kintoneが使えないと感じる理由とは?導入を失敗させないポイントを解説
業務効率化のためにkintoneを導入したにもかかわらず、以下のような声を耳にしたことはありませんか?
- kintoneは使えない・使いにくい
- 期待した効果が得られない
- kintoneの導入は失敗だった
kintoneは、業務のシステム化や柔軟なアプリ作成が可能なクラウドサービスですが、このように言われることもあります。しかし、kintoneを十分に使いこなせていないことが問題の原因になっている可能性もあり、導入や運用の工夫次第で解決は十分可能です。
たとえば、導入時の教育に力を入れ、ツールを使いこなせる運用体制を整えたり、kintone連携サービスなどで機能を拡張して活用したりすることで、導入効果を最大化できます。
本記事では、kintoneの導入効果を最大限に引き出すために、メリットとデメリットを整理し、よくある失敗パターンや具体的な活用事例を紹介します。
kintoneの導入を迷っている方や、すでに運用しているが効果を感じられない方は、ぜひ参考にしてください。
なお、kintoneの特徴や機能などを知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
>関連記事:わかりやすいkintone(キントーン)とは?特徴・機能、メリットを解説
目次
kintoneが使えないと感じる理由とは?
kintoneは、サイボウズが提供する業務改善プラットフォームです。
自社の業務に合わせたアプリをノーコード/ローコードで作成できます。
2025年2月時点で東証プライム上場企業の44%が導入しており、ITの専門知識がない方でも簡単に操作できるのが特徴です。実際に導入企業の9割は、IT部門以外の方が担当しています。
このように便利で導入実績も多いkintoneですが、「使えない」と感じてしまうケースもあるようです。
ここでは、kintoneが使えないと感じられる理由について、以下の2つの観点から詳しく解説します。
- システム/ツールの問題
- 社内の問題
(参考:kintone「キントーンとは」)
1.システム/ツールの問題
kintoneが使えない、または期待した効果が得られないと感じる原因として、製品の特性による制限が考えられます。
- ユーザーあたりのストレージ容量が少ない
- カスタマイズの制約
- インターフェースの使い勝手
- 権限設定やアクセス制御が複雑で分かりにくい
以下で詳しく解説します。
ユーザーあたりのディスク容量が少ない
kintoneでは、いずれのコースでも、ユーザーあたりのディスク容量が5GBに制限されています。
大量のデータを保存する必要がある場合、コースやユーザー数によってはすぐに容量が不足してしまう可能性があります。
カスタマイズの制約
kintoneは多機能で柔軟性の高いプラットフォームですが、高度なカスタマイズにはいくつかの制約があります。
たとえば、複雑なデータ分析や専門的な統計解析を実施する場合、kintone単体では対応できないため、外部ツールやプラグイン連携が必要です。
また、複数の部門をまたぐ承認フローや、条件分岐の多い複雑なフローを自動化するには、JavaScriptやAPI連携などのプログラミング知識が求められる場合があります。
これらの高度なカスタマイズは、とくに専門的な知識が不足しているユーザーにとっては大きな障壁となるでしょう。
インターフェースの使い勝手
kintoneのインターフェースは直感的で使いやすいとされていますが、必ずしもすべてのユーザーにとって使いやすいとは限りません。
フォームのカスタマイズやプラグインの導入、レポートやグラフの作成などは、操作にあまり慣れていないユーザーにとっては難しいと感じる場合があります。
kintoneを社内で円滑に運用するには、丁寧なサポートやトレーニングが必要です。
権限設定やアクセス制御が複雑で分かりにくい
kintoneは柔軟な権限設定ができる反面、設定項目が多く、どの項目がどこに影響するのか初心者にはとくに理解しづらい点もあります。たとえば「アプリ権限」「レコード権限」「フィールド権限」など複数の階層で設定できるため、「誰がどのデータを見られるのか分からない」と感じるケースも少なくありません。
権限ルールが曖昧なまま導入を進めてしまうと、運用段階でトラブルが発生しやすくなるため、事前に「どの部署・担当者が何を閲覧・編集できるか」を明確に整理し、ルールを固めたうえで設定することが重要です。
2.社内の問題
社内におけるkintoneの活用方法によっては、kintoneが「使えない」と感じられる場合があります。
- 導入目的が不明瞭のまま運用している
- 現場の声を反映したアプリ設計になっていない
- 1つのアプリに複数の業務が混在している
- 社員のITリテラシーや運用スキルにばらつきがある
導入目的が不明瞭のまま運用している
kintoneの導入を成功に導くには、具体的な目標設定と、活用方法の共有が不可欠です。
kintoneは自由度の高いツールであるため、目的が不明瞭なまま導入すると、せっかく作成したアプリも社内に浸透せず、期待した効果を実感できない可能性があります。これは、新しいシステムやツールを導入する際に共通して起こり得ることです。
そのため、「〇〇業務の効率を改善し、年間△△時間を削減する」といった具体的な目的を設定し、メンバー間で共有することが大切です。kintoneの活用方法が明確になり、効果的なアプリ開発につながります。
また、最初からすべての業務フローをアプリ化するのではなく、使う機能を絞り込んでスモールスタートをすることで、スムーズな導入と運用が可能になります。
現場の声を反映したアプリ設計になっていない
kintoneは現場の声を反映し、社内での使いやすさを追求することで真価を発揮します。しかし、設計者と現場の認識にずれがあると、実際にアプリを運用する現場ではkintone本来の「使いやすさ」を実感できません。
現場で働く人たちは、日々の業務で直面する課題を誰よりも深く理解しています。彼らの声を無視して作られたアプリは、「使えない」と評価されてしまうでしょう。
kintoneが現場に定着するように、活用方法を学ぶ勉強会などを開催し、「こんなアプリが欲しい」「こんなデータが見たい」といった声が自然とあがる環境を作ることが大切です。
1つのアプリに複数の業務が混在している
kintoneを最大限に活用するには、「1つのアプリに1つの業務」が原則です。1つのアプリに複数の業務を詰め込むと、情報管理が煩雑になり、業務効率が低下する恐れがあります。
たとえば、顧客管理アプリに「請求書管理」や「顧客からの問い合わせ対応」など複数の業務が混在している場合、それぞれを独立したアプリとして作成し、顧客情報で連携させるのが効果的です。
同じ業務を担当するメンバーが使う情報を1つのアプリにまとめることで、業務効率が向上します。
社員のITリテラシーや運用スキルにばらつきがある
kintoneは直感的に操作できる反面、利用者のITリテラシーや運用スキルに差があると、活用度にばらつきが出やすいツールです。操作に慣れた社員はアプリを自在に使いこなせますが、慣れていない社員は仕組みを理解できず、入力ミスやデータの重複、情報共有の遅れなどが起きることもあります。
こうしたギャップを放置すると、全体の業務効率が低下する原因になります。導入時には、基本操作や入力ルールをまとめたガイドラインの整備や、実際の業務を想定した操作研修を行ない、スキルの差を埋める工夫が必要です。
kintoneの苦手な領域
kintoneは多くの業務アプリを作れる非常に便利なツールですが、万能ではありません。以下のような、苦手とする領域も存在します。
- Excelのような複雑な関数処理
- 財務会計などの専門業務
- 大量データの処理・表示
それぞれ解説します。
Excelのような複雑な関数処理
kintoneは業務データの共有や管理、簡単な集計などに強みを持つ一方で、Excelのような複雑な関数処理は得意ではありません。たとえば、複数条件を組み合わせた計算や、ネストした関数による高度なロジック処理、ピボットテーブルを使った多角的な分析などは、kintone単体では対応が難しい領域です。
そのため、詳細なデータ分析や複雑な数値処理を行なう場合は、ExcelやBIツールと連携させて運用し、kintoneの使いやすさを保ちながら不足する機能を補う必要があります。
財務会計などの専門業務
kintoneは業務データの管理や共有には優れていますが、財務会計や給与計算といった専門的な業務処理には対応していません。仕訳の自動生成や税金計算、法定帳票の作成などの機能は備えておらず、あくまで汎用的なデータベース管理ツールとしての位置づけとなっています。
そのため、経理や人事といった専門部門で求められる精緻な処理や帳票管理を行なうには不向きで、kintone単体で財務業務の中核を担うことは難しいと言えます。
大量データの処理・表示
kintoneは中小規模の業務データ管理には適していますが、大量データの処理や表示には限界があります。数万件を超えるレコードを扱うと、一覧表示や検索、集計に時間がかかり、動作が重く感じられることがあります。
さらに、kintoneのディスク容量は、料金プランにかかわらず「1ユーザーあたり5GB」に固定されており、添付ファイルも「1ファイル最大1GB」という制約があります。そのため、画像や動画、帳票PDFなど大容量のファイルを頻繁に扱う業務には不向きです。
軽量データの管理や日常的な業務記録には十分対応できますが、大量データの蓄積・分析を目的とする場合は注意が必要です。
kintoneの弱点をカバーする方法
お伝えしたようにkintoneには得意ではない領域もありますが、以下の方法で補うことも可能です。
- Excel関数は連携サービスで対応可能
- 財務会計は外部システムやプラグインで補う
- 膨大なデータはオプションや外部連携で最適化する
それぞれみていきましょう。
Excel関数は連携サービスで対応可能
kintone単体では複雑なExcel関数を扱ったり、高度な計算処理を行なったりするのは難しいものの、外部ツールとの連携でその弱点を補うことができます。
たとえば、kintoneとExcelを自動的に連携させるプラグインやクラウド連携ツールを利用すれば、kintoneのデータをExcelに出力して複雑な関数処理や分析を行ない、その結果を再びkintoneに反映させることが可能です。この仕組みにより、kintoneの操作性を保ちながら、Excelの計算機能を活かした高度なデータ活用を実現できます。
四則演算やSUM、グラフ集計機能はkintoneの標準機能として備わっており、Excelからのデータ移行も簡単に行なえます。無料お試し期間を利用して、kintoneを実際に操作すれば、その使い勝手の良さが分かるでしょう。
また、トヨクモが提供する『DataCollect(データコレクト)』を導入することで、kintoneでバラバラに管理しているデータを一つにまとめて、データの収集や計算、加工処理などを効率化できます。
たとえば、案件情報アプリから必要なデータだけを自動で抽出して、実績管理アプリに転記するといったことも可能です。これにより、予算達成状況などの分析が簡単にできるようになります。
>関連記事:DataCollect(データコレクト)とは?kintoneの複数アプリを自動集計できる連携サービスの使い方を解説
財務会計は外部システムやプラグインで補う
kintone単体では財務会計や給与計算といった専門的な業務処理は行なえませんが、外部システムや専用プラグインを組み合わせることで機能を拡張できます。
たとえば、会計ソフトや給与管理システムと連携させることで、仕訳データや給与データを自動的に取り込み、kintone上で一覧管理や参照を行なうことが可能です。経理部門や人事部門の情報をkintone上で一元的に確認できるようになり、部門間のデータ共有や確認作業の効率化にもつながります。
また、OCRプラグインを活用すれば、電子帳簿保存法への対応やレシート読み取り機能の補完が可能です。さらに、トヨクモが提供する『DataCollect(データコレクト)』を活用すれば、kintoneの基本機能だけでは難しい予実管理や在庫引当を実現できます。
同じくトヨクモが提供する『PrintCreator(プリントクリエイター)』を活用すれば、kintoneアプリからワンクリックで書類の作成/出力が可能です。
kintoneなら、営業部門とバックオフィス部門それぞれにとって使いやすい画面を自由に設計できるため、他システムでは実現しにくい柔軟な帳票運用が実現します。
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膨大なデータはオプションや外部連携で最適化する
kintoneでは大量データの処理・表示に制約がありますが、オプション機能や外部連携ツールを活用すれば、この課題を解決することも可能です。
オプションのディスク増設は、1ユーザーあたり10GBまで対応可能です。他にも、オンラインストレージやファイル転送サービスを利用することで、これらの問題は解決できます。
さらに、kintone内のデータを外部に複製保管できる連携サービス『kBackup(ケイバックアップ)』を利用すれば、アプリの構造情報(テーブル情報)や添付ファイルの復元も可能です。
これにより、データ消失時の復旧だけでなく、過去のデータ分析や業務改善にも役立てられます。
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ほかにも、アプリを用途別に分割したり、一覧画面に表示するレコードを絞り込んだりすることで、表示速度を改善できます。また、BIツールやクラウドデータベースと連携すれば、膨大なデータを効率的に集計・分析できるようになり、kintone上で扱うデータ量を軽減しながら業務の生産性を高められます。
kintoneの強みとは?他ツールにはない魅力
次に、以下のようなkintoneならではの強みについて解説します。
- ノーコード/ローコードで作成で業務アプリをすぐ作れる
- 業種別に使える豊富なテンプレートがある
- 改善をすぐ反映できて柔軟な運用が可能
- プラグインや外部連携で機能を自由に拡張できる
- 社内外のやり取りを1つの画面で効率化できる
- データの集計・分析が簡単にできる
- 高セキュリティで安心して使える
それぞれ具体的な内容を確認しましょう。
ノーコード/ローコードで業務アプリをすぐ作れる
kintoneは、プログラミングの知識がなくても、業務のシステム化や効率化を実現できるアプリを作れるクラウドサービスです。
Excelで顧客情報を管理していると、データを探すのに手間取ったり、複数人での同時編集が難しかったりすることがあります。しかし、kintoneなら情報を一覧で見やすく整理し、チームで簡単に共有/編集できます。
また、専門システムを導入する場合は費用も時間もかかりますが、kintoneであれば手軽に始められ、自分たちの業務に合わせて自由にカスタマイズが可能です。
業種別に使える豊富なテンプレートがある
kintoneには、さまざまな部署や業種で使えるアプリのテンプレートが多数用意されています。営業日報や顧客管理、在庫管理など、100種類以上のアプリが揃っており、自社に役立つサンプルアプリが豊富です。
また、サンプルアプリやテンプレートを使うだけでなく、自分だけのオリジナルアプリも作れます。難しいプログラミングの知識は不要で、必要な項目をドラッグ&ドロップで追加するだけなので操作は非常に簡単です。
まるでブロックを組み立てるように、直感的にアプリを作れるので、誰でも気軽に挑戦できます。
改善をすぐ反映できて柔軟な運用が可能
kintoneは自分たちで業務アプリを作成できるため、素早く改善サイクルを回せます。そのため、事業のスピードや状況の変化にも柔軟に対応できるのが特長です。
大規模システムと比べて、kintoneはフローの再構築が容易です。実務でのトライ&エラーを通して、部門全体で業務改善・効率化を推進できます。
プラグインや外部連携で機能を自由に拡張できる
kintoneは、プラグインや連携サービスを活用することで、基本機能をはるかに超えるさまざまな機能を実現できます。200種類以上の拡張機能が利用可能で、業務効率化やデータ連携など、幅広いニーズに対応可能です。
トヨクモでは、以下のようなkintoneをさらに便利に活用するための連携サービスを多数提供しています。
| FormBridge(フォームブリッジ) | kintoneに直接データ保存できるWebフォーム作成ツール |
| kMailer(ケイメーラー) | kintone内に保存されたデータを、簡単にメール送信/一斉配信できる連携サービス |
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社内外のやり取りを1つの画面で効率化できる
kintoneを活用することで、業務に関連するメンバーや情報を一元管理できるため、社内外のコミュニケーションが円滑になります。
kintone内では、あらゆる場所からメッセージのやり取りが可能です。たとえば、FAQアプリを参照しながら担当者に質問したり、商談管理アプリ内で進捗状況を共有したりと、状況に応じたコミュニケーションができます。
アプリ操作とコミュニケーションをシームレスに行なえるため、業務効率が向上し、スムーズな連携を実現します。
データの集計・分析が簡単にできる
kintoneは、日々の業務で発生する情報をアプリに入力や保存をするだけで、簡単にデータを蓄積できます。蓄積したデータは、表やグラフで視覚的に集計や分析ができ、レポート機能を活用すれば進捗や傾向の把握も可能です。
レポートを活用することで、感覚や勘に頼らない、データに基づいた的確な業務改善につながります。たとえば、売上推移や問い合わせ件数の変化を可視化することで、問題点の早期発見と迅速な対応が実現します。
Excel管理の煩雑さから解放され、効率的な意思決定を支援してくれるのもkintoneの大きな強みです。
高セキュリティで安心して使える
kintoneはクラウド型の業務プラットフォームとして、強固なセキュリティ対策を標準で備えており、多くの情報を扱う企業でも安心して導入可能です。
通信の暗号化やIPアドレス制限、二要素認証など多層的なセキュリティ機能を提供しており、ユーザーごとに閲覧や編集権限を細かく設定できるため、情報漏洩リスクも最小限に抑えられます。
さらに、kintoneはサイボウズ社が提供する国産サービスのため、国内法令への対応や日本語による手厚いサポート体制も整っています。個人情報や機密情報を扱う業務でも、安心して活用できるでしょう。
kintoneはリレーショナルデータベース(RDB)ではない?
kintoneは、リレーショナルデータベース(RDB)そのものではありませんが、RDBの仕組みをベースに設計されたクラウド型業務アプリサービスです。SQLなどの専門知識がなくても、フォーム作成やアプリ間の関連付けを直感的に行なえます。
ただし、内部構造や高度なクエリ機能などはRDBとは異なるため、データベースとしての高度な運用には向いていません。あくまでRDBとは別物として理解しておく必要があります。
kintone導入が向いている企業の4つの特徴
kintone導入が向いている企業の特徴は、以下の4つです。
- 自社に合わせたアプリで業務効率化したい企業
- 円滑な社内コミュニケーションを促進したい企業
- 複数の業務を少ない人数で担当している企業
- コストをかけず手軽にシステムを導入したい企業
それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
1.自社に合わせたアプリで業務効率化したい企業
kintoneは、ノーコード/ローコードで自社に合ったアプリを自由に作成でき、現場の課題やニーズに合った最適な業務ツールを構築できます。そのため、自社に合わせたアプリで業務を効率化したい企業に最適です。
業務内容やフローは企業ごとに異なるため、既製のパッケージソフトでは柔軟に対応できないケースも少なくありません。
kintoneなら、営業進捗の可視化や顧客対応履歴の管理、在庫の共有管理など、幅広い業務に対応できるアプリを作成可能です。現場主導で改善を重ねながら使えるため、定着率が高く、継続的な業務改善にもつながるのが大きな特徴です。
2.円滑な社内コミュニケーションを促進したい企業
kintoneは口頭やメール、チャットなどに分散しがちな情報を集約できるため、伝達ミスや見落としを防止し、円滑なコミュニケーションを促進したい企業に向いています。
コメント機能や通知機能、掲示板などを活用することで、業務に関するやり取りをアプリ上で一元化できます。やり取りの履歴も残るため、あとから確認したり、スムーズに担当者の引き継ぎをしたりすることも可能です。
リモートワークや部門をまたぐ業務が増えるなか、kintoneは社内の連携強化と情報共有の効率化を実現し、組織全体の業務スピードを底上げしてくれるツールです。
3.複数の業務を少ない人数で担当している企業
kintoneは、タスク管理や顧客管理、日報や申請処理などを業務ごとの専用アプリで一元化できるため、複数の業務を少ない人数で担当している企業に向いています。
人手が限られている企業では、効率的に業務を進める体制づくりが欠かせません。kintoneは、操作が直感的で習得しやすく、ITに不慣れなスタッフでもすぐに使いこなせるのも魅力です。
さらに、自動集計や通知機能により手作業の負担を大幅に軽減し、少人数でも高い業務処理能力を維持できます。
4.コストをかけず手軽にシステムを導入したい企業
kintoneは、小規模から無理なく導入できるクラウド型業務プラットフォームで、コストを抑えて確実に業務改善を図りたい企業に向いています。
初期費用が不要で、最小契約数10ユーザーから始められるため、導入のハードルが低いのも魅力です。
また、専門的な知識やエンジニアを必要とせず、外注することなく社内だけでアプリを作成したりカスタマイズしたりできるため、外注にかかる費用の削減にもなります。
試行錯誤しながら、自社業務に最適な形へと柔軟にブラッシュアップできるのも、kintoneの魅力のひとつです。
kintone導入が向いていない企業の4つの特徴
一方で、kintone導入が向いていない企業の特徴は、以下の4つです。
- 特定の業務に特化したシステムのみが必要な企業
- プラグイン導入費用を捻出できない企業
- 自社で運用・改善する体制が整っていない企業
- 大量のデータを扱う企業
自社の特徴と照らし合わせながら、導入を検討する際の参考にしましょう。
1.特定の業務に特化したシステムのみが必要な企業
特定の業務だけを効率化したい企業には、kintoneは最適とは言えません。
kintoneは柔軟にカスタマイズできる汎用型の業務プラットフォームであり、幅広い業務に対応できる一方、特定業務向けに高度な機能を備えた専用システムと比べると、精度や使いやすさで劣る場合があります。
たとえば、kintoneは会計や給与計算、製造管理など専門性の高い業務だけの効率化には不向きです。すでに業務フローが確立している場合、kintoneの自由度の高さが逆に負担になることもあるでしょう。
限定的な業務効率化を目的とする企業にとっては、kintoneの柔軟性がデメリットとなり、非効率になる可能性があります。
2.プラグイン導入費用を捻出できない企業
追加コストをかけられない企業は、kintoneの機能を十分に活用できない可能性があります。
kintoneは基本機能でも十分使えますが、より高度な業務効率化を実現するには、有料プラグインや外部連携サービスが必要になる場面があり、継続的にプラスαの費用がかかる場合もあります。
たとえば、kintoneで帳票出力や自動化処理、外部データベースとの連携などを行なう場合、有料プラグインが必要です。これらの追加コストを捻出できないと、十分な機能拡張ができず、kintone導入の効果を最大化できません。
初期費用だけでなく、将来的な機能拡張にかかるコストも見越して、予算を確保できるかどうかを事前に確認してから導入しましょう。
3.自社で運用・改善する体制が整っていない企業
kintoneは、いわば「自分たちで作って育てる」性質のツールです。そのため、運用・改善の体制が整っていない企業では、導入効果を十分に発揮できません。IT担当者や現場リーダーが不在だと、アプリ作成や運用ルールの決定が属人化したり形骸化したりしやすくなります。
「誰がアプリを作るのか」「改善をどのように進めるのか」といった役割やプロセスが曖昧なままでは、運用の停滞や現場の混乱を招くケースも少なくありません。したがって、kintone導入にあたっては、明確な担当者と改善サイクルを回せる体制が不可欠です。
4.大量のデータを扱う企業
kintoneはおもに中小規模の業務データ管理に適したツールです。数十万件を超える膨大なデータを扱う場合、一覧表示や検索、集計の速度が低下しやすく、快適な操作が難しくなることがあります。
たとえば、ECサイトや製造業で在庫管理や取引履歴など大量のデータを日常的に扱うケースでは、kintone単体ではパフォーマンスや運用面で課題が生じる可能性があります。このような場合には、専用の基幹システムやクラウドデータベースを併用するなど、別途対応策の検討が必要です。
kintoneの導入を失敗させない7つのポイント
kintoneの導入を失敗させないために、以下7つのポイントを紹介します。
- チームで取り組む体制を整える
- 現状の問題を明確にする
- 業務フローを整理する
- アプリを実装し、改善を繰り返す
- kintone連携サービスを活用する
- いきなり完璧を求めない
- システム会社にサポートを依頼する
それぞれの具体的な内容を参考にして、kintone導入の効果を最大化しましょう。
1.チームで取り組む体制を整える
kintone導入は、単独ではなく複数のメンバーで取り組む体制を整えることが重要です。
リーダーを中心に、現場の意見を反映できるメンバーやITに詳しいメンバーなど、多様な視点を持つチームを編成するのがポイントです。そうすることで、責任が分散され、円滑な導入と社内への浸透が期待できます。
また、定期的な進捗確認や情報共有の場を設けると、チーム全体のモチベーションが維持しやすくなり、より効果的な導入につながるでしょう。
2.現状の問題を明確にする
kintone導入の目的を明確にし、解決したい問題を具体的に洗い出すことが重要です。
「業務効率化」「情報共有の改善」「コミュニケーションの活性化」など、目指すゴールを明確にすることで、必要な機能やアプリも明確になり、導入後の効果測定をしやすくなります。
また、現場の声をヒアリングし、解決したい問題の優先順位をつけることで、より効果的なkintone活用につながります。
3.業務フローを整理する
業務フローを見直すことで、より効率的なプロセスを構築できます。kintoneで解決したい課題を踏まえ、必要なアプリをリストアップし、既存の業務プロセスを可視化しましょう。
無駄な作業やボトルネックを特定することで、kintoneで自動化できる部分や改善ポイントが見えてきます。
4.アプリを実装し、改善を繰り返す
問題や業務フローを整理したら、kintoneの機能や特徴を理解した上で、自社に適したアプリを設計し、実装します。
なお、kintone導入は最初から完璧を目指さず、まずは小規模で始めることが重要です。
シンプルなアプリから導入し、実際に運用しながら改善点を見つけ、徐々に機能を追加することで、現場のニーズに合ったシステムを構築できます。また、定期的な振り返りや意見交換を行ない、kintoneの活用方法を改善すると、より効果的な業務改善を実現できます。
5.kintone連携サービスを活用する
kintoneの基本機能だけではできないことも、トヨクモのkintone連携サービスをはじめ、kintone連携サービスを活用すれば、機能を柔軟に拡張できます。
トヨクモのkintone連携サービスとは、トヨクモが提供するkintoneと連携して使える「クラウド型」のkintone連携サービスです。データ収集や帳票出力など、kintoneの基本機能にはない機能を追加できます。
具体的には、トヨクモの『FormBridge(フォームブリッジ)』で外部フォームと連携したり、『PrintCreator(プリントクリエイター)』で帳票を自動作成したりなど、kintoneの基本機能ではできない業務を行なえるようになり、より効果的・効率的に運用可能です。
こうしたプラグインや連携ツールを使うことで、より幅広い業務に対応できるようになるため、kintoneは「使えない」と思っていた企業でも「使える」ツールへと進化させられます。
トヨクモのkintone連携サービスの各機能の特徴は、以下のとおりです。
| 機能 | 特徴 |
| FormBridge(フォームブリッジ) | 外部フォームとのデータ連携を簡単に行なえる |
| kViewer(ケイビューワー) | kintoneデータを視覚的に分析や可視化する |
| kMailer(ケイメーラー) | kintoneと連携したメール配信機能を提供する |
| PrintCreator(プリントクリエイター) | kintoneデータをもとに帳票やPDFを作成や出力する |
| DataCollect(データコレクト) | 外部データをkintoneに自動的に取り込む |
| kBackup(ケイバックアップ) | kintoneデータのバックアップを自動で行なう |
6.いきなり完璧を求めない
kintoneを導入する際に、最初から完璧なシステムを作ろうとすると、かえって導入が進まなくなったり、実際の運用に合わないシステムになってしまったりする可能性があります。
たとえば、すべてのシステムを網羅しようとすると確認作業に時間を取られ、本来目指すべきはずの業務の効率化という目的から乖離する恐れがあります。また、完璧を求めすぎることで設計が複雑になり、現場のユーザーが使いにくくなるかもしれません。
kintoneの強みは、ノーコード/ローコードで簡単に修正・改善できる点です。
まずはシンプルな構成でアプリを作成し、少しずつ試しながら現場の声を反映させてアップデートしていくことが重要です。kintoneは使いながら柔軟に改善を重ねることで、自社に最適なシステムへと成長します。
完璧を目指すよりも、まずは実際に導入して使い、失敗を恐れずにPDCAを回していく姿勢が成功のカギとなります。
7.システム会社にサポートを依頼する
kintoneは、プログラミング知識がなくても簡単にアプリ作成できる点が魅力です。しかし、要件整理やアプリ構築、プラグイン選定、アプリ間連携などで悩むケースも少なくありません。とくに社内にIT人材がいない場合や短期間で効果的に導入したい場合は、導入支援実績の豊富なシステム会社に相談するのが有効です。
kintoneには専門のサポート部門があり、業務用アプリの開発や導入支援を行なうパートナー企業も存在します。業務の可視化や最適なアプリ設計、操作トレーニングまで、プロの視点でサポートしてもらえます。
これらを活用すれば、導入時の失敗リスクを抑えられるだけでなく、運用サポートや機能拡張も相談でき、長期的に安心してkintoneを活用できる体制を整えられるでしょう。
kintoneを“使えるツール”に変えた導入事例5選
最後に、kintoneを“使えるツール”に変えた導入事例を5つ紹介します。
- 業務改善と顧客満足度の向上を同時に実現|さくら製作所
- 転記作業が発生するスプレッドシートから脱却|ウィルビー
- 1ヶ月の業務時間を200時間削減|トラストバンク
- 業務効率化で電話対応をほぼゼロに削減|医療法人社団 医聖会 八幡中央病院
- 最大2週間かかっていた業務が1日に短縮|檜垣造船
導入事例を知ることで、kintoneが自社に合うかイメージしやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
業務改善と顧客満足度の向上を同時に実現|さくら製作所
ワインセラーや日本酒セラーを販売するさくら製作所社は、従来のアナログ業務における課題を解決するため、kintoneとトヨクモの連携サービスを導入しました。
kintoneを活用してアフターサービスの顧客情報管理をスタートし、kintoneと連携可能なWebフォーム作成ツール『FormBridge(フォームブリッジ)』を導入。
顧客に入力してもらったデータをそのままkintoneに反映させることで、転記ミスをなくし、業務効率の大幅な向上を実現しました。
さらに、kintoneのデータを帳票として出力できる『PrintCreator(プリントクリエイター)』も導入。見積書や修理依頼書の作成が簡単かつ正確になり、業務の効率化に貢献しています。
これらの施策の結果、見積作成時間を20分から1分に短縮し、問い合わせの入力時間をゼロにするなど、業務効率が大幅に向上しました。顧客からのクレームも減少し、従業員満足度の向上にもつながっています。
同社は今後、顧客のMyページ構築や海外展開を視野に入れ、さらなる成長を目指しています。
>活用事例記事:社内の基幹システムをkintone x トヨクモ全製品で構築、業務改善と顧客満足度の向上を同時に実現した
転記作業が発生するスプレッドシートから脱却|ウィルビー
人材業界向けサービスを提供するウィルビー社は、2017年にプロシーズ社から分社独立したIT企業です。同社は以前、海外製のSFAツールを導入していましたが、コスト面や使い勝手に課題があったため、kintoneに乗り換えました。
kintoneを使って営業や顧客管理のデータを一元化することで、業務効率が向上。以前は受注と失注のリスト管理が主でしたが、kintone導入後は活動履歴の管理や営業の受注分析が可能になり、kintoneを見れば正確な情報が一目で分かるようになりました。
さらに、kintoneアプリ間のデータを集計/計算自動化する『DataCollect(データコレクト)』を活用することで、月に4時間かかっていた集計作業がワンクリックで完了するようになり、予実管理業務も大幅に改善しました。
kintoneとトヨクモ製品を駆使して業務効率化を進めた結果、従業員の満足度と顧客満足度の向上を実現しています。
>活用事例記事:転記作業が発生するスプレッドシートから脱却!kintoneとトヨクモ製品で大きな業務改善を実現した
1ヶ月の業務時間を200時間削減|トラストバンク
トラストバンクでは、事業の急成長に伴い、Excelを中心とした煩雑なオペレーションが続いていました。業務負荷が担当者に集中し、非効率な体制が課題となっていたためkintoneを導入します。
情報を一元管理することで業務全体の効率化を図るとともに、トヨクモの連携サービスである以下4つのサービスを活用しました。
これにより、業務プロセスの自動化や社内外の情報共有、顧客対応の質の向上を実現しました。
たとえば、これまで電話やメールで受け付けていたサービスの無料お試し申込については、『FormBridge(フォームブリッジ)』でWebフォームを構築。フォームから送信された顧客情報がkintoneに自動反映される仕組みに変えることで、転記作業が不要となり、誤入力や反映漏れといった人的ミスが軽減しました。
kintoneおよびトヨクモのkintone連携サービスの導入により、業務の正確性とスピード向上を実現しました。
>活用事例記事:決め手はスピード感と柔軟性。業務時間を200時間/月削減し、新規事業のドライブに成功したトヨクモkintone連携サービス活用事例
業務効率化で電話対応をほぼゼロに削減|医療法人社団 医聖会 八幡中央病院
医療法人社団 医聖会 八幡中央病院では、これまで入院調整業務の多くを電話と紙ベースで行なっていました。業務の煩雑さに加え、入院の遅延といった患者にとっても大きな負担となっていたため、kintoneの導入を決定します。
近隣病院の導入実績も参考にしながら、まずは院内の業務効率化を進めました。kintoneの導入によって内部業務は大きく改善された一方で、外部医療や介護施設向けのセミナー予約管理などは依然として非効率な状態が続いていました。
そこで、大量データの処理が可能で、kintoneとのシームレスな連携が魅力の『FormBridge(フォームブリッジ)』を導入。
さらに、紙出力が不可欠なカルテ作成業務に対応するため『PrintCreator(プリントクリエイター)』も導入しました。その結果、データの入力から集計、帳票出力までをスムーズに行なえるようになり、院内外の業務が包括的に効率化されました。
>活用事例記事:医療セミナー受付や、患者様対応の業務効率化で電話対応をほぼゼロに!FormBridgeとPrintCreatorで実現した医療・介護業界でのDX
最大2週間かかっていた業務が1日に短縮|檜垣造船
檜垣造船では、長年紙ベースで情報を管理していたことから、顧客との打ち合わせ時に情報の共有や更新に手間がかかるなど、業務上の非効率が課題となっていました。
とくに「最新情報がどれか分かりにくい」「資料の修正が作成者しかできない」といった制約が、社内外の円滑な連携を妨げていました。
そうした背景のもと、同社は2018年にkintoneとバックアップ管理のための『kBackup(ケイバックアップ)』を導入。その後、『PrintCreator(プリントクリエイター)』の導入を皮切りに、業務全体の効率化を目指してトヨクモのkintone連携サービスの活用を本格化させました。
打合せ記録の管理については『FormBridge(フォームブリッジ)』と『kViewer(ケイビューワー)』を連携させることで、情報の入力や共有、閲覧までの効率化を実現。PC操作に慣れていなかった社員も、kintoneの直感的な操作性と、トヨクモ製品の「使いやすさ」により、無理なくデジタル業務へ移行できました。
紙文化に依存していた現場でも、業務の標準化とスピードアップが実現され、情報共有の質と業務効率が大きく向上しています。
>活用事例記事:最大2週間かかっていた業務が1日に短縮! 情報共有を円滑化し、顧客との関係強化を実現した造船会社のトヨクモkintone連携サービス活用事例
kintoneの強みと弱みを理解して導入を成功させよう
kintoneは、ノーコード/ローコードで業務アプリを作成できる柔軟性に加え、他システムとの連携や機能拡張にも優れている点が大きな強みです。しかし、運用方法や社内体制によっては「使えない」と感じる声も一部あります。
導入を成功させるには、kintoneの弱点や自社との相性をしっかり把握したうえで、適切な運用体制やアプリ設計を整えることが重要です。
本記事で紹介した成功ポイントや導入事例を参考にすれば、kintoneを使えるツールとして導入できます。ぜひ、実践のヒントとして活用してください。









