは、アプリにあとから計算フィールドを追加したり、計算式を変更したりした場合、既存のレコードは自動的に再計算が行われないという点です。既存データに新しい計算式を反映させるには、レコードを1件ずつ更新するか、CSVファイルで一括更新するといった作業が必要になります。

また、Excelで多く使われるVLOOKUP関数やSUMIFS関数などは、kintoneの基本機能では用意されていません。しかし、同じような処理は、以下のような機能を使って実現可能です。

  • ルックアップ機能
  • 関連レコード機能
  • プラグイン
  • JavaScript

これらの違いを踏まえ、データの一元管理や共有はkintoneで行い、複雑な分析やシミュレーションはExcelで行って結果をkintoneに取り込む、といった併用も一つの方法でしょう。

複数の条件分岐を設定する方法

kintoneのIF関数を応用することで、複数の条件に応じた柔軟な処理を設定できます。

「もし〇〇ならA、△△ならB、どちらでもなければC」といった条件分岐を実現する基本的な方法は、IF関数の中にさらにIF関数を入れる「入れ子(ネスト)」です。

たとえば、テストの点数に応じて成績を「優(80点以上)」「良(60点以上)」「可(60点未満)」と判定する場合、「IF(点数>=80, “優”, IF(点数>=60, “良”, “可”))」のように記述します。偽の場合の値の部分に、次のIF関数を入れることで、条件を段階的に判定可能です。

また、複数の条件を組み合わせたい場合は、AND関数やOR関数を条件式部分に組み込みましょう。

「契約月数が12ヶ月以上」かつ「取引金額が50万円以上」の顧客を「優良」とするには「IF(AND(契約月数>=12, 取引金額>=500000), “優良”, “通常”)」と記述します。AND関数は、指定したすべての条件が真の場合に真を返します。

同様に、「ステータスが緊急」または「優先度が高」の場合に「至急対応」とするには「IF(OR(ステータス=”緊急”, 優先度=”高”), “至急対応”, “通常対応”) 」のようにOR関数を使いましょう。OR関数は、指定した条件のいずれかが真であれば真を返します。

このように複数条件を指定できるのは便利な一方で、IF関数の入れ子が深くなりすぎると、式が複雑で理解しにくくなります。3段階を超えるような場合は、計算処理をいくつかの中間フィールドに分けたり、専用のプラグイン導入を検討したりすると管理しやすくなるでしょう。

LEFT・RIGHT・MID関数を使用する方法

Excelで文字列を扱う際によく使われる以下の関数は、kintoneの基本機能では使用できません。

  • LEFT関数(左から指定文字数を抽出)
  • RIGHT関数(右から指定文字数を抽出)
  • MID関数(指定位置から指定文字数を抽出)

そのため、「商品コードの最初の3文字だけを取り出したい」といった処理が必要な場合、別の方法を検討する必要があります。

その主な代替方法は2つあります。1つは「プラグイン」や「kintone連携サービス」を導入する方法です。高機能なプラグインやkintone連携サービスの多くは有料ですが、導入の手間が比較的少なく、Excelに慣れた方には使いやすいでしょう。

もう1つの方法は、「JavaScript」を利用する方法です。JavaScriptには標準で文字列を操作するための豊富な機能(メソッド)が備わっています。プログラミングの知識が必要になりますが、プラグインよりも自由度が高く、より複雑な処理や他のシステムとの連携も可能になります。

どちらの方法がいいかは、予算や実現したいことの複雑さ、プログラミング知識の有無などを考慮して判断するのがおすすめです。まずは、要件に合うプラグインがないか探してみるのが手軽な第一歩です。

関数を使うのに便利なプラグイン・kintone連携サービス

kintoneの基本機能だけでも多くのケースに対応できますが、「Excelで使っていたあの関数を使いたい」「複数のアプリのデータをまとめて集計したい」といった場合は、基本機能だけでは実現できないことがあります。

しかし、このような場合も「プラグイン」や「kintone連携サービス」を活用することで解決可能です。代表的なものとしては、以下のようなものがあります。

  • DataCollect:複数のアプリやレコードからデータを集計し、結果を別アプリに書き出すことで情報の一元管理を実現できる
  • Smart at tools for kintone Excel:Excelのデータをkintoneに取り込むことが可能になる
  • krewSheet:一覧画面をExcelのように操作でき、Excel関数も利用可能になる

基本機能で実現したい計算が難しい場合は、まずは課題を解決できるプラグインやkintone連携サービスを探してみるのがおすすめです。kintone公式サイトの一覧ページや、各プラグイン開発会社のWebサイトなどで探してみましょう。無料で利用できる試用期間があれば、実際に機能や使い勝手を確認することも可能です。

参考:kintone(キントーン)- プラグイン・連携サービス

『DataCollect』を活用することでアプリ・レコード間の集計が可能に

kintoneでは関数を用いて計算ができるものの、同一アプリ・レコード内のデータしか集計できません。また、kintoneで対応していない関数は、Excelで計算しなければならない場合もあります。

そのような問題を解決するのが、kintone連携サービス「DataCollect」です。

DataCollectを利用することで、kintone内の異なるアプリやレコードを横断して、データを集計できます。

>関連記事:データコレクトとは?できること・使い方

以下で、DataCollectでできることや機能を見ていきましょう。

Excelと同じ操作感でアプリ・レコード間のデータ集計が可能

kintone内の複数アプリ・レコードに散在している情報を収集・計算・加工できます。
一つのアプリに様々なデータの集計結果を蓄積できるため、情報の一元管理を行えます。

また、Excelをはじめとする表計算ソフトと同じ手順で、関数や数式を設定可能です。

さらに、レコード詳細画面の「DataCollectする」ボタンをワンクリックするだけで、簡単に他のアプリの実績を参照して集計したり、レコード一覧画面からまとめて一括集計したりできます。

Excelに慣れている方はもちろん、IT初心者の方でも操作しやすいです。

事前のスケジュール設定により情報の自動集計が可能

定期的なスケジュールを設定して、情報を自動集計できます。

スケジュール実行は毎日、毎週、毎月から設定可能です。

事前に設定しておくことで、ボタンを押さなくても情報が収集・計算されるため、情報の集計漏れ、更新忘れを防げます。

週末に週報をまとめたり、月末に請求データを作成したりするのに役立ちます。

リアルタイム集計で最新の情報がすぐに手に入る

kintone内のアプリにwebhookを設定することで、レコードの追加・編集・削除・ステータス更新きっかけに自動的にリアルタイムでデータを集計できます。

例えば、商品の購入申し込みがあり、申し込みアプリにレコードを追加した場合、売上管理アプリが自動で集計され、売上が計上されます。

複数のアプリを跨いで、常に最新の数値情報を把握可能です。

kintone×DataCollectの活用事例

次に、kintoneとDataCollectを活用して、具体的にどのようなことができるのかを解説します。
自社業務にDataCollectを使えるか検討したい方は、ぜひ参考にしてください。

予実管理

kintoneでは案件ごとの受注額や受注状況を入力する案件管理アプリを作成できます。
拠点ごとの予算がある場合、一目で予算と実績を比較したいものです。

そこで、案件管理アプリを集計する「予実管理アプリ」を作成することで、DataCollectを通じて予算の達成状況を確認できます。予実管理アプリでDataCollectすれば、これまでの実績と予算が集計され、予算達成率が自動で表示されます。

>関連記事:kintoneで予実管理を行う方法は?プラグイン&連携サービスも紹介

在庫管理

受注管理アプリと発注管理アプリを別々で運用している場合、受注数と発注数が変化する度に、在庫数を手動で更新しなければなりません。

手動で作業する場合、在庫の更新を忘れたり数値を間違えてしまったり、商品数が増えるにつれ目視での確認が大変になりやすいです。

しかし、受注管理アプリと発注管理アプリを集計する「在庫管理アプリ」を作成して Datacollect すれば、在庫状況をリアルタイムで確認できます。また、Webhook連携を設定することによって、注文が入ったタイミングで自動で在庫数が更新されるようになります。

>関連記事:kintoneで在庫引当|有効在庫数を常に最新にする方法

勤怠管理

社員の勤怠管理を行う際は、勤務時間を正確に把握する必要があります。正しい記録に基づいて計算することで、給与計算のミスや不正を防止できます。

そこで、勤怠管理を効率的に正確に行うために役立つのが、データコレクトです。

タイムカードアプリと休暇申請アプリを集計する「勤怠管理アプリ」を作成して Datacollect すれば、自動で社員の残業時間や残りの有給日数を算出できます。

>関連記事:kintoneで勤怠管理~データコレクトで月の残業時間を算出してみた~

経費精算

kintoneで経費申請アプリを作成した場合、交通費や宿泊費など、一人の社員でも毎月様々な経費の申請が行われます。月末の経費精算の際、大勢の社員の経費を計算するのは簡単な作業ではありません。

そこで、経費申請アプリを自動集計する「経費精算アプリ」を作成して Datacollect することによって、毎月精算する経費をまとめて集計できます。それぞれの社員が申請した経費の合計を一度に算出できるため、経費精算作業の手間を減らせます。

DataCollectを連携させて、kintoneの関数計算をより高度なものに

今回はkintoneで使用可能な「関数」の種類やDataCollectの機能、活用事例などを解説しました。
DataCollectを連携させて使うことで、kintone内の複数の情報を一元管理し、より高度で複雑な集計が可能となります。
会社経営にも重要である精緻な数値分析に役立つでしょう。

DataCollectは30日間の無料お試しを何度でもお申込いただけます。ぜひお気軽にお手元でお試しください。

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