kintoneは、多くの企業で活用されている業務管理ツールです。そのkintoneに蓄積されたデータを活用し、ビジネスに役立てるためにはBIツールを連携させる必要があります。しかし、連携方法や活用方法が分からず、悩む方も多いでしょう。
そこで本記事では、kintoneとBIツールの連携によるメリットや具体的な連携方法、代表的なBIツールなどを詳しく解説します。業務の効率化を図りたい場合は、ぜひ参考にしてください。
BIツールとは
BIツールとは、「Business Intelligence(ビジネスインテリジェンス)」の略称で、企業が保有する膨大なデータを収集・分析・可視化し、経営や業務に役立てるためのソフトウェアのことを指します。収集したデータは、ダッシュボードから一覧で確認可能です。
BIは「ビジネスの意思決定に関わる情報」を意味し、ツールを使って収集・分析することで業務の効率化を図れます。
近年では、企業におけるビッグデータの活用が拡大しており、膨大なデータを収集・分析・可視化するためにはツールの利用が欠かせません。BIツールを使えば、必要なデータを迅速に引き出し、経営の意思決定に役立てることができます。
kintoneとBIツールの連携方法
kintoneとBIツールを連携させる方法は、主に以下の3つです。
- BIツール側の機能で連携
- データ連携ツールを利用
- kintoneデータをCSV出力して連携
以下で、それぞれの詳しい内容と連携の手順を解説します。
BIツール側の機能で連携
多くのBIツールは、kintoneとの連携機能を標準搭載しています。これらの機能を利用することで、簡単にデータの連携を行えます。具体的な手順は、以下の通りです。
- BIツールでkintoneアプリの接続設定を行う
- 連携したいkintoneアプリを選択
- 必要に応じてデータのフィルタリングや加工を行う
- データ分析や可視化を行う
この方法で連携する場合は、主にBIツール側で設定を行います。任意のBIツールで接続設定を行い、連携したいアプリを選択しましょう。必要に応じてデータの加工などを行った後、データの分析や可視化をしてください。
この方法は設定が簡単なのがメリットですが、細かい設定ができない場合があります。またBIツールによっては、kintoneとの連携に対応していないものもあるので注意が必要です。連携に対応していないBIツールを使っている場合は、他の連携方法を試しましょう。
データ連携ツールを利用
BIツール側に標準で連携機能が搭載されていない場合は、データ連携ツールを利用することで、間接的に連携させられます。主な手順は、以下の通りです。
- データ連携ツールでkintoneとBIツールの接続設定を行う
- 連携したいkintoneアプリとBIツールを選択
- データの連携方法を設定
- データ分析や可視化を行う
kintoneで利用できるサービスには、BIツール連携のための基盤サービスである「Smart at tools for kintone BI接続」があります。こちらを活用すると、現在使っているBIツールとkintoneを連携させることが可能です。外部のダッシュボードにkintoneのデータを同期し、接続できます。
kintoneのデータ上限やAPIリクエスト数上限を意識せず、BI接続を実現できるのも大きなメリットです。この方法で連携すると細かな設定も可能ですが、連携ツールの利用料金が別途かかる場合がある点には注意しましょう。
kintoneデータをCSV出力して連携
上記2つの方法が使えない場合は、kintoneデータをCSV出力して連携させる方法もあります。具体的な手順は、以下の通りです。
- kintoneアプリからデータをCSV形式で出力
- BIツールでCSVファイルをインポート
- データ分析や可視化を行う
kintoneアプリからデータをCSV形式で出力する際は、ファイルを選択してから右側の三点マークを押し、「ファイルに書き出す」を選択します。
その後、下記の画面で書き出しの設定を行い、左上の「書き出す」を選択するとCSV形式でのデータが出力可能です。
この方法は設定が簡単で、費用がかからない点がメリットです。それぞれのツールで操作を行うだけで連携でき、難しい操作は必要ありません。
ただし、データを最新にする際は手動で作業を行う必要があり、数字が正しく反映されないなどのトラブルも考えられます。
常に最新のデータを反映させたい場合には向きませんが、BIツールに連携機能がなかったり、連携ツールが使えなかったりする場合には有効な方法です。
kintoneとBIツールの連携によるメリット
kintoneとBIツールの連携によって得られるメリットは、以下の通りです。
- データ分析の効率化
- リアルタイムなデータ分析
- 視覚的なデータ分析
- データに基づいた意思決定
- 経営層への情報共有
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
データ分析の効率化
kintoneに蓄積されたデータを自動的にBIツールに取り込むことで、手作業でのデータ集計や分析作業から解放されます。その結果、データ分析にかかる時間を大幅に削減し、効率的な業務遂行が可能になるでしょう。
リアルタイムでデータを取り込めるように連携すれば、常に最新版のデータを収集・分析可能です。
リアルタイムなデータ分析
BIツールと連携することで、kintoneの最新データを常に反映した分析が可能です。これにより、常に最新の状況を把握しながら、迅速な意思決定を行うことができます。
経営における意思決定においては、常に最新の状況を把握できていなければ、正しい判断ができません。今後、ビジネスを成功させるためにも、リアルタイムなデータ分析ができることは大きなメリットになるでしょう。
視覚的なデータ分析
BIツールは、グラフやチャートなどの視覚的な表現を用いてデータを分析できるのが特徴です。数字だけでデータを見るよりも、データの傾向やパターンを直感的に理解しやすくなります。
問題点や改善点を早期に発見すると迅速な対応が可能になり、損失を最小限に抑えることが可能です。大きな損失やトラブルを防ぐためにも、BIツールを積極的に活用しましょう。
データに基づいた意思決定
BIツールを用いて、客観的なデータに基づき意思決定を行うことができれば、より確実な成果につながります。
また、データ分析によって新たなビジネスチャンスを発見できる可能性があるのもメリットです。顧客の購買傾向や市場の動向などを分析することで、これまで気づかなかった新たなビジネスチャンスを見つけられるかもしれません。
経営層への情報共有
BIツールで作成したダッシュボードを共有することで、経営層への情報共有が容易になります。経営層と現場で認識がズレるといったリスクを未然に防ぎ、組織全体の意思決定の迅速化にも貢献できるでしょう。
ダッシュボード形式での表示は非常に分かりやすく、経営層への情報共有をスピーディーに行えるのもメリットです。
代表的なBIツール
kintoneと連携させるのにおすすめのBIツールを3つ紹介します。代表的なBIツールは、以下の通りです。
- Power BI
- Tableau
- Google Data Studio
それぞれのツールの概要や料金、機能などを詳しく解説します。
Power BI(パワービーアイ)
Power BIは、Microsoftが提供するBIツールです。豊富な機能と使いやすさが魅力で、多くの企業で利用されています。スマートフォンやタブレット端末でダッシュボードを確認することもでき、マルチデバイスに対応しているのも魅力です。
Excelなどのマイクロソフト製品と親和性が高く、直感的に操作できるため、BIツールの操作に慣れていない企業も導入しやすいでしょう。AIによる分析など機能性の高さにも定評があり、BIツールの基本的な機能は一通り揃っています。
kintoneと連携させる場合は、kintoneのデータをCSVファイルでエクスポートし、Power BIの「データを取得」から取り込みます。有料ライセンスで利用できるツール「Power BIサービス」を使って連携させることも可能です。いずれにしても、簡単な方法で連携できます。
Tableau(タブロー)
Tableauは、Tableau Software社が開発・販売するBIツールです。データ分析・可視化・ダッシュボード作成に特化したツールで、直感的な操作性と高度な視覚表現機能が備わっています。
多様なグラフやチャートが用意されており、データを分かりやすく表示してくれる上に、ドラッグ&ドロップなど直感的な操作で使用できます。社内外の豊富なデータソースに対応しているため、さまざまなデータを収集・分析可能です。
kintoneと連携させる場合は、「kintone Connector」と呼ばれるプラグインを活用しましょう。kintoneアプリのデータを直接Tableauに取り込むことで、リアルタイムでデータを分析できます。
Google Data Studio(グーグルデータスタジオ)
Google Data Studioは、Googleが提供する無料のBIツールです。シンプルな操作性とデータソースの豊富さで、手軽にデータ分析を始められます。個人利用であれば無料で使うことができ、ドラッグ&ドロップ操作で簡単にダッシュボードを作成可能です。
Google AnalyticsやGoogle Ads、Googleスプレッドシートなど、Googleの各種サービスと連携できるBIツールとして人気があります。
kintoneと連携する場合は、「kintone Connector」などのプラグインを利用しましょう。プラグインを利用して連携させることで、リアルタイムでデータ分析が可能です。ただし、プラグインの利用には別途費用がかかるケースもあります。
BIツール連携の注意点
BIツールとkintoneの連携には、メリットだけでなくデメリットもあります。主なデメリットとしては、設定に手間がかかり操作や画面に慣れるまでに時間もかかる点が挙げられるでしょう。連携によって、新しく覚える操作なども出てくるため、社内で浸透させるためには教育や指導が必要です。
しっかりと教育を行わずに連携・運用をスタートさせると、せっかくBIツールを導入しても活用しきれず失敗に終わってしまう可能性もあります。十分な効果やメリットを得るためにも、社内教育には力を入れましょう。
また、BIツールとkintoneを連携させる際には別途費用がかかるケースがあります。現在、kintoneやBIツールを利用する際にかかっている費用と合わせて考え、予算内で連携できるかどうか検討する必要があるでしょう。
kintoneとBIツールを連携させて業績向上を目指そう
kintoneとBIツールを連携することで、データ分析の効率化・リアルタイムなデータ分析・視覚的なデータ分析・データに基づいた意思決定・経営層への迅速な情報共有など、多くのメリットを得られます。これらのメリットを活かし、業績向上に貢献することも可能です。
BIツールとkintoneの連携には、データ連携ツールの利用やCSVファイルの出力など、いくつかの方法があります。また、BIツールによって利用できる機能も異なります。自社に合う機能があるものを選ぶといいでしょう。
BIツールによってはkintoneとの連携に料金がかかるケースもあるため、予算内で利用できそうかも確認しておくことが重要です。