【対談】kintoneエバンジェリスト2名に聞いたトヨクモ製品の活用術

トヨクモが主催する「トヨクモ kintone フェス 2023」は、デジタル化して効率的に業務改善する珠玉のアイデアを学び・広める、2日間のオンラインイベントです。2023年のテーマは、「やれるっ、できるっ、キントーン!」で、よりトヨクモ製品をカンターンに活用し、業務改善ができる、そんな活用の事例をご紹介いただきました。

今回は、kintoneエバンジェリスト 中尾典隆氏と喜田晃大(きったん)氏に語っていただきました。

kintoneエバンジェリストとは?

トヨクモ中井(以下、中井):kintoneエバンジェリストとは、あふれんばかりのkintoneへの愛と豊富な知識や経験を持ち、kintoneのあらゆる可能性をオープンな場で公開・発信し続ける個人を対象にサイボウズが公認する制度です。

自己紹介・おすすめのトヨクモ製品・活用方法

中井:まずは、お一人ずつ自己紹介と、おすすめのトヨクモ製品についてご説明をお願いいたします。

中尾 典隆氏

「kintone歴は約4年、トヨクモ製品ではkViewerとフォームブリッジを使っています。大阪の某国立大学に合併された外国語学部出身の文系人間で、趣味はダイビング、旅行、食べ歩き、ゲームなどです。普段は、奈良県大和高田市にある社会医療法人健生会という団体で働いています。元となった診療所が開設されたのが1955年、現在は1病院、5診療所に加え介護事業所や鍼灸治療所ができ、私はその中の病院の情報管理室に入職したのですが、現在は法人全体のシステム担当として従事しています。」(中尾氏)*2023年6月時点

職員の体調管理でトヨクモ製品を活用

「当院では、職員の体調管理のためにトヨクモ製品を活用させていただいています。新型コロナウイルスが流行し始めた当初、クラスターになった医療機関はニュースでも大きく取り上げられました。そうした状況に陥るのを防がなければならない、職員の体調管理を徹底しなければならない、といった経緯から体調管理のシステム化を検討したのが始まりです。出勤者以外も含めた約700名の職員1人ひとりにkintoneのアカウントを付与するのはコスト面でも現実的ではなく、代替手段を探していた時にトヨクモさんのkViewerとフォームブリッジを知りました。」(中尾氏)

フォームブリッジ×kViewerで従業員の体調管理

「シンプルな内容だったので、最初はフォームブリッジだけでシステムを構築しようと試みました。しかし、実際にやってみるとスタッフ数の多い部署から『報告・未報告が管理できない』といった意見や、スタッフ本人からも『毎回名前や部署を入力するのが面倒』といった声が上がり、最終的に名前の表記揺れや変換ミスが多発する事態となりました。そこで、まずはkViewerで自分の履歴を確認できるようにしたのですが、わざわざ履歴を見て抜けたデータを埋めてくれる人はおらず、本来の目的を果たすことができませんでした。

さらなる対策として、他社サービスのkrewDataを活用しました。kintoneの職員名簿アプリから毎日全職員分の『体温:未入力』のデータを一括作成、kViewerで各自履歴にログインし体温が未入力の日を確認、フォームブリッジ連携でレコードを編集してもらうという流れにすることで、データの抜けを一目で分かってもらえるようになりました。」(中尾氏)

「認証機能で、各自専用の職員番号でログインすれば自分の履歴だけが表示されるため、セキュリティ的にも安心して運用できていました。コロナの分類が変わったこともあり現在このシステムは活用していませんが、コロナ禍では非常に助けられたと感じています。」(中尾氏)

「レコード詳細画面を開き『体調報告』ボタンを押すと、フォームブリッジ連携でフォームの編集画面に飛ぶので、測定時間と体温、気になる症状を選ぶという形です。」(中尾氏)

「新型コロナウイルス流行後しばらくしてワクチン接種が始まりましたが、副反応が大変だった方もいらっしゃると思います。当院でもワクチン接種後に発熱し、コロナか副反応か分からないケースがあったため、正しい判断をするために『体調報告』の中でワクチンの接種日や副反応の有無を入力できるよう項目を追加しました。このように、臨機応変な対応ができるのは、kintoneならではの強みだと思います。その場で項目を追加し、即座にフォームブリッジやkViewerに反映させることができました。」(中尾氏)

喜田 昇大氏

「kintone歴3年と少し、某体育大学出身でSNS界隈では『きったん』という名前で活動しています。私の勤める八代製薬株式会社は、医薬品の原料を仕入れて加工し、次の製薬会社に提供するという業務を行っています。2011年に製造部へ入社し、1年半ほど現場経験を経て2012年に未経験から経理業務を行うことになりました。」(喜田氏)

プリントクリエイターを使った業務フローの構築

「先月kintone hiveにて、受注から出荷の管理についてお話しさせていただいたのですが、今回はその中からプリントクリエイターを使った業務改善についてご紹介します。」(喜田氏)

「弊社では、受注に対して『出荷指図』という製品ロットを引き当てる業務があります。そこから『出荷指図書』を発行し、それを元に送り状や荷札を作成し、出荷の手配を行うという流れです。従来弊社では、荷物1つにつき1枚必要となる荷札を手書きで作成していました。しかし月に3〜4回は300個口という日があり、300枚書かなければならないわけです。つまり、1枚30秒で書いたとしても150分かかる、非常に負担の大きい作業でした。

そこから段階的に、ExcelやHTMLで帳票を作ったり、Excel出力したkintoneレコードを帳票形式で再度出力したりといった工夫をしたのですが、結局元のデータがkintoneにあるにもかかわらず、帳票にする度に他ツールを挟むということが非常にストレスだと感じていました。」(喜田氏)

「そんな中、プリントクリエイターを使うことで、kintoneからワンクリックで出力できるようになったということは、単純に業務効率化できただけでなく、kintoneから他ツールを立ち上げるというストレスから解放されたということも非常に大きかったです。」(喜田氏)

フォームブリッジ×プリントクリエイターで社員の入社手続き

「弊社では、社員の入退職に関する手続きにおいてもプリントクリエイターを活用しています。新入社員が入社した際はさまざまな書類の手続きが必要ですが、作業が属人化しやすいためkintoneで進捗管理ができるアプリを作成しました。チェックボックスを使い、必要書類などを管理できる仕様となっているのですが、プリントクリエイターとフォームブリッジを使ってパワーアップさせています。」(喜田氏)

「別に用意した『労働条件テーブル』というアプリから、正社員やパートといった労働条件を引用し、『労働条件通知書』を出力するようにしました。オリエンテーションの際に提示する通知書の下部にQRコードを配置しており、各自読み込むことで従業員名簿登録フォームや通勤交通費申請フォームなどにアクセスが可能です。かつて紙で提出してもらっていた頃は期日に遅れる人も多かったですが、QRコード化することで対応速度が上がり、必要用紙1枚で運用ができるので、作業が非常に楽になりました。」(喜田氏)

【対談】トヨクモ製品との出会いは?

中尾氏:先ほどの事例にあったように、コロナ禍で体調管理アプリを作成する際にトヨクモ製品に出会いました。700名全員にデータ入力させたいと考えた時、全職員分のkintoneアカウントを契約するのはさすがに現実的ではないですよね。その中で探した結果、価格的にも納得できたのがトヨクモさんのフォームブリッジでした。同じエバンジェリストのキンボウズさんなどが記事を書かれていたこともあり、kViewerと合わせることで多様な使い方ができることを院内でプレゼンし、導入に至りました。

喜田氏:私も、事例の通り帳票を出力できる方法を探す中で出会いました。もともとトヨクモ社員の方とSNSで繋がっていたこともあり、製品を調べてみたのが始まりです。中尾さんも仰ったように、プリントクリエイターだけでなく、フォームブリッジやkViewerなどを多様な用途で連携して使える点が魅力でした。帳票出力だけでなく、組み合わせることで幅広く使えるというのがトヨクモ製品を選んだ決め手です。

中尾氏:連携することを前提に、プリントクリエイターを選んだのですか。

喜田氏:実際、帳票出力のツールって沢山ありますよね。ただ、現場から『kintoneアカウントを持っていない人でも入力や閲覧ができれば』という要望があったので、それを加味して探したところ、フォームブリッジやkViewerと連携して活用できるプリントクリエイターが最適だったという感じです。

中尾氏:確かに『組み合わせられる』というのが、トヨクモ製品の魅力ですよね。

中井:ありがとうございます。弊社の製品は、フォームブリッジでデータ入力ができる、kViewerで見せることができるなどそれぞれ特徴が異なり、自社に必要な業務のみを取り入れてうまく組み合わせていただくことで、色々な用途でご活用いただけます。

トヨクモ製品と出会う前にトヨクモ社員との出会いがあったと聞きました

喜田氏:トヨクモ製品を使う前でしたが、私がたまたまスケジュール管理について調べていた時にトヨクモ スケジューラーを知りました。その際、web会議で説明会が開催され、登壇してくださったのが田里さんだったんです。もともとSNSで存じ上げていた方だったので、驚きました。

中尾氏:私も、イベントなどでご挨拶させていただいたことはあります。kintoneはTwitter(現X)などでのコミュニティが活発で、ユーザーとパートナー関係なくやり取りしているのですが、その中で田里さんにDMする機会があったんです。その時にフォローしていなかったことが発覚して急いでフォローさせていただきました!

中井:あるあるですよね。みなさんも、中尾さん(@NNN80388058)ときったんさん(@KK80979809)のアカウント、ぜひフォローしてみてください。

kintone情報を発信し始めたきっかけは?

中尾氏:Twitterでkintoneのコミュニティに入った際、アウトプットの大切さについて教えてもらったことがきっかけです。アウトプットすれば自分に情報が返ってくる、そのおかげでインプットがより捗り、それを元に再度アウトプットするといいサイクルが生まれるということを教えていただいたんです。実際、意識的に発信するようにしてからは、周りから感想や新しい情報をいただけるようになりました。皆さんにも、ぜひアウトプットすることをおすすめしたいです。

トヨクモ製品の好きなところは?

喜田氏:弊社にとって非常によかったと思うのは、プリントクリエイターを導入したことで社内の仕組みを根本から見直すきっかけになったということです。現在、20以上のアプリから50件ほどの帳票をプリントクリエイターで出力しているのですが、単にkintone化して帳票を出すのではなく、帳票をkintone化するためにそもそもの帳票の在り方を見直したり、帳票の電子化について学ぶいい機会になりました。製薬会社は基本的に紙媒体でやり取りすることが多いのですが、そこを変えていけるか否かということについて社内で検討できる風土になったことは非常に大きかったです。

中尾氏:確かに惰性で続けている慣習があったり、そもそも当時はツールがなく紙でやり取りせざるを得なかったというところがありました。紙媒体以外NGということはないはずですが、先入観として『今まで紙だったから紙』となっていた環境を疑えるようになったのはすごいですよね。

喜田氏:そうですね。1枚ずつ紙に手書きしていた帳票に対し『電子化して出力できるようになって楽だね』ではなく、根本的にそれが必要であるのかといったところまで掘り下げて考えられるようになったのは大きかったです。

中井:ありがとうございます。最近は世間でも『いらない会議をなくそう』といった動きが広がっていますが、同じように根本の部分を突き止めていくというのが業務改善においても大切だということですね。

中尾氏:トヨクモ製品は、単独使用でも十分効果があるのですが、組み合わせることでできることのバリエーションが一気に広がり、活用パターンが無限大に広がっていくという感覚にワクワクします。先ほどの事例でもありますが、kViewerで自分のリストを見せて編集させたり、アンケートを取ったりと用途に合わせて色々な使い方ができるところが好きですね。実は、弊社ではkintone自体を社内で認知させる際も、トヨクモ製品が役立ってくれました。実際はkViewerとフォームブリッジを使って作成した体調管理アプリですが、社内に向けて『kintoneに体調報告を』と指示することで、職員たちが『あれがkintoneか』といった感じで認知してくれました。

今後kintoneを使って業務改善をしたい方へのメッセージ

中尾氏:kintoneにはトヨクモ製品以外にもさまざまな連携サービスがあり、どれを選べばいいのか迷うことも多いと思います。しかし、ホームページを見るだけではどうしてもイメージがつかないんですよね。そのため、まずはトライアルに申し込んで使ってみた上で、自社に合うシステムがどれなのか選ぶのが最適だと思います。

喜田氏:やはりプラグインを探す前に、しっかりと業務の目的や改善の目的について把握し、その上で費用感や使い勝手を確認しながら検討することが大切だと思います。

ツールありきではなく業務改善ありきだと思うので、しっかりとそこに着目して考えていっていただければと思います。