紙の申込書を電子化!トヨクモ製品で電子申込書の締結フローを構築した方法

トヨクモが主催する「トヨクモ kintone フェス 2024」は、25以上のkintone+トヨクモ製品の活用例を大公開する年に一度のオンライン+リアルイベントです。

2024年のテーマは「きっと、もっと好きになる、kintone」で、さまざまな業界で活躍中のユーザーからkintone+トヨクモ製品の便利な使い方をご紹介いただきました。

今回は、株式会社マクアケ 開発本部 IT基盤部 山田史朗氏に語っていただきました。

自己紹介

はじめまして、株式会社マクアケの山田と申します。本日は、「攻めも守りもお任せ トヨクモ製品をフル活用した業務改善のご紹介」というテーマでお話しさせていただきます。

簡単な自己紹介です。私は新卒入社後、システムエンジニアとしてシステム開発からそのシステムをご利用されるお客様のサポートまで幅広く行ってきました。

2018年8月、そういった経験を活かして株式会社マクアケに入社いたしました。入社後、開発本部内に今のIT基盤部となるIT戦略チームを立ち上げました。

現在は、主に各部署の業務改善の相談や対応などを行っています。

会社紹介

株式会社マクアケは、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を中心とした各種支援サービスを運営している会社です。

マクアケでは、以下のビジョンとミッションのもと、生活者が求めるアタラシイと企業が世の中に出したいアタラシイの結びつきによって豊かになる社会を目指しています。

  • ビジョン:生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現
  • ミッション:世界をつなぎ、アタラシイを創る

そして、スタンダードとして「挑戦を応援しよう。」、「最速にこだわろう。」、「崇高をめざそう。」の3つを掲げ、これらを目指す世界として日々活動しています。

サービス紹介

マクアケが展開しているサービス「Makuake」についてご説明いたします。

Makuakeは、新商品や新サービスのデビューに際して、生活者がいち早く応援購入できるマーケットプレイスです。

事業者は企画中の新商品・新サービスをMakuakeで先行販売でき、生活者は気に入った商品を応援の気持ちを込めて先行購入できる仕組みとなっています。

これまでの累計プロジェクト数は4.0万件以上、会員数は約284万人に上ります。

マクアケのkintone/トヨクモ製品活用歴

事例紹介の前に、まずは当社におけるkintoneアプリ数の推移とトヨクモ製品の導入タイミングについてお話しいたします。

2019年12月、kintoneを導入いたしました。広報部門から情報管理の手段をGoogleスプレッドシートから変えたいという要望があり、名刺管理サービスとAPI連携できるkintoneを選択したことがきっかけです。

2021年、カスタマーサポートチームにkintoneが使えるメンバーが入社し、家電リストアプリを作成していましたが、当時は限られた部署・メンバーのみでの使用でした。

2022年、キュレーター部門(プロジェクト掲載サポートの部門)のメール送付業務の負荷軽減のために、基幹システムからデータを自動連携し、kMailerを利用してメールを送付する仕組みを構築しました。

合わせて、グローバル部門からの要望でお客様から直接商品情報や素材を受け取るためのフォームが必要となり、FormBridgeを導入しました。

2023年には、FormBridgeで取得していた商品情報・素材について、一方的に受け取るだけでなくコメントなどをお返しするようになりました。さらに、お客様ご自身に修正していただくために、kViewerも導入いたしました。

2024年現在は、社外との共有スペースや社内業務の改善などにおいて、幅広くkintoneアプリとトヨクモ製品を利用しています。

案件獲得から申込書の締結、経理への請求連携など、部門を超えて関係者が1つのアプリ上で情報共有し、完了までのタスクを管理できるようになりました。

2024年5月時点でのアプリ総数は335個、利用ユーザーは150人となっており、営業部門・管理部門を問わず利用しています。

攻めの施策.申込書締結業務の電子化

今回ご紹介させていただく攻めの施策は、基幹サービス「Makuake」への掲載申込をいただいた事業者から申込書をご提出いただき締結する業務での活用事例です。

電子化前の業務フロー

はじめに、電子申込書を導入する前の申込書の締結フローについてです。

前提として、Makuakeでは、プロジェクト掲載を希望されたお客様を「プロジェクト実行者(以下、実行者)」と呼んでおります。また、プロジェクト掲載を伴走サポートする専任担当としてキュレーター部門があります。

実行者がWebフォームを通して掲載希望を入力すると、キュレーターが初回アポを調整し、掲載希望の具体的な内容をヒアリングします。そのあと、掲載まで進めるにあたり、キュレーターが窓口となり申込書のご案内メールを送付します。

実行者には、テンプレートの取得・印刷・捺印・スキャンをしてPDF化してから、キュレーターに返信いただきます。回収したPDFファイルは基幹システムに格納し、審査担当に依頼をして、申込書の内容の確認を行います。

もし、不備などがあればキュレーターに伝え、キュレーターから実行者にお伝えして、修正後の申込書を再度PDFにしてもらい提出いただくという流れです。

このフローでは、窓口となっているキュレーター、紙に出力して署名・捺印する実行者ともに大変な労力がかかり、申込書締結までに時間を要していました。

電子申込書導入後の締結フロー

そこで、実行者の署名・捺印作業、キュレーターの窓口業務、審査担当の確認業務軽減のため、2023年4月より申込書の電子化を行いました。

審査担当チーム主導のもと、電子化を行う決定をしたのが2023年1月です。そこから電子契約サービスの選定、トライアルなどを行い、kintoneとのAPI連携や操作性などを検討し、CLOUD SIGNという電子契約サービスの導入を決定しました。

電子化の決定から正式リリースまで、約3ヶ月という短期間で構築・切り替えができたのは、kintoneとトヨクモ製品をフル活用できたからだと考えております。

ヒアリングシートの送付〜案内メールの記入まで

実行者には、申込書をご案内する前に、掲載予定の商品の詳細やプロジェクトをどう進めていきたいかなどを伺うヒアリングシートの記入をお願いしております。なお、ヒアリングシートはFormBridgeで作成しています。

キュレーターがヒアリングシートの内容を把握し、初回アポイントメントで詳細を伺い、プロジェクト掲載までのご案内を行い、審査担当が掲載内容を確認いたします。この際、ヒアリングした情報は商談管理アプリに集約される仕組みです。

その後、お申し込みいただくためのご案内メールを実行者にkMailerで送付します。メール本文には、申込案件を特定できるフォームのURLを自動挿入しています。

実行者は、そのURLから申込情報の記入を行います。主な記入内容としては、会社情報、電子契約を行う契約締結権者の情報、規約への同意などです。

申込内容の確認・訂正依頼〜申込完了まで

次に、審査担当が申込内容を確認します。もし、訂正箇所があればkintoneに記入し、訂正のご依頼メールを送付します。

この訂正依頼メールには訂正箇所の要約、申込内容の記載に加えて、指摘箇所が確認できるkViewerのURLを挿入しています。

実行者には、URLから訂正箇所を確認し、訂正用フォームを通して訂正していただきます。この訂正用フォームでは、訂正が必要な箇所のみを表示し、訂正内容もあわせて確認できるため、訂正にかかる手間を軽減できるのもポイントです。

申込内容の確認ができたら、審査担当よりCLOUD SIGN申込書の送付を行います。実行者には受信したメールから申込内容を最終確認していただき、電子署名を行うことで、申込完了となります。

署名済みの申込書は実行者に自動返信されるとともに、kintoneアプリにも自動で格納され、「締結済み」というステータスへの更新も自動で行われます。

年間700時間を超える業務効率化を実現

ここまでの業務フローをすべてkintoneアプリ上で完結させることができました。

kintoneとトヨクモ製品を活用して電子申込書の締結フローを構築したことで、2023年4月〜2024年3月の1年間で年間700時間を超える工数削減を実現できたと報告いただいています。

導入時の削減目標工数は年間400時間としていましたが、その削減目標を大きく上回り、目標を達成することができました。

守りの施策.安否確認サービス2の導入

続いては、守りの施策である、トヨクモの安否確認サービス2の導入事例の紹介です。 こちらは、災害発生時の社員の安否を確認するために導入したものになります。

ツール導入前の安否確認の流れ

まずは、安否確認サービス2を導入する前の安否確認の流れをご説明いたします。

当社では、災害発生時に全社員にメッセージを通知するSlackワークフローを作成していました。実際に災害が発生した時には、総務担当者がSlackワークフローを起動し、全社員向けのメッセージを通知します。

通知を受け取った全社員は、メッセージに記載のURLよりGoogleフォームを立ち上げて現状の安否状況を報告します。総務担当は、集計用のスプレッドシートにて回答状況を確認し、必要に応じて未回答者に対して個別に状況確認の連絡をしていました。

安否確認で抱えていた問題

通知から集計までがすべて手動であるために、以下のような問題を抱えていました。

  1. 社員数が増えると状況把握が困難
  2. 通知の確認手段が1つ
  3. 回答の集計に時間を要する

1つ目は、社員数が増えると状況把握が困難になることです。当時は100名に満たなかったため何とか把握できていましたが、地方拠点の状況などを正確に把握することが困難になっていました。

2つ目に、Slackからの通知しか行えなかったため、その通知を見逃してしまうと回答されないという状況でした。

3つ目に、回答の集計がスプレッドシートだったため、社員マスターと突合し、未回答者を抽出する作業を都度行わなければなりませんでした。

これらの問題とともに、地震などの発生が多くなってきたこともあり、会社としてもBCP対策は重要な施策となっていました。こういった背景から、社員の安否状況を確実に確認できる安定したシステムの導入が必要となったのです。

安否確認サービス2の導入効果

総務担当と一緒に数社のサービスを比較・検討した結果、トヨクモの安否確認サービス2の導入を決定いたしました。安否確認サービス2は、導入にかかる作業が非常に簡単でした。

ユーザー登録、通知の条件や範囲、通知文章の設定など、すべて総務担当で行うことができました。また、社員への通知方法の登録手順の配布資料もあり、社員への周知もスムーズに実施できました。

それでは、安否確認サービス2を導入した効果を4つ挙げさせていただきます。

  1. 複数の受信方法を選択可能
  2. 回答状況をリアルタイムで確認できる
  3. 受信確認でエラーとなっている社員を把握し、フォローできる
  4. 掲示板やメッセージ機能が搭載されている

1つ目は、複数の受信方法を社員自身が選択できるため、確実に通知が届くことです。

2つ目は、回答状況がリアルタイムで確認できることです。さらに、設定を行えば部下の状況を上長が把握することもできます。

3つ目は、毎月の受信確認においてエラーとなっている社員を把握し、受信手段の変更などのフォローができることです。

そして4つ目は、今後の活用にもなりますが、安否確認だけでなく、掲示板やメッセージ機能があるため、総務と連携してより活用していきたいと考えております。

ITサービスの新規導入&社内浸透のコツ

最後に、私がマクアケのIT担当としてITサービスを新規導入するときに気をつけていること、またそのサービスを社内浸透させるために心がけていることをお話しいたします。

私が新規にITサービスを導入するきっかけのほとんどは、業務側からのリクエストです。こんなことで困っている、こんなことがやりたいなど相談内容はさまざまです。

そういった相談を受けて、私は以下の3つをポイントとして導入の検討をしています。

  1. 目的を明確にして、手段を考える
  2. 松・竹・梅のプランを提示する
  3. 利用者の視点に立ってサポートする

それぞれのポイントについて解説していきます。

1.目的を明確にして、手段を考える

1つ目のポイントは、「目的を明確にして、手段を考える」ということです。

このツールを使いたい、これを使うと課題が解決できるなど、使いたいツールやサービスありきの相談を受けることがあります。しかし、その課題を解決することが目的であり、ツールやサービスは課題解決のための手段でしかありません。

そのため、私は今あるツールやサービスで、その課題が解決できないかを考えて提案します。それでも解決できない場合にだけ、新しいツールやサービスの検討に入ります。

2.松・竹・梅のプランを提示する

2つ目。新しいツールやサービスを検討する場合には、「松・竹・梅のプランを提示する」ということを意識して選定を行います。

検討段階から松・竹・梅を意識することで、自然と比較検討が行われます。その検討途中や結果が上程資料となり、上程資料を新たに作る作業が不要になります。

3.利用者の視点に立ってサポートする

3つ目のポイントは、ツール・サービスの導入決定後に「利用者の視点に立ったサポートをする」ということです。

どんなに良いツールやサービスでも、社員に使ってもらえなければ意味がありません。当社では、利用PCがWindowsの人もいれば、MacBookの人もいます。ITスキルも人それぞれです。

「このアプリケーションをインストールしてください」というお願いだけでも、環境による違い、スキルによる違いなどから、全員が同じ結果になることはまずありません。

そして、最初から全員が理解できるマニュアルを作成することも難しいと思っています。
100点のマニュアルを目指してリリース時期を遅らせるくらいであれば、80点のマニュアルを素早く出し、「困ったら気軽に質問してください」といった感じにしています。

このあと、質問されたことをマニュアルに反映していけば、あとから入社された方などにも共有できると考えています。

まとめ

「攻めも守りもお任せ、トヨクモ製品をフル活用した業務改善」ということで活用事例とITサービス導入のポイントについてご紹介させていただきました。

私は最後にご紹介した3つのポイントをいつも心がけて、ITサービスの導入や社内への浸透を行っていますので、よければ参考にしてください。

本日はご清聴ありがとうございました。