デジタルトランスフォーメーション(DX)は、民間企業だけでなく自治体においても重視されています。自治体DXは、行政サービスの向上・維持を目指し、住民の生活をより良いものにするために必要不可欠な取り組みです。
「自治体におけるDX化は具体的にどういうもの?」「自治体がDXするメリットや必要性は?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、自治体DXとはどんなものか、取り組むべきDX施策や先行事例、DX推進に活用できる補助金制度などについて解説します。
以下の事例集では、5自治体でのkintone+Toyokumo kintoneAppの活用例をご紹介しています。
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自治体DXとは
自治体DXとは、デジタル技術を活用して行政サービスの向上や効率化、住民の利便性を高めるための取り組みを指します。
令和4年6月には「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定され、目指すべきデジタル社会のビジョンとして位置づけられました。
DXと言うと企業のイメージがあるかもしれませんが、さまざまな地域の自治体においても推進されています。自治体DXを推進することによって、地域住民だけでなく職員の負担軽減にもつながります。
自治体が取り組むべきDX施策6つ
総務省は2020年12月に「自治体DX推進計画」を取りまとめました。自治体DX推進計画には、自治体が取り組むべき6つの事項が記載されています。
ここでは、6つの事項についてそれぞれ解説していきます。
1. 自治体の情報システムの標準化・共通化
引用元:自治体DX推進計画概要|総務省デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針の概要
自治体が取り組むべきDX施策の1つは、情報システムの標準化です。
2025年度中に基幹系業務のシステムを、国が策定する標準仕様に準拠したシステム「(仮称)Gov-Cloud」へ移行する動きが進められています。
具体的には、以下の手続きをオンライン化・共通化することによって、窓口の待ち時間短縮や負担軽減など、住民と職員の双方にメリットがあります。
- 住民基本台帳
- 選挙人名簿管理
- 固定資産税
- 個人住民税
- 法人住民税
- 軽自動車税
- 国民健康保険
- 国民年金
- 障害者福祉
- 後期高齢者医療
- 介護保険
- 児童手当
- 生活保護
- 健康管理
- 就学
- 児童扶養手当
- 子ども・子育て支援
2. マイナンバーカードの普及促進
マイナンバーカードは、住民の個人情報管理の一元化や、書類発行時の本人確認書類として重要な役割を果たします。
行政サービスを受ける際の手続きをマイナンバーで実施できるようになれば、役所に行かずに書類を発行できるなど、行政サービス改善や自動化に役立つでしょう。
政府からは、個人番号カード交付事務費補助金や、出張申請受付等による申請促進や臨時交付窓口等の交付交代のさらなる充実に対する支援が行われています。
3. 自治体の行政手続のオンライン化
オンラインで行政手続きができるようになれば、住民や職員の負担軽減につながります。
主に、マイナンバーカードを用いて申請を行うことが予想される以下の手続きについて、マイナポータルからオンライン手続きを可能にすることを目指しています。
※31手続き:子育て(15手続)、介護(11手続)、被災者支援(羅災証明書)及び自動車保有(4手続)の計31手続
ただし、自治体で行政手続きのオンライン化に取り組む場合は、業務内容やプロセスを根本的に見直す必要があります。
4. 自治体の AI・RPA の利用推進
自治体の情報システムの標準化や、行政手続きのオンライン化において業務を見直すには、日々の定型業務を自動化する必要があります。
RPAとは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセスオートメーション)」の略語で、作業を自動化できるソフトウェアロボットのことです。
AIやRPAなどのデジタル技術を活用することで、現場の負担軽減や生産性向上につながり、持続可能な行政サービスを提供し続けることができます。
5. テレワークの推進
地方公務員や関係者が、自宅で自治体業務を遂行できるテレワーク環境を整備することも大切です。テレワークが進むことで、職員の多様なライフステージの変化に対応できるようになり、生産性向上につながります。
オンラインで行政サービスを提供できるようになれば、行政サービスの質向上や非常時の行政機能の維持が実現できるでしょう。
6. セキュリティ対策の徹底
行政のセキュリティ対策に取り組むことも重要視されています。不十分な対策では、住民や職員の個人情報が漏えいする恐れがあるためです。
DXによってデジタル化が進むにつれ、サイバー攻撃などの脅威は高まるため、システム改善と同時並行で進めるべき取り組みと言えます。
自治体DXの事例3選
ここからは、自治体DXの事例を3つ紹介します。
1. 三島市役所
静岡県三島市の教育委員会では、業務アプリ構築サービス「kintone」とトヨクモ製品の「FormBridge」「kViewer」を導入し、763時間もの作業時間削減とペーパーレス化を実現しました。
kintone | ノーコードで業務のシステム化や効率化を実現するアプリを構築できるサービス |
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FormBridge | kintoneにデータが自動で保存されるWebフォームを作成できるツール |
kViewer | kintone内にある情報やデータを外部公開出来るサービス |
教育委員会や学校間の業務に活用し、保護者と学校の両者が負担に感じていた手書き書類をオンライン化することで、施設管理の質向上にもつながっています。
オンライン上の書類提出は初めての試みとなり、紙で提出したい人のために用紙も準備していましたが、紙を持って帰った保護者はほとんどいなかったそうです。
今後もkintoneやFormBridge、kViewerをそれぞれの学校の現場が自分たちの業務の改善に活用する風土にしていきたいと考えているとのことです。
2. 尼崎市役所
尼崎市役所では、職員約3,000人の健康診断予約システムを1日で構築し、庁内のDX化を展開しています。kintoneとトヨクモ製品の「FormBridge」「kViewer」「kMailer」「DataCollect」を組み合わせたシステムを構築。
kMailer | kintoneに連携するメール送信システム |
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DataCollect | kintone内の複数アプリに散在している情報を管理・確認しやすいように、複数アプリ間で情報の収集・計算・加工ができるサービス |
具体的には、Toyokumo kintoneApp認証を活用して対象者のみが予約ページにログインできるようになっており、kViewerのカレンダービューで希望日時を表示します。
予約ボタンをクリックすると、FormBrigeの予約画面に遷移し、自動返信で内容確認が行われます。さらに、kMailerでリマインドメールが自動送信される運用も加えました。
そして、希望した日時の予約枠に対する残数をDataCollectで自動集計するという仕組みをkintoneとトヨクモ製品で実現しています。
3. 兵庫県庁
兵庫県庁では、kintoneとトヨクモ製品の「FormBridge」「kViewer」「kMailer」「PrintCreator」「kBackup」を導入してアナログ手続きをオンライン化し、業務効率を大きく改善することに成功しています。
PrintCreator | kintoneに登録されている社名や金額などの情報を活用してマウスのみで簡単に帳票が作成できるサービス |
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kBackup | kintoneアプリに登録したデータが消えてしまった際に備えて、データ保全をするためのサービス |
kintoneで健康観察用のアプリを作成し、FormBridgeで健康観察の報告をしてもらうことで、自動で情報が入るようになったため、電話業務が不要に。
他にもさまざまな業務に対応するため、トヨクモ製品の「kMailer」「PrintCreator」「kBackup」などを導入し、業務改善や生産性向上につながっています。
こうした取り組みが広がる中、2022年に庁内に業務でkintoneを使いたいかどうか聞いたところ、71もの業務でkintoneを活用したいと手が挙がったようです。
自治体DXの推進に活用できる補助金制度
自治体DXを推進・導入する自治体は、以下の補助金を利用することができます。
- IT導入補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ここからは、それぞれの補助金制度を2つ紹介します。
IT導入補助金
IT導入補助金は、ITツールを導入するための経費の一部を補助する補助金制度です。経費の一部を補助することで、業務効率化や売上アップをサポートすることを目的としています。
対象となるのは中小企業や小規模事業者で、補助率や上限・下限金額などが区分によって分かれています。また、商工会などの支援機関に相談することも可能です。
関連リンク(外部サイト)
IT導入補助金概要PDF(令和5年12月時点版)
IT導入補助金2024公募スケジュール
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業が行う、革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの省力化に必要な設備投資等を支援する補助金制度です。
一般型、グローバル展開型、ビジネスモデル構築型と区分が分かれており、従業員規模によって補助金上限額は異なります。
関連リンク(外部サイト)
ものづくり補助金総合サイト
ものづくり補助金公募スケジュール
kintoneとkintone連携サービスを用いた自治体での活用事例
「私とトヨクモとの出会い」のシリーズは、トヨクモ製品を活用している企業の「製品を知ったきっかけ」や「導入の決め手」、「社内に普及させるための取り組み」を紹介する企画です。 今回は、旭川市役所 行財政改革推進部 行政改革課の水沢悠さんに[…]
トヨクモが主催する「トヨクモ kintone フェス 2023」は、デジタル化して効率的に業務改善する珠玉のアイデアを学び・広める、2日間のオンラインイベントです。2023年のテーマは、「やれるっ、できるっ、キントーン!」で、よりトヨクモ製[…]
まとめ
少子高齢化が進み、労働人口の減少が避けられないこれからの日本において、自治体DXは必要不可欠なものです。補助金制度や民間のサポートを活用しつつ、それぞれの自治体に合ったDX推進に取り組んでいきましょう。
自治体DXを推進・導入する際は、業務改善サービス「kintone」およびトヨクモのkintone連携サービス「Toyokumo kintoneApp」を活用するのがおすすめです。
トヨクモのkintone連携サービスは1万契約を突破し、サイボウズのオフィシャルパートナー評価制度においても全製品で受賞と、実績と使いやすさに定評があります。
■kintone連携サービスの主な機能
FormBridge | kintoneライセンスがなくてもアプリにデータを登録できる |
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PrintCreator | kintoneアプリのデータをPDFで出力できる |
kViewer | kintoneライセンスがない人に、kintoneアプリのデータを共有できる |
kMailer | kintoneアプリのデータを引用してメール送信できる |
DataCollect | 複数のkintoneアプリに登録されたデータを集計できる |
kBackup | kintoneアプリに登録されたデータを安全にバックアップする |
kintone連携サービスは何度でも利用可能な30日間無料お試しも用意しているので、「自社の業務で試したい」「実際の操作感を知りたい」とお考えの方は、ぜひお問合せください。