トヨクモが主催する「トヨクモ kintone フェス 2024」は、25以上のkintone+トヨクモ製品の活用例を大公開する年に一度のオンライン+リアルイベントです。
2024年のテーマは「きっと、もっと好きになる、kintone」で、さまざまな業界で活躍中のユーザーからkintone+トヨクモ製品の便利な使い方をご紹介いただきました。
今回は、株式会社モリビ 経営企画室 植田剛士氏に語っていただきました。
自己紹介
こんにちは、株式会社モリビの植田です。本日は「トヨクモと歩む不動産のデジタル変革」というテーマで、不動産業界とトヨクモ製品を掛け合わせた事例についてお話させていただきます。
私は株式会社モリビの経営企画室に勤めながら、浄土宗のお寺で副住職も務めているパラレルワーカーになります。私自身、IT経験は特にありません。
2023年のkintone hive、kintone AWARDに参加をさせていただきまして、ありがたくグランプリを頂戴しております。電脳坊主という名前でX(旧Twitter)をしておりますので、ご興味あればフォローしてください。
会社概要
株式会社モリビは長野県長野市にございまして、不動産の管理やリフォーム・リノベーション工事、空き家の管理・活用事業などを行っている会社です。
業種としては建設業になります。再生にフォーカスして住宅を大切に長く使うといったテーマに沿って活動している長野県SDGs推進企業でもあります。
モリビで活用中のトヨクモ製品
6つあるトヨクモのkintone連携サービスの中で、当社が使っているのは以下の3つになります。
- FormBridge:kintoneに接続できる高度なWebフォーム作成サービス
- kViewer:kintone内の情報を外部公開できるサービス
- PrintCreator:kintoneと連携できる帳票出力ツール
まずは、Webフォームを作成できるFormBridgeの活用方法についてお話しさせていただきます。
事例1.賃貸物件の定期清掃
それでは、賃貸物件の定期清掃でFormBridgeを利用した話を始めさせていただきます。
賃貸物件の定期清掃とは、物件の快適な環境を作るための掃き掃除や拭き掃除、さらには異常がないか点検をして写真を撮り報告するまでの一連の業務を指します。
定期清掃は私たち自身で行うのではなく、提携している協力会社が行ってくださっています。
定期清掃で直面した問題
定期清掃では、実際にお掃除をしながら紙やペンを持ってカメラで写真を撮りながら一箇所ずつ掃除した所を回っていきます。掃除をして紙を持って写真を撮ってとかなり忙しいイメージです。
当社では、協力会社が頑張って定期清掃を行ってくれたデータをまとめて、オーナーさんに報告しております。
作業としては、郵送されてくる報告者に問題がないかのチェック、および写真をExcelの台帳に貼り付けて印刷する計2つの作業があります。
膨大なアナログ作業
このやり方、実はすごいアナログで色々と問題があるのです。
まず写真についてですが、スマートフォンがあるこの時代に、SDカードに入っている写真をPCに取り込んでExcel台帳に貼り付けています。
また、筆跡が特徴的で読めなかったり、写真が入っていなかったり、足りていなかったりということがあります。まとめる量がものすごく多いのも問題の1つです。
具体的には、紙でくる報告書の枚数が1ヶ月に120枚、SDカードの写真の枚数が1ヶ月に750枚ほどあり、この写真をExcelに貼り付けて印刷して紙の報告書と合わせていきます。
この途方もないような業務を私たちは「現代の拷問」と会社の中で呼んでいます。
1物件の処理に時間がかかる
点検報告書のチェックをして、写真を探して貼り付ける作業にどれくらい時間がかかるのか担当者に聞いたところ、それは嫌そうな顔をしながら大体1件10分と教えてくれました。
合わせて、何件やっているのか話を聞いて計算すると、大体1ヶ月に20時間ほどこの作業に時間を費やしているということが分かりました。
20時間も紙をチェックして写真を貼り付けているのは、ちょっともったいないかもしれないと私も思いました。
協力会社はkintoneアカウント未所持
会社の中で私たち社員側が別の業務で物件の点検をする時、kintoneを使っています。その際、スマートフォンでkintoneを利用して実践しているんです。
画面をタップしながらここは問題ない、これは問題あると押して行って、最後に保存ボタンを押すフローになるのですが、協力会社でも同じことができないかと考えました。
しかし、協力会社はそもそもkintoneのアカウントを持っていないので、同じシステムを使ってもらうことはできません。
そこで効いてくるのが、トヨクモのFormBridgeです。
FormBridgeで報告システムを構築
FormBridgeを使えば、kintoneのアカウントを持っていない人でもkintone内にデータを入れられるようになります。
実際にFormBridgeの編集画面を見てみるとモバイル用フィールドがあり、スマートフォンでどう映るか確認できたので、これでなんとかできるのではないかと考えました。
構図としては以下のイメージです。
本来はkintoneに直接入れたいのですが、それはアカウントがない都合上できないため、協力会社にFormBridgeにアクセスしていただくことにしました。
協力会社がFormBridgeで作成したフォームに点検結果や写真を登録すると、私たちのkintoneにデータが入ってくるというシステムです。
スマートフォン1台あれば完結するということで、非常にいいものができました。
協力会社の負担が軽減された
スマートフォンから直接写真を入れられるようになりましたし、場所ごとに添付フィールドを1つ1つ設けることで、写真の撮り忘れ自体も防止できるようになりました。
これまで業者側も点検用紙やボールペン、デジタルカメラなどを持って現場に行っていましたが、スマホ1台で済むようになったのでかなり身軽に行けるようになりました。
掃除をして、紙に書いて、写真を撮ってと忙しかった状態から、FormBridgeの導入によってかなりスムーズに仕事を進められるようになったのです。
自社の負担は解消できていなかった
これまでの段階で協力会社の業務は楽になったものの、私たちの業務はそれほど楽になっていませんでした。
結局入ってきたデータをExcelの帳票に貼る必要があったので、もう少し便利にしようということで活用したのがkViewerとPrintCreatorです。
さらに、この製品に加えてToyokumo kintoneApp認証を組み合わせました。
ここからはFormBridge、kViewer、PrintCreatorの3製品とToyokumo kintoneApp認証の組み合わせで、より便利に使えるようになったというお話しをさせていただきます。
Toyokumo kintoneApp認証を活用
先ほど解説したFormBridge単体の利用では、協力会社が新しく1件1件レコードを登録していく形となります。
しかし、定期清掃では毎月回る物件が決まっているため、協力会社が1件ずつレコードを作らずとも、私たちがレコード登録しておいて、それを編集してもらえばいいわけです。
ただ、普通にそれをやるとなると、自分の担当じゃない物件がたくさん出てきてしまいますよね。そこで利用するのがToyokumo kintoneApp認証です。
Toyokumo kintoneApp認証を使うと見せたい人に見せたい情報だけを見てもらうことができます。例えば、Aさんのメールアドレスと担当者を設定しておけば、このメールアドレスでログインしたらAさん担当の物件しか見れなくなります。
イメージとしてはこちらの画像の通りです。
まずは、Toyokumo kintoneAppにアクセスします。そうすると「モリビの定期清掃」という項目があるので、そこをタップしてもらいます。
自身のメールアドレスでログインしているため、自分が担当の物件しかkViewerに表示されません。kVeiwerにある緑色のボタンを押すとFormBridgeに画面が変わって入力項目が出てきます。
全体の流れをまとめると以下のようになります。
協力会社がkViewerから自分の物件を見て、そこからFormBridgeに遷移して結果を登録。そうすると私たちのkintoneに編集結果が入ってくるという形です。
PrintCreatorで大幅な業務削減に成功
私たちの確認・報告業務を楽にしてくれたのがPrintCreatorです。
PrintCreatorを使うと、kintoneの画面に帳票出力できるボタンが出てきます。これを押すだけで、オーナーに提出する点検報告書が一発で出力できるのです。
今まで手書きで読みにくかった報告書と写真を当てはめていた台帳をまとめたものを、ボタン1つで簡単に出力できるようになりました。
さっき1件あたり10分、月20時間ほど時間がかかっていたと言いましたが、PrintCreator導入後、改めて担当者に聞いてみたところ、今はほぼ0時間になったということでした。
報告書であればすベてそのまま印字されるので手書きのチェックもなく、写真も自動的に挿入されるため本当に時間がかからなくなったわけですね。
これによって紙もかなり減らすことができたので、非常にいい効果が出たと思っています。
協力会社からの評判も上々
実際に使っている協力会社にお話しを聞いた所、「写真の撮り忘れが減った」「シンプルだから使いやすい」といったポジティブな声をいただきました。
最初は、「スマホでやると言われてもシステムが分からない」「そんなの無理」という声もあったのですが、今では皆さんが当たり前に使ってくれる状況になりました。
kintone連携サービスの良い点
途中になりますが、ここで簡単なまとめとしてkintone連携サービスの良い点を振り返りたいと思います。
社内外の業務効率化に役立つ
kintone連携サービスは社内だけでなく、社外の業務も改善できるのが非常にいいポイントです。
FormBridgeの導入によって業務効率がかなり上がり、ストレスも減りました。これは私たちだけでなく協力会社にも同様の効果があったと思います。
トヨクモ製品は連携が優秀
トヨクモ製品同士の連携が優れているのもポイントです。実際、複数のシステムを連携して動かすことで、単体サービスの倍どころではない効果が出てきました。
複合的に使えば、できることの幅が大きく広がり業務改善がより捗ります。これとあれを使えば、こんなことが実現できるのではないかといったアイデアが湧いてくるのも非常にいいところですね。
事例2.入居者からの不具合連絡
トヨクモ製品は、一緒に働く人だけでなく、相手がユーザーでも使えると考えています。
私たち不動産業界で言えばアパートに住んでいる入居者に対しても、このFormBridgeを有効に活用できるわけです。そこで、私たちの事例を最後に1つご紹介させていただきます。
入居者は、自分の住んでいるアパートで水漏れや停電などがあった場合、不動産会社に連絡をするんですね。困った入居者が不動産会社に連絡をすると、丁寧に「モリビさんお願いします」ということで仕事を依頼してくれます。
この後の流れとして私たちが何をするかと言うと、入居者に連絡をして状況確認を行い、1回様子を見に行く必要があるんです。実際に壊れている部分を確認して、修理の方法を考えて、1回帰って部品が届いてから再度修理に伺う形になります。
ここを効率化しようということで、再度FormBridgeが活きてくるのです。
FormBridgeで不具合報告フォームを作成
FormBridgeで入居者からの不具合報告用フォームを作成しました。
こちらは、これまで2回訪問が必要だったところを1回にするために作成したフォームになります。
具体的には不具合報告の写真や動画を撮っていただき、登録してもらうことで私たちのkintoneに入ってくるという仕組みです。
これにより、一度訪問をしなくても故障したものの品番や型番、修理できるか交換が必要かなどを足を運ばずに判断がつくわけですね。
これによって入居者側は知らない人が自分の家に1回来なくて済むようになりますし、私たちや業者側は入居者への連絡を1回分ずつ減らせます。入居者、業者双方にいい効果を生み出せました。
まとめ
私たちだけが楽になるのではなく、利用するいろんな人がハッピーになれるという点が、私のトヨクモ製品の推しポイントということで2つ事例をお話しさせていただきました。
業界にこだわらず、いろんな場所でいろんな使い方ができるのが非常にいいところだと思っております。
これからも「こんなことできそうかな?」と思ったらトヨクモ製品のお世話になろうと考えている次第でございます。本日はありがとうございました。