私の業務改善シリーズでは、トヨクモやkintone界隈の方1人1人が「どのように業務をしているのか」「どのような業務改善を実施したのか」をご紹介していきます。
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株式会社東京文久堂は、2002年創業の印刷会社です。印刷とウェブ関連事業を行っており、主に特定の顧客に対しての情報発信のサポートサービスを行っています。
今回は、新しいWebサービスの展開から、社内の業務改善や顧客の課題解決の提案活動など幅広く活動されている林田さんに、kintoneとの出会い、kintoneやトヨクモ製品を用いた業務改善事例についてお話しいただきました!
自己紹介
林田 大平(はやしだ たいへい)さん
ーこれまでのご経歴や、どのような業務をされてきたか教えてください。
新卒で包装機械メーカーに入社し、機械設計業務をしていました。10年間働いたのち、父が経営していたこともあり、経営にも興味があったため、現在の株式会社東京文久堂に入社しました。業務を進める中で、印刷の需要が減ってきていることを感じ、何か対策が必要と思い、Webの知識を蓄えていきました。(林田さん)
トヨクモ製品との出会い
元々使っていた「Synergy!360」というキャンペーンシステムがサービスを終了するため、代替サービスを探していました。そこでkintoneは以前から知っていたので、kintoneと何か連携できるサービスがないかと探していた際に見つけました。検索エンジンで「フォーム」や、「キャンペーン」「メルマガ」などのキーワードで検索したところ、トヨクモ製品がヒットした形です。(林田さん)
ー代替サービスにkintoneやトヨクモ製品を選んだ決め手はありますか?
「Synergy!360」にも、サービス終了に伴う後継のサービスが出ており、後継サービスもノーコードで開発が行えるサービスでした。しかし、トヨクモ製品ほどノーコードでできる範囲が広くありませんでした。
JavaScriptなどでコードを書けばカスタマイズもできるようでしたが、当時の私にそこまでの知識はありませんでした。「Synergy!360」で従来と同じ機能を作るとなると、初期開発費用がかさんでしまう点や、開発をできる人が限られてしまうという懸念点が要因となり、トヨクモ製品に決めました。(林田さん)
ーkintoneとの連携サービスの中で、トヨクモ製品を選ばれた理由はありますか?
既存サービスの代替ということで、導入したものの上手く扱えなかったでは済まされません。その点、トヨクモ製品には30日間の試用期間があったことが大きかったです。約1ヶ月集中して試すことで、機能チェックは十分できました。郵便番号から住所を自動入力する機能は少し苦戦しましたが、それ以外は使いやすく、誰に聞かなくても問題なく扱えました。(林田さん)
ーFormBridge以外も、現在トヨクモ製品を合計5製品契約いただいていますが、まとめてトヨクモ製品を導入していただいた理由はありますか?
色々な会社の製品を使うのはリスクであると思っています。製品ごとにユーザーインターフェースが異なり、それぞれの使い方を覚えなければならないのは、かえって非効率だと考えているからです。なるべくまとめたいというのと、ユーザーインターフェースが気に入っていたため、トヨクモの他製品も契約しました。(林田さん)
kintoneと連携サービスを活用した業務改善事例
株式会社東京文久堂では、現在FormBridge、kViewer、kMailer、kBackup、PrintCreatorの5製品をご契約いただいています。
そんな林田さんがkintoneやトヨクモ製品を用いて、実際に行われた業務改善について伺いました!
試用期間を活用しシステムの置き換えに成功!さらにアクセス解析まで!
使用していた「Synergy!360」というキャンペーンシステムが2019年3月に終了することに伴い、代替のシステムを検討する必要がありました。検討に当たっては、キャンペーンフォームにかなりのカスタマイズ(複数の条件分岐)が施されていたため、今まで使っていたシステムを代替するのはかなり難しいのではとの懸念が社内にありました。(林田さん)
◇問題
・既存システムのサービス終了に伴い代替システムを探していたが、既存システムに多くのカスタマイズが入っていたため、移行に不安があった。
◇対応
・kintoneとFormBridge、kMailerを繰り合わせて代替した
◇効果
・ランニングコストの削減
・対応可能要員の増加
・アクセス解析の導入
既存システムでは、簡単なキャンペーンフォームとメルマガ配信のシステムを使用していました。そのため、kintoneとFormBridge、kMailerの組み合わせが使えると考えて代替を提案し、うまく切り替えに成功しました。
既存システムのキャンペーンフォームではJavaScriptで条件分岐機能が実装されていました。FormBridgeに切り替えた結果、ほとんどがノーコードで実装でき、JavaScriptの知識がなくても実装できる点が業務効率化に役立ったと感じています。また、30日間無料でお試しできたため、使い勝手をテストして既存顧客への理解を得るまでの十分な期間があり、スムーズな導入へと至りました。(林田さん)
ー導入してどのような効果がありましたか?
「Synergy!360」では、外注して運用していたこともあり、月額8万円ほどかかっていた費用が6万円ほどとなり、毎月約2万円削減できました。また、ほぼノーコードで設計できたので、社内でも複数人が対応可能となり、顧客サービス向上にもつながりました。
さらに、キャンペーンフォームなどでGA4やGTMなどアクセス解析の設定が入れられることが、今となってはとてもありがたく感じています。フォームのどこで離脱してしまったかなどは大事な情報です。ただフォームを作ってメールを飛ばすのであれば他にも簡単なサービスがあるかもしれませんが、アクセス解析までパッケージ化できることを個人的には高く評価しています。(林田さん)
【顧客・販売管理の代替】PrintCreatorで誰でも設定可能に!
以前は、ZohoというCRMツールを使って、主に案件、制作工程、売上利益、日報などの管理を行っていました。しかし、Zoho自体はRDB(リレーショナルデータベース)の仕組みのため更新が不要というメリットはあるものの、月額費用がkintoneより高く、フォーム設計の自由度も低いという問題がありました。(林田さん)
◇問題
・月額費用が高い
・フォーム設計の自由度が低い
◇対応
・kintoneを導入しデータベースとして利用した
・PrintCreatorを導入し、PDF出力に対応した
◇効果
・PDF出力の待ち時間削減
自社で活用していた機能としては、データベースの機能と差し込み文書作成機能があれば問題なかったため、kintoneとPrintCreatorでの代替を検討しました。PrintCreatorでは主に、作業指示書や、納品請求受領書、見積書、発送伝票の発行など様々な帳票を利用しています。
意外なメリットとして、Zohoでは当時、プリント出力するのに場合によっては数分かかっていたのですが、プリントクリエイターではすぐにPDF化できたので時間短縮になりました。今ではFormBridgeも連携して当社の問い合わせフォームやウェブ注文フォームとしても利用しています。(林田さん)
ー別のシステムを使われていた際は属人化などの問題はありましたか?
Zohoもノーコードのサービスだったので、そこまで属人化の傾向は大きくなかったですが、できることが多すぎる点や、特定の制約があるなど使いづらい点はありました。また、海外製品なので、問い合わせが英語になってしまったり、日本語仕様にはなっていましたがところどころ日本語がおかしかったり、インターフェースも直感的でないなど利用が難しい部分もありました。
kintoneやPrintCreatorを導入すると、帳票を作るのも楽になりましたし、日本製のサービスなのも嬉しかったです。請求書の書式が指定されているお客様の場合に、誰でも簡単に設定が可能なので便利でした。(林田さん)
kViewerで校正データをリアルタイムに共有!
印刷会社では、DTPという印刷前の作業工程があります。この工程の中にお客様からお預かりした原稿と制作指示内容に印刷データが合っているのかの確認作業(校正作業)があります。その際に、確認用のデータを印刷してお客様へお渡しします。ただ、この回数が増えると、営業がお客様のところへ行ったり来たりと時間を浪費することが多く、見えない営業コストがかかっていました。(林田さん)
◇問題
・客先訪問に営業コストがかかっていた
◇対応
・kViewerを導入しお客様がリアルタイムにデータを確認できるようにした
◇効果
・営業コストの削減
・参入障壁の構築
校正作業をデジタルデータだけで完結させるために、入稿する原稿をFormBridgeから投稿してもらっています。
また、弊社で作業した後の校正データ(PDF)をお客様で閲覧できるようにkViewerを利用しています。
色味などは画面と印刷した紙とで全く異なりますので、最終的な確認は出力紙ベースでやり取りしますが、それまでの間は投稿した時からお客様でも閲覧できるようになりました。
これによりリアルタイムなやりとりが可能となり、効率化につながりました。特に、数ページにわたる冊子のやり取りに際しては、まとめて入稿ではなく個別に入稿することで、お互い手が空いた時間に少しずつ作業ができるというのも嬉しいポイントです。
また、顧客との重要なデータのやり取りに関して、Toyokumo kintoneApp認証を使うことで、セキュリティにも配慮したアクセス管理ができます。顧客と第3社(広告会社)の入稿に際しても、情報の公開範囲を自由に設定できるため、安全性が保たれます。(林田さん)
ーお客様からも反応はありましたか?
タイムリーに印刷データを確認できることは喜んでもらえました。また、この仕組みを持っている印刷会社は多くありません。真似をすればできるかもしれませんが、弊社ならではのノウハウの部分もあると思います。
印刷をお願いしたいとなった時、この仕組みと合わせて提案できる会社は多くないと思うので、一つの差別化になっているはずです。
印刷だけでの差別化は難しいので、システムで差別化して、かつ印刷の仕事も受けるのが良いかと思っています。(林田さん)
ー他に、印刷業界でkintoneを取り入れている会社はありますか?
昔は、SkyDeskというCRMツールをみんな入れていましたが、やや使いにくさを考えているようで、最近はkintoneを入れている会社が増えています。しかし、kintoneもまだ上手く使えていない会社が多いので、使い方を教えるなど横展開をしています。(林田さん)
【FormBridge×kViewer×AwesomeQR】アンケートのデジタル化!一工夫で回収率UP!
弊社のお客様で、元々紙で人間ドックのアンケートを実施されていて、それを集計するのに人力での入力作業をして対応していました。そのため、アンケートをWebに置き換える検討をしましたが、Webに変えて本当にアンケートに回答してもらえるのかという課題が上がりました。(林田さん)
◇問題
・アンケートの集計に時間がかかっている
・デジタル化をしたいが、回収率が低下しないか不安
◇対応
・FormBridgeでアンケートをデジタル化した
・kViewerでアンケートの結果がみられるようにした
・AwesomeQRで抽選で図書カードをプレゼントした
◇効果
・紙の削減
・集計工数の削減・ミスの低下
・回収率の維持
そもそも人間ドックなので、必然的にアンケート回答者の年齢層は高く、少なからずデジタル化には抵抗感があります。回答率を上げて従業員に関する情報を得ることが目的でしたが、やる側に負担があるものを無償で行うのは、かなり心的障壁になると思っていました。
Webへの切り替えは、FormBridgeで回答してもらい、kintoneで集計して、結果はkviewerで見られるようにします。しかし、ただ切り替えるだけだと、回収率が下がってしまいました。
そこで、ガチャガチャができる仕組みを取り入れて、アンケートに答えてくれた人に、抽選で図書カードが当たるようにしました。すると、紙のアンケートの時と変わらない回収率が維持できました。このガチャガチャは、弊社のウェブサービスであるAwesomeQRを用いています。(林田さん)
ーデジタル化でのコスト削減効果はどうでしたか?
月に300人くらいにアンケートを配っていたので、月間300枚ほどの紙が削減できました。紙の削減効果は正直そこまで大きくないですが、集計作業にはかなりの時間がかかっていましたし、集計ミスも起きていたと思うので、ミスや漏れがなくなったのは大きいと思います。(林田さん)
今後の展望
ユーザー管理の部分でToyokumo kintoneApp認証は強力な機能だと思っています。セキュリティ面が整ったことは大きいので、今後さらに用途を広げていければと思っています。また、トヨクモ製品の中で特にFormBridgeが好きで、フォームの離脱率を下げる施策を考えています。例えば、OPTIOというポップアップを表示させるツールを使って離脱率をさげたり、弊社がプロモーションしているウェブサービス(AwesomeQR)とコラボしてフォームへの回答率をあげたりできると、良い事例になるかと考えています。
「kintone市場が大きくなっていると感じており、その連携ツールはトヨクモ製品がピカイチだと思います。使う人が多いと解決策や製品の向上につながると思うので、そこが1番のおすすめポイントだと思っています。引き続き使っていきたいです。」と締めてくれました。
林田 大平(はやしだ たいへい)
新卒で、10年ほど包装機械メーカに勤務したのち、2016年株式会社東京文久堂に入社。
主に新しいウェブサービスを展開しつつ、営業をやる傍ら顧客の課題解決の提案活動を行っている