kintone(キントーン)はプログラミングの知識がなくてもノーコードで業務のシステム化や効率化を実現するアプリがつくれるため、その手軽さから多くの企業で導入されています。現場で使う小さなシステムから事業のコアになるシステムまで、様々な業務を効率化することが可能です。
また、標準機能では100%実現ができない業務もありますが、kintoneの強みである拡張機能や外部連携サービスの豊富さでkintone活用の可能性を無限大に広げていくことが可能です。
今回はkintoneの活用範囲を広げ、あらゆる業務をカバーする「連携」について、解説いたします。
kintone導入済みで、作成したアプリをより活用しやすくブラッシュアップしたいと考えている方、kintoneの標準機能だけでなく連携機能を使ってアプリに拡張性を持たせたいと考えている方、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
kintoneにおける「連携」とは
kintoneは、アプリ作成の容易さと後からいつでも・簡単に運用に合わせてアプリを変更できるというカスタマイズ性の高さが魅力です。
しかし、標準機能だけでアプリを作成し、業務効率化を図ることもできますが、実際に業務を進める上では「あとこの機能さえあれば・・・」などと思うケースもあるはずです。
そんな標準機能では手の届かないところを補うのがkintoneにおける連携であり、具体的には”拡張機能”や”外部連携サービス”の利用になります。
データの連携を行うことで、kintone内のデータをアプリ間や外部システム間で利用することが可能です。
kintoneに備わっている連携機能
kintoneでは、以下の機能を使うことでアプリ間のデータ連携が可能です。
①ルックアップ機能
他のアプリに登録されている情報を参照してデータを取得(コピー)できる機能です。
例えば、受注管理アプリで顧客情報を入力する必要がある時、顧客情報を管理するアプリを作成し、ルックアップ機能を活用すれば、受注管理アプリから顧客管理アプリの情報を取得(コピー)することが可能です。
複数のフィールドを一度に取得できるので入力の手間が省ける他、顧客名などの表記揺れ(全角・半角入力の違い、英字表記・ひらがな表記・カタカナ表記の違い等)を防止できます。
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②アプリアクション機能
指定したアプリにレコードのデータを転記できる機能です。
例えば、受注管理アプリで顧客情報を入力する際、顧客管理アプリから顧客情報を転記することが可能です。
ルックアップでは受注管理アプリでレコード追加もしくは編集の画面を開き、受注管理アプリ側から顧客情報を取得しますが、アプリアクションでは顧客管理アプリから顧客情報を転記しつつ受注管理アプリのレコード追加を行います。
③関連レコード一覧機能
レコード詳細画面に「条件に一致したレコード」を一覧表示できる機能です。
他のアプリと同じアプリのどちらのレコードも表示可能です。
例えば、顧客情報と案件情報を別々のアプリで管理している場合、顧客管理アプリに関連レコード一覧フィールドを配置し、案件管理アプリの「顧客名」フィールドと紐づければ、顧客名が一致した案件情報を顧客管理アプリに一覧表示できます。
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他社サービスとkintoneの連携
kintoneの機能を拡張してくれる追加システムのことを拡張機能と言います。
トヨクモを始めとするサイボウズ社以外の企業により開発された拡張機能を使うことで、kintoneの拡張性を更に高め、kintone内外へのデータ連携が可能になります。
トヨクモ製品とkintoneの連携
トヨクモでは、kintone連携サービスを多数開発・販売しており、簡単な設定でkintoneの標準機能にない帳票作成やkintone外への情報共有、メール送信等が可能なサービスを提供しています。
サービス名 | 機能 |
FormBridge | Web上に公開するフォームを作成できるサービス
アンケート・会員登録申し込み・問合せ受付等のフォームを簡単に作成できます。 入力された内容は自動的にkintoneアプリへ登録されます。 |
kViewer | kintoneアプリのデータを外部に公開するためのサービス
kintoneライセンスを保有していないユーザーもkintoneアプリの情報をリアルタイムに閲覧することが可能になります。 |
kMailer | kintoneからメール送信できるサービス
kintoneアプリに登録されているデータを引用することができ、テキストはもちろん添付ファイルも含めてメール送信することが可能です。 |
PrintCreator | kintoneから帳票出力を可能にするサービス
kintoneアプリに登録されているデータを引用して帳票出力が可能です。 帳票はPDF形式で作成されます。 |
DataCollect | kintone内の複数アプリ間でデータの収集・計算・加工ができるサービス
関数を利用した計算や、kintone標準機能では実現できないアプリ間の集計を可能にし、集計作業の自動化を実現できます。 |
kBackup | kintoneアプリから自動でバックアップデータを作成するサービス
kintoneアプリに登録されたデータと添付ファイルをバックアップdできるので、万が一データが消えてしまった際に備えることができます。 また、作成したバックアップデータは全レコードリストアすることも1レコードだけ選択してリストアすることもできます。 |
kintoneとトヨクモ製品を連携して実現できることを3つ紹介します。
活用事例①:マーケティングへの活用
データを収集・分析し、顧客獲得のための施策を練るのにkintoneと「FormBridge」との連携が有効です。
ノンプログラミングで高機能なアンケートフォームや申し込みフォームが簡単に作成できるので、例えば資料請求フォームを作成し、自社HPに設置することができます。
電話や紙での受付と異なり、24時間資料請求を受け付けることが可能です。
また、入力された情報はkintoneアプリにそのまま登録されるため、後の対応や分析がしやすいのもメリットです。
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活用事例②:帳票形式で一括出力
業務アプリを作成する中でkintoneアプリ内のデータを帳票形式で出力したくなるケースは非常に多くあります。
kintoneの標準機能でもアプリ内のデータを出力することはできますが、一覧からの一括出力はアクセス権を持つユーザーのみ可能なcsv形式での出力に限られます。
また、印刷機能はアプリの画面そのものが出力されるためデザイン性に難がある上に出力したくないフィールドを印刷結果から省くことができず、一覧からの一括出力もできません。
「PrintCreator」を活用すれば見た目にこだわった帳票形式で出力ができ、一覧からの一括出力も可能になります。
既存で使っている見積書や請求書などのPDFをアップロードして帳票テンプレートとし、マウス操作で必要な項目を配置するだけでkintoneデータを出力する印刷設定が可能です。
また、「PrintCreator」は「FormBridge」と連携すれば、HP上からお客様自身が必要な情報を入力し、見積書を発行できます。
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さらに「kViewer」を使えば、製品情報アプリから製品名や値段などのデータを自動入力させて見積書作成時のミスや入力の手間を減らすことができます。
「kMailer」を使えば、作成した請求書を自動でお客様にメール送信することが可能です。
請求情報は万が一にも削除されることがあってはならないため「kBackup」を使って定期的に自動でバックアップデータを作成するようにしても良いでしょう。
医療業界でも活躍するトヨクモ製品とkintoneの連携
kintoneはあらゆる業界・職種で導入されていますが、医療業界という意外な場面でも活用されています。
リハビリ治療を中心とした回復期・慢性期病院では、医療情報の電子化への対応や現場で働く医師・看護師の業務効率改善に向け、システム基盤をkintoneにして電子カルテシステムを実現した事例があります。
また、ある医療機関においてはFormBridgeで予約フォームを作成し、kViewerで外部に向けて予約情報を公開することでkintoneライセンスを持たない人でも予約可能になっています。
患者に問診票の事前入力を促すこともでき、予約内容や患者の状態に関するデータをkintoneで確認可能となり、スムーズな予約受付システムを構築しています。
なお、FormBridgeやkViewerでは、Toyokumo kintoneApp認証によってフォームやビューへのアクセス制限ができます。
ユーザーはメールアドレスによる認証を通過しない限り、フォームやビューにアクセスできず、認証を通過するとメールアドレスに紐づいた個人の情報だけが公開されます。
医療機関においては、患者のメールアドレスにアクセス権を付与することで、患者一人ひとりの過去の問診内容や処方された薬の一覧等を確認できるページが作成可能です。
このように医療業務の効率化や人員不足の課題解決にも、トヨクモ製品とkintoneとの連携サービスが活用されています。
kintoneの連携機能を使う際の注意点
ここまで連携サービスの利用を含めたkintoneの連携機能について解説してきましたが、連携機能を使う際の注意点についても解説致します。
外部サービスを使う場合のコスト
一点目の注意点が「コスト」です。
kintoneの標準機能であればユーザーライセンスの利用料金だけで追加の費用負担はありませんが、連携サービスを活用する場合は別途月額や年額での利用料金がかかります。
連携サービスを利用する場合、kintone環境のユーザーライセンス契約数で利用料金が決まるパターンや、1つのkintone環境に対して利用料金がかかるパターンなどコストのかかり方は様々ですが、費用対効果を考慮して導入すべきと言えます。
外部サービスを使いこなすまでの時間
二点目の注意点が「外部サービスを使いこなすまでの時間」です。
各種プラグイン・連携サービスはそのほとんどがサイボウズ社以外の企業にて開発されており、画面の見た目や操作感がkintoneと一部異なる場合があります。
また、標準機能はアプリを増やしていく段階でよく使う機能であるため慣れるのが早いですが、プラグイン・連携サービスは利用頻度が少ない場合、慣れないケースがあります。
また、プラグイン・連携サービスは無料お試し期間を利用できることが多いです。検証にはある程度の時間がかかることを見越して、満足のいく検証結果が得られるよう、まとまった時間を確保したうえでのお試し開始を推奨致します。
情報セキュリティ
三点目の注意点が「情報セキュリティ」です。
kintone内の情報は原則kintoneのライセンスを持つ人しか閲覧できませんが、プラグイン・連携サービスを使うことで一部の情報をライセンスを持たない外部の人に開示することもできます。情報を開示する際は、どこまでを開示するかを厳密に決めることが重要です。
また、アクセス可能なIPアドレスの制限やID・パスワードでの認証等についてもしっかり設定することを推奨します。
kintoneと連携サービスで可活用の幅を広げよう
kintoneの活用範囲を広げ、あらゆる業務をカバーする方法を解説しました。
標準機能では100%実現ができない業務もあるので、kintoneの強みである拡張機能や外部連携サービスの豊富さを活かし、kintone活用の幅を広がります。、
今回紹介したトヨクモ製品は全て30日間のお試し期間を設けています、解決したい課題や実現したい要望等が具体的にある場合には、お気軽にを活用してみてください。