トヨクモが主催する「トヨクモ kintone フェス 2024」のリアルイベントで開催されたコンテスト「トヨクモALIVE」のセッションをご紹介します。
今回は、プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 GX戦略本部 DX推進部 廣澤秀二郎氏にご登壇いただきました。
自己紹介/会社紹介
プライムプラネットエナジー&ソリューションズの廣澤です。
本日は「トヨクモで叶える小さな願いたち!」というタイトルでお話しさせていただきます、よろしくお願いします。
当社は、電気自動車の電池を作っている車載電池メーカーです。元々はパナソニックの車載電池を作っている部門でしたが、トヨタ自動車から51%の出資を受けて独立した2020年4月設立の比較的若い会社になります。
私は現在DXの専門部隊に所属していますが、去年の6月入社でございまして、その前は食品添加物メーカーで研究開発をしておりました。
毎日パンやどら焼きを焼いていたのですが、実はそのときにkintoneやトヨクモ製品との出会いがあったので、まずはそこのお話から入らせていただきます。
kintone&トヨクモ製品との出会い
前職の研究所にkintoneが導入されていまして、研究所内での情報共有に活用していました。
研究所には、製品の分析データが蓄積されていて、営業が商談のときに活用できれば絶対に役立つと思っていたのですが、営業はkintoneのアカウントを持っていませんでした。
この状況をなんとかしたい、データを活用できれば絶対に営業の質が上がるはずだと考えたんですね。そこで、トヨクモのkViewerを使ってみることにしました。
結果、上手くいって営業の商談の質が上がりまして、この経験から「DXって面白い」「DXやってみたいな」となり、退職して今の会社に入らせていただきました。
事例紹介1.健康診断の日程変更
現職に転職したものの、ずっとパンを焼いていた自分がDX担当として本当に役に立てるのかという不安がありました。
そこで、何か役に立てるいいネタがないか探していたら、DXチームから「健康診断の日程変更のシステム化に困っている」という話があったんです。
日程変更業務で抱えていた問題
これまで、健康診断の日程変更はすべて健康管理室の人が電話を受けて手動で変更していました。
DXチームでは、これを美容院の予約サイトみたいにシステム化したいと考えていたのですが、以下のような問題を抱えていました。
- 従業員数が多い
- 雇用形態がさまざま
- メールアドレスがない人もいる
- 大きなコストはかけられない
メールアドレスがない人がいるのにシステムで管理するのはなかなか難しいですし、健康診断に対して大きなコストをかけて1からシステムを立てるわけにもいきません。
それでも、健康管理室では年間330時間も日程変更業務に時間を使っているということで、この現状をどうにかして解決したいということでした。
kintone×トヨクモ製品でシステム化
この健康診断の日程変更の話を聞いたときに、「kintoneとトヨクモ製品で作れますよ」と提案してみた結果、面白そうだということで製品を導入してもらいました。
kintoneはDXチームを主体とした十数名のメンバーでスタートしまして、トヨクモ製品を上手く使っていきましょうということで開発したのが、下記画像のシステムです。
kintoneで「受診者名簿アプリ」と「検診日程カレンダーアプリ」を作り、DataCollectで連携させることで、どの日程に何人予約しているのか分かるようにしました。kViewer→FormBridgeを介して予約変更も可能です。
まず、MyページのQRコードを載せた受診票をPrintCreatorで出力して、従業員に配布します。
受け取った人はQRコードを読み込んで自身のMyページにアクセスし、「日程変更の記入」というボタンを押すと日程変更用のフォームに入れます。
フォームを開くと自分が予約できる日程の候補が一覧で出てくるため、その中から選択するだけで日程変更ができるというシステムです。まさに、美容院の予約サイトのようなものが完成しました。
これにより、日程変更のための電話がなくなり、健康管理室の人にすごく喜んでもらうことができました。私自身も「この会社でDXやっていけるぞ!」と一歩目を踏み出すことができました。
事例紹介2.福利厚生施策の申請フロー
日程変更業務のDXの対応後、人事部門のDXに伴走するというミッションを受けました。
いきなり人事部門に入り込もうとしても信頼性がないので、まずは何か成果を出したいと思い、何か困った事がないか聞いてみたんです。
すると、人事部門から「再来週から始まる職場研修懇親会の申請フローができていなくて困っている」と話を受けました。
直面していた問題点
会社には、しっかりしたワークフローのシステムがあるのですが、再来週となると間に合うように構築できるものではありません。
既存システムで間に合わせるとなると、外部に頼む必要が出てくるのですが、もちろんそういうわけにもいきません。
このままだと、再来週から始まる職場研修懇親会の申請が紙ベースになってしまうということで、この状況をどうにかできないかという相談でした。
わずか半日でワークフローを構築
相談に対し、kintoneとトヨクモ製品で行けますと回答し、要件を聞いてから半日ほどで作り上げたのが、下記画像のシステムです。
最初に申請者がFormBridgeでレコードを作成し、そのレコードをkViewerとFormBridgeを連携させたビューとフォームでどんどん更新していきます。
最後に完成したレコードをPrintCreatorで帳票出力すると、以下のように出てきます。
下部に「実施前承認(組織長/人事)」「実施後承認(組織長/人事)」の形で、この人が承認しましたという情報がちゃんと入っていることが分かります。
この文書化したものを経理のシステムにアップロードすれば、しっかり申請して承認を受けたということが分かるので、研修・懇親会に対する助成金が従業員に支払われます。
あとから確認したところ、2ヶ月で200件ほどの申請があったため、仮に紙でやっていたとしたら誰かが犠牲になっていたと思います。
これを電子化できたということで、人事部門には非常に喜んでもらえましたし、私も対等に話ができる関係性を作ることができました。
社内で広がるkintone&トヨクモ製品
ここまでは、私自身がずっとkintoneとトヨクモ製品でシステムを作ってきた話になりますが、DXチームでは他にもいろいろなことをしております。
例えば、自動化講習会の受講情報を一元管理したい、安全研修の日程管理をしたいなどの要望があったので、他のDXチームのメンバーでもどんどん作っていこうと動いています。
そうした結果、現在はkintoneとトヨクモ製品を使って課題を解決できるメンバーが少しずつ増えているという状況になってきております。
最後に
私たちの会社には、非常にしっかりしたデータベースやワークフローシステムなどが入っています。そういった製品も大切ですし、使いはするのですが、それでは解決できない課題があるんです。
明日やらなきゃいけない、すぐに解決したい、メールアドレスがない人を助けたいとなったときに、それらのシステムだと助けられないことがあります。
そういうとき、kintoneとトヨクモ製品があれば助けられるんです。
DXは、従業員みんなを幸せにしないといけないと思っています。「この人は助けられます。でも、この人は助けられません。」なんてことは絶対に言ってはいけません。
誰も取りこぼしのないDXを実現するために、今後もkintoneとトヨクモ製品を使わせていただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました。
質疑応答
司会:ありがとうございました。DXを推進していく中で、現在廣澤さん以外の方もkintoneやトヨクモ製品を使えるようになってきたというお話がありました。
kintone・トヨクモユーザーから他の担い手を増やすことにハードルがあるという話をよく聞くのですが、何か増やす上でのきっかけやポイントがあれば教えてください。
廣澤氏:そうですね。当社の場合は、DXチームで使用しているため、前提としてそれなりにデジタルやデータの心得がある人に使ってもらっています。
Office製品などで作るよりもスピーディに構築できるということもあり、割と簡単に使ってもらえました。
司会:そうだったんですね。最後に、誰も取りこぼしのないDXというお話がありましたが、今後の予定や取り組みたいことなどはございますか?
廣澤氏:実際に取り掛かりかけていることなのですが、私たちはメーカーなので開発部門で分析機器の管理をしていて、意外にそれがちゃんとできるツールが存在しないんですね。
なので、そこをkintoneとトヨクモ製品で解決できたらいいかなと考えています。
司会:それはまた大仕事になりそうですね。
廣澤氏:そうですね。この間までkintoneを触っていなかった人にやってもらう予定です。
司会:参考になるお話ありがとうございました!