ユーザー会での事例登壇の様子をレポート!
この記事はユーザー会での塩野義製薬株式会社 データサイエンス部 内藤さんの事例登壇の様子をお届けするレポート記事です。
今回は「データ収集・管理を効率化した話」でご登壇いただきました!
今回のユーザー会の詳細は以下の記事をご覧ください。
セントラルデータマネジメント構想の概要
塩野義製薬株式会社は、1878年創業、グループ全体で4,900名以上の従業員が所属している製薬企業です。
近年は医薬品だけでなく、ヘルスケアサービスとしての価値提供をしていこうということで、HaaS(Healthcare as a Service)企業としての価値を高めていく方向性で動いています。
そして、従来のSHIONOGIからHaaS企業へのトランスフォーメーションの実現に向けて、データドリブンが変革を起こす1つの切り口になると考えています。
データドリブンとは…売上データやマーケティングデータなど、さまざまなデータを収集・分析し、その結果に基づいて企業の戦略や意思決定を行うこと
しかしながら当社では、営業/研究開発/製造など、それぞれの部門で独立している構図が強く、データが部門や部署内に閉じてしまうような状況でした。
この体制は、「データを上手く活用してトランスフォーメーションを実現する」という視点で考えるとネックになってきます。
そこで、データサイエンス部では、全社のデータを横断的に使えるようにするセントラルデータマネジメント構想(以下「CDM構想」という。)を掲げました。
CDM構想の下、各部門のデータをセントラルデータハブやデータウェアハウスに集約することで、データを簡単にアクセス・解析できるようにすることを目的として、データ基盤の整備を進めてきました。
最近では、社内データに加えて社外データの整備も行うことで、さらに多様な解析ができる基盤の構築にも力を入れています。
データ収集・管理にkintoneを導入
CDM構想では、各部門のデータがきちんと整えられた状態で、データウェアハウスに貯められていくことが最終的な理想になります。
しかし、各部門が独自の方法でデータを管理しているため、データを一元管理し、横断的に利用できる状態にすることが難しいという課題がありました。
このデータ収集・管理の課題を解決するために、当社ではkintoneを導入しています。
各部門がExcelなどで個別に管理しているデータの一部をkintoneに置き換えることで、データを一元的に管理しやすくし、データウェアハウスに集約する流れを作ろうとしています。
データを貯めておく箱としてkintoneを使いつつ、CDM構想のデータウェアハウスへの導線を同時に確保しているイメージです。
また、kintoneの活用により、透明性・追跡性・確実性が保証された状態でデータ収集と管理が実現できています。これは、解析されることを見越した状態でデータを貯めていきたいという、データエンジニアリングの観点でも嬉しい点になります。
トヨクモ製品を組み込んだデータ基盤の活用サイクル
kintoneを導入してデータの導線を確保しているとご説明しましたが、当社ではCDM構想における社内データ基盤の活用サイクルにおいて、kintoneに加えてトヨクモ製品を組み込んでいます。kintoneアカウントは全社的に配るのではなくデータを管理できる人や集める人に付与し、入力や閲覧だけの人にはトヨクモ製品を使うという運用体制です。
FormBridgeとkViewerを導入しておりまして、これらの製品を使うとkintoneのアカウントがなくてもデータの入力や閲覧が可能になります。
活用部署を広げていきたいという思いから、ユーザー管理の上限数を5,000にアップグレードし、社内データの収集範囲と活用シーンも広がってきています。
ここからは、社内データ基盤の活用サイクルにおいて、当社がどのようにトヨクモ製品を活用しているのかご紹介します。
FormBridgeを使ったデータ収集
まずは、FormBridgeの活用事例をご紹介します。
全体像としては、CDMからデータを取得し、kintoneにマスタデータとして組み入れて、それを参照しながらFormBridgeを介してデータを入れてもらうという流れです。
データをkintoneに入れて終わりではなく、社内のデータ基盤の中に溜め込んでいくことで、いつでも活用できるように整備しています。
具体的な事例を1つご説明しますと、まずCDMから人事データを取得し、kintoneでマスタデータとなる従業員リストを作成します。
従業員リストのアプリと同期してユーザー管理(Toyokumo kintoneApp認証)でアクセス権を管理することで、データを入れて欲しい人に入れてもらえる体制を整備しています。また、メールアドレスで紐づけて入力者のデータを自動入力することで、データの確実性も高めています。
kintoneにデータが登録されたら、ETLツールなどを使ってデータウェアハウスに使える状態でデータを格納し、いつでも分析・解析ができるように整えるという流れです。
どんなデータをどこで集めるのかは部署によって変わりますが、このデータサイクルを共通して回すという部分はいろいろ応用できると考えています。
今後、さまざまな部署でサイクルを回しながら社内データをデータ基盤に蓄えていき、全社的にデータ基盤の活用を進めていければと思います。
kViewerのユーザー管理で見せる情報を管理
データのアクセス権が気になるという要望は、データの入力時と同様に閲覧時でもあります。そこで当社は、kViewerを利用して必要な人に必要なデータを見せられるように制御をしています。
今回は分かりやすい活用事例として、本部会議の議題管理の事例をご紹介します。
まず、kintoneでアプリを作成し、そのアプリと同期してFormBridgeで「DX推進本部会議エントリー」という入力フォームを作成しています。
同じkintoneアプリからkViewerでエントリー一覧ビューや秘匿案件一覧ビューなど複数のビューを作り、管理者と申請者で見せ方を変えているのがポイントです。
1つのアプリから人によってデータの見せ方を変えられる、複数の見せ方を作れるというのは嬉しい機能ですね。
裏側の制御の部分をご説明しますと、エントリー一覧ビューでは、レコードの絞り込みで「秘匿性を含まない」と条件付けすることで秘匿案件以外を全員に表示しています。
次に秘匿案件のビューでは、管理者と申請者で見せ方を変えているのですが、ポイントとなるのがログインユーザーのメールアドレスです。
ログインユーザーのメールアドレスが、登録されているレコードのメールアドレスと合致するかどうかで見せる情報を制御しておりまして、設定画面は以下のようになっています。
事務局や本部長などのメールアドレスは全部のレコードに共通して入れているので、その人が見にきたときはすべてのレコードが見れるという仕組みです。
一方、申請者の場合は、本人が申請したレコードだけを見せたいので「エントリー者_mail=メールアドレス」とある通り、本人が入力した秘匿案件だけを表示しています。
なお、メールアドレスの情報はフォーム上では見せる必要がないので、データとして保持しつつもFormBridgeの設定で非表示にすることで、入力時に申請者が混乱しないように工夫しています。
以上、kViewerのユーザー管理を使った事例のご紹介でした。
まとめ
現在、社内の取り組みとして、Excelに依存しないkintoneを活用したデータの収集・管理の推進を行っています。
トヨクモ製品の活用でデータの収集範囲を広げたり、それに合わせて懸念されるデータのアクセス権を柔軟に管理したりと、ニーズに合わせた使い方ができています。
総じて、各部署で納得しながらHaaSへのトランスフォーメーションで重要となる社内データの整備を進められていると思っております。本日はありがとうございました。
ご登壇ありがとうございました!
内藤さん、今回はご登壇いただきありがとうございました!
Toyokumo kintoneApp認証(ユーザー認証)も駆使して、確実なデータとして取り扱っていただけている事例として、非常に学びになるお話でした。
また、データを貯めるだけでなく活用するためにどうするか、といったことを全社的に構造から考えられているというのも参考になる方が多いのではないでしょうか。
今回の事例でご活用いただいたトヨクモのFormBridge、kViewerは何度でも使える30日間の無料お試しを実施しております。
気になる方は、ぜひ以下のフォームよりお申し込みください。
https://www.kintoneapp.com/trial