クラウド時代に重要なNPSとは?その意味と測り方、活用方法を紹介

トッティです。なんか、記事書くの久しぶりかもしれません。皆さん、お待たせしました!

さて、今日は3月5日にお客様に対するアンケートを行った実録記事をお届けしたいと思います。標題の通り、NPSというものなんですが、これは「ネットプロモータースコア」の略で、顧客のロイヤリティ、つまり「企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化できる手法だと言われています。今日はそんなNPSのお話です。

NPS(ネットプロモータースコア)とは?

NPSが通常の「お客様満足度調査」と異なるのは「あなたはこの企業(製品/サービス/ブランド)を友人や同僚に薦めたいと思いますか?」という質問形態を取るという点にあります。このNPSは、ベイン・アンド・カンパニーのフレッド・ライクヘルドという人が提唱した調査形式となります。上記の質問は「究極の質問」と呼ばれていて、「高いロイヤリティを持つユーザー」を見つけることができる質問とされています。「究極の質問って大げさちゃう?」って思います?僕は思います。

この質問がその後の購買行動と最も相関高いみたい

参照:NPS®(ネットプロモータースコア)とは? NPSの誕生の背景と概要をご紹介 - NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(音声つき動画)

上記のグラフからも分かるように、「お薦めしたいですか?」はその後の追加購買・他人への推奨といった、自社に取ってポジティブなアクションを取ることが予測できる極めて有効な先行指標なのです。だから、「究極の質問」と、仰々しく呼ばれているのですね。人間の心理って面白いなって思うのが、「継続して購入したいですか?」という直接的な質問よりも有効な数値となるんだから、どんな言葉が人の本当の心をあぶり出すか分からないものですね。

ま、私は心理学者でも経営学者でも無いので、ある程度確立された手法に乗っかるだけで良いと思ってますけど。

クラウド時代のNPSの重要性

さて、話は変わって弊社トヨクモは、提供するサービスが全てクラウドサービスの、言わば「クラウド専業」会社です。弊社のサービスはこれまでのオンプレミスの買い切り業務システムと比較すると安価で初期費用もかからないものとなります。ですので、多くの多くのお客様にご利用いただくことで、ビジネスを拡大してきました。このあたりは年始にリリースも出しました。

重要な数値は「契約数の増加」だけではない??

ただ、実は純粋に増加していくお客様の数だけではなく、一定程度生じてしまう「解約」をどれだけ抑えられるか、も非常に重要な指標となります。

例えばの数値ですが、考えてみてください。3,000件の契約に対して、月間の解約率が5%あったとしたら、毎月150件の解約が生じてしまうわけです。新規で200件の契約を獲得しても差し引きで純増50件となります。この解約率を3%まで下げられたら、解約は90件、純増110件となります。そして解約率1%なら、と計算してみると、この「解約率」がビジネスに非常に大きなインパクトを与えることは想像に難くないでしょう。この解約率の重要性は、買い切りや導入費用をいただくオンプレミスとは明らかに異なってきます。むしろ「細く長く」費用をいただくことによって、初めてビジネスが成り立つ、といっても過言ではありません。

いや、本当に過言じゃないですよ。1ヶ月(6,000円)で解約、なども可能ですが、それでは対応している営業部門、導入後のサポート部門、契約・解約の手続きをする管理部門、それぞれの人件費も捻出できないことは明白ですよね。

今回、NPSの測定をしたのはこの「解約率」と「NPS」は強い(負の)相関があるだろう、という事前の仮説があったからでした。つまり「NPSを上げれば解約率が下がるんでは?」という仮説です。そして、NPSは「機能」「サポート」といった具体的な要素と、また相関があるだろうと考えました。なので、「NPSと相関の強い●●(ex.サポート)」を改善することで、解約率を下げたい、という狙いなわけです。

NPSの計算方法

さてさて、NPSを計算するには、まずお客様に対して冒頭に説明した質問「あなたはこの企業(製品/サービス/ブランド)を友人や同僚に薦めたいと思いますか?」を0〜10の11段階で評価してもらいます。この11段階の評価をもとに、お客様を3つのタイプに分類します。

0〜6:批判者😡

7〜8:中立者😐

9〜10:推奨者😁

上記のように、評価とタイプを区別します。「0〜3くらいまでは分かるけど、6まで批判者!?」と思いません?僕は思いました。まぁ、そんなこたぁ、一回置いときましょう。ただのルール。区切りがどこにあるかはそんなに重要じゃないです。今回こっきりの数値ではなく、数値同士の結びつきや、複数回行った時の推移こそが重要なのでね、今回100点取ることが目的ではないのですよ。分類が終わったら下記を計算します。

推奨者(%) – 批判者(%)=NPS

なので、例えば推奨者が30%、中立者が45%、批判者が25%だとしたら、30-25で、NPSは5、ということになります。「たった5とかサンプルにしてもひどいわ( ゚∀゚)」とか思ったあなた、甘いですよ?

最高評価(全員が推奨者)の100〜最低評価(全員が批判者)の-100まであるんですよ。+の域にスコアされるだけでも結構すごいですからねマジで。

NTTcomさんのこちらの調査を見てください。リンク先を見れば分かりますが、業界トップ企業のNPSでもマイナスは普通です。まあ、国民性と言って良いのか、人間性と言って良いほど普遍的なのかは分かりませんが、0〜10の選択肢だと、「普通」の評価の時5とか6をつい回答しちゃいますもんね。ただ残念ながらその回答だと「批判者」なんですよ、この調査においては。プラスの域にスコアを持ってくるの、めっちゃ大変な気がしません??

アンケートの収集方法

さあ、そろそろ具体的なアンケート収集方法に進みましょうか。アンケート自体は、外部からkintoneにデータ登録のできるフォームブリッジで行いました。ユーザーへのアンケートの案内はkMailerを使ってメールでの案内です。

まずはこんなメールを送る

ご覧のように、帳票出力サービスであるプリントクリエイターについて、NPS測定を行いました。上記のメール内にアンケートへのリンクがあるのですが、これをクリックすると各ユーザー自身の情報が初期値として入っているように設定しました。

会社名、名前、アドレスが初期値としてセット

そしてこの「会社名」「お名前」「メールアドレス」は編集不可とし、誰が回答したか必ず分かるようにしました。高い回答率が必要であれば、この回答者情報を必須にせず、匿名での回答を可能にするなどすると良いかも知れません。

また、ここで究極の質問である「お薦めしたいですか?」だけを聞いても、具体的な改善策を見出しにくいので、サービスに構成する要素をいくつか出し、満足度を回答してもらいます。

機能やサポートなど、キーとなるドライバを探す

で、どんどん回答が集まってくるわけですよ。ものすごく嬉しい回答を例に出すと、下記な感じです。

ご要望も、お褒めのコメントもある。ありがたすぎる。。。

もちろん、プリントクリエイターではなかな満足されないユーザーの方からの回答もありました。それらのお客様からのコメントも全て目を通しています。コメントをいただけることは本当にありがたいことです。

アンケートの収集方法に関しては、これくらいです。画面キャプチャでお気づきの方もいるかも知れませんが、フォームを作成するにあたって少し気を使った部分を紹介します。

フォームにアクセスした時点で回答者の情報が初期値として入力されている

ユーザーの方の手間を極力少なくするため、アクセスした時点のその方の「会社名」「お名前」「メールアドレス」が自動的に初期値として入力されています。回答時間を大幅カットしています!

NPSによってタイプを自動で振り分け、kintoneに登録している

0〜10の間で選択してもらうNPSですが、選択した値によって「推奨者」「中立者」「批判者」がそれぞれkintoneに登録されるように設定しています。これで、管理者が「え〜と、この人は8だから中立者だな」等と、手動でタイプ(キャプチャ内では「属性」)を選択する必要が無くなり、効率化/ミスの排除、ができます。

二回目の回答ができないようにしている

1人が複数回の回答をすると数値が正確でなくなってしまうので、回答できないようにしています。

こんなん出して、二回目を回答をご遠慮いただいた

あと、細かいですが、各要素の満足度への回答時、初期値を0に設定したことなどですかね。初期が5とかだと「評価は普通だからこのまま〜」とスルーされそうなので。必ず動かして考えていただくようにしました。

アンケートは収集した。で、どうするか?

重要なのはその後の改善ですよね。せっかくアンケートを取ったのに、「こんな感じの結果か〜」と眺めているだけではしょうがないので、いただいた声をもとに、サービスを改善する優先順位をつけましょう。kintoneでは関数が使えないのでここからはスプレッドシートにデータをエクスポートしますが、「各要素の満足度平均値」と「NPSと各要素満足度の相関係数」を計算し散布図にプロットしましょう。

真ん中の散布図は「満足度」と「NPSと満足度の相関係数」

この図では横軸を「各要素の満足度」とし、縦軸を「NPSと各要素の満足度との相関係数」としています。上方向に行くほどその要素はNPSとの相関は強くなり、右方向に行くほどその要素は満足度が高い、ということを意味します。例えば、矢印で指している点がプロットされている左上の象限は「NPSとの相関は強く、満足度は低い」要素となりますので、優先的に改善していきたい要素である、ということが言えるわけですね。

ただ、ここで分かるのは「優先して改善すべきは●●という要素」ということだけであり、●●をどの様に改善したら良いかは分かりません。そのために、アンケートフォームには自由記入欄を設けておくことをオススメします。自由記入欄の要望を上手くまとめて、改善の優先順位をつけていく、そんな流れが良いのかと思います。

どうでしょう、少し長い記事になりましたが、NPSのイメージは湧きましたでしょうか。

【追記】実際のフォームの作成方法を公開しました!こちらで公開しています。是非ご覧ください。

是非、うちも試してみよう!となれば嬉しいです。

webフォーム作成のフォームブリッジのトライアルはこちら

ユーザーへのメール配信を行うkMailerのトライアルはこちら

実はフォームへの初期値設定で使っているkViewerのトライアルはこちら

 

最後になりましたが、今回のアンケートにご回答をいただいた全てのお客様には感謝申し上げます。少しでも多くの方に「あの時回答して良かった。要望を書いて良かった」と思っていただけるよう、いただいた回答内容を全て精査し、今後のサービス改善の参考にさせていただきます。今回のアンケートに限らず、今後ともご高配を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

 

それではまた。


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