トヨクモが主催する「トヨクモ kintone フェス 2023」は、デジタル化して効率的に業務改善する珠玉のアイデアを学び・広める、2日間のオンラインイベントです。2023年のテーマは、「やれるっ、できるっ、キントーン!」で、よりトヨクモ製品をカンターンに活用し、業務改善ができる、そんな活用の事例をご紹介いただきました。
今回は、サイボウズの採用チームがどのようにフォームブリッジを使用しているか、田窪春奈氏と井上知春氏に解説してもらいました。
フォームブリッジは、kintoneに連携したWebフォームを作成できるサービスです。フォームブリッジを採用活動に利用することで、業務の効率化を図れます。しかし、具体的にどのようにフォームブリッジを導入すれば良いのかわからない方も多いでしょう。
この記事では、実際にフォームブリッジを活用して採用活動を行っているサイボウズ株式会社様の事例を紹介します。この記事を読むことで、フォームブリッジを活用した採用活動のメリットと導入方法について理解できます。
自己紹介
田窪 春奈氏
サイボウズに新卒で入社後、営業部のパートナー営業として勤務していました。その後、自らの意思で人事部に異動し、現在はRecruiting & Onboading部でキャリア採用チームとして活動をしています。キャリア採用チームでは、キャリア採用全般の活動に加えて障がい者採用の担当もしています。
井上 知春氏
2015年に新卒でサイボウズに入社後、最初は開発本部でQAとして勤務していました。その後、産育休を経て人事本部Recruiting & Onboading部に所属。2020年9月からキャリア採用チームの採用コーディネーションを担当しています。
サイボウズ社内のチーム体制
Recruiting & Onboading部のチーム体制
Recruiting & Onboading部は、いわゆる採用育成のチームです。現在、兼務も含めると30名近く所属する、大きなチームになっています。主に、「採用」「オンボーディング」「支援」のカテゴリに分類されており、採用とオンボーディングに関しては「新卒採用チーム」「キャリア採用チーム」「グローバル採用チーム」に分かれています。
支援に分類される「採用コーディネーションチーム」は、採用やオンボーディングで発生する各種調整の業務や細かな連絡や調整を担当しています。
キャリア採用チームの役割
キャリア採用チームは現在7名のメンバーが在籍しており、書類選考や面接といった選考活動、採用計画の立案や予算の取り決めなどを行っています。キャリア採用チームは、各本部の支援と採用インフラの構築という2軸を中心に活動しています。
各本部の支援とは、各本部からの採用ニーズを形にしていく支援のことです。サイボウズの採用は、人事が採用計画を立てる方法ではなく、各本部から上がってくる採用ニーズを集めて採用計画を立てる方法で実施しています。キャリア採用チームは、各本部の採用ニーズを聞いて、そのニーズを形にする施策を考える役割があるのです。
キャリア採用チームの役割として、採用インフラの構築というものもあります。採用インフラの構築とは、採用サイトの運用や、選考基準や選考フローの最適化のことです。
具体的には、各職種に合わせた選考基準や選考フローの構築や、採用イベントの企画・開催を行っています。また、障害者雇用の強化もキャリア採用チームが持つ役割のひとつです。
キャリアコーディネーションチームの役割
キャリアコーディネーションチームには、現在6名所属しており、採用における各種調整などの役割を持っています。具体的には、求職者の方々からエントリーをいただいた際の対応や、面接の日程調整などが主な役割です。
最近では、職種応募ルートも多様化しており、それらに対応する効率的なオペレーションの構築が必要とされています。
例えば、サイボウズのキャリア採用では90職種近くが空いています。それら職種の要件が変わった時の対応や、各種面談面接の日程調整を行うことが、キャリアコーディネーションチームがもつ役割のひとつです。
また、特筆すべき点として、RPA(ロボを使った業務の自動化)にも力を入れています。
フォームブリッジを活用した採用活動
導入事例1:エントリー
導入事例の一つ目「エントリー」について説明します。エントリーの流れ、フォームブリッジ導入前のエントリー管理、フォームブリッジ導入後のエントリー管理、実際の画面説明の順番で説明します。
こちらが弊社の採用サイトです。左側がトップページで、募集要項エントリーまたは募集要項を探すというボタンがあります。ボタンをクリックすると、右の画面のように募集要項一覧の画面に遷移します。
こちらに90近い職種が並んでおり、興味のある職種をクリックすると募集要項の詳細画面が出てきます。募集要項ページの一番下にある「エントリー」ボタンをクリックすると、直接応募用専用のフォームブリッジに飛ぶよう設定されています。
フォームブリッジ導入前のエントリー管理
フォームブリッジ導入前のエントリー方法は、採用サイトにエクセルで作成したエントリーシートを掲載していました。
エントリーの手順としては、応募者の方がエントリーシートをダウンロードして、エントリーシートに記入後、採用アドレス宛に送付していただきます。次に、メールで受け取ったエントリーシートは、デヂエというシステムにURLを記載し、そちらでエントリーシートの管理をしていました。
また、面接の結果などはGaroonのワークフローで回してチームで共有していました。
しかし、この方法の場合、応募者はメールでエントリーシートをお送りいただく手間や、エントリーシートの共有に手間がかかるデメリットもありました。
フォームブリッジ導入後の効果・変化
フォームブリッジ導入後は、採用サイトからエントリーフォーム(フォームブリッジ)に直接アクセスして、応募者が採用サイトから直接応募できます。
また、エントリー時の情報が直接kintoneに入ることで、会社側としても情報の共有・管理を行いやすくなりました。
メリットとして、エントリーフォームの形式を問わないため、応募者が伝えたい情報を伝えやすくなった点が挙げられます。また、スマホからもエントリー可能なため、時間や場所を問わずにエントリーできるようになりました。
また、フォームブリッジ導入前に行っていたURLでの情報共有が不要になり、kintoneでそのまま一元管理できる点もメリットのひとつとして挙げられます。
実際の画面
こちらがフォームブリッジの実際の画面です。具体的な内容としては、選考フローや各記入項目が記載されています。この中で、いくつか条件分岐の設定をしているので、条件分岐について説明をしていきます。
最初の条件分岐として、ポートフォリオの記載項目が挙げられます。記載項目の中に「ソースコードorポートフォリオお持ちの方はチェックをお願いいたします」というチェック項目がありますが、こちらにチェックをすると新たに3つのフィールドが出てくるように設定されています。こちらの3つのフィールド上で、画像やポートフォリオなどの添付ファイルを添付できるようになっています。
2つ目の条件分岐として、職種ごとに追加の質問を設定しています。応募する職種をチェックすると、その職種に対する個別の質問項目が出て来るように設定しています。
最後に3つ目の条件分岐として併願をチェックできるようになっています。併願をチェックした場合も、職種を選択することで個別の質問が出てくるように設定されています。これら全ての項目を入れて回答をするとエントリー完了です。
実際に応募者が回答したデータは、kintoneの画面に入ってきます。こちらのレコードをもとに書類選考を行ったり、面接日の管理を行ったりと、1つのレコードで行うことが可能です。
また、画面右側が応募いただいた方に自動で送られる返信メールの例です。自動返信メールでは、実際にエントリーした内容がどのような形だったかわかるようになっています。
今回、ご覧いただいたのは直接応募用のエントリーフォームですが、他にもグローバル用の英語で作成したエントリーフォームや、紹介会社様専用のフォーム、また媒体別のフォームも作成しています。
媒体別のフォームに関しては、入力したデータが、kintoneに直接入ってくると「どのような媒体からのエントリーなのか」判別できるように設定しています。
内定後の希望条件回収
2つ目の導入事例として、内定後の希望条件回収について説明します。最終面接の合格者に出す採用条件通知書を作成する際、希望条件を回収するためにフォームブリッジを利用しています。
フォームブリッジ導入前
フォームブリッジ導入前のフローでは、画面左側の形式でメールを送信。こちらのメールに返信いただく形で、希望条件を回収していました。しかし、注意点など伝えなければいけない内容が多数あるため、採用条件通知書を作成するための質問は「働く時間」と「場所」という最低限の質問のみに限られています。
また、質問に対する回答があった場合、回答内容を画面右側のように手動でコピーしてコディネーションチームで共有しなければいけませんでした。
フォームブリッジ導入後
フォームブリッジ導入後の変化として、短い文章でメールを送れるようになった点が挙げられます。その理由は、フォームブリッジに質問内容を記載できるようになったためです。フォームブリッジで必要な質問を行えるため、メールでは最低限のことだけ伝える内容に変更できました。
実際の画面
実際の画面で説明します。希望条件入力フォームは、先ほどのエントリーフォームと比較して記載項目は少なく設定されています。また、こちらにも条件分岐と一時保存の設定をしています。
入力フォームの一番下に、入社時点での副業の状況を確認する項目があります。こちらの質問に対して「副業している」にチェックを入れると、さらに細かい質問が出てくるように設定されています。
また、エントリーフォームと同様に、すべて回答すると自動返信メールが送られ、実際に送信した内容を手元で確認することも可能です。
フォームブリッジ導入により得られた効果
フォームブリッジの導入によって、採用条件通知作成に必要な質問項目を増やすことができました。また、本部別に確認したいことがあった場合に、その要望に応えられるようになった点もフォームブリッジ導入による効果として挙げられます。
最後に、実際に応募があった内容を、手動でコピーするのではなくkintoneの関連レコード表示やアクションボタンなどの機能で自動的に共有できるようになりました。
使っている機能としては、自動返信メールや条件分岐、一時保存の標準機能です。
その他のフォームブリッジを活かした採用活動
エントリーや内定者の希望条件回収の他に、フォームブリッジを活用した採用活動について紹介します。
キャリア採用チームでは、採用のイベントも行っているのですが、そのイベントの申し込みの受付とアンケートの回収においてフォームブリッジを利用しています。
また、グローバル採用に対応するため、フォームブリッジを全て英語で作ってエントリーフォームを作ることもあります。
その他、各種外部の方から届く、採用のお問い合わせ受付もフォームブリッジで受け付けています。
新卒採用に関してもフォームブリッジを積極的に活用しています。インターンシップを毎年開催しており、インターンシップの申し込み受付や、会社説明会にもフォームブリッジを利用し、申込者の管理などを行っています。
採用にも様々な業務があり、各業務に対応した形で全てに対応できるフォームブリッジは柔軟性に優れており、非常に使いやすさを感じています。
採用はフォームブリッジで一元管理できる
今回は、サイボウズの採用チームがどのようにフォームブリッジを使用しているか、田窪春奈氏と井上知春氏に解説していただきました。
サイボウズでは、キャリア採用チームやキャリアコーディネーションチームが連携し、採用・育成を行っています。現在、採用活動にフォームブリッジを導入しており、主にエントリーと内定者の希望条件回収の場面において活用されています。
エントリーにフォームブリッジを導入することで、応募者は場所やタイミングを選ばず、いつでもエントリーできるようになり、採用側としてもkintoneを使った情報共有の自動化に成功しました。また、内定者の希望条件回収においては、採用条件通知作成に必要な質問項目を増やせて、各本部の要望に応えた内容に変更しやすくなりました。
その他、採用イベントやインターンシップでも活用でき、応募者と採用側の両方にとって手間と時間を効率化できるメリットを感じています。
採用には様々な業務が含まれています。それらの業務を別々に管理すると、情報共有に手間がかかり、時間と労力を消費してしまうでしょう。しかし、フォームブリッジを活用することで、業務の自動化が可能になり、情報を一元管理できるようになります。サイボウズ様の事例を参考に、フォームブリッジを活用してみてはいかがでしょうか。