kintoneが使えないと感じる理由とは?導入を失敗させないポイントを解説

業務効率化のためにkintoneを導入したにもかかわらず、以下のような声を耳にしたことはありませんか?
- kintoneは使えない・使いにくい
- 期待した効果が得られない
- kintoneの導入は失敗だった
kintoneは、業務のシステム化や柔軟性の高いアプリが作れるクラウドサービスですが、このような評価があるのも実情です。しかし、上記のような問題はkintoneを使いこなせていないことが原因かもしれず、導入や運用の工夫次第で解決可能です。
たとえば、導入時の教育に力を入れ、ツールを使いこなせる運用体制を整えたり、kintone連携サービスなどで機能を拡張して活用したりすることで、導入効果を最大化できます。
本記事では、kintoneの導入効果を最大限に引き出すために、そのメリットとデメリットを整理し、よくある失敗パターンや具体的な活用事例を紹介します。
kintoneの導入を迷っている方や、すでに運用しているが効果を感じられない方は、ぜひ参考にしてください。
なお、kintoneの特徴や機能などを知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
>関連記事:わかりやすいkintone(キントーン)とは?特徴・機能、メリットを解説
目次
kintoneが使えないと感じる理由とは?
kintoneは、サイボウズが提供する業務改善プラットフォームです。
自社の業務に合わせたアプリをノーコード/ローコードで作成できます。
2022年3月時点で東証プライム上場企業の3社に1社が導入しており、ITの専門知識がない方でも簡単に操作できるのが特徴です。実際に導入企業の9割は、IT部門以外の方が担当しています。
そのような便利で導入実績も多いkintoneですが、「使えない」と感じてしまうケースもあるようです。
ここでは、kintoneが使えないと感じられる理由について、以下の2つの観点から詳しく解説します。
- システム/ツールの問題
- 社内の問題
(参考:kintone「キントーンとは」)
1.システム/ツールの問題
kintoneが使えない、または期待した効果が得られないと感じる原因として、製品の特性による制限が考えられます。
- ユーザーあたりのストレージ容量が少ない
- カスタマイズの制約
- インターフェースの使い勝手
以下で詳しく解説します。
ユーザーあたりのストレージ容量が少ない
kintoneでは、いずれのコースでもユーザーあたりのストレージ容量が5GBに制限されています。
大量のデータを保存する必要がある場合、コースやユーザー数によってはすぐに容量が不足してしまう可能性があります。
カスタマイズの制約
kintoneは多機能で柔軟性の高いプラットフォームですが、高度なカスタマイズにはいくつかの制約があります。
たとえば、複雑なデータ分析や専門的な統計解析を実施する場合、kintone単体では対応できないため、外部ツールやプラグイン連携が必要です。
また、複数の部門をまたぐ承認フローや、条件分岐の多い複雑なフローを自動化するには、JavaScriptやAPI連携などのプログラミング知識が求められる場合があります。
これらの高度なカスタマイズは、とくに専門的な知識が不足しているユーザーにとっては大きな障壁となるでしょう。
インターフェースの使い勝手
kintoneのインターフェースは直感的で使いやすいとされていますが、必ずしもすべてのユーザーにとって使いやすいとは限りません。
フォームのカスタマイズやプラグインの導入、レポートやグラフの作成などは、ITリテラシーが低いユーザーにとっては難しいと感じる場合があります。
kintoneを社内で円滑に運用するには、丁寧なサポートやトレーニングが必要です。
2.社内の問題
社内におけるkintoneの活用方法によっては、kintoneが「使えない」と感じられる場合があります。
- 導入目的が不明瞭のまま運用している
- 現場の声を反映したアプリ設計になっていない
- 1つのアプリに複数の業務が混在している
- 導入目的が不明瞭のまま運用している
導入目的が不明瞭のまま運用している
kintoneの導入を成功に導くには、具体的な目標設定と、活用方法の共有が不可欠です。
kintoneは自由度の高いツールであるため、目的が不明瞭なまま導入すると、せっかく作成したアプリも社内に浸透せず、期待した効果を実感できない可能性があります。これは、新しいシステムやツールを導入する際に共通して起こり得ることです。
そこで、「〇〇業務の効率を改善し、年間△△時間を削減する」といった具体的な目的を設定し、メンバー間で共有することが大切です。kintoneの活用方法が明確になり、効果的なアプリ開発につながります。
また、最初からすべての業務フローをアプリ化するのではなく、使う機能を絞り込んでスモールスタートをすることで、スムーズな導入と運用が可能になります。
現場の声を反映したアプリ設計になっていない
kintoneは現場の声を反映し、社内での使いやすさを追求することで真価を発揮します。しかし、設計者と現場の認識にずれがあると、実際にアプリを運用する現場ではkintone本来の「使いやすさ」を実感できません。
現場で働く人たちは、日々の業務で直面する課題を誰よりも深く理解しています。彼らの声を無視して作られたアプリは、「使えない」と評価されてしまうでしょう。
kintoneが現場に定着するように、活用方法を学ぶ勉強会などを開催し、「こんなアプリが欲しい」「こんなデータが見たい」といった声が自然とあがる環境を作ることが大切です。
1つのアプリに複数の業務が混在している
kintoneを最大限に活用するには、「1つのアプリに1つの業務」が原則です。1つのアプリに複数の業務を詰め込むと、情報管理が煩雑になり、業務効率が低下する恐れがあります。
たとえば、顧客管理アプリに「請求書管理」や「顧客からの問い合わせ対応」など複数の業務が混在する場合、それぞれを独立したアプリとして作成し、顧客情報で連携させるのが効果的です。
同じ業務を担当するメンバーが使う情報を1つのアプリにまとめることで、業務効率が向上します。
kintoneの弱点を理解しよう!苦手な領域とその対策
kintoneは多くの業務アプリを作れる非常に便利なツールですが、万能ではありません。複雑な関数式や会計機能、大容量データの取り扱いなど、苦手とする領域も存在します。
ここでは、kintoneの以下のような弱点とその対策について詳しく解説します。
- Excelの複雑な関数式はkintone連携サービスで対応できる
- 財務会計機能の不足は機能連携やプラグインで補える
- 膨大なデータの管理はオプションや連携サービスを活用する
- アプリの設計ミスはカスタマーサポートやパートナー企業の活用も検討する
Excelの複雑な関数式はkintone連携サービスで対応できる
kintoneは基本機能で一般的なデータ管理や分析ができますが、Excelのような複雑な関数には対応していません。
しかし、四則演算やSUM、グラフ集計機能は備わっており、Excelからのデータ移行も簡単に行えます。無料お試し期間を利用して、kintoneを実際に操作すれば、その使い勝手の良さが分かるでしょう。
また、トヨクモが提供する「DataCollect(データコレクト)」を導入することで、kintoneでバラバラに管理しているデータを一つにまとめて、データの収集や計算、加工処理などを効率化できます。
たとえば、案件情報アプリから必要なデータだけを自動で抽出して、実績管理アプリに転記するといったことも可能です。これにより、予算達成状況などの分析が簡単にできるようになります。
>関連記事:データコレクトとは?できること・使い方
財務会計機能の不足は機能連携やプラグインで補える
kintoneは業務改善プラットフォームであり、財務会計に特化した機能は標準装備されていません。しかし、kintoneアプリと既存の会計システムを連携させることで、営業管理から会計処理までを一気に行えます。
また、OCRプラグインを活用すれば、電子帳簿保存法への対応やレシート読み取り機能の補完が可能です。さらに、トヨクモが提供する「DataCollect(データコレクト)」を活用すれば、kintoneの基本機能だけでは難しい予実管理や在庫引当を実現できます。
同じくトヨクモが提供する「PrintCreator(プリントクリエイター)」を活用すれば、kintoneアプリからワンクリックで書類の作成/出力が可能です。
kintoneなら、営業部門とバックオフィス部門それぞれにとって使いやすい画面を自由に設計できるため、他システムでは実現しにくい柔軟な帳票運用が実現します。
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膨大なデータの管理はオプションや連携サービスを活用する
kintoneのディスク容量は、料金コースにかかわらず1ユーザー当たり5GBです。また、添付ファイルの上限も1ファイルあたり1GBのため、大容量データの取り扱いには向いていません。
しかし、オプションのディスク増設で、1ユーザー当たり10GBまで対応可能です。他にも、オンラインストレージやファイル転送サービスを利用することで、これらの問題は解決できます。
さらに、kintone内のデータを外部に複製保管できる連携サービス「kBackup(ケイバックアップ)」を利用すれば、従来のバックアップ機能では難しかったアプリの構造情報(テーブル情報)や添付ファイルの復元も可能です。
これにより、万が一のデータ消失時の復旧だけでなく、過去のデータ分析や業務改善にも役立てられます。
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アプリの設計ミスはカスタマーサポートやパートナー企業の活用も検討する
kintoneは、プログラミング知識がなくても、誰でも簡単にアプリを作成できるという特長があります。
しかし、アプリ間連携やプラグイン導入時の設定ミスなどにより、アプリが正常に動作しなくなる可能性もゼロではありません。そのため、トラブル発生時の対応策を事前に検討しておくことが重要です。
kintoneには専門のサポート部門があり、業務用アプリの開発や導入支援を行うパートナー企業も存在します。
これらのサービスを利用したり、社内にIT部門がある場合は、ヘルプデスクとしての役割をお願いしたりすることで、安心してkintoneを活用できます。
kintoneの強みとは?他ツールにはない魅力
次に、以下のようなkintoneならではの強みについて解説します。
- ノーコードで開発できるから、スピーディーかつ低コストで業務改善できる
- 部署や業種別に100種類以上のサンプルアプリが用意されている
- 改善サイクルを素早く回せるから、変化に柔軟に対応できる
- kintoneの機能を拡張するプラグインや連携サービスが豊富にある
- 社内外のコミュニケーションをシンプルにして業務効率アップにつながる
- データを蓄積しやすく集計や分析をすることで業務に活用できる
- セキュリティに強く安心して導入できる
それぞれ具体的な内容を確認しましょう。
ノーコードで開発できるから、スピーディーかつ低コストで業務改善できる
kintoneは、プログラミングの知識がなくても、業務のシステム化や効率化を実現できるアプリを作れるクラウドサービスです。
Excelで顧客情報を管理していると、データを探すのに手間取ったり、複数人での同時編集が難しかったりすることがあります。しかし、kintoneなら情報を一覧で見やすく整理し、チームで簡単に共有/編集できます。
また、専門のシステムを導入する費用も時間もかかりますが、kintoneであれば手軽に始められ、自分たちの業務に合わせて自由にカスタマイズが可能です。
kintoneは、Excelのような使い慣れたツールよりも便利で、専門システムのように高機能でありながら手軽に導入できる、いいとこ取りのサービスです。
部署や業種別に100種類以上のサンプルアプリが用意されている
kintoneには、さまざまな部署や業種で使えるアプリのテンプレートが多数用意されています。営業日報や顧客管理、在庫管理など、100種類以上のアプリが揃っており、自社に役立つサンプルアプリが豊富です。
また、サンプルアプリやテンプレートを使うだけでなく、自分だけのオリジナルアプリも作れます。難しいプログラミングの知識は不要で、必要な項目をドラッグ&ドロップで追加するだけなので操作は非常に簡単です。
まるでブロックを組み立てるように、直感的にアプリを作れるので、誰でも気軽に挑戦できます。
改善サイクルを素早く回せるから、変化に柔軟に対応できる
kintoneは自分たちで業務アプリを作成できるため、素早く改善サイクルを回せます。そのため、事業のスピードや状況の変化にも柔軟に対応できるのが特長です。
大規模システムと異なり、kintoneはフローの再構築が容易です。実務でのトライ&エラーを通して、部門全体で業務改善・効率化を推進できます。
kintoneの機能を拡張するプラグインや連携サービスが豊富にある
▲出典:kintone「拡張機能」
kintoneは、プラグインや連携サービスを活用することで、基本機能をはるかに超えるさまざまな機能を実現できます。200種類以上の拡張機能が利用可能で、業務効率化やデータ連携など、幅広いニーズに対応可能です。
トヨクモでは、以下のようなkintoneをさらに便利に活用するための連携サービスを多数提供しています。
FormBridge(フォームブリッジ) | kintoneに直接データ保存できるWebフォーム作成ツール |
kMailer(ケイメーラー) | kintone内に保存されたデータを、簡単にメール送信/一斉配信できる連携サービス |
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社内外のコミュニケーションをシンプルにして業務効率アップにつながる
▲出典:kintoneヘルプ「レコードにコメントを書き込む」
kintoneを活用することで、業務に関連するメンバーや情報を一元管理できるため、社内外のコミュニケーションが円滑になります。
kintone内では、あらゆる場所からメッセージのやり取りが可能です。たとえば、FAQアプリを参照しながら担当者に質問したり、商談管理アプリ内で進捗状況を共有したりと、状況に応じたコミュニケーションが行えます。
アプリ操作とコミュニケーションがシームレスに行えるため、業務効率が向上し、スムーズな連携を実現します。
データを蓄積しやすく集計や分析をすることで業務に活用できる
kintoneは、日々の業務で発生する情報をアプリに入力や保存をするだけで、簡単にデータを蓄積できます。蓄積したデータは、表やグラフで視覚的に集計や分析ができ、レポート機能を活用すれば進捗や傾向の把握も可能です。
レポートを活用することで、感覚や勘に頼らず、データに基づいた的確な業務改善につながります。たとえば売上推移や問い合わせ件数の変化を可視化することで、問題点の早期発見と迅速な対応が実現します。
Excel管理の煩雑さから解放され、効率的な意思決定を支援してくれるのもkintoneの大きな強みです。
セキュリティに強く安心して導入できる
kintoneはクラウド型の業務プラットフォームとして、強固なセキュリティ対策を標準で備えており、多くの情報を扱う企業でも安心して導入可能です。
通信の暗号化やIPアドレス制限、二要素認証など多層的なセキュリティ機能を提供しており、ユーザーごとに閲覧や編集権限を細かく設定できるため、情報漏洩リスクも最小限に抑えられます。
さらに、kintoneはサイボウズ社が提供する国産サービスのため、国内法令への対応や日本語による手厚いサポート体制も整っています。個人情報や機密情報を扱う業務でも、安心して活用できるでしょう。
kintone導入が向いている企業の4つの特徴
kintone導入が向いている企業の特徴は、以下の4つです。
- 自社に合わせたアプリで業務効率化したい企業
- 円滑な社内コミュニケーションを促進したい企業
- 複数の業務を少ない人数で担当している企業
- コストをかけずに手軽にシステムを導入したい企業
それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
1.自社に合わせたアプリで業務効率化したい企業
kintoneは、ノーコードで自社に合ったアプリを自由に作成でき、現場の課題やニーズに合った最適な業務ツールを構築できるため、自社に合わせたアプリで業務を効率化したい企業に最適です。
業務内容やフローは企業ごとに異なるため、既製のパッケージソフトでは柔軟に対応できないケースも少なくありません。
kintoneなら、営業進捗の可視化や顧客対応履歴の管理、在庫の共有管理など、幅広い業務に対応できるアプリを作成可能です。現場主導で改善を重ねながら使えるため、定着率が高く、継続的な業務改善にもつながるのが大きな特徴です。
2.円滑な社内コミュニケーションを促進したい企業
kintoneは口頭やメール、チャットなどに分散しがちな情報を集約できるため、伝達ミスや見落としを防止し円滑なコミュニケーションを促進したい企業に向いています。
コメント機能や通知機能、掲示板などを活用することで、業務に関するやり取りをアプリ上で一元化できます。やり取りの履歴も残るため、あとから確認したり、スムーズに担当者の引き継ぎをしたりすることも可能です。
リモートワークや部門をまたぐ業務が増えるなか、kintoneは社内の連携強化と情報共有の効率化を実現し、組織全体の業務スピードを底上げしてくれるツールです。
3.複数の業務を少ない人数で担当している企業
kintoneは、タスク管理や顧客管理、日報や申請処理などを業務ごとの専用アプリで一元化できるため、複数の業務を少ない人数で担当している企業に向いています。
人手が限られている企業では、効率的に業務を進める体制づくりが欠かせません。kintoneは、操作も直感的で習得しやすく、ITに不慣れなスタッフでもすぐに使いこなせるのも魅力です。
さらに、自動集計や通知機能により手作業の負担を大幅に軽減し、少人数でも高い業務処理能力を維持できます。
4.コストをかけずに手軽にシステムを導入したい企業
kintoneは、小規模から無理なく導入できるクラウド型業務プラットフォームで、コストを抑えて確実に業務改善を図りたい企業に向いています。
初期費用が不要で、最小契約数10ユーザーから始められるため、導入のハードルが低いのも魅力です。
また、専門的な知識やエンジニアを必要とせず、外注に頼らず社内メンバーだけでアプリを作成したりカスタマイズしたりできるため、外注にかかる費用の削減にもなります。
試行錯誤しながら、自社業務に最適な形へと柔軟にブラッシュアップできるのも、kintoneの魅力のひとつです。
kintone導入が向いていない企業の2つの特徴
一方で、kintone導入が向いていない企業の特徴は、以下の2つです。
- 特定の業務に特化したシステムのみが必要な企業
- プラグイン導入費用を捻出できない企業
自社の特徴と照らし合わせながら、導入を検討する際の参考にしましょう。
1.特定の業務に特化したシステムのみが必要な企業
特定の業務だけを効率化したい企業には、kintoneは最適とはいえません。
kintoneは柔軟にカスタマイズできる汎用型の業務プラットフォームであり、幅広い業務に対応できる一方、特定業務向けに高度な機能を備えた専用システムと比べると、精度や使いやすさで劣る場合があります。
たとえば、kintoneは会計や給与計算、製造管理など専門性の高い業務だけの効率化には不向きです。すでに業務フローが確立している場合、kintoneの自由度の高さが逆に負担になることもあるでしょう。
限定的な業務効率化を目的とする企業にとっては、kintoneの柔軟性がデメリットとなり非効率になる可能性があります。
2.プラグイン導入費用を捻出できない企業
追加コストをかけられない企業は、kintoneの機能を十分に活用できない可能性があります。
kintoneは基本機能でも十分使えますが、より高度な業務効率化を実現するには、有料プラグインや外部連携サービスが必要になる場面があり、継続的にプラスαの費用が必要になる場合もあります。
たとえばkintoneで帳票出力や自動化処理、外部データベースとの連携などを行う場合、有料プラグインが必要です。これらの追加コストを捻出できないと、十分な機能拡張ができず、kintone導入の効果を最大化できません。
初期費用だけでなく、将来的な機能拡張にかかるコストも見越して、予算を確保できるかどうかを事前に確認してから導入しましょう。
kintoneの導入を失敗させない7つのポイント
kintoneの導入を失敗させないために、以下7つのポイントを紹介します。
- チームで取り組む体制を整える
- 現状の問題を明確にする
- 業務フローを整理する
- アプリを実装し、改善を繰り返す
- kintone連携サービスを活用する
- いきなり完璧を求めない
- システム会社にサポートを依頼する
それぞれの具体的な内容を参考にして、kintone導入の効果を最大化しましょう。
1.チームで取り組む体制を整える
kintone導入は、単独ではなく複数のメンバーで取り組む体制を整えることが重要です。
リーダーを中心に、現場の意見を反映できるメンバーやITに詳しいメンバーなど、多様な視点を持つチームを編成するのがポイントです。そうすることで、責任が分散され、円滑な導入と社内への浸透が期待できます。
また、定期的な進捗確認や情報共有の場を設けると、チーム全体のモチベーションが維持しやすくなり、より効果的な導入につながるでしょう。
2.現状の問題を明確にする
kintone導入の目的を明確にし、解決したい問題を具体的に洗い出すことが重要です。
「業務効率化」「情報共有の改善」「コミュニケーションの活性化」など、目指すゴールを明確にすることで、必要な機能やアプリが明確になり、導入後の効果測定もしやすくなります。
また、現場の声をヒアリングし、解決したい問題の優先順位をつけることで、より効果的なkintone活用につながります。
3.業務フローを整理する
業務フローを見直すことで、より効率的なプロセスを構築できます。kintoneで解決したい課題を踏まえ、必要なアプリをリストアップし、既存の業務プロセスを可視化しましょう。
無駄な作業やボトルネックを特定することで、kintoneで自動化できる部分や改善ポイントが見えてきます。
4.アプリを実装し、改善を繰り返す
問題や業務フローを整理したら、kintoneの機能や特徴を理解した上で、自社に適したアプリを設計し、実装します。
なお、kintone導入は最初から完璧を目指さず、まずは小規模で始めることが重要です。
シンプルなアプリから導入し、実際に運用しながら改善点を見つけ、徐々に機能を追加することで、現場のニーズに合ったシステムを構築できます。また、定期的な振り返りや意見交換を行い、kintoneの活用方法を改善すると、より効果的な業務改善を実現できます。
5.kintone連携サービスを活用する
kintoneの基本機能だけではできないことも、Toyokumo kintoneAppをはじめ、kintone連携サービスを活用すれば、機能を柔軟に拡張できます。
Toyokumo kintoneAppとは、トヨクモが提供するkintoneと連携して使える「クラウド型」のkintone連携サービスで、データ収集や帳票出力など、kintoneの基本機能にはない機能を追加できます。
具体的には、トヨクモの「FormBridge(フォームブリッジ)」で外部フォームと連携したり、「PrintCreator(プリントクリエイター)」で帳票を自動作成したりなど、kintoneの基本機能ではできない業務を行えるようになり、より効果的・効率的に運用可能です。
こうしたプラグインや連携ツールを使うことで、より幅広い業務に対応できるようになるため、kintoneは「使えない」と思っていた企業でも「使える」ツールへと進化させられます。
Toyokumo kintoneAppの各機能の特徴は、以下のとおりです。
機能 | 特徴 |
FormBridge(フォームブリッジ) | 外部フォームとのデータ連携を簡単に行える |
kViewer(ケイビューワー) | kintoneデータを視覚的に分析や可視化する |
kMailer(ケイメーラー) | kintoneと連携したメール配信機能を提供する |
PrintCreator(プリントクリエイター) | kintoneデータをもとに帳票やPDFを作成や出力する |
DataCollect(データコレクト) | 外部データをkintoneに自動的に取り込む |
kBackup(ケイバックアップ) | kintoneデータのバックアップを自動で行う |
6.いきなり完璧を求めない
kintoneを導入する際に、最初から完璧なシステムを作ろうとすると、かえって導入が進まなくなったり、実際の運用に合わないシステムになってしまったりする可能性があります。
たとえば、すべてのシステムを網羅しようとすると確認作業に時間を取られ、本来目指すべきはずの業務の効率化という目的から乖離する恐れがあります。また、完璧を求めすぎることで設計が複雑になり、現場のユーザーが使いにくくなるかもしれません。
kintoneの強みは、ノーコードで簡単に修正・改善できる点です。
まずはシンプルな構成でアプリを作成して、少しずつ試しながら現場の声を反映させてアップデートしていくことが重要です。kintoneは使いながら柔軟に改善を重ねることで、自社に最適なシステムへと成長します。
完璧を目指すよりも、まずは実際に導入して使い、失敗を恐れずにPDCAを回していく姿勢が成功のカギとなります。
7.システム会社にサポートを依頼する
kintoneは、自社で手軽に導入や運用できる点が魅力ですが、一方で要件整理やアプリの構築やプラグインの選定、活用に悩むケースも少なくありません。
とくに社内にIT人材がいない場合や、短期間で効果的に導入したい企業には、kintone導入支援の実績が豊富なシステム会社への相談が有効です。
業務の可視化から最適なアプリ設計、操作トレーニングまでプロの視点でサポートしてもらえるため、導入時の失敗リスクを最小限に抑えられます。
さらに、導入後の運用サポートや機能拡張の相談も可能なため、長期的に安心してkintoneを活用できる体制を構築できます。
kintoneを“使えるツール”に変えた導入事例5選
最後に、kintoneを“使えるツール”に変えた導入事例を5つ紹介します。
- 業務改善と顧客満足度の向上を同時に実現|さくら製作所
- 転記作業が発生するスプレッドシートから脱却|ウィルビー
- 1ヶ月の業務時間を200時間削減|トラストバンク
- 業務効率化で電話対応をほぼゼロに削減|医療法人社団 医聖会 八幡中央病院
- 最大2週間かかっていた業務が1日に短縮|檜垣造船
導入事例を知ることで、kintoneが自社に合うかイメージしやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
業務改善と顧客満足度の向上を同時に実現|さくら製作所
ワインセラーや日本酒セラーを販売するさくら製作所社は、従来のアナログ業務における課題を解決するため、kintoneとトヨクモの連携サービスを導入しました。
kintoneを活用してアフターサービスの顧客情報管理をスタートし、kintoneと連携可能なWebフォーム作成ツール「FormBridge(フォームブリッジ)」を導入。
顧客に入力してもらったデータをそのままkintoneに反映させ、転記ミスをなくし、業務効率の大幅な向上を実現しました。
さらに、kintoneのデータを帳票として出力できる「PrintCreator(プリントクリエイター)」も導入。見積書や修理依頼書の作成が簡単かつ正確になり、業務の効率化に貢献しています。
これらの施策の結果、見積作成時間を20分から1分に短縮し、問い合わせの入力時間をゼロにするなど、業務効率が大幅に向上しました。顧客からのクレームも減少し、従業員満足度の向上にもつながっています。
同社は今後、顧客のMyページ構築や海外展開を視野に入れ、さらなる成長を目指しています。
>活用事例記事:社内の基幹システムをkintone x トヨクモ全製品で構築、業務改善と顧客満足度の向上を同時に実現した
転記作業が発生するスプレッドシートから脱却|ウィルビー
人材業界向けサービスを提供するウィルビー社は、2017年にプロシーズ社から分社独立したIT企業です。同社は以前、海外製のSFAツールを導入していましたが、コスト面や使い勝手に課題があったため、kintoneに乗り換えました。
kintoneを使って営業や顧客管理のデータを一元化することで、業務効率が向上。以前は受注と失注のリスト管理が主でしたが、kintone導入後は活動履歴の管理や営業の受注分析が可能になり、kintoneを見れば正確な情報が一目で分かるようになりました。
さらに、kintoneアプリ間のデータを集計/計算自動化する「DataCollect(データコレクト)」を活用することで、月に4時間かかっていた集計作業がワンクリックで完了するようになり、予実管理業務も大幅に改善しました。
kintoneとトヨクモ製品を駆使して業務効率化を進めた結果、従業員の満足度と顧客満足度の向上を実現しています。
>活用事例記事:転記作業が発生するスプレッドシートから脱却!kintoneとトヨクモ製品で大きな業務改善を実現した
1ヶ月の業務時間を200時間削減|トラストバンク
トラストバンクでは、事業の急成長に伴い、Excelを中心とした煩雑なオペレーションが続いていました。業務負荷が担当者に集中し、非効率な体制が課題となっていたためkintoneを導入します。
情報を一元管理することで業務全体の効率化を図るとともに、トヨクモの連携サービスである以下4つのサービスを活用しました。
業務プロセスの自動化や社内外の情報共有、顧客対応の質の向上を実現しました。
たとえば、これまで電話やメールで受け付けていたサービスの無料お試し申込については、「FormBridge(フォームブリッジ)」でWebフォームを構築。フォームから送信された顧客情報がkintoneに自動反映される仕組みに変えることで、転記作業が不要となり、誤入力や反映漏れといった人的ミスが軽減しました。
kintoneおよびToyokumo kintoneAppの導入により、業務の正確性とスピード向上を実現しました。
>活用事例記事:決め手はスピード感と柔軟性。業務時間を200時間/月削減し、新規事業のドライブに成功したトヨクモkintone連携サービス活用事例
業務効率化で電話対応をほぼゼロに削減|医療法人社団 医聖会 八幡中央病院
医療法人社団 医聖会 八幡中央病院では、これまで入院調整業務の多くを電話と紙ベースで行っていました。そのため業務の煩雑さに加え、入院の遅延といった患者にとっても大きな負担となっていたためkintoneの導入を決定します。
近隣病院の導入実績も参考にしながら、まずは院内の業務効率化を進めました。kintoneの導入によって内部業務は大きく改善された一方で、外部医療や介護施設向けのセミナー予約管理などは依然として非効率な状態が続いていました。
そこで、大量データの処理が可能で、kintoneとのシームレスな連携が魅力の「FormBridge(フォームブリッジ)」を導入。
さらに、紙出力が不可欠なカルテ作成業務に対応するため「PrintCreator(プリントクリエイター)」も導入することで、データの入力から集計、帳票出力までをスムーズに行えるようになり、院内外の業務が包括的に効率化されました。
>活用事例記事:医療セミナー受付や、患者様対応の業務効率化で電話対応をほぼゼロに!FormBridgeとPrintCreatorで実現した医療・介護業界でのDX
最大2週間かかっていた業務が1日に短縮|檜垣造船
檜垣造船では、長年紙ベースで情報を管理していたことから、顧客との打ち合わせ時に情報の共有や更新に手間がかかるなど、業務上の非効率が課題となっていました。
とくに「最新情報がどれか分かりにくい」「資料の修正が作成者しかできない」といった制約が、社内外の円滑な連携を妨げていました。
そうした背景のもと、同社は2018年にkintoneとバックアップ管理のための「kBackup(ケイバックアップ)」を導入。その後、「PrintCreator(プリントクリエイター)」の導入を皮切りに、業務全体の効率化を目指してトヨクモのkintone連携サービスの活用を本格化させました。
打合せ記録の管理については「FormBridge(フォームブリッジ)」と「kViewer(ケイビューワー)」を連携させることで、情報の入力や共有、閲覧までの効率化を実現。PC操作に慣れていなかった社員も、kintoneの直感的な操作性と、トヨクモ製品の「使いやすさ」により、無理なくデジタル業務へ移行できました。
紙文化に依存していた現場でも、業務の標準化とスピードアップが実現され、情報共有の質と業務効率が大きく向上しています。
>活用事例記事:最大2週間かかっていた業務が1日に短縮! 情報共有を円滑化し、顧客との関係強化を実現した造船会社のトヨクモkintone連携サービス活用事例
kintoneの強みと弱みを理解し導入を成功させよう
kintoneは、ノーコードで業務アプリを構築できる柔軟性や連携性、拡張性に優れた強みを持つ一方で、運用の仕方や社内の体制によっては使えないと感じることもあるでしょう。
kintoneを導入する際は、弱点や自社との相性を理解し、的確な運用体制とアプリ設計を整えることが重要です。
本記事で紹介した成功ポイントや導入事例を参考にすれば、kintoneを使えるツールとして導入できるので、ぜひ参考にしてください。