弁護士や社労士、税理士など、士が末尾につく職業を総称して士業と言います。
士業に就くには難易度の高い国家資格を取得する必要があり、その専門性の高さから代えが効きにくい労働集約型のビジネスとなっています。
顧客の増加に伴い書類管理や情報共有などの業務量も増えるため、電話やメールなどのアナログな管理方法では、近いうちに限界が来るかもしれません。
そこで士業の業務効率化に活躍するのが、サイボウズのビジネスアプリ作成ツール『kintone(キントーン)』です。
当記事では、士業の仕事でkintoneを活用するメリットやkintoneで改善できる士業の業務内容などについて詳しく解説していきます。
士業の仕事をkintoneで改善
kintoneは、サイボウズが提供しているオリジナルのビジネスアプリを作成できるクラウドサービスです。
kintoneを利用することで自社の業務に合わせたアプリを作成し、業務のデジタル化・効率化を実現できます。
士業の業務内容は、書類管理や案件管理、顧客との情報共有など多岐に渡ります。
例えば、税理士であれば、税務書類の作成から確定申告の相談対応、経費についてのコンサル業務などがあり、顧客ごとの情報管理まで徹底しなければいけません。
これだけの業務を電話やメール、紙やExcelなどのアナログな方法で管理しきるのは難しく、顧客が増えれば増えるほど管理業務が負担となります。
そんな時、kintoneを活用すれば情報の管理、検索、共有までをワンストップで実施できるため、業務全体の効率化および生産性の向上に期待が持てます。
士業の業務改善に役立つkintoneの機能
kintoneの機能のうち、特に士業の業務改善に役立つ機能を5つピックアップして解説していきます。
アプリの作成機能
kintoneでは、自社の業務内容や業務フローに合わせてオリジナルの業務用アプリを作成することができます。
同じ顧客管理や書類管理の業務でも会社によって保存する情報やフローも異なってくるかと思いますが、kintoneならアプリごとの項目も自由に設定可能です。
また、アプリを作成した後に業務フローや管理項目が変更になった場合も手元で簡単にアプリの構成を編集できるので、追加必要なども一切かかりません。
過去に「他のITツールを試してみたけどテンプレが自社に合わなかった」といった経験がある方には特におすすめです。
検索機能
kintoneには、データの検索機能が基本機能として搭載されています。
kintone内で管理している顧客情報や案件情報などをキーワードを入力するだけで簡単に探せるので、探し物にかかっていた時間を大幅に削減できます。
なお、kintoneの検索機能では全体検索だけでなく、アプリ内検索などもできるため、範囲を絞って必要な情報だけを見つけ出すことも可能です。
プロセス管理
kintoneのプロセス管理は、複数の担当者で進行する業務をフローに応じて管理できる機能です。
業務フローに応じて担当者を割り振ることで、今誰が何をしているのかひと目で確認できるようになります。
また、担当者が変わらない場合でも「確認中→作成中→提出済み」などステータスを設けて可視化できるため、多くのシーンで活用できる機能となっています。
リマインダー通知
kintoneには、特定の条件を満たした際にメールを送ったり、kintoneに通知を送るリマインド通知の機能が搭載されています。
日時や条件を事前に設定しておくことで自動でリマインド通知を送ることができ、通知時の文面も自由にカスタマイズすることができます。
例えば、面談予定日の1日前にリマインド通知を送り、面談予定日の3日後に違う文面でリマインド通知を送るなど、前後で分けた設定も可能です。
もちろん、リマインド通知は設定した担当者のメールアドレスやkintoneにのみ送られる仕様のため、関係のないメンバーに余計に通知が行く心配もありません。
自動計算機能
kintoneには、アプリ内のデータを活用して数値を算出する自動計算機能がついています。
例えば、会計アプリに「収益」の項目を設けて、「売上+受取利息+雑収入」の金額が自動で入力されるようにするといった使い方が可能です。
フィールドの計算式は、プラスやマイナスなどの四則演算に加えて、IF関数やROUND関数などの
関数を設定することもできます。
kintoneで改善できる士業の業務一覧
kintoneを活用して改善できる士業の業務について解説していきます。
書類管理
同じ士業でも税理士と社労士では仕事内容が異なりますが、いずれの士業の仕事でも共通して言える特徴として扱う書類の多さが挙げられます。
税理士であれば税務関連の書類、社労士であれば届出書・申請書・報告書などを作成・管理する必要があり、繁忙期ともなればその量は膨大です。
そこで、kintoneを利用して書類を一元管理すれば、書類管理にかかる手間や時間を大幅に削減できます。
kintoneアプリには添付ファイルの項目を設けることができ、ExcelやWord、PDFファイルや画像ファイルなど、種類を問わず添付できます。
kintoneの検索機能を使えば必要な書類が簡単に見つかりますし、更新履歴から誰がどの書類にいつ更新したか確認することも可能です。
書類管理の主な課題となる保管場所・保存期間・検索性を同時にクリアできるため、kintoneを活用した書類管理は非常に効率的と言えます。
案件管理
kintoneを利用して、過去・現在の案件をまとめて管理することができます。
案件の詳細を記載し、担当者を設定。見込みの完了時期や進捗状況、さらには単価など、文字情報と数値の情報を同時に管理可能です。
さらに、顧客管理アプリを別に作成して顧客名を一致させれば、関連レコード情報一覧から相互にアクセスできるようになります。
進捗状況別や確度別に絞り込みをかけて表示することもできるので、優先すべき案件を簡単に探し出すこともできます。
顧客との情報共有
kintoneを活用することで、最新の情報を人の手を使わずに顧客と共有できるようになります。
kintoneの基本機能ではkintone内の情報を外部に公開できませんが、ゲストスペースや連携サービスを導入することでリアルタイムの情報共有が実現できます。
電話やメールが来て、情報を探して、回答の連絡を入れてといったフローを丸ごとカットできるため、突発的な連絡業務に追われる心配もありません。
士業に役立つサンプルアプリ
サイボウズは、部署・業種別に活用できる100種類以上のkintoneサンプルアプリを提供しています。
サンプルアプリはそのまま使えるだけでなく、自由にカスタマイズできるため、アプリ作成時の時短目的として利用するのもおすすめです。
ここでは、士業に役立つサンプルアプリを2つピックアップしてご紹介いたします。
【弁護士業】顧客管理
【弁護士業】顧客管理は、法律事務所向けにカスタマイズされた顧客管理用のサンプルアプリです。
依頼主や相手方、弁護士などの項目が設けられており、案件管理アプリと併用することで過去の事件などをまとめて確認できる設計になっています。
担当弁護士や弁護結果ごとにデータを集計することもできるので、顧客管理だけでなく課題の洗い出しや傾向分析にも役立てることができます。
案件管理(法律事務所向け)
案件管理(法律事務所向け)は、法律事務所での案件管理を想定して作成されたサンプルアプリです。
企業向けの案件管理アプリと違い、民事・刑事などのカテゴリ分けや原告・被告の区分、さらには事故日・終結日などを1つのアプリで管理できる作りになっています。
また、過去に登録した関与者がいる場合、関連レコード一覧として表示されるため、利益相反チェックにも役立てることができます。
リアルタイムの進捗状況をkintoneで共有!
実際にkintoneを使って、手続きの進捗状況をリアルタイムに外部公開できる仕組みを作ってみましょう!
今回は、以下のケースを想定して作成してみます。
課題:社会保険の手続き状況の共有に時間が取られている
使用サービス:kintone連携サービス『kViewer(ケイビューワー)』
目標:顧客が自発的に進捗状況を確認できるページを作成
kViewerは、kintoneに登録されているデータをkintoneライセンスを持たない外部の人に共有できるトヨクモのkintone連携サービスです。
今回はkintoneアプリとkViewerを使用して、顧客が自ら進捗状況を確認できる環境を構築することを目指します。それではやっていきましょう!
Step1.案件管理アプリを作成
まずは、案件管理アプリを作成します。今回作成したアプリの構成は以下の通りです。
案件管理アプリの項目:進捗状況、保険種別、顧客名、対象者、担当者
「進捗状況」は未着手・作業中・完了の3種類、「保険種別」は社会保険と雇用保険の2種類となっています。
実際に運用する際は、顧客番号や受付日などの項目が必要になると思いますが、あくまで今回はサンプルなのでご了承ください。
Step2.kViewerで共有用ページを作成
情報元となるアプリが完成したところで、kViewerの設定に入ります。
kViewerは、kintoneアプリと連携することで簡単に情報を外部公開できるWebページ(ビュー)を作成することができます。
先ほど作成した案件管理アプリと連携して、公開する情報を選択しましょう。
kViewerでは選択したkintoneフィールド以外は公開されないため、外部に見せたい情報だけを共有することができます。
フィールドの表示設定が完了したらビューを公開してみましょう。
Step3.進捗状況を確認する
ビューを公開するとアクセス用のURLが発行されます。URLを開いて進捗状況を確認してみましょう。
しっかり手続きの進捗状況が確認できました!
URLを共有すれば、顧客が自発的に手続き状況を確認できるようになるので、自社スタッフの負担もかなり減りそうです。
なお、このままだと他社の進捗状況も一緒に見えてしまう状況となっていますが、アクセスした人に応じて表示する情報を自動で絞り込むことも可能です。
kViewerに制限をかける方法については以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はご参照ください。
皆さんこんにちは!里中です。だんだん夏が近づいてきましたね〜。 私自身、元高校球児だったということもあり、毎年夏が近づいてくると高校野球の開幕を楽しみに待っています!ただ、上京してきてからは家にテレビがないので、今年はスマホで中継を観[…]
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今回は、kintoneで士業の仕事を効率化する方法や改善できる業務内容などについて詳しく解説しました。
膨大な量の書類や案件情報を一元管理できるだけでなく、顧客との情報共有にまで使えるため、業務のデジタル化・効率化でお悩みの方には特におすすめです。
kintoneおよびkViewerでは、30日間の無料お試しを実施しておりますので、少しでも気になった方はぜひこの機会にお試しください。