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【kintone×行政】日本一のデジタル行政を目指す旭川市がトヨクモ製品を導入した理由

トヨクモ編集部のサムネイルアイコン トヨクモ編集部

「私とトヨクモとの出会い」のシリーズは、トヨクモ製品を活用している企業の「製品を知ったきっかけ」や「導入の決め手」、「社内に普及させるための取り組み」を紹介する企画です。

今回は、旭川市役所 行財政改革推進部 行政改革課の水沢悠さんにお話を伺いました。

旭川市役所の行財政改革推進部では、市役所業務全体の点検・見直しをする行政改革やkintoneをはじめとしたノーコードツールの導入、及びDX人材の育成を行っています。

同社では、2022年6月頃からkintone(キントーン)の活用が徐々に本格化。印刷や確認など、意思決定に関わらない中間作業であるノンコア業務(定型業務)の効率化を目的としてトヨクモ製品を導入し、現在でも積極的に活用されています。

旭川市役所はトヨクモ製品とどのような経緯で出会い、何が決め手で導入に至ったのでしょうか。

旭川市役所 行財政改革推進部 行政改革課|水沢悠さん

トヨクモ製品ありきで考えたkintoneの導入

2022年4月より、行財政改革推進部 行政改革課の前身である総務部行政改革課のDXチームで業務効率化に取り組んでいた水沢さん。当時の課題について以下のように語ります。

ノンコア業務の効率化をどう実現するかというのが、当時抱えていた大きな課題でした。

庁内は「仕事が多くて人が足りない」という声で溢れていました。全庁の業務量調査をしたところ、ノンコア業務のほとんどが紙ベースで行われていたのです。

ノンコア業務だけであれば、外部への委託で解決します。ですが、市役所ではコア業務とノンコア業務が連動したり、交互に生じている場合が多く、ノンコア業務のみを切り出すことは、やはり簡単ではありませんでした。

当時から人手不足に苦しんでいましたが、これから先の世代には、人口減少・少子高齢化によって人手不足がさらに深刻化し、より大きな負担がかかることが容易に想像できます。業務改善を先延ばしにすることもできたと思いますが、こういった背景を踏まえると、すぐに業務改善を行うこと以外の選択肢はありませんでした。

庁内の業務量に対する人手不足を解消するため、DX推進に取り組み始めた旭川市役所。ですが、DX推進の目的はそれだけではないと水沢さんは話してくれました。

私は、行政にも民間企業と同じように競争があると考えています。例えば、子育て支援や補助金など、サービスが充実している自治体を見つければ、そちらに移住する人も少なくありません。なので、サービスの拡充を図るための企画を考えたり、市民とのコミュニケーションをとったり…というようなコア業務がとても重要なんです。

全業務のうち約4割を占めるノンコア業務の業務効率をいかに上げて、空いた時間を重要度が高いコア業務に時間を回せるか、というのも大きなミッションでした。

こうして、業務改善ツールの検討がスタートしましたが、「kintoneとトヨクモ製品はセットで導入しようと考えていた」と、水沢さんは話します。

庁内で特に問題がありそうな業務をピックアップし、解決策を模索していたところ、kintone導入の話が持ち上がりました。kintoneを導入すれば、庁内のノンコア業務を効率化できると確信できたのですが、市役所の業務は市民や庁内外の関係先が多いので、そのやり取りでどうしてもつまづきが出てしまうと気付いたんです。

トヨクモ製品を知ったのは、そんなときでした。kintoneについて調べているなかで、トヨクモ製品の導入事例を数多く見かけたんです。トヨクモ製品を使いこなし、外部とのやりとりをスムーズにしている事例を見て「一緒に導入すれば懸念点を解決できるのでは?」と思いました。

kintoneについて調べるなかで、トヨクモ製品の存在を知った水沢さん。数多く存在するkintone連携サービスのなかで、水沢さんがトヨクモ製品にした決め手は何だったのでしょうか。

それぞれのサービスを連携して使える点が大きいですね。1つひとつのサービスだけを見ると、類似サービスは他にもあると思いますが、複雑な要素が絡み合う行政の仕事は、それぞれのサービスを独立して使用しただけでは、サービス間の手作業が残ってしまい、抜本的な業務改善につながりません。連携して自部署に応じた業務アプリを作成できる点がkintone×トヨクモ製品の魅力ではないかと考えています。

サイボウズ自治体向け無償キャンペーンを1年間利用

2022年6月~2023年5月までの1年間、サイボウズ株式会社が主催する「自治体まるごとDXキントーン1年間無料キャンペーン」(当時の名称。以下キャンペーン)に参加した旭川市役所。このキャンペーンでは参加期間中、全職員にkintoneライセンスが発行され、連携サービスも無償で利用できるプランが用意されていました。kintoneについてWebで調査を進めていた際に、キャンペーンの存在を知った水沢さん。参加した経緯について以下のように振り返ります。

参加申し込みの際は、「庁内の業務改善にkintone×トヨクモ製品が有用」という考えを固めたうえで、部長に決裁を仰ぎました。説明に関してはキャンペーンの概要というよりも、kintone×トヨクモ製品の有用性を説明しましたね。事例が豊富で運用イメージを持ちやすい点やサポートが充実している点、各サービスの連携でしか減らすことができないノンコア業務の存在を丁寧に説明しました。

あとは行政という職務上、セキュリティについてはかなり重視されるので、そこも重点的に説明をしました。kintoneはISMAPに登録されているので、セキュリティレベルが高いことが客観的にわかります。キャンペーン参加の少し前に、総務省が打ち出している自治体向けセキュリティのガイドラインが改定されていたので、その内容を踏まえて担当部局に庁内のセキュリティポリシーの見直しを依頼し、ガイドラインが定めるセキュリティ要件を満たすことを説明しました。

kintone×トヨクモ製品の有用性やセキュリティを伝えた結果、キャンペーンの成果を加味して有償利用を改めて検討するという前提で、キャンペーン申し込みを承認いただけました。

小さな成功体験が波及していくことを上長に説明

【旭川市役所が使っているトヨクモ製品】

  • PrintCreator:kintoneの情報を活用して任意の形式で出力できる帳票サービス
  • FormBridge:kintoneアカウントがない人も登録できるWebフォームサービス
  • kViewer:kintoneの情報をアカウントがない人にも情報共有できるサービス
【旭川市役所のトヨクモ製品活用事例】

  • PrintCreator:市民や関係機関がフォームorビューから様式(書類)を自主的に作成・ダウンロード
  • FormBridge:事後処理が複雑(リスト化やステータス管理が必要)なオンライン申請の受付
  • kViewer:関係機関にkintone内の情報を限定開示し、連携のFormBridgeからオンライン申請を受付

キャンペーンの期間満了を迎え、kintone×トヨクモ製品の正式導入に進んだ旭川市役所。大きな不安の声や反対の声が挙がることなく正式導入へと進みました。その要因について、水沢さんは以下のように語ります。

キャンペーン期間内の大きな成果物として、就学相談のアプリがすでに出来上がっていました。実運用にまでは至っていませんでしたが、その直前の段階までは進めていたんです。就学相談アプリは多くの申請や帳票出力がオンラインで完了できるよう設計されていました。

また、就学相談アプリを実装すると、対象業務の約4割程度の作業時間が削減できることはすでに証明できていたんです。kintone×トヨクモ製品を駆使することで、旭川市が目指す、サービスの向上と業務の効率化の両立を実現できたというのが、本導入に至った最も大きな要因だと考えています。

さらに、キャンペーン期間中は就学相談アプリだけでなく、いくつかの部署で職員が独自にアプリ開発にチャレンジしていました。1つ業務改善に成功すると「もしかしたらこの業務も解決できるかも」と意欲を出し、周りの職員や他部署の職員にも良い影響を与えていたんです。kintone×トヨクモ製品を導入すれば、この「小さな成功体験」が波及していくことも、上司にはお伝えしました。

kintone×トヨクモ製品は業務改善とサービスの向上だけでなく、組織の風土にもポジティブな影響を与えることを説明し、本格導入に向け承認を得た水沢さん。しかし、そこに至るまでには、少々苦労した部分もあるそうです。

kintoneやトヨクモ製品が一体どんなツールで、何ができるのかについて上司に説明するのには、少し苦労しました。アプリの構成図を見せて説明してもよいのですが、普段からこうしたツールを使っている人でないと理解が難しいという部分がありまして。業務改善ツールにあまり知識がない人でもイメージしやすいよう、「現場職員の手入力や確認作業がどんどん減るんですよ」とシンプルに説明をしました。

導入後は丁寧な伴走で現場をフォロー

既に導入していたフォーム作成ツールと、kintone×トヨクモ製品の仕様が違ったことにより、浸透に時間がかかったと語る水沢さん。現場で起きていた戸惑いに対し、どのように対処していたのでしょうか。

とにかくkintone×トヨクモ製品を触ってもらうことが大切だと思っていました。マニュアルを作成したり、研修会を開催したりもしたのですが、どうしてもそれだけでは自然と浸透はしないんです。自分で触ってみて、分からないところを一緒に解決していく「伴走スタイル」で社内浸透を図りました。

具体的には、まず対象の部署が実現したい業務改善をヒアリングして、その裏側にある悩みや苦労をひもとき、実現したいこととそのためのアプリ構成を一緒に考えました。そこから「こういう順番でアプリを作ってみてください」と指示を出し、できなかったところをフォローするような感じです。1回あたりのフォローに2時間ほど費やすことも多いし、1案件で複数回のフォローが必要なこともたくさんあります。しかし、ある程度自分で触ってみてから話を聞いた方が、絶対に覚えは早いと思うんです。個人的には自転車の乗り方を覚える時と同じで、体験をしながら覚えることが大事だと思っています。

1人ひとりに寄り添う丁寧な伴走により、社内浸透に成功した水沢さん。kintone×トヨクモ製品の導入は、職員から大きな反響があったそうです。
かなりいろんな業務でkintone×トヨクモ製品は使っていますね。就学相談アプリとはまた別の試用段階のアプリを庁内で配布した際、「こんなことができるなんて知らなかった!」とポジティブな反響がありました。また、そういった成果物を見せることで「これができるなら自分の業務でも使えそうだな」という声や、「あの部署だったらこんなことができるんじゃない?」と、前向きなアイディアが寄せられて。職員自身の意識改革につながったと実感しています。導入して本当によかったと思った瞬間でしたね。

さらに、kintone×トヨクモ製品を使うことで、市民サービスも充実しています。

kintone×トヨクモ製品を導入したことで、子育て支援に関する申請のいくつかをオンライン化することに成功しました。小さな子どもを連れての外出は、精神面でも体力面でも負担になりますので、子育て世帯の方々の力になれたことをすごく嬉しく思います。

ただ、すべての申請や手続きをオンライン化できたわけではありません。市役所には「この手続きもオンラインしてほしい」と、ご要望を受けることもあるんですよ。せっかくオンライン化するための基盤があるので、そういった市民の要望には急いで応え、市民と職員の双方にとって負担を減らせればベストですね。

kintone×トヨクモ製品を駆使し「日本一のデジタル行政」を目指す

2021年より就任した今津市長を中心に、「日本一のデジタル行政」を目指す旭川市。目標の実現のためには「手元の改善を積み重ねることが重要」だと水沢さんは考えています。

kintone×トヨクモ製品の導入から約1年。手元の改善の積み重ねが職員の意識改革につながったと感じる場面があったと、水沢さんは話します。

1つアプリを作った職員は、その後もどんどんアプリを作っていきますね。自主的に行動できるだけでなく、生き生きと取り組んでくれるんです。その証拠に、導入当初は2つの課だけがアプリを完成させていましたが、今では15の課でアプリを完成させて使っています。アプリを作れる職員の数は、キャンペーン初期と比べて10倍ほどの数になっているんですよ。今はまだ意欲的にアプリを作っているのは、担当者が中心ではあるのですが、それにしてもすごい勢いで職員の意識と行動が変わるのを日々感じていますね。

手元の改善を着実に積み重ね、全庁的業務改善と職員の意識改革に成功した旭川市役所。今後の展望について、水沢さんに尋ねました。

【旭川市役所が掲げる今後の展望】

  • 別システムとの連携も含めた粗大ごみ収集業務全体の改善
  • サービスと業務効率の向上のためkMailerを導入
  • 庁内全体の意識改革
直近の展望としては、大きく分けて3つを考えています。

1点目はkintoneアプリ化を契機として別システムとの連携による大きな改善へのチャレンジです。その一例は、粗大ごみ収集業務全体のDXです。旭川市では雪や街の広さにより、ごみ処理全体に年間15億円規模のコストがかかっています。人口は減少する一方で、収集する街の広さは変わりませんので、何もしなければ収集効率が下がっていってしまうおそれがあります。

すでに、担当部局はkintoneとFormBridgeによりオンラインで粗大ごみなどの戸別収集の申請を受けるアプリをほぼ完成させており、今年度(2024年度)の6月を目途に市民にも公開する予定です。その先には、kintoneに集めたデータを別システムに渡し、収集車両の自動配車と車ごとの最適な収集ルート作成、運転手に対するルートナビゲーション、収集現場のペーパーレス化などのチャレンジに向けた準備を進めています。kintone導入は、このような動きのきっかけにもなっています。

2点目はサービスと業務効率の更なる向上を目的としたkMailerの導入です。

市役所にはいろんな仕事があるので、事業や相談の内容に応じ、こちらから市民に情報を送りたい場面があります。例えば、イベント参加や移住を考えている方などに対して、旭川市をPRしたい場面などです。こうした時に、皆さんそれぞれの興味がある内容に沿った情報を素早く届けることができれば、サービスの向上につながります。そこで、kMailerを導入してよりスピーディーで満足度の高い情報送信をしていきたいです。

3点目は少し大きな話になりますが、庁内全体の意識改革です。

基本的に行政というのは、守らなければならないものが非常に多いため、新しいことにチャレンジするときには慎重にならざるを得ない組織風土です。しかし、長い目で見れば、こういう環境にある行政だからこそ、自主的に考えてチャレンジできる職員が育ち、少しずつでも変えることに積極的な組織風土を作っていく必要があります。

kintone×トヨクモ製品を活用すれば、課題に向き合い改善するための複数の選択肢が手に入ります。そうして小さな成功体験を積み重ねることが、大きな意思決定をする際の感覚を掴むことにもつながっていくと思うんです。主体的に業務課題を考えて、できることから行動する職員を1人でも多く増やしていくことが、遠回りなようでも市長のいう「日本一のデジタル行政」につながっていくのだと思っています。

kintone×トヨクモ製品の導入は組織文化を変えるきっかけに

今回の取材では、kintone×トヨクモ製品を業務改善ツールとしてだけでなく、組織改革の重要な要素と考えられている水沢さんの熱意が印象的でした。そんな水沢さんに、kintone×トヨクモ製品を検討している方に向けて、メッセージをいただきました。
自治体の職員はあまり転職せず、雇用期間が長期になる職員が多いのではと思います。それゆえか、どうしても職員の考えが似る傾向にあり、「業務改善がなかなか進まない」と悩む自治体も多いのではないかと思います。一方で、近年の人口減少や少子高齢化、公共施設の老朽化といった自治体をとりまく社会情勢を考慮すると、現行の業務のやり方を続けていけば、将来のどこかでサービスや組織を維持できなくなってしまうのではないかと感じていると思います。
私もいつも考えています。こうした状況だからこそ後回しにせず、将来を見据えた業務改善や組織改革を今から始めることが重要だとお伝えしたいですね。そして、そういった意味では、できることから始められて職員の意識によい影響を与えるノーコードツールの導入はとてもよいと思います。組織風土づくりこそ、将来に向けて今すぐ取り組むべきであり、その手段として選択したこれらのツールは期待どおりの効果を発揮してくれました。
自治体の職員は、同じ組織で長く働く傾向にあると思いますが、それは組織内の業務への理解が深いということです。これは立派な武器の1つであり、ここに自分の業務の課題を改めて考え直す意志、そして実現したいことを簡単に実現できるノーコードツールが組み合わされば、業務改善に向かう要素が揃います。なかでもkintone×トヨクモ製品は拡張性が高く、業務に応じたオーダーメイドのアプリ開発が可能です。事例も豊富で、分からないことに直面しても自分で調べられます。これからDXに取り組む自治体には、ぜひおすすめしたい選択肢ですね。

kintone×トヨクモ連携ツールで業務改善に成功した活用事例は、トヨクモkintoneフェスで一挙公開します。

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トヨクモkintoneフェスでは、トヨクモ製品の具体的な活用事例をバックオフィス、現場マネージャーなどといった業種・職種別に幅広く紹介。加えて、kintoneやトヨクモ製品のユーザーとの交流を通して、業務で直面している悩みやその解決策を共有することもできます。トヨクモ製品の活用法やコミュニティへの参加に興味のある方はぜひご参加ください。

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