kintone(キントーン)は、プログラミングスキルがなくても、ノンプログラミングで誰でも簡単にアプリ開発ができるクラウドサービスです。kintoneにはビジネスシーンで役立つさまざまな機能があり、データベース機能もそのひとつです。
今回は、データベース機能の特徴やメリット、課題点などを網羅的に解説します。
kintoneをデータベースとして使うメリット
kintoneをデータベースとして使うことには、以下のメリットがあります。
- ノーコードでデータベースが作成できる
- ExcelやCSV形式のファイルを直接Webデータベースにできる
- スマートフォンからでも確認ができる
- 情報を集約して一元管理ができる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
ノーコードでデータベースが作成できる
kintoneでは、ノーコードでデータベースを作成できます。通常、データベースの作成は相応のプログラミングスキルを持った人が行いますが、kintoneならドラッグ&ドロップで作成が可能です。視覚的な操作でデータベースを作成できるため、未経験者でも問題なく扱えるでしょう。
ExcelやCSV形式のファイルを直接Webデータベースにできる
kintoneのデータベースは、ExcelやCSV形式のファイルを取り込むことができます。
kintoneの導入を検討しているものの、これまでのデータを活用できるのか不安に感じている方もいるでしょう。
kintoneは既存のExcel・CSV形式のファイルを直接取り込むことができ、kintoneにアップロードされたデータは、kintone上で編集が可能です。重くて開かなかったExcelデータも、kintoneに移行することで容易に編集や確認ができるようになります。
スマートフォンからでも確認ができる
スマートフォンからでもデータを確認できるというメリットもあります。なぜなら、kintoneはデータベースがクラウド上にあるためです。クライアント先で確認したい情報がある場合も、その場ですぐに確認ができます。
また、クラウド上でデータを共有することで物理的な資料を持ち歩かなくてよいため、情報漏洩のリスクを回避できるというメリットもあります。テレワークを導入している企業や検討している企業にとって、これは大きな利点といえるでしょう。
情報を集約して一元管理できる
情報を集約して一元管理できるというメリットもあります。
kintoneのデータベースでは、前述したExcelファイルの取り込みを使うことで、バラバラに管理されていた情報を一箇所で管理が可能です。
一元管理することで、情報を探す手間が少なくなり、管理コストも低くなるため、業務効率化に繋がります。
kintoneのデータベースの課題点
kintoneのデータベースには、メリットだけではなく以下の課題点があります。
- ストレージの初期容量が小さい
- SQL Serverや外部DBとの連携には別途ツールが必要
- バックアップが一括で取れない
それぞれの課題点について詳しく解説します。
ストレージの初期容量が小さい
kintoneのデータベースは、ストレージの初期容量が大きくありません。
ストレージの初期容量は、どのプランでも1ユーザーあたり5GBです。営業活動で用いるカタログや提案資料などを大量に保存する場合、5GBでは足りない可能性があるでしょう。容量オーバーになった場合、一定期間後に使用が停止されます。もちろん、容量オーバーが近づいてきたら通知は来ます。
なお、容量は10GB単位で購入でき、最大10TBまで追加可能です。
SQL Serverや外部DBとの連携には別途ツールが必要
SQL Serverや外部DBとの連携には、別途ツールが必要です。なぜなら、kintoneのデータベースは外部連携には対応していないためです。
JavaScript から外部データソースのAPI をコールしてデータを取得するなど、外部ソースのデータを取得してkintone上で表示させることはできます。ただし、この方法はJavaScriptを使うため、プログラミングスキルがなければできません。
バックアップが一括で取れない
kintoneのデータベースは複数のデータを一元管理できます。しかし、すべてのバックアップを一括で取ることはできず、個別に手動でバックアップ作業をします。バックアップをする方法は以下のいずれかです。
- ファイル書き出し機能を利用し、レコードのバックアップを取得する
- テンプレート機能を利用し、アプリ/スペースの設定内容を保存しておく
なお、バックアップしたデータからアプリを再度作成するためには、レコードのバックアップも別途必要です。
kintoneでデータベースを構築する方法
kintoneでデータベースを構築する手順は以下の通りです。
- アプリの新規作成画面に入る
- 入力フィールドを一覧から設定する
- 内容を保存、アプリを公開する
なお、既存のExcelシートを読み込んで作成したり、サンプルアプリを利用する方法もあります。ここからは、これらの方法と合わせてkintoneのデータベースを構築する方法について詳しく解説します。
アプリの新規作成画面に入る
アプリの新規作成画面に入ります。アプリの新規作成画面への入り方は以下の通りです。
- kintoneにログインする
- 右側のアプリの+ボタンをクリックする
作業を開始するにはkintoneにログインします。アカウントを持っていない場合は、アカウントを取得しましょう。
ログイン後のトップページは「ポータル」と呼びます。ポータル画面から、アプリの新規作成画面に入ります。
入力フィールドを一覧から設定する
入力フィールドを一覧から設定します。なお、kintoneのデータベースは、設定する内容をあとから自由に追加可能です。
入力フィールドの設定方法は以下の通りです。
- 「はじめから作成」を選ぶ
- 欲しいパーツ(フィールド)を選び、ドラッグ&ドロップでデータベースを構築する
日付や選択形式などを自由に設定可能です。データベースを構築する目的や用途に応じて、フィールドを選択しましょう。
内容を保存、アプリを公開する
フィールドの設定が完了したら、内容を保存してアプリを公開します。注意点として、保存と公開は別々の箇所にボタンがあるため、それぞれ実行しましょう。
フィールドを設定したら、左上の「フォームを保存」をクリックして内容を保存します。右上の「アプリを公開」をクリックすることでアプリを公開できます。
「アプリを公開」ボタンを押し忘れると、アプリが公開されないため気をつけましょう。
既存のExcelシートを読み込んで作成することも可能
Excelデータをそのまま読み込んでアプリ作成をすることもできます。既存のExcelシートを読み込んでアプリを作成する手順は以下の通りです。
- アプリの「+」をクリックする
- 「Excelを読み込んで作成」をクリックする
- 「作成を開始する」をクリックする
- すべてにチェックを入れて「アップロードへ進む」をクリックする
- 「参照」をクリックしてファイルを選択する
- 読み込んだファイルの内容とフィールドタイプを確認して完了
サンプルアプリの利用も可能
サンプルアプリを利用することもできます。kintoneには多くのサンプルアプリが用意されています。サンプルアプリを使えば時短になり、初めて作成する場合も簡単にはじめられるでしょう。
kintoneで作ったデータベースに内容を追加する方法
kintoneで作ったデータベースに内容を追加することもできます。
内容を追加する方法は以下の通りです。
- 一覧画面右上の「+」をクリックする
- 必要な情報を入力したら「保存」をクリックして完了
また、変更履歴は以下の手順で確認可能です。
- データの詳細画面を開き、右上の歯車マークをクリックする
- 「変更内容を表示する」をクリックする(緑色で表示された部分が変更内容)
なお、「このバージョンにもどす」をクリックすると該当の操作が取り消され、以前の状態に復元されます。
他のソフトで作ったデータベースとの違い
他のソフトで作ったデータベースとkintoneのデータベースにはどのような違いがあるのでしょうか。
最後に、他ソフトとの違いをご紹介します。
Excelとの違い
Excelとkintoneの違いは、使える関数の種類です。Excelはデータベースに対してSUMIF関数やCOUNTIF関数などの関数機能を活用できます。kintoneにも関数機能は実装されているものの、種類が少なめのため、自分が必要としている機能があるか、チェックしておきましょう。とはいえ、kintoneにもグラフや表などの集計機能が搭載されているため、複雑な集計でなければ十分に対応可能です。
マイクロソフトアクセス(RDBMS)との違い
データベースの代表格ともいえるマイクロソフトアクセスとの違いは、トランザクション処理をできるか否かです。マイクロソフトアクセスはトランザクション処理ができます。kintoneは標準機能ではトランザクション処理に対応していません。kintoneでトランザクション処理を実行するためにはAPIを利用しなければならず、難易度の高い作業です。
また、テーブル内のデータ更新方法も異なります。マイクロソフトアクセスは外部キーに紐付けされたデータは常時最新状態に更新されます。kintoneで常時最新状態へ更新されるようにするためには、ルックアップ機能をカスタマイズしましょう。
kintoneのデータベース機能を活用しよう
kintoneのデータベースには、ノーコードで作成でき、ExcelやCSV形式のデータを直接取り込めるというメリットがあります。一方で、Excel・RDBMSに備わっている機能が標準装備されていないというデメリットもあります。
メリットとデメリットを把握した上で、kintoneのデータベース機能を活用しましょう。