kintoneで在庫管理はできる!必要な設定・連携サービス・プラグインをまとめて解説

kintoneには多くのサンプルアプリやフォーマットがあり、汎用性が高いといわれています。kintoneはさまざまな業務の管理に用いることが可能ですが、在庫管理も得意領域の1つです。

そこで、この記事ではkintoneで在庫管理システムを構築するために必要な情報について解説します。

kintoneで在庫管理システムを構築するメリット

ここでは、kintoneで在庫管理システムを構築するメリットについて、4つのポイントを挙げて解説します。

在庫状況の正確な把握

在庫状況を正確に把握できる点はメリットの1つです。kintoneは入荷数/出荷数を登録すれば、自動的に在庫数が算出されます。必要な在庫数が明確になれば、不要な発注を防ぐことにつながります。

また、納品済み/手配中/発送中/受注済みなどの業務プロセスに沿った進捗管理が可能です。そのため、現在どの担当者の手元にボールがあるか見失うことがありません。

加えて、スマートフォンやタブレットで場所を選ばずに情報を確認できます。状況の共有がしやすいため、スムーズに業務を遂行できるでしょう。

発注漏れを防ぐ

発注漏れを防げるという点もメリットです。kintoneの「在庫管理アプリ」には、リマインダー通知設定があります。この機能を使えば、在庫数が指定した値を下回った際に自動的に通知をするように設定できます。

発注依頼は履歴として残るため、「発注済みであるか」「いつ発注したか」がいつでも確認可能です。

また、在庫数の一覧表示やグラフ化ができるため、見落としのリスクは低いと言えるでしょう。

もし欠品になれば、販売の機会を逃す可能性があります。適切な在庫数確保が、利益向上につながります。

ヒューマンエラーの防止

在庫管理システムがあれば、ヒューマンエラーの防止につながります。

紙媒体やExcelで在庫を管理していると、数え間違いや記入漏れのリスクがあります。
ほかにも、在庫数を確認する際、在庫がある場所に出向いて目視で確認する必要があるかもしれません。その場合は、出先で在庫を知りたいと思ったときは、社内にいる従業員に連絡をして確かめてもらうことになるでしょう。

kintoneであれば、自動で計算を行ってくれるため、数え間違いといったミスの発生がありません。また、出先からスマートフォンでの在庫確認も可能です。

やり取りの見える化

担当者同士のやり取りが可視化できる点もメリットです。
スペースのスレッド機能を使用すれば、ユーザー間でのやり取りが文字で残ります。そのため誰が何をしたか、あるいはしていないかをスレッドで辿ることが可能です。不要な質問の重複を防げるでしょう。
また、スレッドに参加するユーザーは選択可能です。プロジェクトごとに分ければ、情報を必要な人だけに届けられます。
余計な確認作業を減らすことで、それぞれの業務に集中できるでしょう。

kintoneで在庫管理を行う場合の注意点

ここでは、kintoneで在庫管理をする際の注意点について解説します。
以下に、3つのポイントを挙げます。

課題を明確化する

kintoneで在庫管理をする際、業務上の課題を明確にしておくことは重要です。
課題によって、導入するシステムが異なるためです。

たとえば、以下のように企業ごとにさまざまな課題があります。

  • 欠品状態になることがある
  • 在庫状況の確認に時間がかかる
  • 在庫数の共有が円滑ではない

自社の課題を把握した上で、改善を図るための設計を行う必要があります。適切な設計ができていなければ、在庫管理アプリを導入しても効果的な活用はできないでしょう。

導入予算を試算する

kintoneの導入に必要な費用を算出しておくことも重要です。

kintoneの利用料は以下の2パターンです。最低5ユーザーから契約ができます。

  • ライトコース:1ユーザーにつき780円/月
  • スタンダードコース:1ユーザーにつき1,500円/月

また、この利用料とは別に有償プラグインの導入が必要になることがあります。導入後に機能が足りていないことが発覚すると、想定していた以上の費用がかかることになります。どういった機能が必要なのか、いくら費用がかかるのかを事前に算出しておきましょう。

現場にヒアリングを行う

現場へのヒアリングも重要です。上層部が課題として把握していることと、現場の求めていることが一致していなければ、アプリを導入してもうまく活用されないでしょう。アプリを使う当事者の声を反映させることが重要です。

また、複雑なシステムを構築してしまうと、利便性が損なわれる可能性があります。はじめはできるだけシンプルな構成にし、足りない部分は追加で導入するとよいでしょう。

kintone在庫管理に必要なアプリ、連携サービスの設定

ここでは、kintoneで在庫管理をする際に必要なアプリや連携サービスの設定について解説します。

商品マスタ

商品マスタアプリは、在庫管理に必要な設定です。これは、在庫に関する情報をまとめて格納しておくものです。

たとえば、以下の項目を設定できます。

  • 商品名
  • 商品分類
  • 商品番号
  • 商品単価
  • 仕入単価

この際、商品名や商品番号の重複を防ぐことで、正確な在庫管理ができます。
また、在庫数に不足を発生させないための「発注点」の設定も可能です。この値以下になると、担当者に発注を促すリマインド通知が届きます。

入庫管理

入庫管理アプリでは、入庫に関連する情報を登録します。
たとえば、以下の項目などです。

  • 入庫の日付
  • 入庫した商品名
  • 入庫数
  • 入庫した商品の単価

商品ごとに項目を登録すると作成に時間がかかるため、テーブル形式を採用するとよいでしょう。数値を入力するだけにしておくことで、複数の商品を入庫管理する際の作業を効率化できます。

出庫管理

出庫管理アプリは、商品出庫に関連する情報を登録します。
入庫管理アプリと出庫管理アプリは項目名が異なるだけで、基本的な情報は同じです。そのため、入庫管理アプリを複製することで簡単に作成できます。

また、売上伝票アプリや受注管理アプリなどと内容が重複するため、どちらかで代用することも可能です。

いずれのアプリを使うケースでも、以下を漏れなく入力しましょう。

  • 日付
  • 商品マスタからのルックアップ
  • 在庫から差し引く数量

在庫管理

「商品マスタアプリ」「入庫管理アプリ」「出庫管理アプリ」の作成が完了したら、在庫管理アプリの作成に進みます。

このアプリで必要な項目は、以下です。

  • 棚卸の日付
  • 商品マスタからのルックアップ
  • 商品の数量、単価

情報をリンクさせるための関連レコード設定をしておくと、商品マスタページから在庫の移動履歴が確認できるため便利です。

また、インターネット上で無料配布されている「関連サブテーブル一覧表示プラグイン」を使うと、入出庫履歴も関連レコードとして表示できます。

在庫集計

無料で配布されている「在庫管理プラグイン」は、登録された入庫数/出庫数をもとに在庫数を算出可能です。
インストール後、商品マスタアプリや入庫管理アプリなどと連携させることで、簡単に作成できます。

在庫の表示条件だけでなく発注点の指定ができるため、在庫が不足しないようにアラート通知を設定できます。
また、在庫評価額の算出もこのプラグイン内で完結可能です。

必要なフィールドの設定

アプリに必要なフィールドを設定することも重要です。
具体的には、以下の3つのフィールドです。

  • 棚卸日の日付
  • 商品マスタのルックアップ
  • 棚卸実地数量の数値

自社だけでなく、複数の店舗や倉庫の在庫管理が必要なときは、それぞれのルックアップフィールドを設置して分岐させます。
複製して作成できるため、複数箇所の在庫管理にも便利です。

各フィールドの指定

フィールドの設置が完了した後は、各フィールドを指定します。
具体的な手順は、以下のとおりです。

  1. プラグインの設定画面を開く
  2. 内容ごとに各フィールドを指定する

複数のプラグインがあれば、それぞれにフィールド指定が可能です。
在庫評価額の算出をどのプラグインで行うかを決めておきましょう。

kintoneで在庫管理を行っている実例

ここでは、kintoneのアプリを使って在庫管理をしている企業の実例を挙げます。

ナイスモバイル

ナイスモバイルは、タッチパネル製品の輸入販売業を行う企業です。
以前はkintoneとExcelのそれぞれに情報をバラバラに登録しており、記入漏れや登録情報の重複などの問題が起こっていました。

kintoneで案件管理アプリと在庫管理アプリを構築し、相互に連携させることで在庫管理にかける負担が小さくなりました。また、各アプリからリアルタイムで在庫状況を把握できるようになったことも大きな成果の1つです。

サンキョー

サンキョーはパチンコ店を展開している企業です。導入前は各店舗と景品卸業者それぞれの担当者が、電話やメールなどを使って手動で受発注をしていました。そのため、各工程で時間をとられ、数字を把握することに大きな負担がかかっている状況でした。

そこで、迅速かつ正確に財務状況を確認できるようにするために、kintoneを導入しました。導入後は、以下の効果を得られ、月次決算が即日で完了するまでに業務の効率化が進んでいます。

  • フォーマットを使って簡単に入力できる
  • リアルタイムで在庫状況を共有できる

日清食品グループ

kintoneは世界的に有名な大企業である日清食品グループでも導入されています。以前は紙媒体で在庫管理をしていたため、捺印や承認作業に時間を要する状況でした。

そこで、円滑に業務を進めるために情報のデジタル化を行うことが決定されたのです。各工程で色々なサービスと連携をしやすいkintoneが選ばれました。
現在は課題としていた承認作業の負担が減り、さらにあらゆる業務をkintoneで完結できるようになりました。

手間がかかる在庫管理はkintoneで楽にしよう!

kintoneを使った在庫管理には、以下のメリットがあります。

  • 在庫状況を正確に把握する
  • 発注漏れがない
  • ヒューマンエラーが減る
  • 担当者間のやり取りが見える

さらに、kintoneの連携サービス「Data collect(データコレクト)」を活用することで、リアルタイムで備品状況を把握する仕組みを構築できます。Data collectは、Excelと同じ感覚で複数のアプリの情報を収集したり計算できるようになるサービスです。

30日間の無料お試しもありますので、サービスについて気になる方はぜひチェックしてみてください。