ビジネスのデジタル化が進む現代において、企業が競争力を維持するために欠かせないのが、効率的な業務管理システムの導入です。そのなかでも、注目を集めるのがkintone(キントーン)です。
Excelを使用しているものの、kintoneに切り替えるかどうか悩んでいる担当者は多いでしょう。そこで今回は、kintoneとExcelの違いやメリットなどについて解説します。
kintoneとExcelの違い
kintoneは、Excelと同じように表の作成ができます。kintoneとExcelの違いは以下のとおりです。
- 項目の設定方法
- データの同時編集/リアルタイム共有
- 行の高さ調節
- 入力内容の統一
- 細かなアクセス権の設定
- 専用チャットの有無
- 忘れ防止の通知機能
- プロセス管理(ワークフロー)
- グラフ機能(集計)
それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
項目の設定方法
項目の配置方法について、Excelはセルに直接入力するのに対し、kintoneは入力内容に合ったパーツをドラッグ&ドロップで配置し、入力項目を作成していきます。
データの同時編集・リアルタイム共有
kintoneはクラウドサービスのため、IDやパスワードを使ってログインすれば、外出先でもPCやスマートフォンからデータの登録や確認ができます。たとえば、営業担当者が外出先で顧客情報を更新した場合、その情報が即座にデータベースに反映されます。
Excelと違い、スマートフォンからのデータ入力画面も最適化されているため、外出先からのデータ登録や編集も容易にできます。
データの単位は一行単位なため、違う行のデータであれば同時に編集することも可能です。同じ行のデータを同時に編集開始した場合は、先に保存したものが反映されます。
行の高さ調節
Excelで長文を書くと、行の高さが一定でなくなり、見づらくなることがあります。また、追記して行くと行の高さが広がり、さらに見づらくなります。
その点kintoneは、文章が短縮化され、マウスカーソルを合わせるだけでデータの詳細画面が表示されるため、レイアウトが崩れません。
入力内容の統一
kintoneを使用すると、ラジオボタンやチェックボックスなど、選択肢系の入力項目を簡単に設定できます。さらに、ルックアップ機能を利用することで、マスターデータから項目をコピーしてくることも可能です。これにより、入力する人による内容のバラつきを防げます。
細かなアクセス権の設定
kintoneでは、閲覧禁止や編集禁止、誤削除防止などのアクセス制限をユーザーや部署/役職単位で細かく設定できます。アクセス権の設定パターンは以下のとおりです。
- データすべてを閲覧禁止
- データの一部を閲覧禁止
- データの編集を禁止
- 特定のステータスになったら編集を禁止
- 特定のステータスになったら削除を禁止
- 特定のユーザーだけCSV(Excel)でのダウンロードを許可
データすべてを閲覧禁止
ユーザー単位や部署単位だけでなく、プロジェクトチーム単位でもアクセス権をコントロールできます。ユーザー単位でアクセス権を設定するのには時間はかかりますが、プロジェクトチーム単位であれば短時間で設定できるため、業務効率化につながります。
データの一部を閲覧禁止
kintoneは、データの一部を閲覧禁止に設定できます。たとえば、見積書作成時に商品マスターから定価や卸値を取得する際、卸値を特定のユーザーに表示させたくない場合があります。
kintoneでは、項目ごとに細かくアクセス権を設定できるため、柔軟な対応が可能です。
データの編集を禁止
kintoneは、特定のメンバーに対してデータの編集を禁止できます。たとえば、他部署のメンバーや重要なデータに対して編集権限を与えたくない場合があるでしょう。特定のメンバーの編集を禁止することで、重要なデータの漏えいや不正な編集を防止できます。
特定のステータスになったら編集を禁止
kintoneでは、特定のステータスに達した場合にデータの編集を禁止できます。たとえば、「申請中」や「承認済」などのステータスに達した時点で、データの編集を制限することで、承認後にデータが書き換えられるリスクを解消できます。
特定のステータスになったら削除を禁止
特定のステータスになった場合にデータの削除を禁止できます。たとえば、誤削除を防止するために「承認済」のステータスになったら、削除ボタンを非表示にするなどの活用が可能です。
特定のユーザーだけCSV(Excel)でのダウンロードを許可
顧客リストや注文情報など、重要なデータを簡単に持ち出せないようにダウンロードを禁止できます。
専用チャットの有無
kintoneは、データ一つひとつにチャット形式でコメントが行えます。
▲出典:kintone公式「日報」
トヨクモでは、このコメント欄を多用しています。お客様の対応履歴を残すことで、進捗や間違った案内をしていないかの確認、アドバイスなどができます。
宛先として、ユーザー単位だけでなく部署や全体も選択できて、kintoneのスマートフォンアプリやメールで通知が受け取れるので便利です。また、途中で案件やお問い合わせを引き継いでも、これまで何があったのか一目で分かるため、引き継ぎのミスを軽減できます。
▲出典:kintoneヘルプ「通知を確認する」
忘れ防止の通知機能
kintoneは、さまざまな通知設定に対応しています。
通知はkintoneの通知画面に出てくる他、kintoneのスマートフォン専用アプリやメールでも受信できます。
通知の設定例には、下記のようなものがあります。
- データが追加されたら通知
- 指定の日時になったら案件担当者へ通知
- 見込時期の1か月前に通知
- 確度がAになったら上長へ通知
- kintoneモバイルのプッシュ通知
データが追加されたら通知
kintoneには、さまざまな連携サービスと連携ができます。そのなかでトヨクモが提供する、「FormBridge(フォームブリッジ)」を利用すると、お問い合わせフォームや申込みフォームから送信された情報をkintoneにデータを追加できます。
データが追加されたら関係部署のメンバー全員に通知されます。プロセス管理機能の「対応開始」を押せば、対応中のステータスに変えたうえで「●●さんがお問い合わせの対応を開始しました」と通知を飛ばすことも可能です。
指定の日時になったら案件担当者へ通知
日時入力できる項目を設定し、次回連絡日として日時指定をしておけばリマインド通知されるため、連絡漏れを防止できます。
見込時期の1ヶ月前に通知
入力してある日付の30日前に案件の担当者へ通知する設定も行えます。上司も案件の状況をリアルタイムで把握できます。
確度がAになったら上長へ通知
kintoneは日付だけでなく、特定のステータスや、一定の数値以上になった場合などに通知を出すことができます。
kintoneモバイルのプッシュ通知
kintoneモバイルのプッシュ通知機能を活用すると、スマートフォン上でリアルタイム通知を受け取れます。重要な情報を迅速に共有することで、業務効率化や意思決定の迅速化につながります。
プロセス管理(ワークフロー)
プロセス管理を設定することで、ボタン1つで簡単にステータスを変更し、ワークフローの設定が可能です。
複数の絞り込み条件の結果を一覧表示させることが可能なため、未対応や承認済みといったステータスのものを素早く確認できます。
さらに、トヨクモの提供する「PrintCreator(プリントクリエイター)」を利用することで、見積もりの承認を上司から得て、印刷やダウンロードなどの作業を容易に行うことも可能になります。
グラフ機能(集計)
kintoneは登録されているデータを集計して、簡単にグラフを作成できます。
円グラフや棒グラフなどがあり、プルダウンから選択することで目的別のグラフに簡単に切り替えられます。
▲出典:kintoneヘルプ「グラフ機能の概要」
ただし、kintoneは利用できる関数が少なく、違う場所にあるデータ同士の計算は苦手です。そのような場合に役立つのが、利用できる関数を増やして集計機能を増強する「DataCollect(データコレクト)」です。
DataCollectがあればSUMIFやCOUNTIF関数など、kintoneの基本機能にはない関数が利用可能になり、予実管理や在庫引当など、さまざまな集計が行えるようになります。
kintoneの料金体系とお得な使い方
kintoneは利用ユーザー1人につき、1つのライセンスを購入する料金体系です。初期費用は無料で、コースは下記の2種類があります。
ライトコース・・・780円(税別)/月
スタンダードコース・・・1,500円(税別)/月
▲出典:kintone公式「料金」
2つのコースの最大の違いは、連携サービスやプラグインといった、拡張機能が利用できるかどうかです。
kintoneは基本機能だけでもExcel以上のポテンシャルを持ちますが、スタンダードコースを契約したうえで連携サービスと呼ばれるオプションを追加契約することで、さらに業務効率を向上できます。
kintoneのお得な使い方
kintoneの使い方によっては上位のスタンダードコースを契約したほうが、コストを低く抑えられる場合があります。
たとえば、スタンダードコースを契約し、kintone連携サービス「FormBridge(フォームブリッジ)」を利用したとします。
FormBridgeによってkintoneにデータを登録できるWebフォームを簡単に作成できて、フォームから送信された情報が直接kintoneにデータとして保存されます。
つまり、FormBridgeを活用すればkintoneのライセンスがなくても、業務日報や作業報告などのデータが登録できるのです。
FormBridgeを利用するには、追加で6,000円(税別)〜/月の費用が発生しますが、日報などの報告者が数十人以上になる場合は、「スタンダードコース×FormBridge」のほうがコストを安く抑えられます。
その他にも、FormBridgeは、お問い合わせフォームやセミナー申込みフォーム、アンケートフォームなどがいくつも作成できるといったメリットもあります。
kintoneはkViewerとの組み合わせもおすすめ
前述のFormBridgeは、外部から入力された情報をkintoneに登録するサービスです。「kViewer(ケイビューワー)」を使うと、kintoneのライセンスがなくてもkintoneの情報が閲覧できるようになります。
kintoneスタンダードコースにkViewerを組み合わせれば、見せたいデータだけに表示を絞り込んだURLが発行可能になるため、kintoneのライセンスがなくてもデータの閲覧ができます。
kViewerも6,000円(税別)〜/月で利用できるため、データの登録や編集はしないものの、情報を見せたい社員や取引先が多数いる場合は、上位のスタンダードコースとkViewerを利用したほうがお得です。
kintoneの最低契約数は5ユーザーで、どちらのコースでも1ユーザーあたり5GBの容量が無料で付与されます。つまり5ユーザー契約すると、25GBのデータが保存できます。一人のユーザーが25GB使っても問題ありません。
よほど大容量で重い動画などを多数保存しない限りは十分な容量でしょう。万が一、容量が足りなくなった場合は、1,000円(税別)で10GB追加できます。
kintoneとExcelに関するプラグイン
kintoneで作成したデータをExcelに出力したり、Excelデータをkintoneに読み込ませたりできます。kintoneとExcelに関わるプラグインを2つ紹介します。
1.Excel出力ソリューション
「Excel出力ソリューション」はタイムコンシェル社が提供する、kintoneのデータをExcelファイルに出力するためのプラグインです。多様な形式のExcelフォーマットに対応しているため、自社で利用しているExcelファイルに合わせたカスタマイズが可能です。
kintoneの利用が浸透しない、Excelでなければ作業が難しい従業員がいるなどのケースでは、Excelファイルに出力することも検討しましょう。
価格は、スタンダードコースの利用料金に加えて、月額利用料3,000円(税別)、初期制作費150,000円(税別)です。
2.Excel読み込みプラグイン
ノベルワークス社が提供する「Excel読み込みプラグイン」を利用することで、ExcelやCSVファイルを、一覧画面からファイルドラッグで簡単にkintoneへインポートできるようになります。頻繁に読み込むファイルの紐づけ設定を保存すると、毎回設定する手間を省くことも可能です。
価格は、月額2,000円(税別)または、買い切り50,000円(税別)で、お試し申込みもできます。
まとめ:kintoneとExcelの違いを踏まえ導入を検討しよう
この記事では、KintoneとExcelの違いやメリットについて解説しました。
kintoneはExcelと比べて便利な機能が多数搭載されており、使いこなすことで業務効率やセキュリティ性が格段に向上します。kintoneが自社の業務に適しているかどうか判断したうえで、導入を検討しましょう。
トヨクモでは、kintoneの基本機能ではできない業務改善を実現するために、さまざまな連携サービスを提供しています。さらに便利にkintoneを使いたい場合はご相談ください。