サイボウズが提供する「kintone」は、手軽に使えるノーコード・ローコードプラットフォームです。業務アプリを簡単に作成・運用できることから、多くの企業が導入・運用していますが、アプリ内の情報が増えるほど管理は難しくなります。
そのようなときは、管理者設定を行ってアクセス制限や編集制限を行いましょう。管理者設定は、kintoneの運用において非常に重要なポイントです。本記事では、管理者設定の概要・役割・権限・設定方法・注意点などを詳しく解説します。
kintoneの管理者は5種類
kintoneの管理者には、以下5つの種類があります。
- cybozu.com共通管理者
- システム管理者
- アプリ管理者
- スペース管理者
- サイボウズドットコム ストア管理者
それぞれの内容とともに、各管理者ができることを詳しく解説します。
cybozu.com共通管理者
cybozu.com共通管理者は、cybozu.comの各サービスで共通する部分の設定が行える管理者です。kintone管理者の最上位で、システム管理の権限や各種アプリの設定権限も持っています。
cybozu.com共通管理者ができること
cybozu.com共通管理者ができることは、以下の通りです。
- ユーザーや組織の追加や削除
- ユーザーが利用するサービスの設定
- 監査ログの閲覧やダウンロード
- ログイン時のセキュリティやアクセス制限の設定
- クライアント証明書の発行
- サポートへの問い合わせ
アプリにアクセスできるユーザーを追加・削除したり、各ユーザーが利用できるサービスを設定したりできます。また、監査ログの閲覧やダウンロード、セキュリティ設定ができるのもcybozu.com共通管理者の特徴です。
cybozu.com共通管理者の設定方法
cybozu.com共通管理者の管理画面を開く際は、トップ画面右上にある歯車マークをクリックします。その後、「cybozu.com共通管理」に進みましょう。
その後、「ユーザー管理」の「管理者の設定」に進むと現在の管理者が確認できます。
管理者を変更したいときは、組織内のユーザーから選んで「追加」をクリックすればOKです。解除したいユーザーがいる場合は、管理者の中から解除したいユーザーを選択し、「解除」をクリックしましょう。最後に保存を押すと、管理者設定が保存されます。
システム管理者
システム管理者は、kintone全体に関わる設定を行う管理者です。各種アプリのアクセス権や作成権限の変更ができるほか、kintone全体のカスタマイズなども行います。
システム管理者ができること
システム管理者ができることは、以下の通りです。
- アプリやスペースの作成権限の設定
- アプリやスペースのテンプレートの作成
- アプリやスペースの管理
- kintone全体のカスタマイズ
- アップデートオプションの設定
- プラグインの登録
- お知らせ掲示板の編集
- ポータルの設定
- システム管理
アプリやスペースの作成権限の設定のほか、テンプレートの作成や全体のカスタマイズ、プラグインの登録も可能です。また、アップデートオプションの設定やお知らせ掲示板の編集など、kintone全体の管理を行えます。
システム管理者の設定方法
システム管理者を確認する際は、トップ画面右上にある歯車マークをクリックし、「kintoneシステム管理」に進みましょう。
「アクセス権」を確認し、「システムの管理」が有効になっているユーザーが、システム管理者となります。変更する場合は、「アクセス権」からシステム管理者にしたユーザーを選んで設定しましょう。
アプリ管理者
アプリ管理者は、アプリの設定やメンバー管理を行うことができる管理者です。アプリごとに管理者が存在し、それぞれが担当するアプリの管理を行います。
アプリ管理者ができること
アプリ管理者ができることは、以下の通りです。
- フォームの設定
- プロセス管理の設定
- 通知の設定
- アクセス権の設定
各アプリの管理権限を設定できるほか、レコードの閲覧・追加・編集・削除なども行えます。各種ファイルの書き出しや読み込みが行えるのも、アプリ管理者の特徴です。
アプリ管理者の設定方法
アプリ管理者は、歯車マークの「アプリ管理」から確認できます。
アプリ管理画面では各種アプリが表示されるので、「アプリのアクセス権」から「アプリ管理」が有効になっているユーザーを確認しましょう。アプリ管理が有効になっているユーザーが、各アプリの管理者です。
初期設定では、アプリ作成者が管理者となっているため、変更したい場合はアプリ管理画面から設定を行う必要があります。
スペース管理者
スペース管理者は、各スペースの管理者です。kintoneのスペースとは、特定のメンバーのみがアクセスできる情報共有・コミュニケーション空間で、チームやプロジェクト単位で情報を共有したり、議論したりするのに適しています。
スペース管理者ができること
スペース管理者ができることは、以下の通りです。
- 参加メンバーの管理
- スペースの公開を参加メンバーに限定するかどうかの設定
- 複数のスレッドを使用するかどうかの設定
スペースは、特定のメンバーで情報を共有したり、コミュニケーションを取ったりする空間ですが、プロジェクトの内容などを話す場合は参加メンバーを制限する必要があります。そのようなときに役立つのが、スペース管理者です。
参加メンバーの管理ができるのはもちろん、該当するスペースの公開範囲を設定したり、複数のスレッドを使用するかどうか決めたりできます。
スペース管理者の設定方法
スペース管理者を確認したいときは、スペースを開いた状態で右上の「三点マーク」をクリックしてオプションを開きます。その中にある「スペースを設定」に進みましょう。
設定画面にて、「参加メンバー」タブを確認すると「管理者」が有効になっているユーザーがいるはずです。そのユーザが、スペース管理者となります。初期設定では、作成者が管理者になっているため、変更したい場合は管理画面から設定しましょう。
変更したいときは、オプションから「メンバーを管理」に進み、メンバーの追加や削除を行ってください。
サイボウズドットコム ストア管理者
サイボウズドットコム ストア管理者は、ストアでcybozu.comサービスの発注・契約内容の変更・支払い方法の設定 などを行うユーザーです。
サイボウズドットコム ストア管理者ができること
サイボウズドットコム ストア管理者ができることは、以下の通りです。
- サービスの発注
- 契約内容の変更
- IPアドレス制限
- Basic認証の設定
- ドメインの追加
ストア内での発注や契約内容の変更のほか、IPアドレス制限やBasic認証の設定などといった、セキュリティに関する設定も行えます。
サイボウズドットコム ストア管理者の設定方法
サイボウズドットコム ストア管理者を確認したいときは、「サイボウズドットコム ストア」にアクセスしてください。管理画面の「アカウント管理」を確認し、設定されているユーザーが管理者となります。
管理者を変更したいときは、「アカウント管理」の「管理者の追加」から新たな管理者を追加し、設定されていた管理者を削除すればOKです。
kintoneの管理者を設定するメリット
kintoneの管理者を設定するメリットは、以下の通りです。
- 各種アクセス権を設定できる
- セキュリティを強化できる
- 運用効率の向上
- トラブル発生時の迅速な対応
- コンプライアンスの遵守
それぞれの内容を詳しく解説します。
アクセス権の設定等でセキュリティを強化できる
kintone には、さまざまな情報が保存されています。管理者を設定するとユーザーの権限を適切に管理でき、情報漏洩などのリスクを防ぐことが可能です。アクセス権を設定するなど、セキュリティを強化すれば万が一にも備えられます。
運用効率の向上を狙える
管理者を設定すると、ユーザーの追加・削除やアプリの作成・削除、権限の設定などの管理作業を効率的に行うことができます。運用効率を上げ、効率よくkintoneを運営していくためにも、管理者の設定を行いましょう。
トラブル発生時の迅速な対応
事前に管理者を設定しておけば、トラブルが発生した場合でも迅速に原因を調査して対応できます。管理者が中心となってスムーズに調査が進み、早急に原因を突き止めることができれば、被害を最小限に抑えられるでしょう。
コンプライアンスの遵守
個人情報保護法などの法令を遵守するためには、管理者を設定してアクセス権限を適切に管理することが重要です。誰でもアクセスできるような状態のままにしておくと、情報漏洩など大きなトラブルにつながりかねません。
「誰が」「どのアプリを」使えるのかを明確に決めておけば、トラブルがあった際にも迅速に対応できます。
kintone管理者を設定する際の注意点
kintoneの管理者を設定する際には、以下の点に注意が必要です。
- 権限の過剰付与を避ける
- 管理者のパスワードを厳重に管理する
- 管理者の役割分担を明確にする
それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。
権限の過剰付与を避ける
kintoneの管理者を設定する際は、権限の過剰付与は避けましょう。必要な権限のみを付与することで、セキュリティリスクを軽減できます。
各アプリやスペースの管理者をしっかりと決めておき、混同しないように気を付けることが大切です。
管理者のパスワードを厳重に管理する
管理者のパスワードが漏洩すると、kintone が不正利用される可能性があります。そのため、管理者のパスワードやログイン情報は厳重に管理しましょう。社内全体でアナウンスを行い、あらかじめ周知させておくことが大切です。
管理者の役割分担を明確にする
複数の管理者を設定する場合は、それぞれの役割分担を明確にしておくことで、運用がスムーズになります。役割分担を決めずに運用すると、管理者同士でトラブルになるケースもあるので注意が必要です。
まとめ:各種管理者を設定してkintoeを使いこなそう
kintoneの管理者は、kintone を安全かつ効率的に運用するために重要な役割を担っています。kintone管理者の役割・権限・設定方法などを理解し、適切な設定を行うことでkintone をより有効に活用できるようになるでしょう。
kintoneの管理者には、さまざまな種類があります。それぞれの管理者が自分の役割や立場を理解し、スムーズに業務を進められるようにすることが大切です。