近年、企業のDX化に向けた動きが活発化しており、その一環としてkintoneを導入する企業も増えています。
しかし、1ユーザー単位で料金が発生することから、全社員分の導入はまだ難しいとお悩みの企業もいるかと思います。
しかし、だからといってkintoneの導入を諦める必要はありません。
本記事では、不動産業界でのkintoneの活用例、また、トヨクモが提供している連携サービスを紹介いたします。
不動産業が抱える業務上の課題・悩み
不動産業界は、IT・デジタル化の遅れにより、多くの業務上の課題を抱えています。
部署単位で情報管理方法が異なる
他部署からの仕事の引き継ぎや、他部署への異動の際、なかなか必要な情報を見つけられなかったり、部署ごとのデータをまとめて集計する際、管理項目が異なるため、正しく集計が行えなかったりとの声が数多く聞かれます。
部署ごとに情報を別々のフォーマットのエクセルで管理していたり、最初は、同じエクセルを共有して情報の管理を始めたのに、気付いたら部署ごとでエクセルの項目が増減したりといった、部署単位での管理方法の差異が原因で起きてしまいます。
営業活動が属人化している
営業のノウハウが社内で共有されてないことで、一部の営業担当に売上が偏ってしまうことがあります。情報共有のプロセスが整備されていないことや、忙しいスケジュール、日常業務に追われ、共有に割く時間の余裕がないことが原因です。
営業ノウハウを、チームで効果的に用いるためには、どのような顧客にどのような対応をしているかが可視化・共有されている必要があります。
顧客データが蓄積されず対応の進捗管理ができていない
各顧客の進捗が管理できないため、主担当者が不在の時に適切な対応ができないことや、マネージャーが部下の状況の把握にかかるコストが大きくなると、頭を悩ませることもあると思います。
常に不測の事態に備えて、もしもの際に、他メンバーの進捗・情報を確認できるようにしておくことで、顧客に対する業務品質の担保が図れます。
不動産業の業務を効率化させ業務品質を上げる『kintone』
上記のような悩み・課題は、kintoneを導入することで解消できます。
kintoneとは、柔軟性の高い業務アプリを、簡単かつスピーディーに作成することが可能な、サイボウズ株式会社が提供するクラウドサービスです。
ノーコード・ローコードツールのため、プログラミングの知識のない方でも、業務アプリが作成できます。
導入社数は、2023年9月末時点で、31,000社に上り、業種は、製造業や、卸売業、医療から不動産業まで、あらゆる業種で使われています。また、導入規模も、数人規模から、8000人規模の大規模なシステムまで、幅広く対応が可能です。
次に、kintoneを使うメリットやできることを紹介します。
kintone内で顧客情報を一元管理できる
顧客の対応状況をkintone内で記録することで、社内の誰でもその顧客の対応を引き継ぐことができるようになります。各々が個人で管理していた情報が共有化されることにより、営業活動の属人化も防げます。
紙での情報管理が不要となり、スマートフォンからのアクセスも可能なため、いつでもどこでも情報の参照・更新が可能となり業務の効率化にも繋がります。
また、顧客ごとや、項目ごとの柔軟な権限設定も可能で、部署ごとに閲覧できる顧客の情報を制限できます。
物件情報もkintone内で管理できる
取り扱い物件のステータス(入居者募集中・売却済み など)もkintone内で管理できます。更新した情報は、全員の端末上でリアルタイムに反映されます。また、各ステータスや、項目での検索も可能なため、条件にあった物件を瞬時に見つけることが可能です。
既存アプリにないものは自社で作成できる
kintoneには、サンプルアプリが存在し、その中には、不動産業に特化したアプリも存在します。kintoneの契約後、すぐにそれらのアプリを利用することが可能です。
不動産業に関するアプリには、例えば、不動産物件マスタアプリや物件契約管理アプリがあります。
これらのアプリをそのまま利用することや、必要な項目を追加・削除し利用することも可能ですが、他に欲しい機能があれば自社で簡単にアプリを作成できます。効率化したい業務に併せて自社でカスタマイズが簡単にできるのもkintoneの魅力の一つです。
不動産業におけるkintoneの活用事例
不動産業界における実際のkintone活用事例を紹介します。
日々の案件状況をkintoneで管理
A社は、15年ほど別の顧客情報管理システムを用いていましたが、長年の運用内で繰り返されたカスタマイズにより、仕組み・運用の属人化や、データが点在することによる情報の二重管理の課題が浮き彫りとなっていました。
そこで、社内の業務をkintoneで一元管理が行えるように刷新し、二重入力による乗務負荷の軽減や、精度向上が実現されました。また、システム刷新に対して、抵抗感を持つ人は少なからずいますが、既存の業務フローを踏襲しながら、システムの刷新が行え、運用の効率化を伝えながら、現場の理解を得ることができたことも、汎用性の高いkintoneの魅力の一つであると言えます。
kintoneで顧客管理を効率化
B社は、来店した顧客に「来店カード」を紙で記入していただき、その後従業員が、Googleフォームを用いて、データ入力をおこなっていました。
しかし、Googleスプレッドシートに連携されたデータが編集できない点や、検索できない点が問題となっており、Excelで組むことも考えましたが、使い続けているうちに、運用方針が定まらず使い勝手が悪くなることが予想され、そこで、kintoneに白羽の矢がたちました。アプリの作成に取り掛かると、半日ほどでアプリは完成し、インターフェースも現行のGoogleフォームに合わせたことで、スタッフもスムーズにkintoneに移行でき、情報の修正・検索の利便性等、業務改善が行えました。
不動産の施工管理をkintoneで一元管理
C社は、施工現場で各施工段階の状況をデジカメで撮影したものをオフィスに持ち帰り、共有のファイルサーバーで各工程ごとにフォルダ分けし管理していましたが、この記録管理をもっとシンプルにできないかと考えていました。システム化にあたり、iPadを利用した仕組みを検討しており、kintone導入前には、iPadアプリを組み合わせたシステムを試しましたが、iPadへのアプリ配布に苦労した経験があったそうです。
その点、kintoneは、Webアプリケーションのため、アプリの配布が必要ない点や、変更追加があった際も、アプリをダウンロードしなくて使える点も、導入の敷居を下げたようです。結果として、現場の方は、会社に戻ることなくすぐに作業が進められるようになることで、業務の効率化につながり、本社でも、施工した図面がすぐに確認できるため、利便性が上がったとの評価が挙がりました。
kintoneとトヨクモの連携サービスの活用で不動産業をもっと効率化
kintoneは基本的にkintoneライセンスを持つ方しか使えませんが、ユーザー数に応じた料金形態になっており、ライセンスを増やすとランニングコストが増加してしまいます。
そこで、トヨクモの連携サービスを使うと、kintoneライセンスを持たない社員や顧客との情報共有が可能になったり、kintoneレコードの閲覧・編集ができたりします。
最後に、トヨクモの連携サービスを使った具体的な活用例を紹介します。
FormBridgeで「入居者目安箱」を設置
まずは、管理している物件について、入居者からの意見を集めたいといった状況があります。
通常のkintoneだと、情報を入力できるのはライセンスを保有しているユーザーなので、ライセンスを持たない入居者の問い合わせは、メールや電話で受け付け、それを管理会社の担当者がkintoneに入力する必要があり、人的コストがかかってしまいます。
そこで使えるのが、FormBridgeです。FormBridgeは、kintoneのライセンスを持たない人が、値を入力し、登録することで、kintoneのアプリに情報を追加できるWebフォームです。そのため、管理会社の担当者は、自動で連携される情報を確認するだけで、手作業での入力業務がなくなります。
また、FormBridgeには、自動返信メールや、回答通知メールの機能もあるため、管理会社の担当者は、意見の入力があったことを、メールで検知でき、確認漏れを防ぐこともできます。
PrintCreatorで見積書をカンタン出力
見積管理のアプリを作成し、データをkintoneで管理した際、見積書を発行する業務が発生するかと思います。
PrintCreatorは、kintone内の情報を引用して帳票出力ができるサービスです。帳帳票の雛形となるPDFを用意すれば、自社フォーマットで作成された見積書を、顧客に送付できます。
また、kMaierも利用することで、見積書を発行した際に、自動で顧客に見積書をメール送信することも可能です。
kViewer×FormBridgeで物件メンテナンス管理
不動産会社が管理している物件のメンテナンスは、外部に依頼していることも多いでしょう。しかし、メンテナンスの際のメンテナンス情報を更新するためだけに、依頼先の担当者にkintoneライセンスを発行するのはあまり現実的ではありません。
代わりに自社の社員が入力する場合でも、人的コストがかかってしまいます。そのような際に使えるのが、kViewerとFormBridgeの組み合わせです。
kViewerは、kintoneの情報をアカウントを持ってない人でも参照できるサービスです。kViewerとFormBridgeを連携すれば、kintoneの情報をアカウントを持ってない人でも情報の更新ができるようになります。
物件のメンテナンス巡回担当者は、kViewerを用いて、物件の状況を確認し、メンテナンスが完了していたら、FormBridgeを用いて、その結果をkintoneに反映できます。
kintone×トヨクモで不動産業界の業務改善を
不動産業界は、今なお、紙の文化が根強く残っています。今回紹介した業務以外でも、さまざまな業務でkintoneやトヨクモ製品の活用が可能です。
kintone、トヨクモ製品ともに30日の無料お試しがあるので、少しでも業務を効率化したいと考えている方は、まずはお試し期間で使い勝手を試してみてください。