【kintone×薬局】10時間の作業が15分に!業務改善の理解促進方法も必見!

私とトヨクモとの出会いシリーズでは、kintoneを活用している方々が「kintoneやトヨクモ製品を導入したきっかけ」「どのような業務改善を実施したのか」をご紹介していきます。

株式会社サエラは、大阪府にある1998年設立の会社で、保険薬局の運営や、健康増進事業を行っています。

今回は、株式会社サエラで社内の業務改善を進められており、kintone hive osaka 2021に登壇された田中さんに、kintoneとの出会い、kintoneやトヨクモ製品を用いた業務改善事例についてお話しいただきました!

田中 良和(たなか よしかず)

2018年 株式会社サエラに中途入社
2021年 kintone hive osaka登壇、kintone Award登壇
人事関連のDB構築や社内のDX促進を担当

note:https://note.com/tanayoshi
X:https://twitter.com/tanaka4412

自己紹介

ーこれまでのご経歴や、どのような業務をされてきたか教えてください。

2018年2月に株式会社サエラに中途入社しました。弊社の専務に、当時社内にWebマーケティングの専任者がいないということで誘っていただいたことがきっかけです。
入社以前は、Web制作やシステム開発の営業企画を行っていました。

kintoneの利用を始めたきっかけ

私が入社してから半年が経過した頃、人事部の新卒採用担当が使っている、学生のデータを管理するためのExcelが膨大なデータ量になっていることを知りました。Excelのデータは、毎年250列×1,000行にも及んでおり、一度このExcelが破損すると修復に2日間かかるなど、本来の業務に充てられるはずだった時間が削られていました。この状況をなんとかしようと考えたのが、kintoneでの業務改善のスタートです。

また、薬局はデジタル化の比較的遅い業種でした。最近は、電子処方箋の取り扱いも増えてきてはいますが、今でも処方箋は紙でもらう人が大半だと思います。薬局はその処方箋を3年間保存する義務もあり、まだまだ紙文化が深く根付いているのが実情です。その文化を変えていかないといけないと認識していますが、それは行政が主導する部分が大きく、まずは自分たちでできることから脱紙文化を社内で推し進めるしかありません。

そして、私が入社してから2年ほどでコロナ禍となりました。それ以前から人事の採用担当はkintoneを使って仕事をする環境が整えられていたので、リモートワーク自体はすぐにでも可能な状態でした。
そういった労働環境やkintone自体を評価してくれる部署もあれば、「人事部はkintoneが導入されているからいいよね」と羨むような声を他部署からいただいたこともありました。
確かに、kintoneを導入してから運用するまでの過程を他の部署が見ることがなかったため、kintoneさえあれば何の苦労もなく、すぐにリモートワークができるという誤解を私たちが植え付けてしまったのかもしれません。

kintone hive osakaでの登壇経験

ーkintone hive osakaに2018年から参加され、2021年には講演者として登壇されていますが、登壇のきっかけは何でしたか?

2019年、当時同じ人事部だった西川がkintoneのことをもっと知りたいというので、一緒にサイボウズのワークショップに参加しました。その時、サイボウズの社員の方々にkintone hive osakaで講演者として登壇するよう後押しされました。私は元々、西川の成長をもっと後押ししたいと思っていたので、これがいいきっかけになると思い、3年後の2022年に2人で登壇するとその場で回答しました。結果的には目標より1年早い2021年に登壇することになりました。どうにか講演を無事終えることができ、西川も目を見張る成長を遂げてくれました。

バックオフィスの業務は、その仕事内容自体が理解されにくく、評価を受けにくいところがあります。そのため、若手、ベテランを問わず、社員を誰かに認められる環境に置いてやりたいという気持ちがありました。誰かから仕事を認められることで、本人のモチベーションや能力のさらなる向上につながると思っています。kintone hive osakaでの登壇は、自分たちのしてきた仕事が誰かの役に立つということを実感できた貴重な経験でした。

ASCII.jp

今回は5社がエントリーし、今回は3番目に登壇したサエラのプレゼン「『ツールのために仕事をする』のは、もうやめました」の様…

ー自分の仕事が誰かに認められる・貢献しているという実感は大事ですよね。

たとえ小さな成功事例であっても、それを発信することは誰かの役に立つのだと思っています。私たちは半年以上kintoneのライトコースを使っていて、スタンダードコースへの変更後も外部連携はほとんど入れず、プラグインもコストパフォーマンスのよいものを選別して導入していました。そのため、潤沢な資金があり、環境が整っている会社さんが業務改善効果を発表するというものよりも、コストを抑えながらの苦労を含めて『私たちだから伝えられる』ということがあると思いました。

ーバックオフィスとして働いている方で、社内からの適切な評価が得られていないと思っている方は、どのくらいいらっしゃると思いますか?

弊社内の場合だと体感ですが5、6割くらいはいるのではないかと思います。バックオフィスの仕事は当たり前に回っていることが大前提なので、「当たり前に回っている」ことが評価の対象にはなりにくいのだと思います。

また、バックオフィス業務の多くは、自分が担当する業務の前任者である上司や先輩社員から「この仕事はこのとおりにやってくださいね」というある種の呪いを引き継ぎ時にかけられてしまっているので、業務の進め方などに問題があっても新しいやり方を考えることへの足枷になっているのではないかと思っています。

昨年、経理部向けにkintoneの社内勉強会を行いましたが、経理部の方はデータベースやkintoneといったITに関する前提知識を持っていません。会計ソフトなどのツールのことはもちろん知っていて、ソフトにデータを読み込ませるためのExcelファイルやCSVファイルは普段から使っています。ただ、作業をシステム化して、共有しようという考えにまでは至っていません。そのような状況でしたので、いきなり「kintoneアプリの作り方」といった具体的なところから開始するのではなく、そもそも「kintoneを導入することで何が変わるのか」というところから話し始めました。

kintoneはクラウドベースのサービスなので、同じアプリ内でも異なるレコードの情報は同時編集が可能です。
つまり、kintoneを使えば、共用のExcelファイル内のデータを編集する際「使っている人がいたら閉じてくださいね」と周囲に言う必要がなくなります。

それぞれがPCのローカルで開くExcelファイルのデータと、ファイルサーバーにあるExcelファイルのデータの内容に差分が生まれるといったことも起こらない。そういった例を勉強会ではやさしく噛み砕いて話しました。

そして、勉強会の最終回では、kintoneを使うことの意義やメリットといった全体像を共有できた状態で、これからどのような業務改善をしたいかを勉強会の参加者の前で発表してもらいました。

ーkintoneに限らず、そのツールが導入されている目的を理解せずに利用しているケースは多く見られますよね

既存の業務フローを理解せず、今Excelや紙で行っている業務をそのままkintoneに落とし込んで代替しようと考えるケースが多いと思います。
しかし、業務改善を実現するには、現状の業務がどのようなフローで、どのようなデータを取り扱っていて、改善には何が必要なのかを理解した上でツールを導入すべきです。

トヨクモ製品に出会ったきっかけ・導入事例

Cybozu Daysのブースで見かけたのがきっかけで、トヨクモさんの製品は魅力的なものが多く、導入したいと思いました。

現在は、kViewerを社員録としてメインで利用しています。970名ほどの社員の入社時期や在籍店舗、職種、役職などを登録・管理しています。

私の入社前、社員録は年に一度紙で更新していました。PC上で編集してその内容の校正を行い、それを印刷して各店舗に送るという、非常に手間のかかる作業が発生していたのです。

この社員録は、kintoneで構築する前に一度、通販サイト構築のシステムで代替していたことがあります。一社員を一商品と見立て、商品カテゴリを登録するところに所属店舗や部署を入力していました。この代用により、年に一度の大掛かりな紙作業から月に一度のデータ更新にすることは叶ったのですが、システム保守を外部に委託していたため、改修に予算と時間がかかり思うような運用ができないという新たな課題が発生しました。

そこで「せっかくkintoneで社員情報の管理を始めたのだから、これを活用すれば社員録の管理も大幅に効率化できる」と考えkViewerの導入に至りました。現在の運用としては、kViewerにIP制限をかけ、社外からはアクセスできないように閲覧権限を与えています。IP制限がかけられる点も弊社内での運用に合っていると思います。以前のシステムでの運用のときと比べ、トータルで10時間かかっていた作業が、15分ほどで完了するようになりました。

kViewerで公開している店舗部署情報

ーkViewer導入の際、別サービスも検討されましたか?

はい。他に導入を検討していたkintone連携サービスは、アプリ内データの閲覧だけでなく、入力もできる機能が付いていました。

しかし現状、店舗スタッフが情報を入力するケースは少なく、あくまで情報の閲覧がメインです。
また、今年で90店舗ほどになるため、各店長にアカウントを設定するとなると管理が大変でした。さらに、弊社は女性従業員が8割の会社ですので、店長や店長代行自身が産休・育休を取得することも多く、店長や店長代行が代わる度にアカウントの権限を変更するのは現実的ではありませんでした。

ーkViewer導入時の苦労はありましたか?

そもそも「なぜ業務改善をする必要があるのか」に対する理解を社内で得るのに苦労しました。「Excelであればお金はかからない」「情報を共有するなら社内のファイルサーバーにあげればいい」といった考えが皆の根幹にあると感じたからです。また、弊社には生え抜きの社員が多く、他社がどのような業務改善を進めているかといった情報が得られにくい環境にありました。現状の課題を認識しつつも業務改善にまで考えが回らないということもあったと思います。そのため、「今できているものを無理に変える必要はない」という考えが根強く残っていると感じました。

とはいえ、運営する店舗数が増えてくると、この運用ではいずれ限界を迎えるのは時間の問題でした。
各店舗から情報を集める際、80以上の店舗から提出されたExcelファイルのデータを、VBAでマクロを書き、情報を抽出して連結させる必要があります。この作業は店舗数が増えるたびに都度コードを書き換えなければなりませんでした。書き換え時にはエラーが出ることもしばしばありました。

そのような状況を目の当たりにし、kintoneは便利で活用次第で何でもできるという話から、kViewerも導入することでさらにできることが増え、そのうえ現状よりもコストが安く済むという話を社内でプレゼンしました。kViewerの導入によって、導入にかかるコスト以上に人件費が削減できるのであればと社内の納得を得られ、導入に至りました。

ーkViewerの導入に対して、社内での理解を得るのは大変でしたか?

はい。コストには厳しい会社なのですが、当初は人件費の削減効果については大きな納得は得られませんでした。
その後、最低賃金の上昇分も加味した人件費の年間試算表を作成し、kintoneやkViewerの導入によって、5年後にどの程度の人件費を削減できるかを伝えたことで納得してもらうことができました。具体的な数値を示したのは効果がありました。

ーkViewerの検討から導入までの期間はどのくらいかかりましたか?

結果的に、半年から1年程度で導入が決まりました。

トヨクモさんの製品に関しては、大阪で行われたCybozu Circusでのトヨクモブースや、キンボウズさんがトヨクモ製品について解説している動画を見てある程度の知識は得ていましたが、当初はkintoneを人事採用領域の小さな規模で使っていたため、活用手段が具体的に浮かんでいませんでした。
しかしその後、私が総務に異動となり、kintoneを人事だけでなく全社的に展開できるのではと思い始め、そのための手段として真っ先に思いついたのが社員録の改善でした。

ー社内の決裁には時間はかかりましたか?

試算表を作り、kViewerの導入による具体的なコスト削減金額を説明していたので、スムーズに進みました。導入前に使っていたシステムは外部に保守を委託しており、新たに項目や機能を追加しようとすると都度見積もりが必要でした。kViewerであれば自社内ですぐに変更を加えられることを話すと、稟議は1週間程度で進みました。それでも、社内の説得に一番効果を発揮したのは利便性よりコスト面のメリットでしたね。

トヨクモさんの製品3つを一番高いコースで契約しても、月あたりのコストはパート1人分くらいの人件費で収まるため、コストメリットの説明はしやすかったです。以前のシステムは、導入費用だけで100万円ほど、毎月の保守に3万円(年間36万円)と年間の諸経費に3.5万円かかっていました。トヨクモさんの製品に移行してからは、これらの費用や人件費を含め年間20万円ほどは削減できました。

今後の展望

ー今は、社員録としての利用がメインとのことですが、今後作りたいものはありますか?

店舗情報を共有できるようにしたいと思っています。今は人の名前で検索をかけると、その人がどの店舗に在籍しているかは分かりますが、店舗単位の人員構成が分かるようにしたいです。

また、現状は消費期限が近い薬がどの店舗にどの程度あるかの情報共有をTeamsで行っています。たとえば、癌の薬は使用1回分の販売価格が10万円になるようなものもあり、それが消費期限を迎えてロスになってしまうことによる影響は極めて大きいです。Teamsの場合、過去に送信した情報が上へ上へと流れてしまい、大事な情報が見過ごされてしまうのです。

kViewerであれば、たとえば消費期限で絞り込むことで、間もなく期限を迎えるものがすぐに一覧画面で確認できるので、この仕組みはすぐにでも構築したいと考えています。その上で、「その薬、うちの店舗で欲しいです」といった店舗側からの要請を受ける機能が必要となってくるため、これにはFormBridgeの導入も必要かなと考えています。

ーこれからトヨクモ製品を使う方へアドバイスをお願いします。

複数店舗を展開している企業は、新たなツールを導入する際、それをどう社内に展開していくかの場面で困ることが多いと思います。外部サービスの導入を検討する際、社員一人ひとりにアカウントを持たせるとアカウント数に応じてコストがかさむことや、付与したアカウントの管理に手間がかかるなど、さまざまな課題に直面するかもしれません。
業務改善を進めた結果、別の部分での作業量が増えてしまうといったジレンマを経験することもあるでしょう。どのようにすれば社内の事情に即した業務改善ができるかを、柔軟な視点で考えてみるといいかもしれません。

「ゴールに至るためのルートはさまざまに存在しているので、今の自分にとって最適なルートを進めばいいと思います。また、もっと慣れてくれば違ったルートも見えてくるはずです。そのときに必要なツールとしてトヨクモさんのような外部連携サービスが存在するのだと思います。」と田中さんは締めてくれました。


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