【横浜市医師会】「どちらでも良い」が業務改善を止める──実務者の意識と管理職の覚悟
目次
トヨクモkintoneフェス2026「ライトニングトーク」登壇の様子をレポート!
同じツールを導入したはずなのに、うまくいく組織といかない組織があります。その差は、機能の使いこなしよりも手前にあるのかもしれません。
横浜市医師会の斎藤健さんが挙げたのは、ツールを使う実務者の意識と、それを支える管理職の覚悟でした。そして管理職がやってはいけないこととして挙げたのが、「どちらでも良いですよ」という一言。
この記事は、2026年7月に開催した「トヨクモ kintone フェス 2026」のセッション【ライトニングトーク】での登壇レポートです。
今回は「業務改善に必要なのはDXツールだけではない ~実務者の意識と管理職の覚悟~」でご登壇いただきました!
登壇者情報|斎藤健さん(横浜市医師会)
非IT部門の総合職として2000年に横浜市医師会へ入局。2020年から管理職を務め、2021年にkintoneを導入。2022年からは、実際に業務を担当する実務者自身がkintoneやトヨクモ製品の設定や改善を行う「市民開発方式」を開始。現在は事務局次長。
私は、市民の医療・健康・福祉を支える医師会の事務局で管理職をしています。
こちらの写真に写っているのは、事務局のメンバーです。若い人たちに支えられて、私も頑張っています。
業務改善が必要になる理由は、どの組織でもだいたい同じ
皆さんの組織でも、起こっていることだと思います。
まず人材不足。人が欲しいけれど、人が集まらない。次に業務の複雑化です。以前より求められることが多様化していて、今までのやり方ではうまくいかない。そうすると当然、属人化が現れます。
そしてペーパーレス。何をするにも大量の紙が発生してしまい、その中から必要なものを取り出すのに時間がかかります。
こういう課題を解決するには、当然DXのためにツールが必要だと思っています。
ノーコードだから、DXは現場から始められる
横浜市医師会でも、kintoneを使っています。
実務者が、一番現場の課題を分かっています。その実務者がノーコードでアプリを作成して、さらに業務に合わせて作り替えることも可能です。
そして、kintoneでの改善効果を大きくするのがトヨクモさんのkintone連携サービス。横浜市医師会では、FormBridge、kViewer、PrintCreatorを活用しています。
サイボウズさんの「チームワークあふれる社会を創る」、トヨクモさんの「すべての人を非効率な仕事から解放する」という両社の企業理念も、本当に素晴らしいと思っています。
ただ今回お話ししたいのは、こうしたDXツールも大事なのですが、それを使う職員がどういうマインドで臨むかということです。私は実務者と管理職の両方を経験してきましたので、両者の視点から必要なことを挙げてみます。
実務者に必要なこと。今のやり方を疑い、完璧を待たない
昔からの慣習で続けている業務の中に、この紙は本当に必要なのか、いろいろな部署で同じデータを二重管理していないか、大量の紙からわざわざExcelに転記していないか──そういう細かい非効率が埋もれています。うまく回っているように見える業務ほど、気づかなくなるものです。ぜひ、今までのやり方を一度疑ってみてください。
そして、完璧を待たないこと。kintoneは、まず作って、まず動かしてみて、そして改善することを何度も繰り返すことで、どんどん良くなるツールです。未完成でもまず動かすということを考えてみてください。
3つ目が、小さい改善を積み重ねるということです。
DXというと大改革を想像するかもしれませんが、よくよく見ると、紙を電子化する、外部からWebフォームで入力して登録してもらう、一元化された情報から必要なものだけをすぐ共有する、集計を自動化する。こういう小さい改善の積み重ねが、大きな改善となってくるのではないでしょうか。
「すべての人を非効率な仕事から解放する」。トヨクモさんの企業理念と同じ意識を持ちながら業務にあたることが、実務者には必要なのだと思っています。
管理職に必要なこと。方向を示し、職員を守る
続いて管理職です。一番大事なのは、職員にどこへ向かうのかをはっきり伝えることだと思っています。
実務者は、今までの先輩がやってきたことを変えることにためらいがちです。だからこそ上司が「業務を変えても良いです」「みんなで使ってください」と、明確に打ち出すことが大事です。
もう一つは、やはり最初から完璧を求めないこと。私は、70パーセントぐらいの出来でもスタートしていいと思っています。まずはチャレンジして、現場の声を聞いて改善していく。そういうやり方がすごく大事だと思います。
そして、挑戦する職員を守るということです。
DXを進めようとすると、必ず現場から不満が出てきます。今までのほうが良かった、なんで分かってくれないの、と。そういうときこそ、上司はその不満を受け止めつつ、挑戦する職員を守ってあげてください。
挑戦する人をここで守ってあげないと、その人はもう挑戦しなくなってしまいます。ここは皆さんもぜひ考えていただければと思います。
うまくいかなかった団体に共通していた、ある一言
ここで、うまくいかなかった事例についてもお話しさせてください。
ある団体が、横浜市医師会のやり方を見てDXツールを導入しました。しかし、業務改善がうまくいかなかったという話をうかがったのです。
いろいろとお話しを聞いたところ、管理職が「どちらでも良いですよ」と言っていたようで、私は原因はこれではないかと思いました。
グループウェアでスケジュールをみんなで共有しましょう、という取り組みだったそうなのですが、管理職が「どちらでも良い」と言えば、当然みんな自分のやりやすい方法を選びます。私は手帳がいいです、私はスマホのカレンダーです、私はGoogleカレンダーにします、と。
結局、職員が同じグループウェアを使うことができず、スケジュールの共有ができなかったということです。
管理職は、明確に方向を打ち出すことが大切とお伝えしました。管理職の皆さんは、職員それぞれの判断に委ねるのではなく、これまでの慣習を変える覚悟を決めていただくことが大事だと思います。
ツール × 人 × 組織で、業務改善は達成できる
業務改善には、kintoneやトヨクモのkintone連携サービスが便利です。AIもあったほうがいいかもしれません。ただ、最後は、それを使う人がいなければいけません。
組織を良くしようとする実務者の気持ちと、それを全力で支えてあげる管理職。これはもう欠かせないと思っています。
それぞれの気持ちや行動が醸成されれば、組織の中に前向きにやっていこうという文化ができてきます。そこまでたどり着いて、はじめて改善は続いていくのだと思っています。
私の発表は以上です。ありがとうございました。
ご登壇ありがとうございました!
業務改善の事例というと、どの製品をどう組み合わせたか、何時間削減できたかに目が向きがちです。しかし斎藤さんが大切だとお話ししたのは、実務者と管理職がどんな意識でDXに向き合うべきかという前提の部分でした。実務者が「今のやり方を疑う」ところから始まり、それを管理職が「守る」で受け止める。この2つがそろって初めて、ツールは効果を発揮するというお話でした。
反発が出たときに上司が盾になる、業務を変えてもいいと明確に示す──管理職という立場から、これほどはっきり語っていただけることは多くないと思います。ドキリとされた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
そしてもう一つ、実務者にも管理職にも共通して「完璧を待たない」「最初から完璧を求めない」が挙げられていた点も見逃せません。70パーセントで走り出していいと上長が言えるかどうかは、業種を問わず現場の動きやすさを左右しそうです。
今回お話しの中でご紹介いただいたFormBridge、kViewer、PrintCreatorは30日間のお試しを何度でもご利用いただけます。
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