kintoneで経費精算を効率化する方法は?メリット・外部連携まで詳しく解説
経費精算は、申請書の作成・確認・承認など多くの工程が発生し、担当者と申請者どちらにとっても負担の大きい業務です。書面やメールでのやり取りが続くと、申請漏れや差し戻しが起こりやすくなり、処理が遅延する原因にもなります。
こうした課題を解決するには、効率的な経費精算の仕組みを構築できるkintone(キントーン)がおすすめです。
この記事では、kintoneを活用して経費精算を行う方法とメリット、ライセンスを持たない方が経費精算をする方法について詳しく解説します。経費精算の効率化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:わかりやすいkintone(キントーン)とは?特徴・機能、メリットを解説
目次
kintoneで経費精算を行う方法
1 . 経費精算用アプリを自分で作成する
kintoneでは、プログラミング知識がなくてもドラッグ&ドロップ操作だけで経費精算アプリを作成できます。
アプリ作成の流れはシンプルで、まずポータル画面から「アプリ作成」を選び、フォーム画面に進みます。領収書添付用の「添付ファイル」フィールド、交通費・交際費などを分類する「ドロップダウン」フィールド、利用目的を記入するテキスト欄などを配置するだけで、実用的な経費精算アプリの完成です。
承認者の設定やワークフローの構築も追加できるため、組織変更やルール変更があっても柔軟に対応できます。
アプリ作成の詳しい手順については、以下のkintone公式ヘルプサイトをご覧ください。
参考:kintone公式「アプリをはじめから作成する」
kintoneで経費精算を行う方法
2 . サンプルアプリを組み合わせて経費精算を構築する
kintoneには、経費精算に活用できるサンプルアプリが多数用意されています。これらを組み合わせることで、スピーディに運用体制を構築できます。サンプルアプリはあらかじめ業務に必要なフィールドやステータス、一覧画面が整備されており、自社に合わせた柔軟な運用が可能です。
ここでは、主なアプリの役割や連携の流れを紹介します。
旅費精算申請
旅費精算申請アプリは、出張にともなう旅費、宿泊費、日当などをまとめて申請できるアプリです。領収書管理や金額入力を複数のシステムや紙で分けて行う必要がなく、1つのレコードに集約できます。
さらに、kintoneはスマートフォンからも操作できるため、移動中に申請を済ませて、そのまま上長へ申請可能です。承認者も外出先から対応でき、「上長が不在で承認が進まない」といった問題も解消できます。
また、JavaScriptのサンプルコードを活用すれば、入力チェックや自動採番などを追加し、社内ルールに合わせた運用強化も行なえます。
交通費申請
交通費申請アプリは、訪問先までの経路や利用した交通手段、料金などをその場で入力でき、スマートフォンからでも登録できます。
特徴的なのが自動計算機能です。複数区間の移動があっても合計金額を自動で算出してくれるため、金額の計算ミスや入力漏れの心配がありません。申請状況も一覧画面で確認でき、上長側も外出先から承認できるため決裁が滞りません。
出張申請
出張申請アプリは、出張に関する基本情報や目的、詳細スケジュールまで管理できます。ステータスが「下書き」「上長確認中」「承認済み」などに自動で分類されるため、現在の進捗状況を一覧で把握することも可能です。
また、交通費申請機能も内包しており、出張後の申請や精算を一元管理できます。外出や出張の多い企業でも、「申請漏れ」「承認待ちで滞留」「内容不備による差し戻し」といったトラブルを大幅に削減できます。
物品購入申請
物品購入申請アプリは、備品や消耗品の購入を事前に申請・管理できるアプリです。購入商品や単価、金額などを登録でき、摘要欄では購入理由や使用目的も記入できるため、経理担当者が正しく仕訳するための情報が揃います。
複数品目を申請する場合でも合計金額は自動計算されるので、申請者が手計算する必要はありません。過去の申請履歴を一覧で参照でき、「年度内の備品購入額」や「部署ごとの予算消化状況」などの把握にも役立ちます。
kintoneで経費精算を行う方法
3 . プラグイン・外部連携サービスを活用する
kintoneは標準機能だけでも経費精算の仕組みを構築できますが、外部プラグインやクラウドサービスと連携することで、より自動化された効率的なワークフローを実現できます。ここでは、それぞれ詳しく紹介していきます。
外部会計サービスとの連携で業務を自動化
『freee会計』や『マネーフォワードクラウド会計』などの外部会計ソフトと連携すると、kintoneに入力した経費データを自動で仕訳に反映できます。これにより、経理担当者が仕訳を手入力する必要がなくなるため、入力ミスや転記漏れなどのヒューマンエラーも防止できます。
また、API連携を活用すれば、申請データの同期や支払いステータスの取得など、より高度な自動化も可能です。プログラミング不要で設定できる『Zapier』などのノーコードツールを併用すれば、kintoneと外部サービス間のデータ転送を自動化し、社内の情報管理をより効率的に行なえます。
販売管理・請求書管理アプリとのデータ連携
経費精算だけでなく、販売管理や請求書管理もkintone上で一元化したい場合は、専用のプラグインを追加する方法が有効です。
案件管理や受注内容の確認、請求書の自動発行、入金管理などの機能を統合でき、複数システムを行き来する手間を削減できます。
また、経費データと売上・請求データがひも紐付くことで、収支の可視化が容易になり、経営判断に必要な情報をkintone内で完結させることができます。二重登録といったミスも防ぎやすくなるでしょう。
ICカード連携による入力工数削減
ICカードの利用履歴を自動で取り込むプラグインを使えば、交通費入力の手間と入力ミスを大幅に削減できます。たとえば、『キンコン』は交通系ICを端末にタッチするだけで、交通費や勤怠データを自動でkintoneに反映できるプラグインです。
kintoneで経費精算を行う方法
4 . kintone 公認パートナー企業に開発を依頼
自社のリソースではアプリ構築が難しい場合や、複雑な承認フロー・会計ソフトとの高度な連携が必要な場合は、kintone公認パートナー企業への依頼が効果的です。
公認パートナーに開発を依頼する大きなメリットは、「専門知識を持ったプロが、最短ルートで最適なシステムを構築してくれること」です。経費精算では、電子帳簿保存法への対応や複数部門をまたぐ承認フロー設計、既存会計ソフトとの連携など、専門性の高い構築が求められるケースがあります。
公認パートナーはこれらの要件を熟知しており、必要な機能を過不足なく実装できます。さらに、運用開始後の改善や追加開発にも柔軟に対応してくれるため、社内担当者の負担を軽減しつつ、安心した運用が実現可能です。
kintoneで経費精算を行うメリット
kintoneを経費精算に活用するかお悩みの方は、以下のメリットを踏まえて検討してください。
紙での申請業務がなくなりペーパーレス・業務効率化につながる
kintoneを利用すれば、申請書の印刷・押印・郵送・保管といった紙の運用から解放されます。プロセス管理機能を活用することで、「申請」「承認」「差し戻し」といったフローをオンライン上で完結させられます。外出中でもスマートフォンやPCからワンクリックで確認・承認できるため、承認の遅れも防げます。
また、社員自身が申請内容を入力するため、経理担当者が紙の申請書を見ながら再入力する必要がありません。これにより、人的ミスを防げるほか、電子帳簿保存法に対応した運用も可能になり、法令対応と業務効率化を同時に実現できます。
>関連記事: 紙業務をkintoneと連携サービスでペーパーレス化、年間約400万円のコストダウンを実現
ITの知識がなくても簡単に経費精算の仕組みを作れる
業務をデジタル化する上では、システムを扱うための専門知識やスキルが不可欠だと思われがちです。
しかし、kintoneでは新しいアプリを作ったり、既存のアプリを操作したりするために難しいプログラミングの知識は必要ありません。マウス操作のみで簡単に経費申請の仕組みを作れます。
IT人材が不足している現場でも、気軽に導入できる点が魅力的です。
自社のニーズに合わせたカスタマイズができる
kintoneの大きな強みは、ノーコードで自由にアプリをカスタマイズできる点です。経費精算の入力項目を自社用に変更したり、独自の承認ルートを設定したりと、専用システムでは難しい柔軟な改善が簡単に行なえます。
また、開発後もドラッグ&ドロップでレイアウト変更や項目追加が可能なため、運用しながら最適な形にアップデートできます。経費精算に関連するアプリも自由に追加でき、業務を横断したデータ連携によって管理業務全体の効率化も期待できます。
既存のシステムと連携できる
APIを利用すれば、kintoneに会計ソフト(『弥生会計』『勘定奉行クラウド』『freee会計』など)やERPを連携させることが可能です。経費データを自動で仕訳に変換して会計ソフトに取り込むことで、二重入力や入力ミスを根本から防げます。
とくに、月次決算のスピードを重視する企業にとって、経費精算データが遅れずに会計側へ反映されることは大きなメリットです。
短納期かつ低コストで開発できる
kintoneはクラウドサービスのため、サーバー構築が不要で短期間に導入できます。必要な機能だけを組み合わせてアプリを作れるため、カスタマイズ工数も最小限で済みます。
オンプレミス型システムやほかのクラウドサービスを長期利用する場合と比較して、kintoneで自社に最適化したアプリを構築するほうが、長期的にコストを抑えられるケースもあります。
kintoneのライセンスがなくても経費精算したい場合は?
原則、kintoneの標準機能はライセンスを持つ人しか使用できません。
社員数や取引先が多い企業では、全員分のkintoneライセンスを契約するのは難しい場合もあるでしょう。
そこで、kintone連携サービス『FormBridge』や『kViewer』を導入することによって、ライセンスを持たない人でもkintoneの一部サービスを使えるようになります。
全員分のkintoneライセンスを用意しなくても、kintone上で経費精算が可能です。
FormBridge
『FormBridge』とは、kintoneへ自動でデータが保存されていくWebフォームを作れるツールです。プログラミングの知識なしで、お問い合わせフォームやアンケートフォーム、Web試験フォームなど様々なフォームを簡単に作成できます。
フォームへの回答内容は自動でkintoneに保存されるため、顧客やユーザーが入力した情報を逐一移し替える必要がなく、業務効率が大幅にアップします。
フォームの背景色やロゴの指定、入力項目の配置や選択肢の並び方など、見た目も自由にカスタマイズ可能です。メールアドレスやIPアドレスでフォームへのアクセスを制限したり、公開期間や投稿可能数も設定したりできるため、セキュリティ面も安心です。
kintoneライセンスを持たない人にも、kintoneに直接情報を登録してほしい時に役立ちます。
>関連記事:kintone連携「フォームブリッジ」とは?できること・使い方
kViewer
『kViewer』とは、kintone内にある情報やデータを外部に公開できるサービスです。
原則、kintone内の情報はkintoneライセンスを持つ人しか閲覧できません。
しかし、kViewerで作ったビューを通して、ライセンスを持たない人でもkintone内の情報を見られるようになります。
kViewerでは、リストビュー・カードビューなど、8種類のビューを作成することができます。また、テンプレートをダウンロードすれば、ノンプログラミングで豊富なデザインを適用できます。
FormBridgeと同様に、メールアドレスやIPアドレスでフォームへのアクセスを制限したり、kintone内の情報を検索できる検索フォームを設置したりすることも可能です。
kintone内の情報を外部に見せたい時に、データを移し替える必要がありません。
>関連記事:kViewer(ケイビューワー)とは?できること・使い方
FormBridge×kViewerでkintoneのライセンス不要で経費精算が可能に
FormBridgeとkViewerを連携させると、kintoneライセンスを持たない人でも、kintone内の情報の閲覧と編集が可能になります。
まずは、FormBridgeで経費精算フォームを作成します。申請者が必要事項を入力して提出するだけで、申請内容がkintoneの経費精算アプリに自動で登録されます。
次に、kViewerで申請者本人が申請状況や内容を確認するためのビューを作ります。
その際、Toyokumo kintoneApp認証を利用すれば、ビューへのアクセス時に、メールアドレスに基づいたログイン認証を設定可能です。申請者がToyokumo kintoneApp認証をしてビューにログインすると、申請者本人の情報だけが表示されます。
また、FormBridgeとkViewerを連携させ、ビューに編集ボタンを設置すれば、編集ボタンから経費精算フォームに遷移し、申請内容を編集することも可能です。
>関連記事:kintoneで交通費申請を効率化!連携サービスでいつでもどこでも申請が可能に
最後に、このFormBridgeとkViewerを連携させた方法で、実際に大きな業務改善を達成した企業の事例をご紹介します。
保育教育サービスを手がけるアルファコーポレーション様は、500名以上のスタッフが利用する経費精算システムを、わずか10ライセンスのkintoneで構築。従来3〜4日かかっていた処理時間を1時間に短縮した、その具体的な仕組みをご覧ください。
>事例記事:アルファコーポレーション様
kintoneと連携サービスで誰でも簡単に経費精算
kintoneを中心にデジタル化することで、申請・承認・会計連携までをスムーズに処理でき、大幅な業務効率化とコスト削減につながります。
また、外部連携サービスを活用すれば、必要最低限のライセンス数で運用可能です。導入コストを抑えながら、より多くの社員がスムーズに経費申請を行なえる環境を構築できます。
トヨクモではFormBridgeやkViewerの30日間の無料お試しを実施中です。
連携サービスの機能を実際に使ってから検討したい方は、ぜひご利用ください。

