kintoneのプラグインは開発できる?開発の手順やお役立ちサービスも紹介

kintoneを利用すれば、さまざまな機能をシステムで一括管理できるので、複数ツールを使い分ける手間がなくなり、業務の効率化につながります。
しかしながら、既存のプラグインを活用しても、すべての業務を網羅できるわけではありません。
とくにkintoneを導入したばかりであれば、実現したい機能に対応できるプラグインがない場合に、それ以上どうすればいいか分からない企業も多いでしょう。
どうしても自社業務に対応できるプラグインがない場合には、プラグインを開発することで、より自社業務に最適な機能を実装できます。本記事では、プラグインを開発するための手段や開発方法も紹介します。
自社の開発リソースの有無にかかわらず、自社業務に対応したプラグインが見つからず困っている場合は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
kintoneのプラグインとは?
kintoneのプラグインとは、kintoneの基本機能を拡張するための機能のことを指します。プラグインを導入することで、kintoneの基本機能だけでは実現できない機能やカスタマイズが簡単に実装できるようになります。
たとえばCSV一括インポートや、PDFファイル出力、kintoneレコードのカレンダー表示など、基本機能だけでは痒いところに手が届かなかった部分をカバーすることが可能です。
kintoneには200種類以上のプラグインが用意されており、無料から有料のものまで幅広く提供されています。
もし必要な機能を備えたプラグインが見つからなくても、JavaScript、CSS、HTMLなどのプログラミング言語の知識があれば、自社独自のプラグインの開発も可能です。
kintoneのプラグインについてより詳しく知りたい方は、kintone「プラグイン」とは?できること・おすすめ一覧の記事をご覧ください。
kintoneプラグインの開発は必要?事前に確認すべき3つのポイント
kintoneのプラグイン開発は「自社のやりたいことが実現できる」「アプリ開発と比べコストが低い」など、さまざまなメリットがあります。
一方で、開発に時間や手間がかかってしまうのが難点です。そのため本当に開発すべきかどうか、慎重に検討する必要があります。
以下では、プラグインを開発すべきか検討する際の確認ポイントを3つ解説します。
- kintone内の既存サービスで代用できないか確認する
- 外部サービスとの連携を検討する
- 専門知識を持った人材がいるかを確認する
プラグインの開発を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
kintone内の既存サービスで代用できないか確認する
kintoneには、ひな型である既存のサンプルアプリやプラグインだけで200種類以上(2025年4月現在)のサービスがあるため、その範囲内で代用できないかをまず確認しましょう。
以下では、サンプルアプリを一部紹介します。
- ワークフロー(社内申請管理)パック
- 日報・案件管理
- 備品・在庫管理
- タイムカード
- イベント・フェアカレンダー
- 交通費申請
上記のようなサンプルアプリを組み合わせて代用できる場合には、開発コストや手間が不要になる可能性も高まります。
外部サービスとの連携を検討する
APIやWebhookを利用すれば、kintoneと外部サービスとのデータ連携が簡単にできるようになるため、作業時間の短縮が可能です。
たとえばメール受信と同時にチャット通知が受け取れたり、ブログ更新と同時にSNS投稿されたりするなど、さまざまな作業がスムーズになるため業務効率化が期待できます。
kintoneと連携できる外部サービスとして、下記のようなものがあります。
- GoogleWorkSpace
- Microsoft 365
- LINEWorks
- Slack
- freee
「既存のアプリ・ソフトウェアと連携できれば楽なのに」「複数のアプリを使い分けるのが面倒だな」といった場合は、外部サービスとの連携で解決できるかもしれません。プラグイン開発を検討する前に、連携できないか確認しましょう。
専門知識を持った人材がいるかを確認する
プラグインの開発を検討する際には、プログラミングやシステム開発の分野に精通した人材が社内にいるか確認しましょう。
プラグイン開発に必要な各種ファイルの作成から行う場合、コーディングやプラグイン同士の親和性など、幅広い分野の知識が必要です。そのため、ある程度知識があるほうがスムーズな開発が期待できます。
「専門知識のある人材がいない」もしくは「人材はいるがプラグイン開発のためのリソースが割けない」などの場合には、開発部分を外部委託するのも一つの方法です。
外部に任せれば自社業務を逼迫させることなく、必要な機能を必要なタイミングでシステム化でき業務の効率化が期待できるでしょう。
kintoneプラグインを開発する4つの手順を解説
どうしても既存のサービスでは欲しい機能に手が届かない場合には、プラグインの開発も検討しましょう。
プラグインの開発の手順は以下のとおりです。
- プラグインに必要なファイルを用意する
- マニフェストファイルを作成する
- 必要なファイルのパッケージングを行う
- 作成したプラグインファイルをkintone環境にインストールする
1つずつ詳しく解説していきます。
1.プラグインに必要なファイルを用意する
プラグインを開発する際には、以下のようなファイルが必要です。パッケージングするファイルのディレクトリ構成やファイル名に制限はありません。
ファイル名 | 内容 | 備考 |
アイコンファイル | 各ファイルを画像で識別 | 利用可能なファイルタイプはpng/jpg/gif/bpmのいずれか |
PC用JavaScriptファイル | 実装したい機能を記述 | スマートフォン用プラグインを開発する際には不要
(kintoneのデザインに合わせたい場合は、 51-modern-default を利用) |
スマートフォン用JavaScriptファイル | 実装したい機能をスマートフォン画面に記述 | PC用プラグインを開発する際には不要 |
PC用CSSファイル | PC画面で使用するスタイルシート | スマートフォン用プラグインを開発する際には不要 |
スマートフォン用CSSファイル | スマートフォン画面で使用するスタイルシート | PC用プラグインを開発する際には不要 |
設定画面用JavaScriptファイル | プラグインの設定画面を開いたときに実行される | – |
設定画面用CSSファイル | プラグインの設定画面で適用されるスタイルシート | – |
設定画面用HTMLファイル | 設定画面で文字の装飾や画面の埋め込みなどを構成するファイル | – |
アイコンファイルは、スマートフォン用、PC用いずれのプラグインを開発する場合でも必要なファイルです。
スタイルシートとは、文字のフォントや大きさ、文字の見た目に関する情報を集約したファイルを指します。
2.マニフェストファイルを作成する
マニフェストファイルは、プラグイン開発に必要なファイル情報をまとめた設定ファイルです。テキストデータを処理する際によく用いられるJSON形式のファイルで、kintoneのプラグイン作成時には必須のファイルです。
以下マニフェストファイルの例のように、プラグイン名・説明・バージョン・使用するJavaScriptやCSSファイルなどを定義します。
ソフトウェアやシステムの動作を特定の国・地域に合わせるためのロケールには、次の言語コードを指定できます。
- ja:日本語
- en:英語
- zh:中国語(簡体字)
- zh-TW:中国語(繁体字)
- es:スペイン語
- pt-BR:ポルトガル語(ブラジル)
- th:タイ語
3.必要なファイルのパッケージングを行う
マニフェストファイルまで作成できたら、プラグイン開発に必要なファイルをzipファイルにまとめていく作業であるパッケージングを行います。
必要なファイルをzipファイルにまとめてくれる『plugin-packer』を利用することで、コマンド指定でパッケージングを自動化できます。
その際にはNode.jsが必要であり、インストーラーはこちらより入手可能です。
以下では、plugin-packerをインストールしてパッケージングしていく手順を紹介します。
- 「npm install -g @kintone/plugin-packer」のコマンドを実行し、plugin-packerをインストール
- 作成した各ファイルとマニフェストファイルを配置
- パッケージングしたいファイルをまとめたディレクトリのひとつ上のディレクトリに移動(上記のファイル配置例の場合には「work」に移動)
- 「$ kintone-plugin-packer src」のコマンドを実行
- 「Succeeded: DIRECTORY_PATH/work/plugin.zip」が表示される
- 実行したディレクトリにプラグインファイルと秘密鍵ファイルが作成される
秘密鍵ファイルは、2回目以降のパッケージングで利用するため、失さないように保管しておきましょう。
4.作成したプラグインファイルをkintone環境にインストールする
以下の手順で、作成したプラグインファイルをkintoneへインストールします。
- 「kintone システム管理」を開いて「その他」の「プラグイン」を選択
- 左上部の「読み込む」を選択
- 「参照」ボタンをクリックし、作成したプラグインファイル(plugin.zip)を選択する
- 「読み込む」を選択して、インストールされたプラグインが「プラグイン一覧」に表示されていることを確認できれば完了
2回目以降、同じプラグインファイルをパッケージングする際には、オプションで秘密鍵ファイルを指定すると、kintoneへインストールする際に上書きされます。
kintoneのプラグイン開発で困ったら?利用すべき2つのサービス
kintoneのプラグインを開発する際に「開発手順が分からない」「このまま自社開発し続けていけるか不安」などと不安を抱えている場合には、以下のような方法を試してみましょう。
- 外部委託サービスを利用
- kintoneオフィシャルパートナーへの相談
自社開発でお悩みの方も、それ以外の方法がないか検討している方もぜひ参考にしてみてください。
自社に開発リソースがない企業は「外部委託サービス」がおすすめ
開発に関する専門知識が少ない、もしくはまったく知識がなく不安な場合には、開発の外部委託サービスを利用するのがおすすめです。
ヒアリングを通して自社業務フローに合わせた必要な機能を盛り込めるため、kintoneを効率よく利用できるようになります。
外部委託すれば、以下のようなプラグイン開発を低コストかつ短期間での導入が期待できます。
- kintoneのレコードの登録・更新時にChatworkと連携してタスク登録を行う
- 撮影した名刺情報をデータ化し、kintoneの該当フィードへ直接登録
- ファイルを一覧画面から一括でファイルをリネームし、ダウンロードが可能
kintoneのプラグイン開発を請け負ってくれる業者はさまざまあり、主に3つの料金体系から適したスタイルで進められるのが一般的です。
- 定額開発
- 従量課金開発
- 請負開発
業者やプランによって、進め方や費用感が異なるので、自社に合った形で進めてくれる業者を見つけましょう。
次章以降では、外部委託する場合の料金体系や費用について紹介します。
開発初心者におすすめの「定額開発」
伴走型の定額開発は、開発内容に応じた低コスト・高品質・柔軟な対応が可能な開発スタイルです。契約前の相談や見積もりも無料なため、契約前にしっかり吟味できます。
また、実現したい機能が漠然としていても、ヒアリングを通してスタッフとともに要望に沿った機能の実装が可能です。利用料金は要望や予算によって変わり、月額10万円台〜90万円台までさまざまなプランが用意されています。
定額開発は、以下のような方におすすめです。
- 決められた予算の範囲内で開発して欲しい
- スモールスタートでシンプルなシステムを開発したい
作業範囲に応じて柔軟なサポートが受けられる「従量課金開発」
従量課金開発は、予算や要件に合わせて10万円台〜70万円台まで、作業内容・時間によってさまざまなプランを選択できます。作業の少ない月には予算を抑えるなど柔軟に変更できるため、コストも無駄になりません。
従量課金開発は、以下のような方におすすめです。
- 依頼内容や要件の変更にも柔軟に対応して欲しい
- 月々の作業内容・量に応じた費用で、無駄なコストはかけたくない
要件が変更になっても、作業時間の範囲内であれば方向転換も可能です。
求めている機能が明確にある場合におすすめの「請負開発」
請負開発は、要件定義を細かく行い開発費用・見積もりを行ったうえで、開発に着手する開発スタイルです。要件を細かく定めてから開発が行われるため、希望どおりの高品質なサービスの提供が期待できます。
請負開発は、以下のような方におすすめです。
- 要件(欲しい機能)がある程度まとまっている
- 固定の費用で開発したい
- 事業内容が複雑で企業独自の要件が多い
利用料金は開発内容や期間によって異なるため、気になる方はまずは専門業者に問い合わせてみましょう。
自社開発をサポートして欲しい企業は「kintoneオフィシャルパートナー」への相談がおすすめ
kintoneオフィシャルパートナーは、kintoneの導入前後のユーザーをサポートするサイボウズ公認の協力企業です。
「これからどのようにkintoneを運用していけばいいか」「プラグインの開発が必要か」など悩みを抱えている場合に、kintoneを熟知したスタッフが課題に合わせて適切にアドバイスしてくれます。
また、「kintoneの使い方を知りたい」「kintone基本機能では実現できない部分を開発したい」などのさまざまな悩みに合わせて最適なパートナーに相談できるのも特徴です。最適なパートナー探しの支援もこちらから受けられます。
kintoneプラグインの開発方法を知ってkintoneを有効利用しよう
kintoneを活用すれば自社のさまざまな業務をシステム化・効率化できますが、すべての機能がシステム化できるわけではありません。プラグインや連携サービスを活用すれば、対応できる業務の幅は広がりますが、その都度コストも必要です。
自社業務に最適なシステムが欲しい場合には、独自のプラグインを開発してkintoneをカスタマイズしていくのがおすすめです。
開発には大きくわけて自社開発と外部委託の2種類があり、どちらを利用するかは自社の開発コストやリソース、開発内容によります。
ただ、開発するにもコストや時間・手間はかかるため、本当にプラグイン開発が必要なのか、既存サービスで流用できないかをまずは検討しましょう。
トヨクモでは、kintoneと連携できるアンケートフォームの作成が可能なFormBridge(フォームブリッジ)やkintone内のデータを一括バックアップできるkBackup(ケイバックアップ)などkintone連携サービスを提供しています。
プラグインを開発しなくとも、貴社の課題を解決できるかもしれません。無料でお試しいただけるので、まずは気軽に使用してみてください。

トヨクモ編集部
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