私とトヨクモとの出会いシリーズでは、kintoneを活用している方々が「kintoneやトヨクモ製品を導入したきっかけ」「どのような業務改善を実施したのか」をご紹介していきます。
株式会社 昇栄は、福島県白河市にある1984年創業の物流業を営む会社です。荷役梱包や、倉庫保管、一般貨物運送の事業を行っています。
今回は、株式会社昇栄でDX担当を務め、kintone hiveで登壇経験のある山崎さんに、kintoneとの出会い、kintoneやトヨクモ製品を用いた業務改善事例についてお話しいただきました!
自己紹介・kintoneに出会ったきっかけ
ーこれまでのご経歴や、どのような業務をされてきたか教えてください。
前職では、児童養護施設などで暮らす親を頼れない子どもたちの退所後支援や就労支援を行う非営利活動法人で、営業およびシステムの担当を務めていました。当時、Salesforceにて業務管理を行っていましたが、2019年の12月にkintoneチーム応援ライセンスの利用者拡大のタイミングで、業務管理システムをkintoneへ移行しました。その際の、kintoneアプリの構築とデータの移行を担当し、FormBridgeを利用しました。
その後、2021年の5月に株式会社昇栄にDX担当として入社しました。社内決裁電子化、ペーパーレス・DX推進のため、kintoneの導入、推進を行いました。当初は、ライトコースで小さく始めました。2023年の4月には、kintone hive 2023 仙台に登壇し、ライトコースで基本機能をフル活用した業務改善事例を紹介しています。2023年の5月に、FormBridgeを利用するためにスタンダードコースにアップグレードし、現在に至ります。
「kintone hive sendai 2023」の5番手として登壇した昇栄の山崎 梨英氏は、「ライトコースでどこまで…
ートヨクモ製品を初めて知ったきっかけは何でしたか?
前職でSalesforceを使っていた際は、Salesforceに連携するWebフォームサービスを使っていて、管理システムにフォームからデータが入ってくるのは当たり前でした。そのため、kintone導入でもフォームは必須でした。kintone導入の際に、伴走支援に入っていただいたhug-luma の二河等さんに、トヨクモ製品を教えてもらいました。
株式会社昇栄では、kintone導入当時はライトコースだったので、トヨクモ製品ではなく別のメール配信付きのWebフォームサービスを使っていました。しかし、サービスの仕様上、メール不達のフラグが立ってしまったアドレスには二度とメールが送れないという問題が発生し、メールが送れない方にはOutlookから手動で送り直す必要がありました。便利になるはずが、なぜかやたら手間がかかる状況になってしまったのです。また、低価格プランだと管理者が一人に限定されてしまうのもネックでした。FormBridgeは管理者が2名ですが、回答結果は管理者以外もkintoneでリアルタイムに確認できるため、問題ありません。スタンダードコースになりコストは上がってしまいますが、FormBridgeが良いという結論になり導入に至りました。
ーFormBridgeを選んだ決め手はありますか?
現在、フォームの作成は管理者2人で問題なく回っていますが、結果を確認できる人がたくさんほしいと感じていました。その中で、Googleフォームの導入も検討しましたが、Googleフォームは結果を確認するのに管理画面に入る必要があります。フォームの使い方に精通していない人が管理画面にアクセスすることに不安がありました。その点、FormBridgeは管理者でなくてもkintoneで結果が確認できる点が安心でした。
また、条件分岐機能がスタンダードコースでも利用できることや、将来的に他のトヨクモの連携サービス(kViewer)を利用したいと思い、トヨクモ製品で揃えるのが良いと考えました。
ー前職の頃からkViewerを知っていたとのことですが、どこで知りましたか?
FormBridgeを使っている中で、トヨクモのホームページを見て知りました。児童養護施設出身者への支援活動に寄付をしてくれた方には金額に関わらず領収書を郵送する必要があり、郵送にかかるお金がもったいないと感じていました。そのため、kViewerのMyページでダウンロードできればと話をしていました。
ートヨクモ製品導入の際に苦労したポイントはありますか?
kintoneのコースが、ライトからスタンダードに変わることでランニングコストが上がってしまうため、社内での承認を得る必要がありました。当時、安否確認システムを別途契約しており、年間約60万円かかっていました。
安否確認システムを解約し、FormBridge+メールワイズで代用(現在はさらに別なシステムで運用中)することで、kintoneのアップグレード+FormBridgeと同じくらいの費用を捻出できたうえに、FormBridgeを使うことによる数々の業務効率化ができており、大幅な改善効果がありました。
ーFormBridge導入の際、従業員の業務移行のハードルはありましたか?
ハードルよりも、便利になるという喜びの方が大きかったです。以前は、社内アンケートの取りまとめを拠点ごとに拠点長を介して行っており、紙のやりとりも頻繁で手間がかかっていましたが、FormBridgeを導入することで手軽に行えるようになりました。
ーお試し期間は30日間ですが、期間は充分でしたか?
はい。やりたいことが決まっていたため、FormBridgeはスタンダードコースでよいのかという検討期間に充てられました。本当は上のプランにしたいと思っているため、kViewerとの連携など機能が必須になったら、プランを上げようと思います。
kintoneとFormBridgeを活用した業務改善事例8選
社員350名から紙で提出してもらっていたものは、今ではほとんどがFormBridgeからの申請に置き換えられたそうです。実際に、フォーム化された8件の事例を伺いました!
・取りまとめに時間がかかっていた
・回答を管理者が見れてしまう
◇対応
・FormBridgeを導入した
・kintoneの権限制御で閲覧者を制限
◇効果
・工数の削減
・安心感のある相談口に
・マイカー通勤申請
車で通勤される方が多く、通勤中の事故に対応するための通勤保険があります。更新の際には、免許証や、任意保険、自賠責保険が切れていないかのチェックが必要です。以前は必要な書類のコピーをスタッフの人が所長に出して、所長が本社に持ってきて、本社の担当者が確認する流れとなっていました。FormBridgeを導入することで、期限が切れるタイミングに申請者自身で写真を撮って送るように変更できました。また、期限が切れそうな人には、メールワイズでフォームのURLが記載されたメールを送るようにしました。
従業員350人分の3つの資料の更新日を管理していると、更新頻度も人によってバラバラなため大変でした。しかし、kintoneで更新日の管理も行えるようになったため、担当者は毎日申請されたレコードを確認するだけで済みます。取りまとめや管理の工数を含めると、月に約50~60時間の業務時間削減ができました。
・人事相談窓口
従来は従業員が会社に対して何らかの相談や通報を行いたい時、その手段が電話かメールのみでした。匿名での連絡ができていなかったのです。
そこで、FormBridgeを導入することにより、どの従業員も匿名での相談ができるようになりました。また、ハラスメントの相談など、担当者以外には知られたくない内容の相談もありますが、他社のフォームだとフォーム管理者に相談内容が見えてしまいます。FormBridgeだとフォームの管理画面では相談内容が見えず、担当者だけがkintoneで確認できるため、誰もが安心して相談できるようになりました。
・インフルエンザ予防接種代の申請
予防接種を受けた人が領収書を提出すると、その費用が会社から支給されます。従来はメールで申請を受け付けていましたが、本文に名前など必要な情報を書かずに送る人もいました。そこでFormBridgeを導入し、休憩室にフォームのQRコードを貼るようにしました。必要な情報の申請漏れはなくなり、締切に間に合わないこともなくなり、取りまとめも必要なくなりました。フォーム化することで管理側はもちろん、申請する側の手間もなくなりました。
・各種届出申請
連絡先変更(住所、メールアドレス等)や扶養家族変更などの各種届出を従来は、紙で行っていました。フォーム化することで、紙の削減や取りまとめの工数の削減も行えました。
・各種社内アンケート
社内研修や勉強会の際、今までは開催してもその後のアンケートを取れていませんでしたが、フォーム化することで簡単にアンケートが実施できるようになりました。また、紙でアンケートを実施した場合、回答を読むだけで、集計・分析が疎かになっていたのも事実です。
フォームでアンケートを行った結果、回答の集計がしやすくなり、回答を元にした分析も容易になりました。
・社報の各種コーナーでの情報提供
社報に使う写真や、テキスト・コメントを提出してもらうのに使っています。全部メールや紙で集めていたものを、FormBridgeのフォームを作成し集めるようにしました。回答が10件くらいの情報の取りまとめでも、フォームを用いたほうが遥かに楽です。
・採用活動
求人情報に記載している問い合わせ手段が、電話かメールのみでしたが、フォームを入れると問い合わせのハードルが下がるのではと思い、フォームを作成することにしました。また、各拠点に電話をされてしまうと、現場で働いている方が業務を中断して対応せざるを得なかったのですが、フォームから問い合わせを受け付けることでその必要もなくなりました。
・イベントでの利用
「Out of KidZania」という小中学生向け職業体験イベントに出展した際にもFormBridgeを用いました。
倉庫作業員の職業体験として、タブレットから商品を注文し、注文された商品をピッキングし、梱包して発送する業務を子どもたちに体験してもらいます。その中で、タブレットから商品を注文する際のフォームとしてFormBridgeを活用しました。当初は、紙での注文を予定していましたが、少しでも実態にあったものを体験してほしかったため、FormBridgeでタブレットからの注文をできるようにしたのです。また、低学年の小学生が多いため、数値入力の部分はラジオボタンで選べるようにするなど、入力しやすいフォームになるよう工夫しました。
ーどの業務改善が、最も効率化につながりましたか?
月に約50~60時間の業務時間を削減できたマイカー通勤申請です。また、人事相談窓口のフォームは、今までできていなかった匿名性のある相談が新しくできるようになったため、嬉しかったです。
ー8つのフォーム化は、山崎さん一人でやられたのですか?
最初は1人で行ってきましたが、最近はkintoneを活用した業務改善の中心となってくれている経理課のメンバーに任せています。最近は私自身がフォームを作ることは少なくなりました。
ーどのように担い手になってもらったのですか?
管理者のひとりはもともとDX化に意欲的だったため、ポテンシャルはありました。産休から復帰した時に、kintoneでの運用が増えていた時期だったのでお願いしました。
他には、kintone導入後に業務改善チームに入ってもらって少しずつアプリ作成にチャレンジしていた方や、kintoneを使う中でどんどん新しい提案を出してくれる方もいて、担い手は増えてきました。
ー運用の部分で紙が減ったものはありますか?
マイカー通勤申請です。保険証などのコピーを出すだけでなく、申請更新書も紙で提出していました。また、当時は期日管理ができていなかったので、更新が必要な人・不要な人それぞれ毎年出してもらっていました。フォーム化することで、コピーも申請書の提出も不要になりました。
社員350名で1年に1人4枚で年に1400枚なので、そこまで大幅な削減ではありませんが、不要な手間をなくすことができたことは嬉しく思っています。
ー現場のスタッフはPCが得意でない人も多いとのことですが、最初の導入時に工夫された点や、FormBridgeの良かった点はありますか?
条件分岐機能があるのが一番重要でした。導入を検討する際、他のサービスは、条件分岐が可能なプランは高額であるか、そもそもできない場合が多かったのです。
例えば、回答Aを選んだ人は、次の質問に回答してくださいとフォーム上で指示を出されても、分かりにくいですよね。
Webでの回答に慣れていない方でもスムーズに回答できるよう、入力時の迷いを減らすための条件分岐機能は必須でした。
また、スマートフォンでドロップダウンの選択肢を表示させた時に、キーボードが出てきてしまうサービスもあります。FormBridgeは不必要なタイミングでキーボードが出てこない点も嬉しいポイントです。細かい部分ではありますが、痒い所に手が届いていると感じます。スマホの操作があまり得意でない方にとって、操作中の迷いが少ないことは本当に大切です。
今後の展望
現在は、年末調整の作業を紙で行っていますが、トヨクモ製品で行えないかと検討中です。他の年末調整サービスを使ったことがありますが、入力が難しかった覚えがあるため、社員目線で入力が迷わない仕組みを作りたいと思っています。また、社内アンケート結果のフィードバックを社員にPDFで送付していますが、kViewerで行いたいです。(山崎さん)
「会社から情報を積極的に公開することは、社員と会社との間にある壁をなくすことに繋がると思っています。壁が取り払われることで、仕事中に気づいた些細な課題が共有され、それを皆で解決するというサイクルを回し、昇栄で働く全員にとって居心地が良い職場を築きたいです。」と山崎さんは締めてくれました。
山崎 梨英(やまざき りえ)
2018年以前 家庭用ゲーム開発会社にて、経理や営業などを担当
2018年4月 NPO法人ブリッジフォースマイル入職
2021年5月 株式会社昇栄にDX担当として入社
2023年4月 kintone hive 2023 仙台登壇ライトコースで基本機能をフル活用した業務改善事例を紹介