kintone(キントーン)は、プログラミングスキルがなくてもノーコードで業務アプリを作成できるサービスです。導入を検討しているものの、どのようなメリットがあるかイメージが湧かない人もいるでしょう。
そこでこの記事では、kintoneを導入するメリットやデメリットについて、分かりやすく解説します。
kintoneを導入するメリットとは
kintoneを導入することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここでは6つのポイントを挙げて解説します。
拡張性が高く業務に合わせて運用できる
メリットの一つとして、高い拡張性が挙げられます。
外部連携できるアプリが多数あり、基本機能にはない機能を簡単に追加できます。また、API連携で外部のサービスとつなぐことも可能です。さらに、無料で使えるプラグインが充実している他、有料のプラグインの中にも安価で利用できるものが多数あります。
そのため、kintoneは自社専用のアプリを開発する費用や手間を抑えることができるサービスであると言えるでしょう。
社内業務に合わせたアプリを作成できる
業務内容に合わせたアプリを比較的容易に作成できるという点もメリットです。
kintoneにはさまざまな職種や業務に対応した業種業務アプリパッケージが用意されています。例として、営業管理向けパッケージや製造業向けのパッケージ、販売管理向けパッケージなどが挙げられます。
また、自社の目的に見合う設定にカスタマイズすることができるため、オリジナル性の高いアプリの作成が可能です。
コミュニケーションの円滑化
コミュニケーションツールとして利用が可能ということもメリットです。kintoneにはコメント機能やスレッドが搭載されているため、情報の共有が簡単にできます。
宛先を詳細に設定できるので、個人的な相談事からプロジェクトチームでの情報共有まで使い分けができて便利です。
また、クラウド型のサービスのため、複数人で同時に情報の編集が可能です。最新の情報が即座に反映されるため、例えばテレワークのような状況下においても円滑に作業を進められるでしょう。
Excelからの脱却
重いExcelデータから解放され、生産性が向上するという点もメリットといえます。kintoneはライセンスを取得することで、膨大なデータの一元管理が可能です。
Excelはデータ量が多くなると、動きが重くなることがあります。それに対してkintoneは、欲しい情報を欲しいときに即座に取り出せるため、作業効率の向上が期待できるでしょう。
また、情報管理をシステム化できるという点も特徴です。たとえば、メールの自動送信やリマインダー機能を活用すれば、人為的なミスを最小限に抑えられます。
ランニングコストを抑えられる
ランニングコストを抑えられるという点も大きなメリットです。
kintoneは、サーバー利用費やメンテナンス費用を負担することなく利用できます。また、保守を行うエンジニアを社内に配置する必要がないため、運用にあたってエンジニアの人件費がかからないこともランニングコストを低く抑えられる要因の一つです。
加えて、kintoneの利用に初期費用はかかりません。ライセンスの利用料が月または年単位で発生するのみです。
セキュリティレベルが高い
セキュリティレベルが高いということも特徴です。
IPアドレスや端末ごとにアクセス制限をかけられるため、外部の人間は容易に侵入できない仕組みです。そのため、不正ログインや不正アクセスへの対策は万全であると言えるでしょう。もし、社外の人にアクセスを許可する必要があるときは、一時的に権限を与えられます。
また、データセンターを東日本と西日本の2つの拠点で管理していることも大きなポイントです。自然災害やテロなど、不測の事態が起きたとしても、データ損失や情報漏洩の可能性は低いと言えます。
kintoneのデメリット
ここでは、kintoneのデメリットや改善が望まれる点について解説します。
以下に、4つのポイントを挙げます。
アプリが乱立すると管理が煩雑になる
前述の通り、kintoneは容易にアプリを作成できます。ただし、全体像を考慮せずに複数のアプリを導入すると、管理が煩雑になり作業効率を損なう可能性があります。
たとえば、単純作業ごとにその都度アプリを作成すると、1つの業務で多数のアプリを使用しなければならない状況に陥るでしょう。
また、本当に必要なアプリがどこにあるのか分かりづらくなることも考えられます。ほかにも、別のアプリで同じデータを重複入力していても、気が付かない可能性もあります。
このような事態に陥るとミスが発生しやすくなるでしょう。そのため、アプリを作成するときは用途や目的について検討することが重要です。
大量のデータ保管に向かない
基本機能だけでは、大量のデータ保管に向かないという点もデメリットといえます。
kintoneで利用できる容量は、契約者数×5GBです。たとえば、契約者数が10人であれば、10×5GBで50GBです。
そのため、大量のデータを扱う企業であれば、追加でプラグインやディスク増設オプションの購入を検討する必要があります。
すべての業務をkintoneに集約させるのではなく、業務の内容に応じて別途専用のシステムを契約した方が安く済むケースがあります。kintoneに集約させる必要がないのであれば、ツールを使い分けてもよいでしょう。
複雑な構成には専門知識が必要
kintoneには様々なプラグインが用意されているものの、複雑な構成のアプリを作成するためには専門知識が必要です。
万が一、設計にミスがあると動作不良になる可能性があります。たとえば、多くのアプリを導入している場合、アプリ間の連携や情報の読み込みで不具合が生じる可能性があります。そのため、複雑な構成を構築するのであれば、プログラミングの知識が必要です。
また、kintoneで本格的な会計システムを構築するのであれば、税務に関する知識が必要です。例えば、法改正による税率の変動があった際に、自社で対応すると不備が生まれたり、多くの人件費がかかったりするでしょう。
適切な設計ができているかの判断は、プログラミング経験や専門知識がなければ難しいといえます。
拡張機能が増えると費用が高くなる
拡張機能を増やせばその分、費用面での負担が増えるという点はデメリットです。kintoneでは汎用性の高い機能が標準装備されている一方で、専門的な作業には有料プラグインや外部サービスとの連携が必要です。たとえば、帳簿の出力やメルマガの配信はkintone単独ではできません。
もし、知らずに導入すれば、当初組んでいた予算内で収まらなくなることも考えられます。そのような事態を回避するためには、自社にとって必須の機能が標準装備されているかを事前によく確認することがおすすめです。
kintoneの基礎知識
ここでは、kintoneに関する基礎情報を改めて紹介します。
料金体系やプラグイン例について、以下で詳しく解説いたします。
kintoneの料金
kintoneの利用に初期費用はかかりませんが、ライセンスの取得に料金が発生します。
以下、コース別に金額をまとめたものです。
月額(税抜) | 年間(税抜) | |
スタンダードコース | 1,500円 | 17,640円 |
ライトコース | 780円 | 9,170円 |
参照:「料金」|kintone
最低利用人数は5人です。最低限の利用であれば、スタンダードコースを選択しても年間17,640円×5=88,200円(税抜)で利用できます。
kintoneのプラグイン例
プラグインとは、インストールすることで機能を拡張できる追加プログラムのことです。
kintoneのプラグインには、以下のように用途別にさまざまな種類があります。
- データを手書き入力する
- データをバックアップする
- 請求書をWebページに出力する
具体的な利用例として以下が挙げられます。
- 「Dropbox for kintone Premium」を利用してファイル添付機能を拡張する
- 社内のフォーマットに合わせてkintoneのデータをPDF帳票に出力する
業務内容に応じて、必要なプラグインを追加しましょう。
kintoneを活用した業務改善例
kintoneを活用した業務改善例として以下のような社内業務をシステム化できることが挙げられます。
- 顧客管理
- 案件管理
- 経費申請管理
- 日報管理
- 在庫管理
- 受発注管理
在庫管理や受発注管理は、特によく使われるアプリです。個人情報や経費などの重要なデータをアプリで管理することで、人為的なミスを減らせます。
他にも、チャットボットで問い合わせを受けた際、kintoneのデータベースから自動的に返答するというような利用が可能です。自動化することで他の業務に人員を充てられるため、企業の生産性向上が期待できます。
kintoneで業務を効率化しましょう
kintoneには以下のようなメリットがあり、多くの企業で導入されています。
- 拡張性が高い
- アプリ作成が容易である
- コミュニケーション機能がある
- Excelから脱却できる
- ランニングコストが低い
- セキュリティレベルが高い
初期費用が不要で、月額のライセンス費用のみのため、導入費用が安いという点も特徴です。kintoneを業務効率化や経費削減のために活用しましょう。