トヨクモが主催する「トヨクモ kintone フェス 2023」は、デジタル化して効率的に業務改善する珠玉のアイデアを学び・広める、2日間のオンラインイベントです。2023年のテーマは、「やれるっ、できるっ、キントーン!」で、よりトヨクモ製品をカンターンに活用し、業務改善ができる、そんな活用の事例をご紹介いただきました。
今回は、公益社団法人神奈川県社会福祉士会 事務局次長 一色茂雄氏に語っていただきました。
団体概要
公益社団法人神奈川県社会福祉士会は、神奈川県内に在住在勤の社会福祉士を有する者が任意に加入する、職能団体です。神奈川県内における、社会福祉の増進及び県民の生活の向上に寄与することを目的に設立されました。
社会福祉士は、福祉が必要な方の相談に応じ、福祉・医療・保健などのサービスやさまざまな社会に存在する資源と、福祉を必要とする方を結び付けることを業とした国家資格です。
昨今、福祉サービス以外に、 医療・保健・学校・司法・災害などでも社会福祉士が活動するなど、社会福祉士の活動の範囲が拡大しています。神奈川県社会福祉士会は、社会福祉士の活動範囲の拡大に伴い、研修や関係機関・団体との連携を強化しています。 (一色氏)
導入しているトヨクモ製品
弊社が導入しているトヨクモ製品は、以下の4つです。(一色氏)
導入製品:フォームブリッジ、kViewer、プリントクリエイター、kMailer
トヨクモ製品導入前の悩み・課題
本会では、成年後見人などを担える社会福祉士を養成し、家庭裁判所や行政等からの要請を受け、本会に所属している社会福祉士を推薦する仕組みを持っています。成年後見人制度とは、判断能力が不十分な状況にある方を保護するために、本人の生活を支援する者を家庭裁判所が選任する制度のことです。
本会は、推薦した社会福祉士が適正な実務を行えているかを、年2回チェックしています。チェックしているのは本会に所属する、成年後見人などの実務経験が豊富な方です。
従来は、紙ベースで報告を行っていました。しかし、毎回約2,000件の報告があるため、報告書を受け付ける事務局の負担や報告書チェック担当者の負担、報告者の書類作成の負担などがそれぞれ大きいことが課題でした。(一色氏)
トヨクモ製品導入までのステップ・苦労した点
左側は報告書のフォーマット、右側は報告書が保管されている写真です。このように、たくさんの書類を書庫に保管している状態で、負担の解決が不可欠な状況でした。(一色氏)
kintone×トヨクモ製品でどのように課題を解決したか
申請書類のデータ化にあたり、すでに導入していたkintoneを活用すること自体は決定していましたが、どのようにデータを入力するかは決まっていませんでした。そこでkintone提供元のサイボウズ様に相談し、教えてもらったのが、トヨクモ様のフォームブリッジです。
データ化が決定したのが2021年11月頃で、利用し始めるのが2022年2月からであったため、短期間に導入する必要がありました。そのため、とにかく作りやすくて使えれば何でもよいというのが、当時の正直な感想です。本会が所在する神奈川県庁が、新型コロナウイルス対策でトヨクモのサービスを利用していた点も、安心材料でした。(一色氏)
kintone上で報告書のデータを受け付けるアプリを制作
まず、kintoneで報告書のデータを受け付けるアプリを作り、事務局と報告書チェック担当者がkintone上で報告内容を確認する仕組みを構築しました。必要に応じて報告者にkMailer経由で問い合わせたり、プリントクリエイター経由で報告書の印刷イメージを確認したりして活用しています。(一色氏)
フォームブリッジ×kViewer×kMailerで従来の紙ベースのものと同様の報告書を確認可能に
フォームブリッジ上では、報告書のデータが送信されるとkViewerのマイページ URLを発行し、kMailer経由で報告を受け付けたことを知らせるメール送信を行います。
報告者は、マイページURLで報告内容を確認します。また、kViewerとプリントクリエイターの連携で、従来の紙ベースの報告書と同様のものを確認できる仕組みにしました。(一色氏)
解消された数々の負担
フォームブリッジとkViewer、kMailerの活用によって、報告者の郵送費の負担がなくなりました。事務局としては、報告書の保管スペースが不要になっただけでなく、報告書のコピー・送付・回収の負担が解消されています。
また報告書チェック担当者も、チェックの際に膨大な量の報告書を置くスペースの確保が不要になったほか、従来よりも報告者に報告書の内容を確認するのが容易になりました。それまでは、チェック担当者の個人のメールアドレスで報告者に問い合わせをしていましたが、個人のメールアドレスでのやり取りが不要になったのです。(一色氏)
kintone×トヨクモ製品導入後に生まれた新たな課題
導入後、いくつかの悩みが生じました。事務局とチェック担当者からは、報告者の入力ミスが多く正確性が低いこと、報告者からは、報告書の件数が多いと入力に手間がかかるという声が寄せられたのです。そこで、やや逆行するもののExcelのファイルを配布し、データ入力の正確性を高めることを優先しました。
また、Myページが1件の報告のたびに発行されるため、報告者がどの案件を報告したのか分からなくなるという声もありました。(一色氏)
トヨクモ製品を使って新たに生まれた課題にも対応
新たに生じた課題に対しても、トヨクモのkintone連携サービスを使って対応しています。運用を変更し、報告書のベースとなる台帳のアプリを、Excelからkintone上で作成しました。また、推薦の受付についてもデータ化が実現しています。
報告者が報告書のデータを新規作成するのではなく、事務局が事前に報告すべきデータを用意するフローに変更しています。(一色氏)
Toyokumo kintoneApp認証も活用
報告書の提出システムの改良も行いました。Toyokumo kintoneApp認証ベースに変更しています。(一色氏)
報告する内容を選択する画面です。ダッシュボードビューにして、提出状況がわかるような画面に変更しました。報告すべきケースを選ぶ画面も改良し、多くのケースがあっても識別できるように項目を工夫しています。なお、この一覧表はToyokumo kintoneApp認証ベースに変更しているため、本人しか見られない情報となっています。
そのほか、使用したい報告書が一覧にない場合は、報告書をリクエストするためのフォームを用意して、事務局側が基礎データを作成するフローを変更しました。(一色氏)
報告フォームに関しては、事前にケースを特定した状態のデータをkintone上で作成し、フォームブリッジではToyokumo kintoneApp認証で、報告すべき項目のみ受け付ける仕組みにしています。間違えると困るデータは、事務局がkintone上にあらかじめ入力することで、変更を禁止しました。(一色氏)
改良後は、報告数が多い場合でも、報告者の入力する手間が削減されました。事務局が事前にデータを用意するため、報告者が入力する範囲が狭まったためです。また、「何を報告しているか・していないか」が、一覧で表示されるようになったため明確になりました。
事務局と報告書チェック担当者側における改善点としては、ケースが特定されているため、誤登録のデータが減ったことが挙げられます。
また、事前に台帳で報告すべきケースがすべて出てくる状態になるため、報告漏れがなくなり、漏れがある場合でもチェックできるようになりました。(一色氏)
実際の活用画面
ここからは、デモ画面のご案内をさせていただきます。こちらは、Toyokumo kintoneApp認証のログイン画面です。(一色氏)
まず、メールアドレスを認証します。(一色氏)
このように「Toyokumo kintoneAppへのログイン」というメールが届きます。メールを開き、「Toyokumo kintoneAppにログイン」というリンクをクリックします。(一色氏)
ログインすると、認証が許可されているページの一覧が表示されます。(一色氏)
今回は、この中から「ぱあとなあ報告書提出システム」を選びます。(一色氏)
「ぱあとなあ報告書提出システム」を選ぶと、このような画面が表示されました。(一色氏)
下にスクロールしていくと報告書の一覧が出てきます。どの報告書を提出したかが一目でわかるようになっています。(一色氏)
今回は、「法定後見個別報告」をご覧いただきます。(一色氏)
クリックすると、このように法定後見の個別報告一覧が出てきました。これは、私の報告書の画面になります。1件受任をしているため、選択するとこのように表示されます。ケースの右隣の「報告書の提出」欄が空欄のため、まだ報告書を提出していないことがわかります。(一色氏)
報告書を閲覧し、「報告・修正を行う」ボタンを押します。(一色氏)
「報告・修正を行う」ボタンを押し、このように報告書の入力画面が出てきたら、必要事項を入力していきます。ほとんどの項目について、初期値が入力されている状態であるため、必要箇所のみ少しずつ入力し、最後に「報告書の提出をします」をチェックします。
このチェックによって、先ほど空欄だった「報告書の提出」箇所に「報告書の提出をします」と文字が入ります。(一色氏)
最終確認の内容をラベルで表示し、「説明内容を確認しました」にチェックを入れて確認すると、はじめて送信ができます。(一色氏)
最後に内容を確認し、回答して完了です。(一色氏)
先ほどの一覧表に戻ると、「報告書の提出」欄が、空欄から「報告書を提出します」に変わっているため、これで提出済みの扱いになったことがわかります。(一色氏)
次に、「ぱあとなあ報告書提出システム」のダッシュボードビューについて説明します。上部に注意書きを記載し、真ん中にボタンを設置しています。また、3つのビューで提出状況を見える化しています。(一色氏)
カーソルを合わせている箇所は一見、ボタンのように見えます。(一色氏)
しかし実際は、ラベルに背景とリンクを付けている単純な構造で、カスタマイズは一切行っていません。ほとんどが、ラベルと必要なビューのみで構成された画面です。(一色氏)
トヨクモ製品を活用するために工夫した点
トヨクモkintone連携サービスを、本会の会員に使ってもらうために工夫したのは、「なるべくわかりやすくすること」でした。本会では、パソコンが得意でない人も入力するためです。(一色氏)
このような報告書提出システムのマニュアルを作成し、段階的に読めばわかるように工夫しました。使い方がわからない人から問い合わせがあった際は、「マニュアルの〇〇ページの〇〇の箇所を見て、このように操作してください」とご案内しています。(一色氏)
そのほか成年後見人の候補者推薦依頼や、本会においては入会の申込みも、トヨクモkintone連携サービスで受け付けるようになりました。各都道府県にあるほかの社会福祉士会では、入会申込みはほぼ紙ベースです。そのため、ほかの社会福祉会から、システムに関して問い合わせも受けています。(一色氏)
今後の展望・トヨクモへの想い
今後は会員との情報共有や、成年後見人制度における候補者の立候補募集についても、Toyokumo kintoneApp認証を活用する見込みです。報告書提出システム自体、動き始めて日が浅いこともあり、報告者や報告書チェック担当者からの意見を踏まえて、段階的な改良を予定しています。(一色氏)
システムを使う側の視点で常にアップデートしていく
トヨクモkintone連携サービスも、日々改良を加えていただいています。少しずつシステムに取り込みながら、使う側の視点に立ち、簡単に使えるようなシステムを作っていきたいと考えています。(一色氏)