保険業界では、経営層からDX推進の方針が示されるものの、具体的に何から始めればよいのか戸惑う場面が少なくありません。
人口減少やグローバル化などを背景に、DX推進の必要性が一層高まっていますが、長年続いてきた対面営業中心のビジネスモデルや、保険商品特有の複雑さから、具体的な取り組み方にお悩みの方も多いのではないでしょうか。
特に、既存システムの改修や新規システムの導入には多額の投資が必要となり、どこから手をつければよいのか、経営判断も含めて戸惑う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、保険業界におけるDXの取り組み方や具体的な事例、推進時のポイントを紹介します。
保険業界における2つの課題
保険業界が抱える2つの課題を解説します。これらの課題を解決するためにも保険DXが必要です。まずは保険業界の課題を把握しましょう。
新しい顧客ニーズへの対応
インターネットやSNSの普及によって、生活スタイルが変化し、顧客のニーズが多様化しています。
たとえば、従来保険の営業は保険外交員による営業だけでした。現在は、若者や忙しい人に向けて、より簡単に契約が完結できるようインターネットでの申し込みも可能になっています。
また、少子高齢化が進み、保険加入者の年齢層も上がることで、長生きや介護に備えた保険のニーズが高まることが想定されます。
より顧客にマッチしたサービス・商品を提供するためには、DXにより顧客のニーズを正しく収集することが重要です。
激化する市場競争
異業種からの保険業界への参入が積極的に行われていることで、市場競争が激化しています。
銀行や郵便局でも保険商品を販売できるようになったことで、保険代理店の需要が低下しているのが現状です。
市場が激化しているにもかかわらず、人口減少により契約者は減少しています。DXを活用し、いかに顧客にアプローチしていくかが重要です。
保険業界で実践するDXの例2選
保険業界で実践しているDXの施策を紹介します。自社の課題を解決に活用できるか検討してみましょう。
サービス申し込みのデジタル化
サービス申し込みのデジタル化を進めることで、インターネット環境さえあれば、いつでもどこからでもサービスの申し込みが可能になり、利便性が高まります。
これまでのように、実店舗に行って申し込みの手続きをする手間がかかりません。申し込み書類や本人確認書類などもデータ化できるため、紙で管理していた時のように紛失したり、持ち出しによる情報の流出といった心配も軽減されます。
また、デジタル化することで蓄積されたデータを活用し、顧客のニーズや行動を分析可能です。よりニーズに合ったサービスを生み出すきっかけにもなります。
査定審査の自動化
保険査定審査にAIを活用することで、今までのリスク分析や保険金の算出、保険加入者の審査など、めんどうな作業を効率化できます。
今まで担当者が請け負っていた査定審査が不要になり、人手不足の対策としても有効的です。さらに、AIによる査定審査では蓄積されたデータを活用するため、担当者によるばらつきもなくなり、精度の高い審査が実現できます。
査定審査の自動化によって業務時間の短縮が可能です。その分、新しいサービスの開発や顧客対応など、他の業務に時間を使えるようになり、顧客満足度の向上が期待できます。
保険業界でのDX取り組み事例2選
保険業界でDXに取り組んでいる事例を2つ紹介します。
東京海上日動火災保険株式会社
参照元:東京海上日動のドライブレコーダー付き自動車保険「ドライブエージェント パーソナル」|東京海上日動火災保険株式会社
東京海上日動火災保険株式会社は、人とデジタルの利点をかけ合わせたDXを進め、業務プロセスを改善しています。
たとえば、交通事故発生時には混乱してしまい上手く電話で状況を伝えるのは困難です。東京海上日動火災保険株式会社は事故発生時にドライブレコーダーが自動で受付センターに連絡し、事故映像も合わせて送信できる仕組みを整えました。またスマホから1タップで担当者との電話切替ができるため直接やり取りができ、不安を解消します。
上記のように、顧客との接点にデジタルを活用し、その後は人にしかできない対応を行うことで、サービス対応の効率化を実現しています。
大同生命保険株式会社
大同生命保険株式会社は、DXを活用して提供価値の拡大と進化を目指しています。
医療ビックデータを活用して、保険商品の開発や保険引受基準の見直しに取り組んでいます。
また、スマートフォンやパソコンから保険の手続きをできるようにするだけでなく、医師の診察をオンラインで受ける「リモート診査」をDXで実現しました。大同生命保険株式会社は保険手続きのすべてを非対面化すべくDXに取り組んでいます。
保険DXを進める上での2つの課題
保険DXは業務を効率化し、顧客満足度を高めるためにも欠かせない施策です。しかし、保険DXを進める上で妨げとなっている課題があります。
以下より保険DXを進める上での課題を2つ解説します。
デジタルに慣れていない顧客・企業への教育
保険DXをする上での課題は、デジタルに慣れていない顧客や企業への教育です。
デジタル化に抵抗がある人や使い慣れていない人は、操作が難しく感じてしまう可能性があります。
顧客が操作に迷った際には、電話やチャット、オンラインで相談ができるようサポート体制を整えておきましょう。
企業においてはマニュアルを準備したり、IT研修を実施するなどの対策が必要です。
データの収集・活用
保険DXを進める上での課題として、データの収集と活用が不十分な点があげられます。
保険業界は多種多様な保険を取り扱い、顧客の年齢や職業、健康状態など豊富な情報を保持しているにもかかわらず、データが上手く活用されていない場合があります。
また、そもそも必要なデータを収集できていない場合もあります。正しくデータを収集・活用できなければ、新しいサービス・商品の開発や改善ができず、他社との競争に負けてしまいかねません。
データ収集と活用の課題を解決するには、適切なデータ分析ができる人材の育成や、データ活用をサポートするツールの導入が必要となります。
保険DXに役立つ業務改善ツール3選
保険DXに役立つ業務改善ツールを3つ紹介します。それぞれのツールの強みをピックアップして解説します。
- Salesforce
- Pleasanter
- kintone
Salesforce
参照:Salesforce|株式会社セールスフォース・ジャパン
Salesforceとは、クラウドの顧客関係管理ソフトです。見込み顧客との接点をつくり、契約成立までのプロセスを効率化できます。
Salesforceの強みは、顧客情報の管理やマーケティング、Eコマースなどの幅広い業種に対応できるところです。
さらに、企業DXでよく使われているツールの機能が備わっています。多くの企業に利用されており、数多くのユーザーからの要望をもとに、サービスがアップデートされています。
Salesforceと相性が良い企業は以下の通りです。
- 顧客データを大量に抱えている
- データの分析や処理ができるエンジニアがいる
- すでに別のCRM・SFAツールを導入している
- 社内でデータ一元化を進めている
これらに当てはまる企業は、Salesforceの導入を検討してみてください。
Pleasanter
Pleasanterとは、ノーコード・ローコード両方の機能を備えている、業務アプリ作成ツールです。
多くの企業での導入実績があり、90社以上のビジネスパートナーによるサポートが受けられるため、DXに不慣れな企業でも安心して導入できます。
Pleasanterは、クラウドでもオンプレミスでも導入が可能です。ソースコードを公開しているため、ユーザーライセンスが無料で使用できます。
利用人数の制限がなく、全機能で追加料金がかからないこともメリットです。
kintone
kintoneとは、業務の効率化やシステム化ができるアプリをつくれるノーコードツールです。
プログラミングやデジタルの知識がなくてもアプリが作れるため、不慣れな人でも導入しやすいツールです。
見積や商談を顧客情報に紐付けて管理でき、データが散在するのを防ぎます。メンバー工数や売上のリアルタイムなデータを、ワンクリックで可視化できるのもメリットです。
今まで時間のかかっていた転記作業がなくなり、時間短縮と業務効率を叶えられます。
kintoneをより便利に使うならToyokumo kintoneApp
kintoneをより便利に使うためにおすすめしたいのが、トヨクモ株式会社が提供するkintone連携サービス「Toyokumo kintoneApp」です。
kintoneの基本機能では実現が難しいことも、トヨクモの連携サービスであればさらに便利に活用することができます。
Toyokumo kintoneAppでは、以下6つのサービスが提供されています。
FormBridge | kintoneへデータが自動で保存されていくWebフォームを作成できるサービス |
PrintCreator | kintoneアプリのデータをPDFで出力できるサービス |
kViewer | kintoneライセンスがない人に、kintoneアプリのデータを共有できるサービス |
kMailer | kintoneアプリのデータを引用してメール送信できるサービス |
DataCollect | 複数のkintoneアプリに登録されたデータを集計できるサービス |
kBackup | kintoneアプリに登録されたデータを安全にバックアップするサービス |
ここからは、Toyokumo kintoneAppの各サービスについて紹介します。
FormBridge
FormBridgeは、kintoneアカウントがない人でもkintoneに直接データを保存できるWebフォーム作成サービスです。
kintoneの基本機能における「ライセンスを持たないユーザーは情報を登録できない」という問題を解消できます。
また、FormBridgeで作成したフォームは、kintoneに直接データが保存されるため、転記の必要がなく、業務効率化や入力ミス・漏れの削減ができるのがメリットです。
kViewer
kViewerは、kintone内の情報を手間なく外部に公開できる連携サービスです。kintoneアカウントを持たないユーザーにも簡単にkintone内の情報を公開できます。
kintoneの情報を共有する際にわざわざデータを移し替える手間もなく、グラフなどの数値情報もそのまま外部に公開することが可能です。
公開範囲を設定することもできるので、社外秘の情報が漏洩するリスクを抑えつつ、社外の人に資料やデータを気軽に共有できるようになります。
kMailer
kMailerは、kintone上で管理しているメールアドレス宛に、kintone内のデータを自動引用したメールを自動・手動・予約で送れるサービスです。
kintoneで管理している顧客に向けて一斉送信や、kintoneからのテキスト引用などを行ったり、誰にいつどんなメールを送信したかなどのログを確認することもできます。
普段社内で使っているメールアドレスからメールを送信するため、新たにメールサーバーやメールアドレスを用意する必要はありません。
誰に、いつ、どんなメールを送信したか、受信者がいつ資料をダウンロードしたかなどの情報をログとして確認することもできます。
PrintCreator
PrintCreatorは、kintoneに登録されている社名や金額などの情報を活用して、マウスのみで簡単に帳票が作成できる帳票出力サービスです。
現在使用している見積書や請求書などをPDFファイルでPrintCreatorにアップロードすれば、マウス操作のみで簡単に帳票を作成できます。
kintoneアプリの複数レコードを一括で出力できるので、複数社の請求書や月報を簡単に印刷できるのもメリットです。
DataCollect
DataCollectは、関数を利用した計算や複数アプリ間の収集・計算・加工を可能にし、kintoneが苦手とする予実管理や在庫引き当てを実現できるサービスです。
Excelと同じ感覚で複数のアプリから情報の集計や計算が可能で、スケジュール設定による自動実行やリアルタイム更新などにも対応しています。
事前に設定しておけば、手動で操作することなく情報を自動で収集・計算できるので、情報の集計漏れや更新忘れを防げます。
kBackup
kBackupは、kintoneアプリに登録したデータが消えてしまった際に備えて、kintone内のデータを別環境にバックアップできるサービスです。
kintoneの基本機能では、kintone上のすべてのデータを一括でバックアップすることはできません。kBackupを利用することで、誤って必要なアプリを削除してしまったり、スペースが復旧できなくなったという事態を防げます。
また、大切な顧客情報や添付ファイルのバックアップにも対応しています。
まとめ:Toyokumo kintoneAppでkintoneをより便利に活用しよう
「kintoneで貸出管理を行いたい」「kintoneを活用する幅を増やしたい」とお考えの方は、kintone連携サービス「Toyokumo kintoneApp」の利用がおすすめです。
トヨクモのkintone連携サービスは1万契約を突破し、サイボウズのオフィシャルパートナー評価制度においても全製品で受賞と、実績と使いやすさに定評があります。
トヨクモ連携サービスを導入することで、紙の書類を介さず、直接データの書き込みや管理が行えるため、職員の負担軽減や業務効率改善が図れるでしょう。
FormBridge | kintoneへデータが自動で保存されていくWebフォームを作成できるサービス |
PrintCreator | kintoneアプリのデータをPDFで出力できるサービス |
kViewer | kintoneライセンスがない人に、kintoneアプリのデータを共有できるサービス |
kMailer | kintoneアプリのデータを引用してメール送信できるサービス |
DataCollect | 複数のkintoneアプリに登録されたデータを集計できるサービス |
kBackup | kintoneアプリに登録されたデータを安全にバックアップするサービス |
悩みややりたいことに合わせて最適な機能を追加できるので、kintoneと一緒に使いたい便利なサービスをお探しの場合は、30日間無料お試しからぜひ実際の使用感を体感した上でご検討ください。