kintone連携サービスで学術レポートの集約システムを実現!

トヨクモが主催する「トヨクモ kintone フェス 2023」は、デジタル化して効率的に業務改善する珠玉のアイデアを学び・広める、2日間のオンラインイベントです。2023年のテーマは、「やれるっ、できるっ、キントーン!」で、よりトヨクモ製品をカンターンに活用し、業務改善ができる、そんな活用の事例をご紹介いただきました。

今回は、株式会社東京文久堂 林田大平氏に語っていただきました。

自己紹介・会社概要

株式会社東京文久堂は東京都千代田区神田神保町にある従業員数7人の小規模企業です。おもに少部数のデジタル印刷を得意としており、そのほかにもWeb広告代行やデータ解析、kintoneやkintoneの連携システムを活用したサービスの提供などを行なっています。

当社は印刷会社ですが、先日デジタル庁からデジタル推進委員に任命されました。今回のようなデジタルツールを紹介できる場を設けていただき、感謝しています。

当社で現在利用しているトヨクモのkintone連携サービスは以下の5種類です。(林田氏)

  • FormBridge(プレミアムコース)2個
  • kViewer(プレミアムコース)1個
  • PrintCreator(プレミアムコース)1個
  • kMailer(プレミアムコース)1個
  • kBackup(スタンダードコース)1個

トヨクモkintone連携サービス導入の経緯

導入のきっかけ

当社がトヨクモのkintone連携サービスを導入したのは、2019年4月に当時利用していたサービスが終了したことがきっかけです。それまでは、顧客向けにメールマガジンを配信するキャンペーンや、Webフォームを作るキャンペーンなどにマネジメントシステムを活用していたのですが、サービス終了に伴い代替品の検討に迫られました。

上位互換となるサービスは、既存システムよりもコストが上がってしまうのが悩みでした。サービスを検討するなかで、トヨクモのkintoneとFormBridge、kMailerの組み合わせがリーズナブルであることを知りました。(林田氏)

導入前の課題

kintone連携サービスの導入にあたっては、以前のシステムよりもコストを抑えられる一方で、5つの課題がありました。(林田氏)

1.実績がない

→使用したことがないため、これまでできていたことが引き続き実現できるのかがわからず心配だった

2.メールマガジン配信におけるメールサーバー設定

→WebやITの知識が乏しかったため、メールサーバーの設定がうまくいくのか不安だった

3.Webフォームテンプレートの作り直し

→すでに以前のシステムで数種類のWebフォームのテンプレートが存在していたため、同じものを用意しておく必要があった

4.Webフォームのページ送りや条件分岐などの設定

→JavaScriptなどのプログラムの知識もなかったため、以前のシステム通りできるのか不安だった

5.サポートサービス

→以前のサービスでは、コストがかかる代わりにサポートサービスに対応してくれていたので、問題があったときに対応できるか不安だった

導入までのステップ

上記の課題に対して、当社では次のようなステップを踏むことで課題を解決し、導入に至りました。

まずは1か月の「お試し期間」において、使用していたサービスと同様のことが実現できるのかを確認しました。移行するフォームの件数が多いため時間はかかりましたが、ソースコードはほとんど不要で、細かいマニュアルを見なくても感覚的に操作できたため、大きな問題なく実現できることがわかりました。

ソースコードが必要なカスタマイズについては、Webページやコラムなどのコンテンツを参考にしたり、サイボウズのコミュニティに問い合わせたりして対処しました。条件分岐やページ遷移、メールサーバー設定など、不安な部分はいくつかありましたが、基本的に直感でスムーズに操作できました。(林田氏)

事例紹介:レポート集の集約システムについて

学術レポートの集約システム概要

学術レポートの集約システムは、十数年前にプログラミング会社に委託して制作いただいたものです。FormBridgeで作成したフォームを使用して、学術分野ごとの学術レポートを全国各地から投稿していただく仕組みです。投稿されたデータはkViewerを通して閲覧可能で、さらにPrintCreatorで必要な情報をPDF出力することもできます。(林田氏)

実際の連携サービス画面

管理サイトトップ画面

こちらは、kViewerで作成した学術レポート管理サイトのトップ画面のイメージ図です。この画面は認証を用いており、各都道府県支部のユーザー名に該当するものでフィルタをかけて表示できるようにしています。そうすることで、各都道府県の情報が互いに閲覧できないようになっています。

特徴的な部分としては、kViewerのヘッダー部分にHTML形式でいくつかのリンクボタンを用意し、Webサイトのようにしている点です。実際に使用しているページでは、まず「どれくらいのレポートを投稿する予定なのか」というフォームと、「レポートを実際に投稿する」フォーム、「学術分野ごとにまとめた冊子を注文する」フォームの3つを用意しています。

この管理サイトでは、各都道府県支部からの投稿について不備がないかを管理者が確認しています。もしも不備があった場合は、不備内容をコメント入力するとともに、各都道府県支部の修正対応が必要な投稿をステータスで確認できる仕組みです。

また、JavaScriptを使ってステータスごとに編集するアイコンの表示と非表示を切り替えており、完了したものは編集ができないようにしています。さらにCSSを用いて、進捗状況に合わせた色分けで見やすくなるように工夫しました。(林田氏)

レポート投稿画面

こちらは、FormBridgeで作成した学術レポートの投稿フォーム画面です。いつでも管理サイトに戻れるように、FormBridge上にも管理サイトのトップ画面へのリンクボタンを設置しています。こちらも認証でログインする仕組みになっており、フォームにログインすると自動的に各都道府県支部の名前で登録されます。

レポートの投稿完了後の画面には、続けて他の学術分野のレポートを投稿するか、管理サイトに戻るかを選べるリンクボタンを用意しています。(林田氏)

投稿情報の出力画面

画面左側のPDFは、PrintCreatorで投稿情報を出力した画面です。右側のPDFは、学術レポートごとの冊子を注文するフォームの回答後に注文情報を出力したもので、「どの学術レポートが何冊で、合計はいくらか」という注文書としての役割も担っています。FormBridge上で各学術分野ごとの単価と数量の計算式を入力しておくことで、数字が反映される仕組みです。(林田氏)

導入後の効果


kintone連携サービスの導入前は、開発当時の費用の減価償却やプログラム修正、その他の費用を含めて年間維持費として約100万円がかかっていました。しかし本サービス導入後は、自社利用のサービスを使うことでランニングコストが不要になりました。

ただし、実際にはFormBridgeやkViewer、PrintCreatorのプレミアムコースの費用がかかっています。また、最初にシステムを作る際は人件費がかかっていますが、外部費用ではないため、固定費として計算できます。

管理システムの改修の面でも、以前は完成したプログラムで構築されていたため自由度が低く、修正する際もシステム制作会社に依頼する必要がありました。しかし、システムを切り替えてからは自社でいろいろと試したり、顧客と相談したりしながら進められます。そのため手戻りも少なく、ほぼリアルタイムで修正確認作業もできており、顧客満足度も向上したと実感しています。

また、以前は特定のシステム会社による独自システムを導入していたので、他のシステムを依頼するにも多額の費用がかかるため、依存度の高い状態になっていました。しかし、本システム導入後は自社で完結できることが多くなったため、依存する必要がなくなりました。

オリジナルのシステムは、不明点があっても検索では解決できないケースが多いと思います。しかし、kintone連携サービスは疑問を検索すればたいてい解決できますし、日々のアップデートにより使い勝手も良くなっています。(林田氏)

その他の活用事例

続いて、自社におけるトヨクモkintone連携サービスの活用事例をご紹介します。

大きな部分では、自社のCRM(顧客関係マネジメントシステム)として活用しています。2020年12月まではほかのCRMツールを使っていましたが、すべてkintone連携サービスシステムを活用して置き換えました。特に、PrintCreatorでの作業指示書や発注依頼書の作成、納品書・受領書・請求書の発行などに使っています。

そのほかにも、以下の場面など幅広く活躍しています。

  • 自社の問い合わせフォームやアンケートの集計代行
  • 在庫管理システム
  • 名刺などの印刷受発注システム
  • 自社の営業カレンダー

さらに、今後は社内テストやちょっとしたクイズで知識向上を図ることなど、遊び感覚で使ってもらえるような活用方法を展開していきたいです。

もしもご興味がありましたら、当社のYoutube動画で実際のクイズの様子などをご確認ください。(林田氏)

今後も幅広い活用方法を考えたい

今後も、自社内での活用に留まらず、顧客サービスの向上など幅広い活用方法を考えていきます。また、kintoneの連携サービスを広く知っていただき、kintoneやkintone連携サービスのツールの向上につながる活動ができればと思います。(林田氏)