kintoneのアプリ複製機能とは?テンプレートとの違いや手順、注意点を解説

kintoneで作成したアプリと同じ種類のアプリを最初から作り直すのには時間と手間がかかるため、複製機能を使おうと考えている方もいるでしょう。
複製機能はアプリの設定を引き継ぐことが可能なため、時間や手間を大幅に削減できます。しかし、引き継がれない設定もあるため、詳しい内容について確認しておくことが大切です。
今回は、kintoneのアプリを複製する方法や手順、注意点などについて詳しく紹介します。アプリの作成を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。
kintoneのアプリ複製機能とは
kintoneで同じ種類のアプリを作成する必要がある場合、手作業での再構築は時間と手間がかかります。そのようなときには、アプリ複製機能が便利です。
アプリ複製機能を活用することで、既存のアプリをもとに新しいアプリを作成できるため、時間と手間を大幅に削減できます。また、フォームや一覧などの設定も引き継がれるため、アプリ作成の細かな作業をやり直す必要はありません。
kintoneアプリを複製するメリット
kintoneのアプリ複製機能は、同じ種類のアプリを作成する際に便利です。手作業での再構築にかかる時間と手間を大幅に削減することで、業務効率が格段に向上します。また、設定や構成が引き継がれるため、チームや部署によって内容が異なるアプリを使用してしまうリスクを解消できます。
kintoneのアプリを複製する手順
kintoneのアプリを複製する手順は以下のとおりです。
- kintoneポータルの「アプリ」にある「+」をクリックします。
- 「ほかのアプリを再利用」をクリックします。
- コピーしたいアプリの右側にある「アプリを再利用」をクリックします。
- 「名称- コピー」のタイトルでアプリが複製されます。
- アプリの設定画面に移動して必要に応じて設定を修正し、完了後に「アプリの公開」をクリックします。
このように、シンプルな操作でアプリを複製できます。かかる時間はわずか1~3分程度のため、アプリを作り直す時間を大幅に削減し、ほかの業務に充てることが可能です。
kintoneのアプリ複製機能とテンプレートの違い
kintoneには、アプリ複製機能に似たテンプレート機能があります。それぞれの違いを理解して、状況に応じて使い分けることで、時間と手間を削減できます。
テンプレートは、アプリ作成時に利用するひな型のことです。テンプレートを使用することで、あらかじめ設定されたアプリのひな型をもとに、必要に応じて設定を微調整するだけで新しいアプリを素早く作成できます。
テンプレートは、ファイルとしてkintoneの外部に保存し、異なるkintoneの環境でも読み込むことも可能です。たとえば、社外の担当者にアプリの設定内容を共有したい場合、テンプレートファイルを相手に送ることで、相手のkintone環境でも同様の設定内容のアプリを素早く作成できます。
ただしテンプレートはあくまでもひな型のため、アプリ複製機能の方が新しいアプリを作成する時間と手間の削減効果は高いでしょう。しかし、アプリ複製機能は、コピー元とコピー先が同じゲストスペースの場合は利用できないうえに、複数のアプリの同時複製も不可能です。
したがって、アプリ複製機能は異なるゲストスペース内で複製する際に使用し、アプリテンプレートは同じゲストスペースで使用したり、複数のアプリを一括で複製したりしたい場合に利用するといいでしょう。
kintoneアプリを複製する際の注意点
kintoneアプリを複製する際、以下の点に注意しましょう。
- 管理権限者のみが複製可能
- 引き継がれない項目がある
管理権限者のみが複製可能
kintoneアプリの複製は、管理権限を持つユーザーのみが行うことができます。アクセス権が制限されている場合、複製は実行できないため注意が必要です。
引き継がれない項目がある
kintoneアプリの複製では、以下の項目は引き継がれないため、設定し直す必要があります。
- アプリコード
- APIトークン
- Webhook
- Slackとの連携設定
- アプリのレコードのデータ
- プラグインの設定(有効・無効の状態は引き継がれる)
- アプリ管理者用メモ(「アプリテンプレートやアプリの再利用時にこのメモの内容を含める」にチェックを入れた場合は引き継がれる)
上記の再設定が必要なことを踏まえ、アプリ複製機能を用いた場合の所要時間を想定することが大切です。
kintoneアプリを複製する前の準備
アプリを複製する際は、次の準備が必要です。
- 複製するアプリを決める
- アプリのアクセス権を設定する
- アプリ管理者用メモを引き継げるようにする
- アプリのレコードのデータを引き継げるようにする
アプリ複製の準備について、それぞれ詳しく解説します。
複製するアプリを決める
複製するアプリを決めます。ただしアプリの内容によっては、、複製するよりも新規作成した方が速い可能性があるので注意しましょう。たとえば、新たな要件やビジネスフローに合わせてアプリを調整する必要がある場合、調整箇所があまりにも多い場合は新規作成の方が速いかもしれません。
また、複製するアプリを決める際は、各アプリでできることを理解することが重要です。以下に代表的なアプリの例を紹介します。
種類 | 主要機能 | 利用シーン |
日報 | 業務の記録、報告の管理、個人的所感の記入 | 営業担当者やチームリーダーが日々の業務進行を報告・共有する |
案件管理 | 金額、進捗状況の管理、顧客情報の記録 | 営業部門やプロジェクトチームが各案件の状況を追跡・管理する |
問い合わせ管理 | 顧客からの問い合わせ記録、対応履歴の管理 | 顧客サポートやカスタマーサービスが顧客対応の効率化を図る |
採用面接管理 | 面接の進捗管理、受験者情報の整理 | 人事部門が採用活動の進行管理や候補者情報の整理を行う |
タスク管理 | タスク割り当て、期限設定、進捗状況の追跡 | プロジェクトチームや部署がタスクの進行状況を効果的に管理する |
交通費申請 | 出張経費の申請と承認プロセスの管理 | 社員が出張に関連する経費を申請し、経理部門がこれを効率的に処理する |
アプリのアクセス権を設定する
アプリの複製には、アプリ管理権限の設定が必要です。アプリのアクセス権を付与されたユーザーだけが複製できます。初期設定では、以下の操作がアプリを作成したユーザーにだけ許可されています。
- アプリの管理(共通管理者を含む)
- ファイルの読み込み権限
- ファイルへの書き出し権限
非公開のスペースに所属するアプリに関しては、参加者でなければアクセスできません。アプリのアクセス権の設定方法は以下のとおりです。
- レコード一覧画面の右上の歯車アイコンをクリックします
- 「設定」にある「アクセス権」の「アプリ」をクリックします
- 「ユーザー/組織/グループとアクセス権」で、権限を付与したいユーザーの「アプリ管理」にチェックを入れます(必要に応じてほかの項目にもチェックを入れる)
- 画面右下の「保存」をクリックします
- 画面右上の「アプリを更新」をクリックします
アプリを複製できない場合は権限が付与されていないケースが多いため、あらかじめ確認しておきましょう。
アプリ管理者用メモを引き継げるようにする
アプリ管理者用メモは、アプリに対するメモを書き残すことができる機能です。アプリ管理者用メモは、アプリの管理権限を持つユーザーだけが作成・閲覧ができます。
kintoneアプリの複製では、アプリ管理者用メモは引き継げませんが、あらかじめ設定しておくことで引き継げるようになります。
作成済みのアプリ管理者用メモを複製時に引き継げるようにしたい場合は、以下の手順で行います。
- アプリ管理者用メモの「編集する」をクリックします
- 「アプリテンプレートやアプリの再利用時にこのメモの内容を含める」にチェックを入れます
- 「保存」をクリックします
新規作成する場合は、次の手順で行いましょう。
- レコード一覧画面の右上の歯車アイコンをクリックします
- アプリ名の下の「作成する」(アプリ管理者用メモの作成ボタン)をクリックします
- メモを記入します(10,000文字以下)
- 「アプリテンプレートやアプリの再利用時にこのメモの内容を含める」にチェックを入れます
- 「保存」をクリックします
アプリのレコードのデータを引き継げるようにする
複製したアプリには、コピー元のアプリのレコードは引き継がれません。アプリのレコードを引き継ぎたい場合は、コピー元のアプリからデータをファイルに書き出して、複製したアプリに読み込ませる必要があります。
まずは、アプリのレコードのデータを書き出す手順を解説します。
- 対象のアプリを検索して一覧に表示させます
- レコード一覧画面の右上にある「・・・」の「ファイルに書き出す」をクリックします
- ファイルの先頭行に項目名を書き出す場合は「先頭行を項目名にする」にチェックを入れます
- 必要に応じて文字コードや区切り文字を設定します
- 書き出したい項目をファイル内の任意の位置にドラッグ&ドロップします
- 必要に応じて「ユーザー、組織、グループを表示名で出力する」と「リッチエディターをテキスト形式で出力する」にチェックを入れます
- 画面左上の「書き出す」をクリックします
- 「出力されたファイル」の画面でファイル名をクリックしてダウンロードします
続いて、ダウンロードした出力ファイルを複製したアプリに読み込ませる手順を紹介します。
- レコード一覧画面の右上にある「・・・」の「ファイルから読み込む」をクリックします
- 「参照」から対象のファイルを指定します
- ファイルの先頭行に列名が記載されているファイルの場合は「読み込むファイルの先頭行はフィールド名ですか?」の「はい」にチェックを入れます
- 「プレビュー」でファイルの内容を確認します
- 「アプリのフィールド」の各項目にファイルの列を指定します
- 既存のレコードに上書きする場合は「一括更新のキー」にチェックを入れます
- 新規登録する作成者・作成日時・更新者・更新日時は、必要に応じて「レコードの作成/更新情報」の各フィールドに対しファイルの列を指定します
- 画面左上の「読み込む」をクリックします
kintoneアプリの複製時に役立つプラグイン
株式会社ノベルワークスが提供する「アプリ間コピープラグイン」は、複数のレコードを別のアプリにコピーする際に役立つプラグインです。また、コピー時に追加したいデータの入力も可能です。
たとえば、商品情報を登録したレコードに販売する顧客名などの情報を追加し、別のアプリにコピーしたい場合にも使えます。
データ追加時の入力フィールドで選択可能なフィールド | ・文字列一行 ・文字列複数行 ・チェックボックス ・ラジオボタン ・ドロップダウン ・複数選択 ・日付 ・時刻 ・日時 ・ユーザー選択 |
価格 | ・月額 2,000円(税別)/1ドメイン ・買い切り 50,000円(税別)/1ドメイン |
kintoneのアプリを別ドメインに移行する方法
kintoneのアプリを別ドメインのkintoneに移行したい場合は、アプリをテンプレート化させることで可能となります。移行の手順は以下のとおりです。
- 移行元のアプリの「設定」の「運用管理」にある「アプリをテンプレートとしてダウンロード」をクリックします
- レコードも移行したい場合はレコード一覧画面からファイルを書き出しておきます
- 移行先のkintoneのアプリ作成画面の「テンプレートファイルを読み込んで作成」からファイルを読み込みます
- レコードを移行する際はレコード一覧画面の「・・・」の「ファイルから読み込む」でレコードのファイルを指定します
アプリの複製機能で業務効率を向上させよう
kintoneで同じ種類のアプリを作成する際は、複製機能を使うと便利です。少しの修正で新たなアプリを作成できるため、業務効率が格段に向上します。また、項目の作成ミスや誤記などのヒューマンエラーによるトラブル防止にもつながります。
ただし、権限がないと複製できなかったり、引き継がれない項目があったりするため準備を整えてから複製を行うことが重要です。
kintoneを利用する際はアプリ複製機能を賢く活用し、業務効率を向上させていきましょう。

トヨクモ編集部
kintoneを便利に活用する情報を発信|サポートチーム全員がkintone資格保有者|【クラウドで、もっと便利に。もっと簡単に。】をモットーに活動